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第一章 旅の始まり
第1話
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「うぅ、ひっく……どうして……ひっく、こんな事に……」
俺、ロイドは村の近くにある湖を眺めつつ嗚咽を漏らしながら呟いた。何故、俺が泣いているか。それは、つい先程の出来事のせいである。
***
「ロイド、ちょっといいかしら?」
「どうしたのルネ?」
俺はいつもの様に畑仕事をしていると、幼馴染であり婚約者でもあるルネから話しかけられ、魔法で出していた水を止めてルネの方を振り向いた。
「話があるの、付いてきて」
「う、うん。分かったよ」
ルネの言葉に俺はそう答え、畑仕事で汚れた手を魔法で洗ってルネの後ろに付いて移動した。そして、移動した先は、ルネの家で俺の居候している家でもある。ルネは家の扉開けて中に入ったので、その後ろを付いて行く様に俺も家の中に入った。
家の中に入り、リビングに移動するとルネの両親である。ベルンさんとノーマさんが居て、その対面に数日前に〝蜘蛛の魔王〟という魔王を討伐し、休息期間としてこの村にやって来ていた勇者が居た。
「やあ、村に来た際に挨拶をしたと思うけど僕は勇者のルイだ。早速で悪いんだけど、ロイド君。君にはこの家から出て行ってもらう事になったんだ」
「えっ?」
勇者の言葉に俺は何を言われたのか分からなかった。そんな俺に対して、ルネの父親であるベルンさんが「ロイド君には悪いけど、ルネは勇者様と結婚する事になったんだ」と告げられた。
「ど、どうしてですか!? ルネは俺の婚約者ですよ!」
「……悪いが、もう決まった事だ。それにこれはルネが決めた事だ」
「えっ?」
ベルンさんは動揺している俺に対してその様に言い、俺はルネの方を振り向いた。
「ええ、そうよ。だって、ルイ様はロイドより強いし、何より私の好みだもの、村の中でマシだなってロイドの事を思ってたから誰にも取られない様に婚約者を演じてたけど、ルイ様と出会ったからもういらないもの、それにルイ様との体の相性も良くて最近はずっと寝不足なのよ。ロイドは鈍感だから気付かなかったでしょ?」
「えっ……」
「と言う訳だ。ロイド君、君の荷物は既にまとめてるから家から出て行ってくれよ。まあ、家と言わず村から出て行ってもらう事になるけどね」
勇者はそう笑って言うと、ルネを抱き寄せた。そして、話が終わるのを待っていたとばかりに村の男達が家に入って来て俺の荷物と俺を引っ張って村の外へと出された。それから、僕は何度か村に入ろうとしたが既に根回しはされていたようで村に入る事も出来ず、逆に今まで仲良くしていた筈の人達から石を投げられたりして、逃げる様に俺は湖まで走って来た。
***
「……泣いていても仕方ないか」
俺はいつまでも泣いていても仕方が無いと気持ちを切り替えて、立ち上がろうとしたが足がもつれて地面に倒れてしまった。
「はは……僕はずっと両想いだと思ってたのにな……」
何をするにしても一緒にしてきたルネ。それがまさか、ただ顔が他の人よりも良いからという理由で付き合っていたという事実に俺は自分でも気づかないほど心にダメージを負っていた。
「あの、ロイド君でよかったかしら?」
俺が地面に倒れ、過去の想い出に縋っていると誰かの声が聞こえた。僕は声がする方に顔を向けると、そこには勇者の仲間と紹介された3人女性達が居た。3人の女性はこの辺りでは珍しい黒髪をしており、それぞれが雰囲気が違っていた。
魔術師と紹介されたアリサは、その黒い髪を後ろでまとめた髪型をしている。聖女と紹介されたミキは、アリサとは違いふわっとした感じの髪型をしている。剣聖と紹介されたモモは、アリサとミキとは違って髪を短く切って動きやすい髪型をしている。
「勇者の仲間さんが俺に何の用ですか?」
「……私達に対して怒りを覚えるのは分かります。まず、お話を聞いてください。私達はロイドさんの味方です」
他二人の代表としてアリサと紹介された女性が俺に対してそう言ったが、勇者の仲間という時点で信用度はゼロである。俺は、その場に立ち上がり未だ真面に立てないがその足で移動しようとして再び倒れた。
「ッ! ロイドさん。魔法を掛けさせてもらいます」
「彼奴の仲間の施し何て要らない!」
俺はそう言って、俺に向かって掛けられた回復系魔法を弾き飛ばした。すると、魔法を掛けた聖女はまさか魔法が弾き度されるとは思わなかったみたいで「私の魔法を弾き飛ばせるの!?」と驚いていた。
それから、俺に対してアリサが何度も話を聞いて欲しいと懇願してきたので既に先程の件で心が折れていた俺は、これ以上の討論をしたくないと思い話を聞くことにした。
