勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~

霜月雹花

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第二章 迷宮へ挑む

第24話

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 結局一週間も最初の探索で手に入れた素材や宝を換金するのに使い合計で金貨700枚程になり、一気に小金持ちクラスへとなった。まあ、50階層付近でこの稼ぎは本当に無く、俺達の場合全てのフロアを全て隈なく探索したからこれほどになったとミシュエラさんに迷惑そうに言われた。しかしながら、枯渇気味だった素材も増えて街としては助かったとも言われた。
 そんな俺達は、更に物資を購入し半年は潜れる程の物資を準備をして本格的に迷宮に潜る事にした。

「それじゃ、これから迷宮を攻略するか物資が尽きるまで探索をする。忘れ物は無いか?」

「大丈夫だよ。昨日も確認したし、代えの代えまで準備してるよ」

 アリサが皆を代表してそう言うと、ミキやミリア達は頷いていたので俺達は迷宮の中へと入って行った。

「うわ~ん、スライムの粘液が付いてべたべただよ~、ロイド君取ってぇ~」

「アリサ、それ位は自分で取れるだろ。それより、リズ素材の回収が終わったか?」

「はい、ご主人様。この辺りに生えていた素材は全て取り終えました」

 あれから俺達は迷宮を順調に進んでいき、約1週間と言うか短期間で現在この迷宮の最高探索階層である200層を突破し、更に先の247層を探索していた。金策時は、安全に戦える階層と言う事で50層に居たがアリサ達の実力はこの辺りでも十分に通用出来ていた。
 そして、何よりリズの働きが大きい。リズを買った当初の目的は馬車の移動だったが、リズの能力は探索向きで素材の回収を最適化し、宝箱だけは全てのフロア全部回収してから下まで降りてきた。

「ロイド君、最近冷たくないかな?」

「慣れたからだよ。アリサはもう少し女の子らしくしたら良いと思うよ」

「酷いッ! 十分女の子らしいよ。ねえ、ミキ」

「う~ん……最近のアリサ、ロイド君を頼りたいからってワザと汚れたりしてるし……」

 助け船を出してくれると思ってミキに振ったが、そのミキは味方をしてくれなかったアリサは「うっ」と言って撃沈した。そんなアリサにリズが近寄り「アリサさん、取りあえず拭きましょ? しみになりますから」とタオルを差し出し、タオルを受け取ったアリサは悲しそうに「ありがとうリズちゃん」と言っていた。

「ってか、この迷宮何層まであるんだよ……」

「それについては、分かりませんよね。現在でも、まだ下がありそうな雰囲気ですし……」

「まあ、いいんじゃないか? 物資はまだ余裕があるし、心配事と言えばアリサの貞操概念が崩壊しかかってるくらいだろ?」

「それが一番、危険なんですよ。早く攻略して地上に戻りたいな……」

 迷宮以外からの危険に怯えつつ俺達は更に進んでいき、本日の目標だった250層にたどり着いた俺達は安全な場所とされる所で野営する事にした。150層を超えたあたりから人が少なくなっていき、180を超えた頃からは人すら見なくなったのでこのフロアでもここは俺達だけである。
 食事を済ませて、それぞれ順番に休む事になの最初の見張りとなった俺は焚火の前で警戒していると、何者かがこの場所に入って来た気配がした。

「……何者だ。お前?」

「ここまで来た実力者なだけあって私が普通の人じゃないという事は、鼻から気付いているようだね」

「当り前だろ、そんな魔力ビシビシと出されていたら嫌でも気づくわ……」

 現れた人物、白髪に黒い服を着た人間みたいな者は俺の言葉に、感心した様な口調でそう言った。

「お~っと、先に言っておくよ。私は君達に害を成すために現れたんじゃないんだ。話がしたくて来たんだ」

「話?」

「あぁ、そうだよ。……まあ、単刀直入に言うと私はこの迷宮の主〝ダンジョンマスター〟のリク。あちらに眠っている異世界からやってきた人達と同じ、〝地球〟って所から来た異世界人だよ」

「異世界人だと?」

 目の前に現れた人物は〝ダンジョンマスターのリク〟と名乗り、更に異世界人だと言葉にした。

「……疑ってるよね? まあ、それは仕方ない。取りあえず、私がダンジョンマスターという所は信じて欲しいから、私の部屋に移動するね」

 リクと名乗った人物はそう言うと、指をパチンっと鳴らした。すると、一瞬にして景色が変わり明るい部屋へと移り変わった。

「ここは、私の私室だよ。ここから、君達。冒険者の観察をしてる。ほら、あそこをみてごらん」

「ッ!」

 リクが指さした方を見ると、そこには四角い枠に景色が映り出されていて、そこには俺達が通って来た迷宮が映り出されていた。俺はその光景を見つつ、警戒を解かずに視線をリクの方へと向き直った。

「これで、私がダンジョンマスターと信じてくれたかな?」

「……その前に一つ良いか?」

「何かな?」

「さっきから言ってるが、〝ダンジョンマスター〟って何だ?」

 俺は先程から疑問に思っていた単語についてリクに問いかけると、リクは「えっ?」と言葉に出して震え出した。

「も、もしかしてだけど……ダンジョンマスターって知らない?」

「ああ、だが言葉の意味的に迷宮の主なのか? と言うか、迷宮に操っていた者が居たのか?」

「あ、そう。そこからなのね……」

 リクは何かを諦めたかのように再度、指を鳴らすと椅子を出現させて座る様に言ってきて、ダンジョンマスターとは何か説明をしてくれた。
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