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2巻
2-3
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エリク兄さんは納得したのか、嬉しそうに言った。
実際のところ、俺は王になんてなるつもりはない。
兄さんに言ったように、暗躍するのが難しくなるというのも一つなのだが、本当の理由は、王様っぽい事をしたくないからだ。
例えば、誰かに褒美を与えるために、キラキラとした場所で変な言い回しをしなきゃいけないとか、俺には無理だ。
「とりあえず、俺は兄さんの裏方を頑張るつもりだよ。そのためには、兄さんに今から色々と頑張ってもらわないといけないけどね」
「そうだよね~。最近、父さんから仕事を教えてもらうようになったんだけど、上手くいかなくてね……」
「まだ時間はタップリあるし、一歩ずつ王になったら良いよ」
俺がそう言うと、兄さんは笑みを見せた。
◇ ◇ ◇
勉強会から数日が経ち、試験当日となった。
俺の指導を受けてミッチリと勉強してきたアリス達は、試験中も苦しそうな表情を見せず問題を解いていた。
アミリス姉さんはいつものヤバそうな表情をしていなかったので、上手くいっているようなんだけど――
それから更に日が経ち、試験結果が貼り出された。
ちなみに俺の点数は、いつも通り全ての教科で満点。順位表の一位の欄には、俺の名前が書かれている。
自分の順位を確認した俺は、そのまま順位表を見ていき、アリス達が載っていないか確認する。十五位にアリスの名前があり、ルークとリクは二十位台に載っていた。そして驚いたのが、アミリス姉さんの名前が三十一位の所にあった事。
「アキトちゃん、お姉ちゃんやったよ!」
アミリス姉さんは嬉しさのあまり、俺に抱き着いてきた。学園でこういう事をされるのは恥ずかしいんだけど、まあでも今回は抱き着かれておくかな。
「アミリスお姉ちゃん、凄いね。一気に点数が上がってるね」
「うん! これもアキトちゃんのおかげだよ!」
アミリス姉さんは、嬉しそうに言った。
その後も暫く、アミリス姉さんの喜びは収まらなかった。
「アキト、アミリスから聞いたよ。あのアミリスの点数を一気に上げたらしいね」
自室で本を読んでいると、父さんが入ってきた。
父さんは俺のおかげだと思っているようだけど、姉さんは自分の力であの順位に上り詰めたのだ。俺はそれの手伝いをしたに過ぎない。
「アミリス姉さんの頑張りのおかげだよ」
「それでもだよ。あのアミリスに勉強の仕方を教えて、点数を上げるなんて……エレミアでさえダメだったんだから」
「姉さんも同じような事を言ってたよ。母さんに教わってもダメだったけど、俺に教わったらすんなり頭に入ってきたって」
「そうだろう。アキトは頭が良いのに加えて、人に教えるのも上手いんだね」
父さんはニコニコと嬉しそうに言い、更に何か言いたそうな顔をしていた。まあ何となく予想はつくけど……
「今後もアミリス姉さんの勉強、見ても良いよ」
「ハハ、気付いてたか。流石、アキトだね」
「嫌ではないしね。どうせアリスの勉強を見るつもりだから、一人も二人も変わらないんだ。それに、この前ルークとかを誘って大人数で勉強したんだけど、楽しかったんだよね」
「そっか。それじゃ、今後もアミリスの事を頼むよ」
父さんはそう言うと、わしゃわしゃと俺の頭を撫でた。それから父さんは部屋を出ていこうとして、扉の前で立ち止まる。
「あっ、そうそう。エレミアがアキトに話があるって言ってたよ」
「母さんが? 珍しいね」
「アミリスの成績を上げた方法でも聞きたいんじゃないかな?」
父さんは部屋を出ていった。俺は本を異空間へと入れて部屋を出る。そして母さんの部屋に向かい、ノックをして中に入った。
「あっ、アキト来たわね。さっ、こっちに座って座って」
「う、うん」
部屋に入るなり母さんに急かされた俺は、母さんの横に座る。すると、母さんは一気に間を詰め、いきなり抱き着いてきた。
「ど、どうしたのッ!?」
「どうしたのって、アキトが私との時間を作ってくれないからでしょ! エリクやアミリスとは一緒に勉強して、アリウスとは仕事の手伝いをして、お義父さんとは魔法の訓練で一緒になって、お義母さんには相談したりしている……なのに、私の所には全然来てくれないんだもん!」
「へっ?」
「お母さんも寂しいんだからね? ただでさえ、アキトが学園に行ってから、アキトとの時間がないのに!」
あの、母さん? キャラがブレてないでしょうか?
