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2巻
2-2
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「まあ、理由が聞けて良かったよ。そういえば、ジルの師匠さんはジルが奴隷になった事知ってるのか?」
「知ってますよ。今はちょっと用事で抜け出せないらしくて。でも、その内こっちに顔を出すと言ってました」
「……へっ?」
ジルの言葉に、俺は素で驚いてしまった。
そして恐る恐る聞き返す。
「師匠がこっちに来るのか?」
「はい! この前、手紙を出したら、今はちょっと友人から頼まれた事をしてるが、数日以内にそっちに行くって手紙が返ってきました。その友人さんというのが、何でもこの国の人らしいので、ついでに送ってもらうと言ってました」
「そ、そうか……」
んっ? あれ、ちょっと今、ジルが気になる事を言わなかったか?
伝説の剣士の友人がこの国にいる?
「なあ、その師匠の友人って人の事を、ジルは知ってるか?」
「ん~、俺もよく知らないですね。でも、その人は魔法が上手いって手紙には書いてありました」
伝説の剣士が「魔法が上手い」と評価する人物、そんなのこの国では爺ちゃんしかいないだろう。
「まあ、ジルの師匠が来たら俺も挨拶はするよ。弟子を奴隷にしてしまったしな」
そう言って、この日はジルと別れて家に帰宅した。
◇ ◇ ◇
それから数日後。
学園から帰宅すると、爺ちゃんとローラが俺の部屋で俺の帰宅を待っていた。
「おっ、アキト。帰ってきたか、久しぶりじゃな」
「おひさ~」
爺ちゃんは元気よく、ローラは元気なんだろうけど気の抜けた感じで挨拶してきた。その対照的な様子に、一瞬笑いそうになる。
「爺ちゃん、一ヵ月以上も修業してたみたいだけど、ローラはどんな感じになったの?」
「うむ。この子、凄い才能じゃのう。儂が教えた事はすぐに吸収していくから、楽しくて楽しくて、魔法以外にも剣術も叩き込んでみたんじゃ。ほれ、ローラのステータスを見てみるんじゃ」
爺ちゃんに急かされるように言われた俺は、ローラに向かって【鑑定】を使った。
そして、俺はそのステータスに驚愕した。
名 前 :ローラ
年 齢 :12
種 族 :ヒューマン
身 分 :奴隷
性 別 :女
属 性 :全
レベル :34
筋 力 :3574
魔 力 :3828
敏 捷 :3647
運 :81
スキル :【剣術:MAX】【身体強化:MAX】【気配察知:MAX】
【全属性魔法:MAX】【魔力強化:MAX】【魔力感知:MAX】
【無詠唱:MAX】【縮地:MAX】【念話:MAX】
固有能力:【超成長】
称 号 :剣士
加 護 :アルティメシスの加護
あっれ~? 一ヵ月前に見た時は殆ど100以下だったし、スキルも一個もなかったよね? あの時から変わってないところ、固有能力と加護の欄だけなんだけど~。
「って、強くなりすぎでしょッ! 何でレベル34で能力値3000オーバーなんだよッ!」
「うむ、儂も驚いたのじゃ。そしたら夢の中で主神と名乗る神と会ってのう。儂にも加護を与えてくれて、儂も少し能力値が上がったんじゃ」
ほれほれと言って、爺ちゃんは自分のステータスを書いた紙を見せてきた。そこには〝魔力21478〟と、とんでもない数値が書かれていた。
「化け物が更に化け物になって、未来の化け物を作ってるよ……」
「ローラの修業中も、儂自身修業をしていたおかげじゃな、いや~主神様って凄いの~」
爺ちゃんは俺を驚かせた事が嬉しかったのか、大声で笑った。横のローラは何も分かっていない感じだが、ドヤ顔を俺に見せつけてくる。
爺ちゃんとローラの変化に驚き疲れた俺は、ソファーに座って落ち着く事にした。
その時、ふと爺ちゃんの横にもう一人いる事に気付いた。小柄な初老の男性で、髪色は綺麗な金髪。瞳の色は……細目すぎて何色か分からないな。
「……あの、爺ちゃん。そちらの方は?」
「んっ? おお、そうじゃった。アキトに紹介するために連れてきたんじゃったな、こいつは儂の友人じゃ」
「どうも、私はサジュ。君の所でお世話になっている、ジルの師匠兼、親代わりをしてる者です」
うん、そうですよね。何となく分かっていましたよ。得体の知れない雰囲気をビシビシ感じましたから!