「……分かったよ。貴方達の話を聞く」
「ありがとうございます」
こうして、俺は勇者の仲間であるアリサから思わぬ内容の話を聞く事となった。
俺、ロイドは村の近くにある湖を眺めつつ嗚咽を漏らしながら呟いた。何故、俺が泣いているか。それは、つい先程の出来事のせいである。
***
「ロイド、ちょっといいかしら?」
「どうしたのルネ?」
俺はいつもの様に畑仕事をしていると、幼馴染であり婚約者でもあるルネから話しかけられ、魔法で出していた水を止めてルネの方を振り向いた。
「話があるの、付いてきて」
「う、うん。分かったよ」
ルネの言葉に俺はそう答え、畑仕事で汚れた手を魔法で洗ってルネの後ろに付いて移動した。そして、移動した先は、ルネの家で俺の居候している家でもある。ルネは家の扉開けて中に入ったので、その後ろを付いて行く様に俺も家の中に入った。
家の中に入り、リビングに移動するとルネの両親である。ベルンさんとノーマさんが居て、その対面に数日前に〝蜘蛛の魔王〟という魔王を討伐し、休息期間としてこの村にやって来ていた勇者が居た。
「やあ、村に来た際に挨拶をしたと思うけど僕は勇者のルイだ。早速で悪いんだけど、ロイド君。君にはこの家から出て行ってもらう事になったんだ」
「えっ?」
勇者の言葉に俺は何を言われたのか分からなかった。そんな俺に対して、ルネの父親であるベルンさんが「ロイド君には悪いけど、ルネは勇者様と結婚する事になったんだ」と告げられた。
「ど、どうしてですか!? ルネは俺の婚約者ですよ!」
「……悪いが、もう決まった事だ。それにこれはルネが決めた事だ」
「えっ?」
ベルンさんは動揺している俺に対してその様に言い、俺はルネの方を振り向いた。
「ええ、そうよ。だって、ルイ様はロイドより強いし、何より私の好みだもの、村の中でマシだなってロイドの事を思ってたから誰にも取られない様に婚約者を演じてたけど、ルイ様と出会ったからもういらないもの、それにルイ様との体の相性も良くて最近はずっと寝不足なのよ。ロイドは鈍感だから気付かなかったでしょ?」
「えっ……」
「と言う訳だ。ロイド君、君の荷物は既にまとめてるから家から出て行ってくれよ。まあ、家と言わず村から出て行ってもらう事になるけどね」
勇者はそう笑って言うと、ルネを抱き寄せた。そして、話が終わるのを待っていたとばかりに村の男達が家に入って来て俺の荷物と俺を引っ張って村の外へと出された。それから、僕は何度か村に入ろうとしたが既に根回しはされていたようで村に入る事も出来ず、逆に今まで仲良くしていた筈の人達から石を投げられたりして、逃げる様に俺は湖まで走って来た。
***
「……泣いていても仕方ないか」
俺はいつまでも泣いていても仕方が無いと気持ちを切り替えて、立ち上がろうとしたが足がもつれて地面に倒れてしまった。
「はは……僕はずっと両想いだと思ってたのにな……」
何をするにしても一緒にしてきたルネ。それがまさか、ただ顔が他の人よりも良いからという理由で付き合っていたという事実に俺は自分でも気づかないほど心にダメージを負っていた。
「あの、ロイド君でよかったかしら?」
俺が地面に倒れ、過去の想い出に縋っていると誰かの声が聞こえた。僕は声がする方に顔を向けると、そこには勇者の仲間と紹介された3人女性達が居た。3人の女性はこの辺りでは珍しい黒髪をしており、それぞれが雰囲気が違っていた。
魔術師と紹介されたアリサは、その黒い髪を後ろでまとめた髪型をしている。聖女と紹介されたミキは、アリサとは違いふわっとした感じの髪型をしている。剣聖と紹介されたモモは、アリサとミキとは違って髪を短く切って動きやすい髪型をしている。
「勇者の仲間さんが俺に何の用ですか?」
「……私達に対して怒りを覚えるのは分かります。まず、お話を聞いてください。私達はロイドさんの味方です」
他二人の代表としてアリサと紹介された女性が俺に対してそう言ったが、勇者の仲間という時点で信用度はゼロである。俺は、その場に立ち上がり未だ真面に立てないがその足で移動しようとして再び倒れた。
「ッ! ロイドさん。魔法を掛けさせてもらいます」
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それから、俺に対してアリサが何度も話を聞いて欲しいと懇願してきたので既に先程の件で心が折れていた俺は、これ以上の討論をしたくないと思い話を聞くことにした。
「……分かったよ。貴方達の話を聞く」
「ありがとうございます」
こうして、俺は勇者の仲間であるアリサから思わぬ内容の話を聞く事となった。
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