そう思ったんだが、その後も母さんのキャラ崩壊は続き、ずっと俺の事を抱き締め続けていた。しかしまあ、母さんの言う事も一理あるかな。
家族の中で母さんとの時間は、飯の席くらいしかなかったかもしれないし。
「あ~……ごめんね?」
「許さない! 今日から、学園から帰ってきたらずっと一緒! 寝る時もお風呂に入る時も、お母さんと一緒だからね! お母さんが満足するまで一緒だから!」
「えぇ……」
流石にそれは……と思ったが、今の母さんを説得するのは難しそうだ。そう判断した俺は、仕方なく首を縦に振った。
というか振らされた。だって、嫌そうな顔をしたら涙を浮かべてくるんだから、そんなの断れないよ。
「でも、アリスとの勉強時間とかあるから、その時は解放してね?」
「それはアキト次第。お母さんを蔑ろにしなかったら良いわよ」
母さんは真顔でそう言って、俺の体を更に強く抱き締めるのだった。
◇ ◇ ◇
母さんから、〝甘々します宣言〟を受けた日以来、俺の生活は一変した。まず、何処に行くにしても母さんがついてくる。
トイレまで母さんはついてきた。
「ちょっ、中まで一緒に入らないでよ!」
うん、流石にトイレの中まで入ってくるとは思わなかった。
俺は慌てて魔法で母さんを吹き飛ばすと、ササッと用を足した。その後、母さんを説得して、トイレの時は外で待ってもらうようにした。
宣言の際に言っていた通り、風呂は母さんと一緒に入るようになった。まあ、家の風呂は広いので、一緒に風呂に入るくらい構わないと思っていたんだけど――
「風呂の中でも抱き着いてこないでよ! ってか、姉さんも一緒に抱き着いてこないで! まず何でいるの!?」
「え~だって、お母様だけズルいじゃん? 折角、アキトちゃんがお母様と一緒に入ってるんだから別に良いでしょ~」
この時程、五歳児の体で良かったと思った事はなかった。いや、〝息子〟が反応して家族に変な目で見られたら大変だし。
まあ、冷静さを保つために脳内では叫び散らかしてたけどね?
だって、母さんってまだ二十代で美人なうえに、出る所は出て引っ込んでる所は引っ込んでいるんだから。
学園から帰宅後、母さんと編み物をしていた俺に、父さんが尋ねてくる。
「アキト、大丈夫か?」
「あ~、もう慣れたかな?」
ちなみに、母さんが俺を離さなくなって一週間が経っている。
俺は父さんに〝助けて〟とアイコンタクトを送った。
「ちょっと、アリウス。今は私とアキトの時間なんだから、邪魔しないでよ」
「あっ、ごめんね、エレミア。それじゃ、仕事に戻るね」
母さんに注意された父さんは、そそくさと部屋から逃げていった。
父さんといえども、母さんを説得するのは無理みたいだ。父さんは去り際、〝ごめんね〟のポーズをしていた。まあ、最初から父さんには期待してなかったけどね。
「アキト、上手いわね。もうこんなに編み物できるようになったの?」
「うん、だってずっと母さんと一緒にしていたから、大分慣れたかな~」
この期間で、俺の編み物のレベルは一気に上がった。以前まで【手芸】スキルはお遊びレベルだったが、既にMAXになっている。
あはは~、まさかこのスキルもMAXになるとはね~、思いもしなかったよ~。
「あら、アキト? そこの編み方は違うわよ?」
MAXになったからといって完璧な訳じゃない。その辺の甘さを母さんから指摘される。まあでも、何だかんだこの編み物も楽しんでいるんだよな。
「ねえ、母さんって結構編み物してるけど、作った物はどうしてるの?」
「溜まったら、王都の孤児院に送ってるのよ。大量に作っても孤児院なら、いくらあっても困らないって院長さんも喜んでいるわ」
「へぇ~……孤児院って、王家からも支援金とか渡してるんだよね?」
「ええ、そうよ。豊かな国といっても、全ての国民を養えている訳ではないのよね。この王都にだって、規模は小さいけどスラムはあるし、犯罪も起きてるものね」
そう口にした後、母さんは何処か悲しげな表情を見せた。
母さん、一人でこういう事を考え続けてたんだな。
俺はふと、あるプレンゼントを思いつく。いやでも、それを作るには色々手配しなきゃいけないし、今はできないだろう。そもそもこの状況では出歩けない。
その後も母さんとの編み物は続いた。
陽が暮れた頃、メイドさんに夕食の準備が整ったと伝えられ、母さんに抱っこされて食堂に移動する。
食事中、父さんが真剣な表情で言う。
「エレミア、この後ちょっとだけアキトを借りても良いかい?」
「……」
母さんは暫く父さんと見つめ合うと「良いわよ」と了承した。
息を吐いて汗を垂らす父さん。