でも、優しい雰囲気を持っている人とも感じ取った。ジルの師匠だけでなく、親代わりもしているのか。
「ど、どうもです。ジルの主のアキトです。あの、ジルを勝手に奴隷にしてしまった事、怒ってます?」
「いえいえ、あの子が決めた事ですからね。勘だけは昔から凄く良い子ですので、今後ともよろしくお願いします」
「あっ、はい。こちらこそ」
俺とサジュさんは、互いに頭を下げて挨拶した。爺ちゃんがサジュさんに声をかける。
「どうじゃ、サジュ。儂の孫は?」
「良い子ですね。何より目が良い。この子は大物になりますね」
「そうじゃろう。そうじゃろう!」
サジュさんに俺が褒められた事が嬉しいのか、爺ちゃんは楽しげに笑った。
そんな二人を見ていた俺は、さっきサジュさんが言った事について尋ねる。
「あの、サジュさん。ジルの親代わりと言ってましたけど、ジルって……」
「……はい。あの子には両親がいません。というのも、ジルは捨てられていたのです」
それからサジュさんは、ジルを見つけた時の事を話してくれた。
十六年前、彼は偶然立ち寄った街で、生まれて間もないジルが入った箱を見つけたという。その箱には手紙が入っていて、女性の字で〝この子の事を頼みます〟と書かれていたとの事だった。
「それで私の家に連れて帰り、他の弟子達とともに、ジルを育ててきたんです」
「そうだったんですか。その話って、ジルは知ってるんですか?」
「はい。髪色が違いますからね、言わずともすぐに気付いたでしょう。それを知ったうえでジルは、私の事を〝師匠〟と呼び、弟子達がいない時は〝お父さん〟と呼んでくれたのです」
サジュさんは嬉しそうに笑顔で話した。爺ちゃんは「あの頃のサジュは毎日嬉しそうじゃったな」と言った。
そこへ、ローラが口を挟む。
「……それじゃ、私を拾った主は、私のお父さん?」
俺は驚きソファーから落ちた。
「な、何を言ってるんだ!?」
「えっ? だって、私も主に拾われてご飯食べさせてもらってるから」
「いやいや、サジュさんの場合と俺達は違うだろ!」
サジュさんがクスッと笑った。爺ちゃんも笑い始める。
サジュさんがローラに向かって言う。
「ローラちゃん、私とジルの場合は、あの子が小さかった時から育てているからだよ。ローラちゃんとアキト君とは、また違う関係なんだよ」
「そうなの? 私、今も小さいよ?」
ローラの返答にサジュさんは少し困った顔をして、俺の方を見てきた。
ああもう!
「ローラ、俺とお前は主従関係。サジュさんとジルは義理の親子の関係なんだ。分かったか?」
「う~ん……分かった」
うん、分かってないね。
はあ、強くなって帰ってきたのは良いけど、これからが大変な気がしてきたよ。誰かローラに勉強と常識、教えてくれないかな……
それから制服から私服に着替えた俺は、サジュさん、爺ちゃん、ローラと一緒に再びチルド村へ移動した。
そしてジルがいる自警団の訓練場に向かうと、ジルが先にこちらへと走ってくる。
「師匠~!」
爆速でやって来て、一瞬でサジュさんの目の前に移動してきたジルは、ピタッと立ち止まって頭を下げた。
サジュさんが笑みを浮かべて言う。
「ジルは何処に行っても元気ですね」
「はい! 元気と師匠仕込みの剣術だけが俺の取り柄です!」
サジュさんの言葉にジルは元気いっぱい応えると、俺の横にいる爺ちゃんと目を合わせ、驚いた顔をした。
「リオンさんが、何でここに!?」
「んっ? アキトから聞いておらんのか、アキトは儂の孫じゃぞ?」
「えぇぇ!?」
そういえば、ジルには言ってなかったな。俺の祖父はこの国最強の魔導士だって。
その後、室内に移動した俺達だったけど、ジルとサジュさんには積もる話もあるだろうと思ったので、二人を残して出歩く事にした。
「見ない内に、様変わりしたのう。アキト、これを全部自分達でやったのか?」
「そうだよ。まあ、俺だけの力じゃなくて奴隷達のおかげだよ。それぞれ専門の奴隷を手に入れて、リーダーにさせて、効率良く村を改造していったんだ」
「ふむ……こんな凄い村を見せつけられたら、そりゃアリウスが落ち込むのも納得じゃのう……」
