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3巻
3-1
しおりを挟む第1話 領地復旧作業
誰からも愛される王子様に転生した俺、アキト。
何故そんなに愛されるかというと、転生後の能力を決める十連ガチャで、〝美形〟〝王家生まれ〟〝チートスキル持ち〟といった超レアな当たりばかりを引いたから。そんな環境に感謝しつつも、俺は目立たず異世界生活を楽しもうと思っていたんだけど……
周辺国から戦争を仕掛けられたり、妖精王の地獄のような特訓を受けたり、何かと厄介事続きなんだよな。
そんな折、荒れ果てていたチルド村を大都市へと復興させちゃったのもあって、その村を含むクローウェン領の領主になったんだ。
まあそれはむしろ良かったんだけど、そのお祝いにと執事のシャルルが大張り切り。凄まじく豪華な城を建ててしまったのには、王である父さんもびっくりというか、唖然としていたよ。
のんびりスローライフするつもりだったのに……チートまみれの転生生活って意外と大変だ。
◇ ◇ ◇
領地に新しい居城が完成して数日が経ち、俺は相変わらず忙しい毎日を送っている。
本来なら領地の事はシャルルに全て任せたかったんだけど、野放しにしたらまたぶっ飛んだ事をしそうなので一任するのはやめておいた。
というわけで、俺は朝から昼までは婚約者のアリスや家族と王都で過ごしつつも、昼からは領地の城で生活するようにしている。
領地のほうの城では今日も会議が開かれていた。
団体の代表が、話し合いでまとまった内容を俺に報告する。
「それでは、このように進めていきたいと思います」
「あぁ、頼むよ。困ったら俺の奴隷に言ってくれ。直ぐに向かうから、よろしく」
「はい! 本日はお時間をいただき、ありがとうございます!」
集まった面々は俺に挨拶をして城から出ていった。
今日来た奴らもそうだが、城にやって来る者達は全員、六歳児である俺相手に、必死な顔でお伺いを立ててくる。領主とはいえ大人達に舐められてしまうのではないか、当初はそう心配していたが、実際にはそんな事はなかった。俺がチルド村を発展させたのが有名すぎるためか、皆、指示を素直に聞いてくれる。
「ここまで頑張ってきた甲斐があったな……」
そう呟くと、隣にいるシャルルが死にそうな声を出す。
「そうですね。アキト様……ところで、そろそろ私を許してはもらえないでしょうか?」
「駄目だ。お前はしばらく反省をしておけ。ったく、よくよく調べたら、お前の元部下とはいえ、影に相当無茶をさせてたみたいだな?」
諜報部隊〝影〟の現リーダーであるディルムによると、俺の城を建てる際、シャルルは元リーダーという地位を利用して無理難題を押しつけたという。
流石に酷すぎるだろ……そう思った俺は、影達の大半を休ませ、こうしてシャルルに罰を与えているというわけである。
ちなみにシャルルに与えている罰、それは魔力低下の効果がある毒を飲ませる事だ。
元々高魔力なシャルルは、魔力が低くなると、日常生活すらままならない……というか苦行レベルになる。
俺は苦しむシャルルを見て、罰がしっかり利いているなと思いつつ声をかける。
「ところで、領地での仕事は思ったより順調に進んでるな。前領主がクソすぎたから、たとえ俺が領主を務めても反発する者は出てくるかと思ってたんだけど……」
「そ、そこは、アキト様の知名度が高いからではないでしょうか。影で活動していた際も感じていましたが、ジルニア国内は勿論、他国にまでアキト様の事は知れ渡っております」
「マジで? いや、まあ色々とやってたから知名度はあると思っていたけど……」
「ア、アキト様の噂はその三割がチルド村の発展の事で、残り七割は〝戦闘狂リオンよりも恐ろしい〟というもの。大会前までは比率が逆だったのですが、大会に情報屋が来ていたのか、一気に逆転したようです」
「……」
シャルルの言葉に、俺は大会でやりすぎた事を今更反省した。