いや、自分の奥さんに意見を言うだけでおかしくない? いやまあ今の母さんを敵に回したら怖いけどさ。
「という訳でアキト、食後は父さんの部屋に来てね」
「はーい」
父さんの言葉に、俺は元気良く返事をする。
ちなみに、食事は母さんに食べさせてもらっているんだよね。そんな風にして、俺はゆっくりと夕食の時間を過ごした。
食後、父さんと一緒に父さんの部屋へとやって来た。
俺の目の前には、大量の書類の束が置かれている。更にその奥には、土下座をする父さんの姿があった。
「ごめんね。アキト……」
「よくもまあ、ここまで溜めたよね。どうしたらこれだけ溜められるの? いつも仕事してたじゃん」
「いや~……偶に息抜きでチルド村に行ってたら、いつの間にかこんな事に……」
そういえば、奴隷達から父さんがよく来ていると連絡があったな。まさか仕事を放ったらかして、遊びに出歩いていたとは思いもしなかったよ。
「……とりあえず時間もないから始めよ。母さんが風呂に入る時間までが、俺がここにいられるタイムリミットだから」
「ありがとう、アキト!」
笑顔になった父さんを見て、俺は溜息を吐きつつ書類を手に取った。時間を考えると、約一時間程あるかな。本気でやっても、この量は終わりそうにないんじゃないかな。
俺は覚悟を決めて、作業に取りかかった。
その後、書類の八割を片づけたところで母さんの迎えが来た。父さんは、思っていた以上に俺が片づけたので、嬉しそうにしていた。
使うだけ使っといてそのまま母さんに俺を差し出すのは、父さんらしいな……
「おい、起きろアキト」
「ん~……何、レオン?」
風呂に入った後、母さんと一緒のベッドで寝ているとレオンに起こされた。
「何? って、お前が注文してたもんだよ。ほれっ」
レオンに投げられた物を両手で受け止め、それが何か確認した。
物体の正体は、裁縫が得意なケイトに注文していた、アキト人形、等身大バージョンだ。
「お~、上手くできてる。明日、ケイトにお礼の連絡をやるか。ありがとね、レオン」
「全くだ。母親にバレたくないからって、夜中に俺を使いやがって」
「ごめんごめん。でもさ、ここ数日は母さんとずっと一緒だったし、結果的にレオンも休めたから良かっただろ?」
「ああ。俺としては、このままずっとアキトが母親に捕まっていてくれた方が助かるけどな」
レオンはそう言ってから転移魔法で帰り、俺も布団を被って寝直した。
◇ ◇ ◇
翌日、俺は母さんにアキト人形を渡した。
「母さん、これ俺からのプレゼントだよ。俺の奴隷に作らせた俺の等身大の人形。受け取ってくれる?」
「ッ!」
母さんは感極まったように、人形と一緒に俺を抱き締めた。いつもは苦しく感じる抱き締めだが、人形のおかげでそれ程でもない。
「ありがとね、アキト。お母さん、嬉しいわ」
それから食堂で朝食を取った後、部屋に戻ってきた俺は、いつものように編み物の準備を始めた。すると、母さんから止められる。
「アキト、今日はお母さんと一緒にお出かけをしない?」
「お出かけ? 別に良いけど、何処に行くの?」
「う~ん……そうね。アリウスやリベルトが『凄かった』って言ってた、アキトの村に行きたいわ。私、一度も行った事ないから」
「あっ、そっか。母さんはまだ連れていってなかったね」
俺は母さんの手を取ると、転移魔法でチルド村に移動した。
例の如く、村の入り口で母さんは驚き、中に入って更に驚いていた。
「凄いわね。王都以上に綺麗な街並みだわ……」
「まあ、作ったばかりだからっていうのもあるけど、外観には気を使ってるよ。一応この村は他国からも結構人が来るからね」
母さんにチルド村の中を案内していると、オリス村長に挨拶したいと言った。
この時間帯なら家にいるかな。そう思った俺は、オリス村長の自宅に向かう事にした。すぐにオリス村長宅に着き、呼び鈴を鳴らす。
現れたオリス村長は不思議そうに尋ねる。
「これはこれは、王妃様にアキト様。本日はどういったご用件で?」
「いえちょっと、この村に行きたいとアキトにお願いして、連れてきてもらったのだけど……折角なら挨拶をしておこうと思って、こうして来たのですよ」
優しく微笑んだ王妃モードの母さん。
その後、母さんはオリス村長から、かつての酷い惨状からいかにして復興していったのかなど、色々聞いていた。
第4話 新たな敵
家に帰ってきた俺と母さん。今度こそ編み物の時間だと思って俺が準備していると、母さんに手を止められた。
「どうしたの?」
「……アキト、もう良いわ。十分アキト成分は補給できたから、いつも通りの日常に戻って良いわよ」
えっ、終わり?