ああそうか。爺ちゃん、父さんに会ったのか。
チルド村の視察を終えてから父さんは、ずっと落ち込んでいるんだよな。
それが、息子の俺に街作りで負けたのが悔しくてなのか、優秀な人材を逃したのが悔しくてなのか、分からないけど……
「ねぇ、主。美味しい匂いがする~」
「んっ、ローラ。飯食べてないのか?」
「食べたけど、お腹空いた……」
「……まあ良いか。爺ちゃんにも変わった村を見せたいし、ついでに買い食いでもするか」
それから俺は二人を連れて村を回り、色んな店で買い食いしたり、村の施設を爺ちゃんに説明したりするのだった。
◇ ◇ ◇
翌日、これまで後回しにしていたローラの常識教育について話し合う事にした。なおこの場にはローラの他に、クロネと元魔帝国の魔法騎士団団長のレオンがいる。
「……よし。ローラの教育係は、今日からクロネ。君に決めた!」
「ちょっ、何で私なのよ!」
まあ、最初から決まっていたようなものだけど。
いつもこういった話し合いに乗り気じゃないレオンには、クロネを誘い出すのに協力をしてもらっていた。
「レオン、あんた、私が売られるって知ってて呼び出したわね」
「さぁ? だが、俺よりお前のが適任だろ? 俺は戦闘面、お前は雑用面の係なんだから」
「雑用面の係って何よッ!」
そんなクロネに、俺はローラを送り届け、コソッと指示を出す。さあ、今こそ準備していた必殺技、上目遣いを使う時だ!
「クロネお姉ちゃん、勉強教えてくれないの?」
「うぐッ!」
常識皆無なローラだが、そこを除けば可愛い少女。その少女が上目遣いでおねだりをすれば――
「い、嫌じゃないわよ。ローラ」
はい、この通り! 嫌がっていたクロネを一瞬で黙らす事ができました!
「んじゃクロネ、ローラを頼むな。人に教えるのは自分のためにもなるから、一石二鳥だよ」
そう言って俺は、ローラの勉強用に用意していた教材をクロネに手渡した。クロネは大きく溜息を吐く。
「……ちゃっかり私の分の教科書もあるって事は、元から私以外は考えていなかったのね」
「まあね。何だかんだ言って、クロネは面倒見が良いからな。ローラの教育係にも適任だろうと思っていたんだよ。まあその代わり雑用面はレオンに任せるから、ローラの事を頼むな」
クロネはニヤッと笑った。すかさずレオンが、手をバンッとテーブルに叩きつけて立ち上がる。
「おい、それどういう事だよ!」
「えっ? いや、クロネが別の任務に就くなら、雑用係は別で代用しないとダメだろ? んで、この中で一番向いているのはお前だろ?」
奴隷の中には、レオンとクロネ程の機動力を持った者はいないしね。必然的に雑用係がレオンになる事は、本人も分かっていた筈だ。
事前に言わなかったのは、言ったら集まるのを拒否するだろうと思ったからだ……まあ逃げても、命令すれば奴隷だから逆らえないけどね。
「アハハ、まんまと引っかかったわね!」
「チッ!」
クロネが引っかけた訳じゃないけど、彼女は手を上げて喜んでいた。そんなクロネを見たレオンは舌打ちをするのだった。
第3話 試験勉強
「そういえば、最近クロネさん見ないけど、何かしてるの?」
一時間目の授業が終わった時、アリスから尋ねられた。
「ちょっと今、新しく入った奴隷の教育係を任せているんだよ。クロネって意外と面倒見が良いからな」
「そうなんだ。でも、クロネさんが面倒見が良いのって分かるな~。アキト君がいない時、クロネさん、私の相手をしてくれるの」
「知ってるよ。アリスとクロネが仲良いのを見て、教育係に任命したからね。まあ、それで空いた雑用係をレオンに任せたんだけど、レオンずっと不機嫌なんだよ」
「あ~。だから最近は、レオンさんがアキト君の近くにいるんだね」
俺はアリスに、自分の奴隷達の事を大抵教えていた。その中でも、いつも俺の近くにいるクロネとレオンは、アリスも大分知っている感じだ。
そこへ、ルークがやって来る。
「アキト君、お話し中だけど良いかな?」
ルークの手には、先程配られたプリントがあった。俺はすぐに事情を察する。
「何処の問題?」
「問5なんだけど……」
それから、ルークが分からないという問題を教えてあげた。その間に休み時間が終わり、ルークは自分の席に戻るのだった。
