勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~

霜月雹花

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第二章 迷宮へ挑む

第21話

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 あの後、迷宮探索を3日程続けてある程度の魔物の素材や鉱石、植物や宝をゲットした俺達は地上に戻って来て、換金の為に冒険者ギルドへと向かった。そして、ギルドの前に到着するとアリサがふと思い出したかのように呟いた。

「そう言えば、この都市に着いてから初めてギルドに行くね」

「そう言えば、そうだな……迷宮に最初から行くつもりだったから、依頼を見ようって頭になくてそのままギルドに寄る事を忘れてたな」

 アリサの言葉にそう返した俺は、ギルドの扉を押して中へと入った。ギルドの中に入ると、冒険者が沢山居て普通のギルドよりも換金所が多くあり鑑定する職員も沢山居た。そんなギルドの中を歩いて、換金所へと向かっていると多くの冒険者から俺達はジロジロと見られている事に気が付いた。
 まあ、その原因は後ろを見ればすぐに分かった。俺の後ろには、5人の女性が居てその内4人は綺麗な恰好をしているので注目を浴びていた。

「ひゅ~、姉ちゃん達可愛いね~ギルドは初めてかな? 良かったら、俺達が教えてあげようか?」

 注目を浴びている事に気が付きながらも換金所に向かっていると、数人の男性パーティーが近づいて来てアリサ達にそう言った。しかし、アリサ達はその男の言葉が無視して俺の後ろを離れず付いてきていると、男がミリアの手を掴もうとした。

「何やろうとしての?」

「ッ!」

 男がミリアの腕を摑まえる前に男の腕を払いのけて言うと、男は一瞬驚いたが直ぐに馬鹿にしたような顔をして俺を挑発しだした。

「ぷっ、何だよお前女の前だからって、かっこつけようとしてんのか? こちとらCランクの冒険者だぞ?」

「……」

 目の前の冒険者が俺に対して挑発をしてきたのを確認しつつ、職員の方をチラッと見たが何事も起きていないかのようにこちらの騒動には目すら向けていなかった。

(成程な、冒険者が腐っていると思ったら、職員も腐ってるのか……)

 俺はそう感じ取った職員のやり方に、まあそれもこの街のやり方なら仕方ないと思い目の前の冒険者に目線をやり盛大に馬鹿にした。

「逆にお前は、浮浪者みたいな格好だな? ええぇ、それでCランクの冒険者なのか? どんな依頼でそこまでランクを上げたの?」

「な、何だとッ! おい、お前等ッ!」

 男は俺の挑発に対して直ぐに乗り、引き連れていた男性冒険者を俺に攻撃する様に命じた。俺は、その向かって来た冒険者を背負い投げをして〝見て見ぬ振りを続けた職員〟に向かって投げ飛ばした。更に同じ様に数人の冒険者を吹き飛ばした。
 そして、最後に残った最初に俺を挑発した冒険者を投げ飛ばそうとした所で、ギルド全体に響き渡る様な声で「騒ぎを止めい!」と女性の声が聞こえた。

「この騒動はなんじゃ、わらわは仕事で疲れてイライラしてるのじゃ!」

 声の主の方を見ると、背丈が俺よりも低く所謂〝幼女〟がそこには居た。容姿は幼いがその体から発せられるオーラはその変にいる冒険者よりも格段に強いと感じた。

「むっ、お前さん。見ない顔だな、騒動は主が起こしたのか?」

「起こしたと言えば起こしましたけど、それはそこにいる冒険者と止めなかった職員のせいですよ。俺達は、迷宮でとって来た素材を換金する為に来たのに、ナンパ目的で近づいて来たそこの馬鹿に喧嘩を売られたんです」

「ふむ、それは本当か?」

 幼女がそう俺に首元を摑まえられている冒険者に聞くと「ち、違う。勝手にこいつが暴れ出して……」と言った。しかし、幼女はその冒険者から一切目を離さずジッと見続けた。

「……手の空いている者はいないかの? この者達を兵士に引き渡すんじゃ、それとこいつは一週間の迷宮探索を禁止とするから迷宮の門番に伝える様に」

 幼女がそう指示を出すと近くに居た男性の職員がビシッと敬礼をしてからすぐさま複数の職員と問題を起こした冒険者と一緒にギルドから出て行った。それから、残った俺達なのだが目の前の幼女から話があると言われてギルド内の階段を上りギルドマスター室と書かれている部屋の中へと通された。

「よくきたのうミリア。どうじゃ、旅の調子は?」

「すごく良いですよ。ミシュエラ様、あっ! 紹介しますね。こちら迷宮都市の冒険者ギルドマスターをしているミシュエラ様です。マスター職になる前は私に色んな事を教えてくれた家庭教師なんですの」

 ミリアから目の前の幼女を紹介された俺達は、軽く頭を下げつつ各自自己紹介を行った。

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