突然の終了の言葉に、俺は驚いて手にしていた毛糸玉を床に落とした。
「その……良いの?」
「えぇ、アキトとの時間も楽しめたわ。無理を言って付き合わせてごめんね、アキト」
「いや、俺も母さんとの時間を作ってなくて申し訳ないって思ってたから、謝る必要はないけど……」
「ふふ、アキトは本当に優しい子ね」
母さんはそう言って、俺が落とした毛糸玉を拾った。
そして、優しく微笑みながら渡してくる。
「本当は、ずっとアキトと一緒に過ごしていたいわ。でも、アキトは色んな事に挑戦する子だから、私の傍に縛りつけてたらダメだって、今日改めて分かったのよ」
「そっか……正直言うと、解放されて嬉しいって素直に思っちゃった。母さんと過ごすのも楽しかったけど、縛られた生活はやっぱり苦しかったかな」
「あはは、そうでしょうね。本当は私もしたくなかったけど、こうでもしないとアキトは私との時間を作ってくれないと思ったのよ。わがままな母親でごめんね?」
「ううん。俺も母さんの気持ちを考えられない子供でごめんね。これからは、母さんとの時間も作るようにするね」
謝り合う俺と母さん。
本日をもって、母さんとの密着生活から解放されたんだけど――まあ、だからといって今日は特に予定はないんだよな。
「えっ、アキト? もう出ていっても良いのよ?」
「ううん。今日は母さんと過ごす事にするよ。予定も組んでなかったし。明日からはまた色々とやる事があって忙しくなっちゃうから、今日は母さんの好きな事に付き合うよ」
「アキト……」
涙を流す母さん。
それから俺は母さんと一緒に、編み物、絵本読み、お茶などをして楽しい時間を過ごした。
こうして、母さんとの密着生活の最終日は終わった。
「という訳でレオン。明日からは、また色々と頼むよ」
「チッ!」
夕食後、風呂に入って自室に戻ってきた俺はレオンを呼び出して、母さんとの密着生活が終わった事を伝えた。すると、レオンは心底嫌そうな顔をし、盛大に舌打ちをした。
「まあ、今日は報告だけだからもう帰っても良いよ。明日は学園があるから、放課後帰ってきて呼び出すと思う」
「はいはい、分かりました。準備して待っていますよ」
レオンがいなくなった後、俺はベッドに入るのだった。
◇ ◇ ◇
翌日、いつも通りの学園生活を送った俺は、帰宅してからすぐにレオンを呼ぶ。
「よし、来たなレオン。それじゃ魔帝国まで行くぞ」
「……何で、魔帝国に行くんだ?」
「それは勿論、久しぶりに皇帝の顔を見たいってのもあるけど、ちょっとした話をしたくてね」
レオンは溜息を吐きつつ俺の肩に手を置いて、転移魔法を発動させた。
そうして城へ転移し、その足で皇帝がいる場所に向かう。
「これはこれは、アキト様。お久しぶりでございます!」
「うん、久しぶり~」
皇帝は俺達の魔力を感知していたのか、土下座をして出迎えてくれた。
何でこんな大げさな迎え方をしてくれるのか。それは、皇帝が勝手にやった事なので、決して俺から命じた訳ではない。
皇帝が怯えながら尋ねてくる。
「あの、アキト様、本日はどういったご用件で?」
「……ねぇ、単刀直入に聞くけどさ。こっちに神聖国から連絡なかった?」
「ッ! な、何の事ですか!?」
一瞬にして体を震わせる皇帝。
どうやら本当に知らないらしい。
ちなみに神聖国というのは、魔帝国がある大陸の三分の一を国土とする、名前の通り神への信仰心が強い大国だ。
「知らないみたいだから、教えてあげるよ。俺が奴隷を集めているって話は前にしたよね? それで情報収集が得意な、〝影〟に徹する者達を集めた部隊を作ってあるんだけど、彼らから情報が回ってきたんだ。魔帝国が神聖国と密会しているってね」
「「なッ!?」」
レオンと皇帝が同時に声を上げた。
何故レオンも驚いているのか? それは、この話はレオンにも話していないから。というか、俺と影達しか知らない。
皇帝が泣きそうな声を出す。
「わ、私は本当に知りません! 命に代えても絶対にそんな事はしていないと誓えます!」
「うん。俺も皇帝は違うって感じてるから、そんなに焦らなくて良いよ。今日は、皇帝がちゃんと俺の味方なのか確認しに来ただけだから」
レオンが真剣な表情で言う。
「なあ、アキト。俺とクロネも知らない情報だよな? ……俺達、信頼されてないのか?」
まあ、そう感じるのは無理ないか。
「信頼はしてるさ。でもな、確証がない事を言ってお前達を焦らせるのは、主として失格だと思ったんだよ。そんで確証を得たのが、ついさっきこの城に来た時だ」
「どういう事だ?」
首を傾げるレオンに俺は告げる。