昼食の時間になる。
俺はアリスとアミリス姉さんと一緒に、食堂に移動した。いつものようにエリク兄さんと合流して、それぞれが食べたい物を注文してテーブル席に座った。ちなみに今日の気分は米だったので、焼肉定食にした。
エリク兄さんがアリスに声をかける。
「アリスちゃん、学園には慣れた?」
「はい、アキト君とアミリスお姉ちゃんも一緒のクラスなので、すぐに慣れました」
すると、アミリス姉さんが頬を膨らまして言う。
「アリスちゃんそう言ってくれるけど、教室じゃずっとアキトちゃんの近くにいるよね~。私の所に偶にしか来てくれないのは寂しいな~」
「だって、アミリスお姉ちゃんの周り、いつも人がいっぱいで近づけないもん。アキト君の周りには人がいないから、話しかけやすいんだもん」
「くぅっ、友達作りを頑張ったのが仇になったッ」
アミリス姉さんは落ち込んでいるようだが、アリスの言葉、俺の心にグサッと刺さっているの、気付いていますかね? 俺の周りに人がいないって……
そんな風に雑談しながら食事を済ますと、今度あるテストの話題になった。エリク兄さんが話し出す。
「アキトは大丈夫だと思うけど、アミリスは大丈夫なの?」
「う~ん……今の段階で何とか授業についていけてるって感じだから厳しいかも……アリスちゃんはテスト大丈夫そう?」
「今、授業でやってるところはアキト君と勉強してた時に教わってたから、何となく理解できたよ」
アリスがそう言うと、アミリス姉さんは「えっ」と驚いた。
「アリスちゃんって頭良いの?」
アリスに代わって俺が答える。
「アミリス姉さんには悪いんだけど、アリスは学園の授業レベルで言うと、四年生までは完璧だよ」
言葉だけだと信用してもらえないと思い、四年生レベルの問題をアリスに出すと、彼女はパッと答えた。
「……凄いね。アリスちゃん、もの凄く頑張ったんだね」
「はい、アキト君と同じように学園に通いたかったから頑張りました」
笑顔でそう言ったアリスを見て、アミリス姉さんは何かを決心した顔になった。そして俺の方を向くと頭を下げる。
「アキトちゃん、勉強教えて!」
「良いよ。試験勉強は元々するつもりだったからね」
「ッ! ありがとうアキトちゃん!」
「どうせなら、エリク兄さんも一緒にする?」
「そうだね。なかなか最近は、アキトとの時間も作れてないし、僕も参加させてもらおうかな?」
その後、具体的な試験勉強の日程を決めた。アリスはその期間、うちに泊まれるようにリベルトさんに話すようだ。
それから教室に戻った俺は、数少ない友人であるルークとリクに声をかけた。二人は迷う事なく参加すると言ってくれた。
◇ ◇ ◇
数日後の週末。
予定していた勉強会を行うため、俺は準備をしていた。アリス、ルーク、リクは昼過ぎに来ると言っていたから、結構時間がないな。
レオンが愚痴を言う。
「ったく、何でギリギリになって準備してるんだよ。時間あったろ!」
「他の事に気を取られてて忘れてたんだよ。それで、ドルグ達に頼んでたお菓子取ってきてくれた?」
ドルグは犬人族の奴隷で、【調理】スキルを持つ転生者だ。うちでは調理全般を任せている。
「ほらよ。それと、飲み物もどうせ言われると思って取ってきたぞ」
「流石、レオンだ」
手伝ってくれているレオンを褒めつつ、俺はバタバタと準備を進めた。
ちなみに勉強は特別な部屋で行う。父さんに大人数で勉強ができる部屋が欲しいと言ったら、使ってない部屋を改造してくれたのだ。
何とか昼前に全ての準備を終え、アリス達を迎える事ができた。勉強部屋へとみんなを案内し、早速勉強会を始める。
「アキト君、ここってどうすればいいの?」
「ああ、そこはね……」
勉強会を始めて少し経った。
当初、俺が皆の前に立って教えようと思っていたのだが、それだと個別に対応できないので、各々で勉強してもらいつつ質問を受ける形にした。
ルークとリクは、積極的に聞いてくれる。
しかし、一番心配なアミリス姉さんは質問せずに、自分の力でどうにかしようとしていた。何度か言葉をかけているのだが、すぐにそうなってしまう。