大会というのは、俺が独自に開催したものなんだが、そこで暴れすぎて〝二代目戦闘狂〟、もとい〝戦神〟という通り名がついてしまったんだよな。でも、元々は俺を挑発してきたリオン爺ちゃんのせいで、俺は悪くないと思う。
俺はそう自分の中で言い訳すると、シャルルとの雑談をやめて仕事を再開する。
その後、資料の確認やらを進めていると、俺の奴隷の中で最強クラスの戦闘力を誇る、レオンが部屋にやって来た。
「どうした、レオン?」
「アキトに言われていた情報を持ってきたんだよ。忘れてたのか?」
……ああ、そういえばそうだったな。
レオンは元暗殺者の奴隷・クロネと結婚したあと、すっかり幸せボケしていて目障りだったから、基本的に影の仕事である情報集めをやらせていたんだった。
「すまんすまん。それで、しっかりと集めてきたんだよな?」
「当たり前だろ? ……ところで、シャルルはなんで顔が死んでるんだ?」
シャルルを見て不思議そうな顔をするレオンに、俺は説明してやる。
「お仕置き中だよ。レオンにも前やっただろ? 魔力が低下する毒を与えてるんだ」
「ゲッ。アキト、まだあの毒を持ってたのか!? あの時使いきったって……」
「もう一度作ったんだよ。あれは俺が調合したんだぞ? 補充できるに決まってるだろ?」
お仕置きアイテムのほとんどは、俺自らが作っているため、ストック切れになる事はまずない。最近、レオンが俺に対して舐めてかかってきてるように感じていたが……もしかしてお仕置きアイテムがなくなったと思い込んでいたせいなのか?
俺はレオンを睨みつけるようにして言う。
「残念だったな、レオン」
「ざ、材料はどうしたんだ? 俺もクロネも採りに行ってないだろ?」
「あぁ、お前らが新婚生活を楽しんでる時に、集めさせたんだよ……そこで苦しんでるシャルルにな!」
「ッ! お前、なんて事を!」
レオンはそう言うと、へばっているシャルルの襟を掴み、グラグラと遠慮なく揺らした。
やはりこいつ、舐めてかかっていたんだな。
「そういや、レオン。最近の俺への態度だが――」
「おっと、アキトから頼まれていた用事がまだ残っていた! 直ぐに行ってくる!」
俺が言い終わる前に、転移魔法で部屋から消えるレオン。
くそっ、逃げ足だけは速いんだから。
レオンがいなくなった後、俺は直ぐに仕事を再開した。
何故俺がここまで仕事を頑張っているのかというと、クローウェン領が現状、すっかり荒れ果てているから。
影や父さん達から話には聞いていたが、実際に目にしてみると酷い有様だった。
復旧を急ぐべき場所には早めに奴隷を派遣していて、多少改善はした。だが、それでも全ての街や村までは見られていない。
「……やっぱり、奴隷を全部駆り出すしかないかな」
国内外に散らばっている奴隷を集め、クローウェン領の復興に使おうかとも考えている。しかし、各地の奴隷達にはとある重要な仕事も果たしてもらっているんだよな。
それは、各国の情報を集める事だ。
奴隷全部をクローウェン領に集めたら、収集している情報がストップしてしまう。俺の国、ジルニアは大国で、魔帝国・神聖国を配下にしているとはいえ、狙ってくる国もあるだろう。俺としては情報収集は続けていきたいんだが……
悩んでいると、シャルルが提案してくる。
「アキト様、各地にて表で行動させている奴隷だけを集めて復興に当たらせ、影には引き続き情報収集を任せるのは駄目なのでしょうか?」
「それをする事はできるんだよ。ただ、それでも集まる情報は確実に少なくなってしまうからな~」
「そうですか。でしたら、アキト様が奴隷のように扱っている魔帝国と神聖国から人を派遣させるのはいかがでしょうか?」
「いや、それは駄目だろ。一応相手は国なんだから」
シャルルの提案に、無理だと答えようとしたところだが、すぐに心の中で「あれ良くね?」と思い直す。
今まで、魔帝国の皇帝すら顎で使ってきたのに、なんで自領の復旧に人手を借りないって頭でいたんだろう? 借りればいいじゃん!