「前にも話したと思うが、俺は一度神と会った事がある。そのためか分からないが、信仰が強い者も感知できるんだ。それでついさっき、神聖国の者らしき人物の魔力を感知したんだよ。確か、魔帝国と神聖国は仲が悪かったよな? 仲直りしたのか?」
皇帝に問うと、彼は首を横に振った。
実際のところ、俺は王になんてなるつもりはない。
兄さんに言ったように、暗躍するのが難しくなるというのも一つなのだが、本当の理由は、王様っぽい事をしたくないからだ。
例えば、誰かに褒美を与えるために、キラキラとした場所で変な言い回しをしなきゃいけないとか、俺には無理だ。
「とりあえず、俺は兄さんの裏方を頑張るつもりだよ。そのためには、兄さんに今から色々と頑張ってもらわないといけないけどね」
「そうだよね~。最近、父さんから仕事を教えてもらうようになったんだけど、上手くいかなくてね……」
「まだ時間はタップリあるし、一歩ずつ王になったら良いよ」
俺がそう言うと、兄さんは笑みを見せた。
◇ ◇ ◇
勉強会から数日が経ち、試験当日となった。
俺の指導を受けてミッチリと勉強してきたアリス達は、試験中も苦しそうな表情を見せず問題を解いていた。
アミリス姉さんはいつものヤバそうな表情をしていなかったので、上手くいっているようなんだけど――
それから更に日が経ち、試験結果が貼り出された。
ちなみに俺の点数は、いつも通り全ての教科で満点。順位表の一位の欄には、俺の名前が書かれている。
自分の順位を確認した俺は、そのまま順位表を見ていき、アリス達が載っていないか確認する。十五位にアリスの名前があり、ルークとリクは二十位台に載っていた。そして驚いたのが、アミリス姉さんの名前が三十一位の所にあった事。
「アキトちゃん、お姉ちゃんやったよ!」
アミリス姉さんは嬉しさのあまり、俺に抱き着いてきた。学園でこういう事をされるのは恥ずかしいんだけど、まあでも今回は抱き着かれておくかな。
「アミリスお姉ちゃん、凄いね。一気に点数が上がってるね」
「うん! これもアキトちゃんのおかげだよ!」
アミリス姉さんは、嬉しそうに言った。
その後も暫く、アミリス姉さんの喜びは収まらなかった。
「アキト、アミリスから聞いたよ。あのアミリスの点数を一気に上げたらしいね」
自室で本を読んでいると、父さんが入ってきた。
父さんは俺のおかげだと思っているようだけど、姉さんは自分の力であの順位に上り詰めたのだ。俺はそれの手伝いをしたに過ぎない。
「アミリス姉さんの頑張りのおかげだよ」
「それでもだよ。あのアミリスに勉強の仕方を教えて、点数を上げるなんて……エレミアでさえダメだったんだから」
「姉さんも同じような事を言ってたよ。母さんに教わってもダメだったけど、俺に教わったらすんなり頭に入ってきたって」
「そうだろう。アキトは頭が良いのに加えて、人に教えるのも上手いんだね」
父さんはニコニコと嬉しそうに言い、更に何か言いたそうな顔をしていた。まあ何となく予想はつくけど……
「今後もアミリス姉さんの勉強、見ても良いよ」
「ハハ、気付いてたか。流石、アキトだね」
「嫌ではないしね。どうせアリスの勉強を見るつもりだから、一人も二人も変わらないんだ。それに、この前ルークとかを誘って大人数で勉強したんだけど、楽しかったんだよね」
「そっか。それじゃ、今後もアミリスの事を頼むよ」
父さんはそう言うと、わしゃわしゃと俺の頭を撫でた。それから父さんは部屋を出ていこうとして、扉の前で立ち止まる。
「あっ、そうそう。エレミアがアキトに話があるって言ってたよ」
「母さんが? 珍しいね」
「アミリスの成績を上げた方法でも聞きたいんじゃないかな?」
父さんは部屋を出ていった。俺は本を異空間へと入れて部屋を出る。そして母さんの部屋に向かい、ノックをして中に入った。
「あっ、アキト来たわね。さっ、こっちに座って座って」
「う、うん」
部屋に入るなり母さんに急かされた俺は、母さんの横に座る。すると、母さんは一気に間を詰め、いきなり抱き着いてきた。
「ど、どうしたのッ!?」
「どうしたのって、アキトが私との時間を作ってくれないからでしょ! エリクやアミリスとは一緒に勉強して、アリウスとは仕事の手伝いをして、お義父さんとは魔法の訓練で一緒になって、お義母さんには相談したりしている……なのに、私の所には全然来てくれないんだもん!」
「へっ?」
「お母さんも寂しいんだからね? ただでさえ、アキトが学園に行ってから、アキトとの時間がないのに!」
あの、母さん? キャラがブレてないでしょうか?