「一旦休憩にしよう。頭を使ったし、お菓子を準備してるから好きなように食べて」
俺はそう言って、ドルグ達に作ってもらったお菓子を出した。
みんながお菓子とジュースを飲んで休憩してるのを見て、俺はアミリス姉さんに声をかける。
「アミリス姉さん、俺って頼りない?」
「えっ?」
「だって、今日は俺が勉強を教えるために姉さんも呼んだじゃん? だけど、アミリス姉さんは何も聞いてこないから、俺が頼りないのかなって」
「そ、そんな事ないよ! ただ、お姉ちゃんが聞くのが苦手なだけだよ」
アミリス姉さんは、少し落ち込んだ風にそう言った。
「でも、アミリス姉さん。次、分からない問題が出たら手を挙げて。そしたら、俺がその問題を一から全部教えるから」
「えっ。そしたらアキトちゃんの負担が増えるよ?」
「良いよ良いよ。今日はそのつもりで勉強会を開いたんだから」
「でも……」
でもでも、と言い続ける姉さん。
俺は姉さんの手を強く握った。
「良いから、俺に任せてよ。アミリス姉さんも勉強できるようになりたいでしょ?」
「……うん」
休憩が終わり、再び勉強会を再開する。
すぐに姉さんが手を挙げたので、俺は問題の解説をしてあげた。その後も頻繁に手を挙げるので、俺は一層忙しくなったんだけど、姉さんがちゃんと勉強できたようで良かった。
そんな感じで勉強会は終わり、皆が部屋を出ていった。
残ったエリク兄さんが声をかけてくる。
「アキトは本当に頭良いね。僕が王様になるよりも、アキトが王様になった方が良いんじゃないかな?」
「俺としては、兄さんのサポートのが良いかな? そっちの方が、悪い貴族とか裏で片づけられそうだし。俺は表に出る人間じゃないと思うな」
「あ~。言われてみれば、そっちの方がアキトに似合ってそうだね。僕が表に出て、裏でアキトが動く。うん、凄く良いね」
「知ってますよ。今はちょっと用事で抜け出せないらしくて。でも、その内こっちに顔を出すと言ってました」
「……へっ?」
ジルの言葉に、俺は素で驚いてしまった。
そして恐る恐る聞き返す。
「師匠がこっちに来るのか?」
「はい! この前、手紙を出したら、今はちょっと友人から頼まれた事をしてるが、数日以内にそっちに行くって手紙が返ってきました。その友人さんというのが、何でもこの国の人らしいので、ついでに送ってもらうと言ってました」
「そ、そうか……」
んっ? あれ、ちょっと今、ジルが気になる事を言わなかったか?
伝説の剣士の友人がこの国にいる?
「なあ、その師匠の友人って人の事を、ジルは知ってるか?」
「ん~、俺もよく知らないですね。でも、その人は魔法が上手いって手紙には書いてありました」
伝説の剣士が「魔法が上手い」と評価する人物、そんなのこの国では爺ちゃんしかいないだろう。
「まあ、ジルの師匠が来たら俺も挨拶はするよ。弟子を奴隷にしてしまったしな」
そう言って、この日はジルと別れて家に帰宅した。
◇ ◇ ◇
それから数日後。
学園から帰宅すると、爺ちゃんとローラが俺の部屋で俺の帰宅を待っていた。
「おっ、アキト。帰ってきたか、久しぶりじゃな」
「おひさ~」
爺ちゃんは元気よく、ローラは元気なんだろうけど気の抜けた感じで挨拶してきた。その対照的な様子に、一瞬笑いそうになる。
「爺ちゃん、一ヵ月以上も修業してたみたいだけど、ローラはどんな感じになったの?」
「うむ。この子、凄い才能じゃのう。儂が教えた事はすぐに吸収していくから、楽しくて楽しくて、魔法以外にも剣術も叩き込んでみたんじゃ。ほれ、ローラのステータスを見てみるんじゃ」
爺ちゃんに急かされるように言われた俺は、ローラに向かって【鑑定】を使った。
そして、俺はそのステータスに驚愕した。
名 前 :ローラ
年 齢 :12
種 族 :ヒューマン
身 分 :奴隷
性 別 :女
属 性 :全
レベル :34
筋 力 :3574
魔 力 :3828
敏 捷 :3647
運 :81
スキル :【剣術:MAX】【身体強化:MAX】【気配察知:MAX】
【全属性魔法:MAX】【魔力強化:MAX】【魔力感知:MAX】