「よし、そうと決まれば早速行ってくるか!」
俺がそう言って立ち上がると、シャルルが目を輝かせる。
「はい! それでは、アキト様。そろそろ毒を……」
「んじゃ、シャルルはここで書類確認よろしく! 解毒はまだしないからな。また勝手に影を使ったら、うんと濃くして再度与えるから」
「はい……」
ガックリと肩を落とすシャルルを尻目に、俺は転移魔法で魔帝国の皇帝の部屋へ転移した。
皇帝の私室に到着すると、そこには魔帝国の皇帝だけでなく、タイミング良く神聖国の最高司祭もいた。
「よっ」
俺は陽気に声をかける。皇帝と司祭は、真っ昼間から酒を飲んでいたようだ。
「へっ、アキト様!?」
「ブフォッ! ア、アキト様!?」
俺の登場に皇帝は驚いた顔をし、司祭は飲んでいた酒を噴いた。
「ちょっと、お前らに頼みたい事があるんだよ」
「「た、頼みですか?」」
二人は同時に口にして、顔を見合わせる。
嫌な予感を覚えているようだが、瞬時に逃げられないと悟ったのだろう、大人しく俺の前に座る。
俺は二人に簡単に事情を説明する。
「……な、成程。そういえば、アキト様は領主になられたのでしたね。それで、領地の復旧のために人を貸せと?」
「そうだ。表の奴隷だけじゃ数が足りなくてな……魔帝国も神聖国も最近は大人しくしてるみたいだし、人は余ってるだろ?」
「まあ、確かに……」
「私の所も大丈夫ですが……」
いつもだったら俺の頼みなら二つ返事で受け入れる二人なのだが、何故かモゴモゴと口ごもっている。
「なんだ。その渋った感じは?」
「いや、あのですね。アキト様に飛行船をやられたじゃないですか? それで今はまだ修復中でして、大人数の移動は無理なんですよね……」
「私の所も同じくです」
皇帝と司祭が言った飛行船――それは少し前にこいつらに侵攻された際、俺が破壊してしまったのだ。しかし、移動が障害というなら解決は簡単だ。
「それなら別に問題じゃない。人を集めさえしてくれたら、後は俺が領内へ送る。これでも爺ちゃん並みに、魔力も魔法の腕もあるからな」
「そうでしたね。その歳で戦闘狂様と比べられてましたね……」
「ほんと、私達って勝ち目がない相手に挑みましたね……」
結局、オッサン達はションボリとしながら、俺の条件を呑んだのだった。
◇ ◇ ◇
皇帝達にお願いをしてから二日後、俺は集めてもらった人々をクローウェン領へ連れてきて、早速働かせていた。
荒れ果てている村などに集中的に派遣し、一気に復旧作業を進めていく。
奴隷達総出で復旧に当たっていたのだが、その中でも成果を挙げたのは、レオン率いる魔法騎士団達だ。久しぶりにレオンと再会した事で、騎士団の士気が上がっていたみたいだ。
レオンが俺の部屋にやって来て、報告してくる。
「アキト、ここの村の復旧は終わったぞ」
「了解、それじゃ次はこっちに行ってくれ」
「分かった」
レオンが去った後、一人になった俺は呟く。
「……シャルル、負けていられないんじゃないか?」
すると、俺以外誰もいなかったはずの部屋に突然シャルルが現れた。そして、シャルルは自信満々に言う。
「ふふふ、ご冗談をアキト様! 私は、レオン達よりも功績を挙げてきましたよ!」
「現状だと、レオン達の活躍のほうがお前よりも上だぞ?」
「へっ?」
一番貢献している! と言わんばかりのシャルルに、俺は現実を伝えてあげる事にした。
「お前、復旧くらい自分一人でできると豪語して、影達に頼らずソロでやってるみたいだけど、現状お前の成果は三番目だぞ? 一番はレオン達、二番は影達、んで三番目がお前だ」
「へっ? う、嘘ですよね?」
「俺が嘘言ってどうするよ? んじゃ、はい、次の場所な。俺は終わった所から上がってくる報告書をまとめないといけないんだから、早く行ってきて」