そう思ったんだが、その後も母さんのキャラ崩壊は続き、ずっと俺の事を抱き締め続けていた。しかしまあ、母さんの言う事も一理あるかな。
家族の中で母さんとの時間は、飯の席くらいしかなかったかもしれないし。
「あ~……ごめんね?」
「許さない! 今日から、学園から帰ってきたらずっと一緒! 寝る時もお風呂に入る時も、お母さんと一緒だからね! お母さんが満足するまで一緒だから!」
「えぇ……」
流石にそれは……と思ったが、今の母さんを説得するのは難しそうだ。そう判断した俺は、仕方なく首を縦に振った。
というか振らされた。だって、嫌そうな顔をしたら涙を浮かべてくるんだから、そんなの断れないよ。
「でも、アリスとの勉強時間とかあるから、その時は解放してね?」
「それはアキト次第。お母さんを蔑ろにしなかったら良いわよ」
母さんは真顔でそう言って、俺の体を更に強く抱き締めるのだった。
◇ ◇ ◇
母さんから、〝甘々します宣言〟を受けた日以来、俺の生活は一変した。まず、何処に行くにしても母さんがついてくる。
トイレまで母さんはついてきた。
「ちょっ、中まで一緒に入らないでよ!」
うん、流石にトイレの中まで入ってくるとは思わなかった。
俺は慌てて魔法で母さんを吹き飛ばすと、ササッと用を足した。その後、母さんを説得して、トイレの時は外で待ってもらうようにした。
宣言の際に言っていた通り、風呂は母さんと一緒に入るようになった。まあ、家の風呂は広いので、一緒に風呂に入るくらい構わないと思っていたんだけど――
「風呂の中でも抱き着いてこないでよ! ってか、姉さんも一緒に抱き着いてこないで! まず何でいるの!?」
「え~だって、お母様だけズルいじゃん? 折角、アキトちゃんがお母様と一緒に入ってるんだから別に良いでしょ~」
この時程、五歳児の体で良かったと思った事はなかった。いや、〝息子〟が反応して家族に変な目で見られたら大変だし。
まあ、冷静さを保つために脳内では叫び散らかしてたけどね?
だって、母さんってまだ二十代で美人なうえに、出る所は出て引っ込んでる所は引っ込んでいるんだから。
学園から帰宅後、母さんと編み物をしていた俺に、父さんが尋ねてくる。
「アキト、大丈夫か?」
「あ~、もう慣れたかな?」
ちなみに、母さんが俺を離さなくなって一週間が経っている。
俺は父さんに〝助けて〟とアイコンタクトを送った。
「ちょっと、アリウス。今は私とアキトの時間なんだから、邪魔しないでよ」
「あっ、ごめんね、エレミア。それじゃ、仕事に戻るね」
母さんに注意された父さんは、そそくさと部屋から逃げていった。
父さんといえども、母さんを説得するのは無理みたいだ。父さんは去り際、〝ごめんね〟のポーズをしていた。まあ、最初から父さんには期待してなかったけどね。
「アキト、上手いわね。もうこんなに編み物できるようになったの?」
「うん、だってずっと母さんと一緒にしていたから、大分慣れたかな~」
この期間で、俺の編み物のレベルは一気に上がった。以前まで【手芸】スキルはお遊びレベルだったが、既にMAXになっている。
あはは~、まさかこのスキルもMAXになるとはね~、思いもしなかったよ~。
「あら、アキト? そこの編み方は違うわよ?」
MAXになったからといって完璧な訳じゃない。その辺の甘さを母さんから指摘される。まあでも、何だかんだこの編み物も楽しんでいるんだよな。
「ねえ、母さんって結構編み物してるけど、作った物はどうしてるの?」
「溜まったら、王都の孤児院に送ってるのよ。大量に作っても孤児院なら、いくらあっても困らないって院長さんも喜んでいるわ」
「へぇ~……孤児院って、王家からも支援金とか渡してるんだよね?」
「ええ、そうよ。豊かな国といっても、全ての国民を養えている訳ではないのよね。この王都にだって、規模は小さいけどスラムはあるし、犯罪も起きてるものね」
そう口にした後、母さんは何処か悲しげな表情を見せた。
母さん、一人でこういう事を考え続けてたんだな。
俺はふと、あるプレンゼントを思いつく。いやでも、それを作るには色々手配しなきゃいけないし、今はできないだろう。そもそもこの状況では出歩けない。
その後も母さんとの編み物は続いた。
陽が暮れた頃、メイドさんに夕食の準備が整ったと伝えられ、母さんに抱っこされて食堂に移動する。
食事中、父さんが真剣な表情で言う。
「エレミア、この後ちょっとだけアキトを借りても良いかい?」
「……」
母さんは暫く父さんと見つめ合うと「良いわよ」と了承した。
息を吐いて汗を垂らす父さん。