【無詠唱:MAX】【縮地:MAX】【念話:MAX】
固有能力:【超成長】
称 号 :剣士
加 護 :アルティメシスの加護
あっれ~? 一ヵ月前に見た時は殆ど100以下だったし、スキルも一個もなかったよね? あの時から変わってないところ、固有能力と加護の欄だけなんだけど~。
「って、強くなりすぎでしょッ! 何でレベル34で能力値3000オーバーなんだよッ!」
「うむ、儂も驚いたのじゃ。そしたら夢の中で主神と名乗る神と会ってのう。儂にも加護を与えてくれて、儂も少し能力値が上がったんじゃ」
ほれほれと言って、爺ちゃんは自分のステータスを書いた紙を見せてきた。そこには〝魔力21478〟と、とんでもない数値が書かれていた。
「化け物が更に化け物になって、未来の化け物を作ってるよ……」
「ローラの修業中も、儂自身修業をしていたおかげじゃな、いや~主神様って凄いの~」
爺ちゃんは俺を驚かせた事が嬉しかったのか、大声で笑った。横のローラは何も分かっていない感じだが、ドヤ顔を俺に見せつけてくる。
爺ちゃんとローラの変化に驚き疲れた俺は、ソファーに座って落ち着く事にした。
その時、ふと爺ちゃんの横にもう一人いる事に気付いた。小柄な初老の男性で、髪色は綺麗な金髪。瞳の色は……細目すぎて何色か分からないな。
「……あの、爺ちゃん。そちらの方は?」
「んっ? おお、そうじゃった。アキトに紹介するために連れてきたんじゃったな、こいつは儂の友人じゃ」
「どうも、私はサジュ。君の所でお世話になっている、ジルの師匠兼、親代わりをしてる者です」
うん、そうですよね。何となく分かっていましたよ。得体の知れない雰囲気をビシビシ感じましたから!
でも、優しい雰囲気を持っている人とも感じ取った。ジルの師匠だけでなく、親代わりもしているのか。
「ど、どうもです。ジルの主のアキトです。あの、ジルを勝手に奴隷にしてしまった事、怒ってます?」
「いえいえ、あの子が決めた事ですからね。勘だけは昔から凄く良い子ですので、今後ともよろしくお願いします」
「あっ、はい。こちらこそ」
俺とサジュさんは、互いに頭を下げて挨拶した。爺ちゃんがサジュさんに声をかける。
「どうじゃ、サジュ。儂の孫は?」
「良い子ですね。何より目が良い。この子は大物になりますね」
「そうじゃろう。そうじゃろう!」
サジュさんに俺が褒められた事が嬉しいのか、爺ちゃんは楽しげに笑った。
そんな二人を見ていた俺は、さっきサジュさんが言った事について尋ねる。
「あの、サジュさん。ジルの親代わりと言ってましたけど、ジルって……」
「……はい。あの子には両親がいません。というのも、ジルは捨てられていたのです」
それからサジュさんは、ジルを見つけた時の事を話してくれた。
十六年前、彼は偶然立ち寄った街で、生まれて間もないジルが入った箱を見つけたという。その箱には手紙が入っていて、女性の字で〝この子の事を頼みます〟と書かれていたとの事だった。
「それで私の家に連れて帰り、他の弟子達とともに、ジルを育ててきたんです」
「そうだったんですか。その話って、ジルは知ってるんですか?」
「はい。髪色が違いますからね、言わずともすぐに気付いたでしょう。それを知ったうえでジルは、私の事を〝師匠〟と呼び、弟子達がいない時は〝お父さん〟と呼んでくれたのです」
サジュさんは嬉しそうに笑顔で話した。爺ちゃんは「あの頃のサジュは毎日嬉しそうじゃったな」と言った。
そこへ、ローラが口を挟む。
「……それじゃ、私を拾った主は、私のお父さん?」
俺は驚きソファーから落ちた。
「な、何を言ってるんだ!?」
「えっ? だって、私も主に拾われてご飯食べさせてもらってるから」
「いやいや、サジュさんの場合と俺達は違うだろ!」
サジュさんがクスッと笑った。爺ちゃんも笑い始める。
サジュさんがローラに向かって言う。
「ローラちゃん、私とジルの場合は、あの子が小さかった時から育てているからだよ。ローラちゃんとアキト君とは、また違う関係なんだよ」
「そうなの? 私、今も小さいよ?」
ローラの返答にサジュさんは少し困った顔をして、俺の方を見てきた。
ああもう!