俺はそう言ってシャルルを追い出すと椅子に座って、レオンからの書類を確認する。
俺も復旧作業に加りたいところなんだが、結局、影も総動員する事になってしまったし、誰かがこの事業を統括しなきゃいけないんだよな。
シャルルに任せて俺が現場に行きたかったんだけど……シャルルは「私に行かせてください!」と気合十分で聞いてくれず。
別に人はたくさんいるし、シャルルが張り切らなくても大丈夫なんだけどな……
そんな事を思いながら、俺は黙々と資料を確認していくのだった。
その後、シャルルは一人で頑張り、なんとか影達の成果には追いついた。
しかし、人手も多く団結力もあるレオン達には敵わなかったようだ。なお、レオン達は更に最後に残っていた村も復旧させ、一番の功績を収めた。
シャルルはガーンとなっていたけれど、事情を知らないレオンは、シャルルの落ち込み具合を不思議そうに見ていたな。
◇ ◇ ◇
皇帝達の手助けもあり、僅か三日でクローウェン領にある全ての街・村・街道などの復旧が終わった。俺は皇帝の私室へ出向いて感謝を伝える。
「マジで助かった。ありがとう、皇帝、司祭さん」
「ッ! あ、アキト様がお礼!?」
「わ、私共何か粗相をしましたでしょうか!?」
皇帝と司祭は何故か驚き、滝のように汗を流している。
これは俺が悪いのかな? まあ、日頃こいつらには色々とやってるし、この怯えた反応に心当たりがないとは言えない……
だが、このまま勘違いされっぱなしじゃ、色々と埒が明かない。
俺は真面目に頭を下げる。
「……いや、変な意味じゃなくて。皇帝達のおかげで、なんとか領地も普通の状態になって、やっと本格的に領地を運用する事ができるようになったんだよ。だから、本当に感謝してるんだ」
すると、皇帝達はニコニコと笑みを浮かべる。
「いえいえ、アキト様の頼みですから!」
「そうですよ。アキト様の頼みは、神様の頼みと一緒ですから!」
さっきとは打って変わって、皇帝達は朗らかにそう言った。
その後、皇帝達にはお礼として俺のポケットマネーから謝礼を出し、いざという時に使えるエリクサーを何本か渡しておいた。
第2話 復興祭の準備
課題だった〝領地の復興〟が終わったので、数日間の休息を取る事にした俺。
連日働き詰めだったのでドッと疲れが出たのだろう。体が重たい感覚がする。
「アキト君、今日もなんだか辛そうだね?」
アリスが気遣ってくれる。
「ああ、うん。ちゃんと休んでるんだけどな……」
「大変だったら言ってね? 無理に私の予定につき合ってくれなくても、いいんだから」
「大丈夫、大丈夫」
実際、アリスと一緒にいたほうが気持ちが楽なんだよな。
なのでこの数日間、俺はアリスと本を読んだり編み物をしたり、一緒に過ごす時間をたくさん作り、リフレッシュしていた。
ちなみに今日は外出し、散歩に来ている。
「ん~、それにしても段々と暖かくなってきたよな」
俺が伸びをしながら言うと、アリスは頷く。
「うん、分かる~。最近は朝もそんなに寒くなくなってきたし」
「あぁ、冬は肌寒くて外出できなかったけど、春が来たらアリスと色んな所に出かけたいな。何処か行きたい所ってある?」
「えっ、行きたい所?」
アリスは「う~ん、う~ん」と悩み始めた。直ぐにってわけじゃないので、適当な返事でもしてくれればよかったんだが、アリスは真剣だった。
「アリス? そんなに考え込まなくても」
「でも~……あっ、そうだ。それじゃ、一緒に海に行きたい!」
「海? って事は、リゾート地のスルートの街か?」
「うん! 前にアキト君と行けなかったし、一緒に行きたいなって思ってたから!」
そうか、海か……
スルートの街は海辺のリゾート地として有名な所で俺も何度も訪れている。とはいえアリスとは行ってなかったし……たくさん行って遊びまくるか!
