勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~

霜月雹花

文字の大きさ
上 下
32 / 66
第二章 迷宮へ挑む

第32話

しおりを挟む
 意識を取り戻した俺は、泣いているアリサ達にあの後どうなったのか聞いた。俺が倒れた後、直ぐに俺は城の客室に連れて来られて酷い熱が出ていたのでアリサ達が看病してくれていたらしい。
 そして、息の根を止めたと思っていた勇者だが〖ブレイバー〗の能力で自身を再生させ再び襲い掛かって来たがアリサ達によって再びボコボコにされて現在は城の牢獄に魔力を吸い取る魔道具を付けられて捕らわれていると聞いた。

「ねぇ、ロイド君。その見た目って……」

「あぁ、俺もついさっき分かったんだけど竜人と魔人族のハーフだったみたいだ」

 俺がそう言うと、アリサ達は「やっぱり」と呟いた。すると、ミキがそっと俺の額にある角を触った。

「凄いです。ちゃんと、生えてるんですね。竜人族の人とあった事ありますけど、触らせてもらえなかったので感動です」

「まあ、俺も違和感はあるけどちゃんと生えてるみたいだな」

 そんなミキの行動に触発されたのか、アリサとモモも一緒になって俺の角を触って「わっ、ちゃんと体温もある!」と驚いていた。それから、アリサ達に部屋を出て貰って服を着替えた俺は、そこでまた自分の体の変化に気が付いた。

「前より少し大きくなってないか?」

 ベッドに横になっていたので分からなかったが、170位しか無かった身長は180後半位の高さになっていて、体も少し筋肉質になっていた。幸いな事に、買う服は大きめに買っていたので入らないという事は無かったが、買い替えが必要だった。
 そして、着替えた俺はアリサ達と一緒に部屋を移動していると、俺の部屋に向かっていたミリアと出会い。ミリアは「起きたんですね。ロイド様」と安心した様子でそう言った。それから、ミリアも一緒に移動し、クロム王の私室へと到着し、扉をノックして扉を開けて部屋の中に入った。

「おぉ、起きたのかロイド!」

「すみません。心配かけました」

 部屋の中に入ると、俺の姿を見たクロム王が一瞬驚いた顔をしたが直ぐに笑顔になり椅子から立ち上がり近くに寄って来た。

「しかし、本当に姿が変わってるな……」

「ですね。俺も驚いてます。クロム王は俺と幼少期の頃に会ってましたけど、その頃の俺ってどんな風でしたか?」

「……そう言われると思って、頑張って昔の記憶を思い出していたのだが、全くロイドの姿を思い出す事が出来ないんだ。だが、あの時出会っていた子供がロイドという事は確信していて変な感じがしているんだ」

 クロム王は申し訳なさそうにそう言うと、俺の頭の中に再び声が聞こえた。

(主よ。多分、その者も主と同じく主の母の呪いに掛かっておるようじゃ)

 リフェルからそう言われた俺は脳内で驚くと、リフェルはクロム王の呪いを解呪するから出せと言って来た。俺はリフェルのその言葉に答えるように「出てこいリフェル」と唱えると、部屋の中に眠っている時に見た狼が出現した。

「えっ、狼!?」

「アリサ、これは普通の狼じゃありませんよ。この魔力、多分ですけど神獣フェンリルだと思いますよ」

「ほほう。その娘は、我の正体に直ぐに気が付くとは、中々の眼をもっておるな……っと、驚いている場合では無いな、ちとそこの王よ。ジッとしておるのじゃよ」

「へっ?」

 リフェルの言葉にクロム王は変な声を出すと、リフェルは前足をクロム王に向けて何かの魔法を掛けた。すると、クロム王は一瞬クラっと倒れそうになったが直ぐに持ち直すと「……思い出した」と呟いた。

「そう言えば、私がロイド達と別れた後に一人の女性が近くに寄って来てその時に何かの魔法を掛けられたんだ……」

「多分、それが俺の母ですね。なんの目的があって息子でもある俺にも呪いをかけていたのか知りませんが、多分俺の事を知っている人、全員に呪いで俺に関わる事を殆ど思い出させない様にしていたんだと思います」

 そう言うと、クロム王は「そうだろうな、今思い出した記憶のロイドは赤髪に小さな角が生えている」と言った。
しおりを挟む
感想 59

あなたにおすすめの小説

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜

霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!! 「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」 回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。 フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。 しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを…… 途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。 フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。 フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった…… これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である! (160話で完結予定) 元タイトル 「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした

桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

竜騎士の俺は勇者達によって無能者とされて王国から追放されました、俺にこんな事をしてきた勇者達はしっかりお返しをしてやります

しまうま弁当
ファンタジー
ホルキス王家に仕えていた竜騎士のジャンはある日大勇者クレシーと大賢者ラズバーによって追放を言い渡されたのだった。 納得できないジャンは必死に勇者クレシーに訴えたが、ジャンの意見は聞き入れられずにそのまま国外追放となってしまう。 ジャンは必ずクレシーとラズバーにこのお返しをすると誓ったのだった。 そしてジャンは国外にでるために国境の町カリーナに向かったのだが、国境の町カリーナが攻撃されてジャンも巻き込まれてしまったのだった。 竜騎士ジャンの無双活劇が今始まります。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

処理中です...