「ローラ、俺とお前は主従関係。サジュさんとジルは義理の親子の関係なんだ。分かったか?」
「う~ん……分かった」
うん、分かってないね。
はあ、強くなって帰ってきたのは良いけど、これからが大変な気がしてきたよ。誰かローラに勉強と常識、教えてくれないかな……
それから制服から私服に着替えた俺は、サジュさん、爺ちゃん、ローラと一緒に再びチルド村へ移動した。
そしてジルがいる自警団の訓練場に向かうと、ジルが先にこちらへと走ってくる。
「師匠~!」
爆速でやって来て、一瞬でサジュさんの目の前に移動してきたジルは、ピタッと立ち止まって頭を下げた。
サジュさんが笑みを浮かべて言う。
「ジルは何処に行っても元気ですね」
「はい! 元気と師匠仕込みの剣術だけが俺の取り柄です!」
サジュさんの言葉にジルは元気いっぱい応えると、俺の横にいる爺ちゃんと目を合わせ、驚いた顔をした。
「リオンさんが、何でここに!?」
「んっ? アキトから聞いておらんのか、アキトは儂の孫じゃぞ?」
「えぇぇ!?」
そういえば、ジルには言ってなかったな。俺の祖父はこの国最強の魔導士だって。
その後、室内に移動した俺達だったけど、ジルとサジュさんには積もる話もあるだろうと思ったので、二人を残して出歩く事にした。
「見ない内に、様変わりしたのう。アキト、これを全部自分達でやったのか?」
「そうだよ。まあ、俺だけの力じゃなくて奴隷達のおかげだよ。それぞれ専門の奴隷を手に入れて、リーダーにさせて、効率良く村を改造していったんだ」
「ふむ……こんな凄い村を見せつけられたら、そりゃアリウスが落ち込むのも納得じゃのう……」
ああそうか。爺ちゃん、父さんに会ったのか。
チルド村の視察を終えてから父さんは、ずっと落ち込んでいるんだよな。
それが、息子の俺に街作りで負けたのが悔しくてなのか、優秀な人材を逃したのが悔しくてなのか、分からないけど……
「ねぇ、主。美味しい匂いがする~」
「んっ、ローラ。飯食べてないのか?」
「食べたけど、お腹空いた……」
「……まあ良いか。爺ちゃんにも変わった村を見せたいし、ついでに買い食いでもするか」
それから俺は二人を連れて村を回り、色んな店で買い食いしたり、村の施設を爺ちゃんに説明したりするのだった。
◇ ◇ ◇
翌日、これまで後回しにしていたローラの常識教育について話し合う事にした。なおこの場にはローラの他に、クロネと元魔帝国の魔法騎士団団長のレオンがいる。
「……よし。ローラの教育係は、今日からクロネ。君に決めた!」
「ちょっ、何で私なのよ!」
まあ、最初から決まっていたようなものだけど。
いつもこういった話し合いに乗り気じゃないレオンには、クロネを誘い出すのに協力をしてもらっていた。
「レオン、あんた、私が売られるって知ってて呼び出したわね」
「さぁ? だが、俺よりお前のが適任だろ? 俺は戦闘面、お前は雑用面の係なんだから」
「雑用面の係って何よッ!」
そんなクロネに、俺はローラを送り届け、コソッと指示を出す。さあ、今こそ準備していた必殺技、上目遣いを使う時だ!
「クロネお姉ちゃん、勉強教えてくれないの?」
「うぐッ!」
常識皆無なローラだが、そこを除けば可愛い少女。その少女が上目遣いでおねだりをすれば――
「い、嫌じゃないわよ。ローラ」
はい、この通り! 嫌がっていたクロネを一瞬で黙らす事ができました!