俺はそう心に決めると、早く冬が過ぎて暖かい季節が来ないかなと思うのだった。
◇ ◇ ◇
アリスと海に行くと約束をしてから数日後――
休暇を終えた俺は、クローウェン領の城に人を集めて会議をしていた。集まってもらったのは、クローウェン領にある主な街・村の長達だ。
クローウェン領には、街が五つと村が八つある。ちなみにチルド村は名前こそ〝村〟だが、規模は〝街〟クラスなので五つの街の一つに分類されている。なお、五つの街の中で見ても二番目に大きいので、そろそろ街と改名すべきか悩みどころだ。
俺は長達に告げる。
「さて、今回集まってもらったのは、今後の領地の課題について話し合うためだ。各地が荒れて生活に困っているという問題は、先日の復旧作業で解決したと思っているけど、どうかな?」
すると、村と街の長達が嬉しそうに報告する。
「はい。おかげで皆、生きる希望が戻り始めています。アキト様には本当に感謝しております」
「私の所もです。災害で使えなくなっていた道が通れるようになって、商人さんも来てくれるようになりました」
壊れて倒れていた家や壁、岩などで塞がっていた道路の整備を行った事で、クローウェン領に商人がまた行き来できるようになった。その事は既に、父さんを通じて国中の商人達へ伝えているので、物流の問題も解決したといっても良さそうだ。
「……で、次は何をしたらいいと思う?」
俺が尋ねると、街の長の一人が手を挙げる。
「実は、前領主に無駄な出費と言われて、この地方の祭りが廃止になり、祭り道具も捨てられてしまったのです。領主がアキト様に代わった今はその政策はなくなっておりますし、村や街の復興を祝って祭りをするというのはどうでしょうか?」
「祭りか……そういえば、チルド村を発展させた時もやったな」
いい意見だと思って他の者達にも尋ねると、皆、祭りに賛成のようだった。
こうして、新生クローウェン領での最初の仕事は、全ての領民達と共に開催する〝復興祭〟となった。
復興を祝って祭りをやる――その情報は瞬く間に領土を駆け巡った。禁止されていた祭りの復活に、領民達は大きな盛り上がりを見せた。
「へぇ、また祭りをやるのか。意外とアキトは、祭り好きなんだな」
俺にそう声をかけてきたのは、祭りの手伝いのために呼び出したレオンだ。
「まあな、祭りって人がたくさん集まって盛り上がるだろ? 俺って、そういうの好きなんだよ」
前世でも、近所の夏祭りによく行っていた。
祭りの楽しみは色々あるが、中でも好きなのは屋台の食べ物だ。イカ焼きや焼き鳥、唐揚げ……祭りには昼食を抜いて向かい、祭りの雰囲気を楽しみながらお腹いっぱい食べるのが一番の楽しみだった。
そのくらい俺は祭りに思い入れがあるわけだが……
◇ ◇ ◇
その後、屋台で美味い料理を出すため――俺はレオンと共に、食材を求めて海の上を飛んでいた。
「ってか、アキト。何処まで行く気なんだ? 海を進み始めてから、もう結構時間経ってるぞ?」
「もう少しだよ。俺が調べた情報だと、ここら辺に……」
求めている食材は、海に生息している生き物だ。
先に、なんでも調べられるチートスキル【図書館EX】で調べてあるので、今飛んでいる付近にいるのは分かっている。
けれど、なかなか発見できないな。
「……なあ、アキト。俺の記憶が正しければ、この地域って――」
「シッ。黙れ、レオン。目的の奴が出てきたぞ」
真下からズバンッと現れたのは、触手だ。
「ッ!!」
「なッ!」
俺とレオンは、思わず声をあげる。
とはいえ、相手の正体を知っている俺は、その触手を魔法で切り飛ばし、即座に異空間へ放り投げる。
「お、おいアキト!? もしかして、目的の食材って彼奴の事なのか!?」
「そうだ。海の怪物、クラーケンだよ」
「はぁッ!? ちょっ、はぁ!?」
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