いや、自分の奥さんに意見を言うだけでおかしくない? いやまあ今の母さんを敵に回したら怖いけどさ。
「という訳でアキト、食後は父さんの部屋に来てね」
「はーい」
父さんの言葉に、俺は元気良く返事をする。
ちなみに、食事は母さんに食べさせてもらっているんだよね。そんな風にして、俺はゆっくりと夕食の時間を過ごした。
食後、父さんと一緒に父さんの部屋へとやって来た。
俺の目の前には、大量の書類の束が置かれている。更にその奥には、土下座をする父さんの姿があった。
「ごめんね。アキト……」
「よくもまあ、ここまで溜めたよね。どうしたらこれだけ溜められるの? いつも仕事してたじゃん」
「いや~……偶に息抜きでチルド村に行ってたら、いつの間にかこんな事に……」
そういえば、奴隷達から父さんがよく来ていると連絡があったな。まさか仕事を放ったらかして、遊びに出歩いていたとは思いもしなかったよ。
「……とりあえず時間もないから始めよ。母さんが風呂に入る時間までが、俺がここにいられるタイムリミットだから」
「ありがとう、アキト!」
笑顔になった父さんを見て、俺は溜息を吐きつつ書類を手に取った。時間を考えると、約一時間程あるかな。本気でやっても、この量は終わりそうにないんじゃないかな。
俺は覚悟を決めて、作業に取りかかった。
その後、書類の八割を片づけたところで母さんの迎えが来た。父さんは、思っていた以上に俺が片づけたので、嬉しそうにしていた。
使うだけ使っといてそのまま母さんに俺を差し出すのは、父さんらしいな……
「おい、起きろアキト」
「ん~……何、レオン?」
風呂に入った後、母さんと一緒のベッドで寝ているとレオンに起こされた。
「何? って、お前が注文してたもんだよ。ほれっ」
レオンに投げられた物を両手で受け止め、それが何か確認した。
物体の正体は、裁縫が得意なケイトに注文していた、アキト人形、等身大バージョンだ。
「お~、上手くできてる。明日、ケイトにお礼の連絡をやるか。ありがとね、レオン」
「全くだ。母親にバレたくないからって、夜中に俺を使いやがって」
「ごめんごめん。でもさ、ここ数日は母さんとずっと一緒だったし、結果的にレオンも休めたから良かっただろ?」
「ああ。俺としては、このままずっとアキトが母親に捕まっていてくれた方が助かるけどな」
レオンはそう言ってから転移魔法で帰り、俺も布団を被って寝直した。
◇ ◇ ◇
翌日、俺は母さんにアキト人形を渡した。
「母さん、これ俺からのプレゼントだよ。俺の奴隷に作らせた俺の等身大の人形。受け取ってくれる?」
「ッ!」
母さんは感極まったように、人形と一緒に俺を抱き締めた。いつもは苦しく感じる抱き締めだが、人形のおかげでそれ程でもない。
「ありがとね、アキト。お母さん、嬉しいわ」
それから食堂で朝食を取った後、部屋に戻ってきた俺は、いつものように編み物の準備を始めた。すると、母さんから止められる。
「アキト、今日はお母さんと一緒にお出かけをしない?」
「お出かけ? 別に良いけど、何処に行くの?」
「う~ん……そうね。アリウスやリベルトが『凄かった』って言ってた、アキトの村に行きたいわ。私、一度も行った事ないから」
「あっ、そっか。母さんはまだ連れていってなかったね」
俺は母さんの手を取ると、転移魔法でチルド村に移動した。
例の如く、村の入り口で母さんは驚き、中に入って更に驚いていた。
「凄いわね。王都以上に綺麗な街並みだわ……」
「まあ、作ったばかりだからっていうのもあるけど、外観には気を使ってるよ。一応この村は他国からも結構人が来るからね」
母さんにチルド村の中を案内していると、オリス村長に挨拶したいと言った。
この時間帯なら家にいるかな。そう思った俺は、オリス村長の自宅に向かう事にした。すぐにオリス村長宅に着き、呼び鈴を鳴らす。
現れたオリス村長は不思議そうに尋ねる。
「これはこれは、王妃様にアキト様。本日はどういったご用件で?」
「いえちょっと、この村に行きたいとアキトにお願いして、連れてきてもらったのだけど……折角なら挨拶をしておこうと思って、こうして来たのですよ」
優しく微笑んだ王妃モードの母さん。
その後、母さんはオリス村長から、かつての酷い惨状からいかにして復興していったのかなど、色々聞いていた。
第4話 新たな敵
家に帰ってきた俺と母さん。今度こそ編み物の時間だと思って俺が準備していると、母さんに手を止められた。
「どうしたの?」
「……アキト、もう良いわ。十分アキト成分は補給できたから、いつも通りの日常に戻って良いわよ」
えっ、終わり?
突然の終了の言葉に、俺は驚いて手にしていた毛糸玉を床に落とした。
「その……良いの?」
「えぇ、アキトとの時間も楽しめたわ。無理を言って付き合わせてごめんね、アキト」
「いや、俺も母さんとの時間を作ってなくて申し訳ないって思ってたから、謝る必要はないけど……」
「ふふ、アキトは本当に優しい子ね」
母さんはそう言って、俺が落とした毛糸玉を拾った。
そして、優しく微笑みながら渡してくる。
「本当は、ずっとアキトと一緒に過ごしていたいわ。でも、アキトは色んな事に挑戦する子だから、私の傍に縛りつけてたらダメだって、今日改めて分かったのよ」
「そっか……正直言うと、解放されて嬉しいって素直に思っちゃった。母さんと過ごすのも楽しかったけど、縛られた生活はやっぱり苦しかったかな」
「あはは、そうでしょうね。本当は私もしたくなかったけど、こうでもしないとアキトは私との時間を作ってくれないと思ったのよ。わがままな母親でごめんね?」
「ううん。俺も母さんの気持ちを考えられない子供でごめんね。これからは、母さんとの時間も作るようにするね」
謝り合う俺と母さん。
本日をもって、母さんとの密着生活から解放されたんだけど――まあ、だからといって今日は特に予定はないんだよな。
「えっ、アキト? もう出ていっても良いのよ?」
「ううん。今日は母さんと過ごす事にするよ。予定も組んでなかったし。明日からはまた色々とやる事があって忙しくなっちゃうから、今日は母さんの好きな事に付き合うよ」
「アキト……」
涙を流す母さん。
それから俺は母さんと一緒に、編み物、絵本読み、お茶などをして楽しい時間を過ごした。
こうして、母さんとの密着生活の最終日は終わった。
「という訳でレオン。明日からは、また色々と頼むよ」
「チッ!」
夕食後、風呂に入って自室に戻ってきた俺はレオンを呼び出して、母さんとの密着生活が終わった事を伝えた。すると、レオンは心底嫌そうな顔をし、盛大に舌打ちをした。
「まあ、今日は報告だけだからもう帰っても良いよ。明日は学園があるから、放課後帰ってきて呼び出すと思う」
「はいはい、分かりました。準備して待っていますよ」
レオンがいなくなった後、俺はベッドに入るのだった。
◇ ◇ ◇
翌日、いつも通りの学園生活を送った俺は、帰宅してからすぐにレオンを呼ぶ。
「よし、来たなレオン。それじゃ魔帝国まで行くぞ」
「……何で、魔帝国に行くんだ?」
「それは勿論、久しぶりに皇帝の顔を見たいってのもあるけど、ちょっとした話をしたくてね」
レオンは溜息を吐きつつ俺の肩に手を置いて、転移魔法を発動させた。
そうして城へ転移し、その足で皇帝がいる場所に向かう。
「これはこれは、アキト様。お久しぶりでございます!」
「うん、久しぶり~」
皇帝は俺達の魔力を感知していたのか、土下座をして出迎えてくれた。
何でこんな大げさな迎え方をしてくれるのか。それは、皇帝が勝手にやった事なので、決して俺から命じた訳ではない。
皇帝が怯えながら尋ねてくる。
「あの、アキト様、本日はどういったご用件で?」
「……ねぇ、単刀直入に聞くけどさ。こっちに神聖国から連絡なかった?」
「ッ! な、何の事ですか!?」
一瞬にして体を震わせる皇帝。
どうやら本当に知らないらしい。
ちなみに神聖国というのは、魔帝国がある大陸の三分の一を国土とする、名前の通り神への信仰心が強い大国だ。
「知らないみたいだから、教えてあげるよ。俺が奴隷を集めているって話は前にしたよね? それで情報収集が得意な、〝影〟に徹する者達を集めた部隊を作ってあるんだけど、彼らから情報が回ってきたんだ。魔帝国が神聖国と密会しているってね」
「「なッ!?」」
レオンと皇帝が同時に声を上げた。
何故レオンも驚いているのか? それは、この話はレオンにも話していないから。というか、俺と影達しか知らない。
皇帝が泣きそうな声を出す。
「わ、私は本当に知りません! 命に代えても絶対にそんな事はしていないと誓えます!」
「うん。俺も皇帝は違うって感じてるから、そんなに焦らなくて良いよ。今日は、皇帝がちゃんと俺の味方なのか確認しに来ただけだから」
レオンが真剣な表情で言う。
「なあ、アキト。俺とクロネも知らない情報だよな? ……俺達、信頼されてないのか?」
まあ、そう感じるのは無理ないか。
「信頼はしてるさ。でもな、確証がない事を言ってお前達を焦らせるのは、主として失格だと思ったんだよ。そんで確証を得たのが、ついさっきこの城に来た時だ」
「どういう事だ?」
首を傾げるレオンに俺は告げる。
「前にも話したと思うが、俺は一度神と会った事がある。そのためか分からないが、信仰が強い者も感知できるんだ。それでついさっき、神聖国の者らしき人物の魔力を感知したんだよ。確か、魔帝国と神聖国は仲が悪かったよな? 仲直りしたのか?」
皇帝に問うと、彼は首を横に振った。
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「転生者はめぐりあう」 始めました。
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