「んじゃクロネ、ローラを頼むな。人に教えるのは自分のためにもなるから、一石二鳥だよ」
そう言って俺は、ローラの勉強用に用意していた教材をクロネに手渡した。クロネは大きく溜息を吐く。
「……ちゃっかり私の分の教科書もあるって事は、元から私以外は考えていなかったのね」
「まあね。何だかんだ言って、クロネは面倒見が良いからな。ローラの教育係にも適任だろうと思っていたんだよ。まあその代わり雑用面はレオンに任せるから、ローラの事を頼むな」
クロネはニヤッと笑った。すかさずレオンが、手をバンッとテーブルに叩きつけて立ち上がる。
「おい、それどういう事だよ!」
「えっ? いや、クロネが別の任務に就くなら、雑用係は別で代用しないとダメだろ? んで、この中で一番向いているのはお前だろ?」
奴隷の中には、レオンとクロネ程の機動力を持った者はいないしね。必然的に雑用係がレオンになる事は、本人も分かっていた筈だ。
事前に言わなかったのは、言ったら集まるのを拒否するだろうと思ったからだ……まあ逃げても、命令すれば奴隷だから逆らえないけどね。
「アハハ、まんまと引っかかったわね!」
「チッ!」
クロネが引っかけた訳じゃないけど、彼女は手を上げて喜んでいた。そんなクロネを見たレオンは舌打ちをするのだった。
第3話 試験勉強
「そういえば、最近クロネさん見ないけど、何かしてるの?」
一時間目の授業が終わった時、アリスから尋ねられた。
「ちょっと今、新しく入った奴隷の教育係を任せているんだよ。クロネって意外と面倒見が良いからな」
「そうなんだ。でも、クロネさんが面倒見が良いのって分かるな~。アキト君がいない時、クロネさん、私の相手をしてくれるの」
「知ってるよ。アリスとクロネが仲良いのを見て、教育係に任命したからね。まあ、それで空いた雑用係をレオンに任せたんだけど、レオンずっと不機嫌なんだよ」
「あ~。だから最近は、レオンさんがアキト君の近くにいるんだね」
俺はアリスに、自分の奴隷達の事を大抵教えていた。その中でも、いつも俺の近くにいるクロネとレオンは、アリスも大分知っている感じだ。
そこへ、ルークがやって来る。
「アキト君、お話し中だけど良いかな?」
ルークの手には、先程配られたプリントがあった。俺はすぐに事情を察する。
「何処の問題?」
「問5なんだけど……」
それから、ルークが分からないという問題を教えてあげた。その間に休み時間が終わり、ルークは自分の席に戻るのだった。
昼食の時間になる。
俺はアリスとアミリス姉さんと一緒に、食堂に移動した。いつものようにエリク兄さんと合流して、それぞれが食べたい物を注文してテーブル席に座った。ちなみに今日の気分は米だったので、焼肉定食にした。
エリク兄さんがアリスに声をかける。
「アリスちゃん、学園には慣れた?」
「はい、アキト君とアミリスお姉ちゃんも一緒のクラスなので、すぐに慣れました」
すると、アミリス姉さんが頬を膨らまして言う。
「アリスちゃんそう言ってくれるけど、教室じゃずっとアキトちゃんの近くにいるよね~。私の所に偶にしか来てくれないのは寂しいな~」
「だって、アミリスお姉ちゃんの周り、いつも人がいっぱいで近づけないもん。アキト君の周りには人がいないから、話しかけやすいんだもん」
「くぅっ、友達作りを頑張ったのが仇になったッ」
アミリス姉さんは落ち込んでいるようだが、アリスの言葉、俺の心にグサッと刺さっているの、気付いていますかね? 俺の周りに人がいないって……
そんな風に雑談しながら食事を済ますと、今度あるテストの話題になった。エリク兄さんが話し出す。
「アキトは大丈夫だと思うけど、アミリスは大丈夫なの?」
「う~ん……今の段階で何とか授業についていけてるって感じだから厳しいかも……アリスちゃんはテスト大丈夫そう?」
「今、授業でやってるところはアキト君と勉強してた時に教わってたから、何となく理解できたよ」
アリスがそう言うと、アミリス姉さんは「えっ」と驚いた。
「アリスちゃんって頭良いの?」
アリスに代わって俺が答える。
「アミリス姉さんには悪いんだけど、アリスは学園の授業レベルで言うと、四年生までは完璧だよ」
言葉だけだと信用してもらえないと思い、四年生レベルの問題をアリスに出すと、彼女はパッと答えた。
「……凄いね。アリスちゃん、もの凄く頑張ったんだね」
「はい、アキト君と同じように学園に通いたかったから頑張りました」
笑顔でそう言ったアリスを見て、アミリス姉さんは何かを決心した顔になった。そして俺の方を向くと頭を下げる。
「アキトちゃん、勉強教えて!」
「良いよ。試験勉強は元々するつもりだったからね」
「ッ! ありがとうアキトちゃん!」
「どうせなら、エリク兄さんも一緒にする?」
「そうだね。なかなか最近は、アキトとの時間も作れてないし、僕も参加させてもらおうかな?」
その後、具体的な試験勉強の日程を決めた。アリスはその期間、うちに泊まれるようにリベルトさんに話すようだ。
それから教室に戻った俺は、数少ない友人であるルークとリクに声をかけた。二人は迷う事なく参加すると言ってくれた。
◇ ◇ ◇
数日後の週末。
予定していた勉強会を行うため、俺は準備をしていた。アリス、ルーク、リクは昼過ぎに来ると言っていたから、結構時間がないな。
レオンが愚痴を言う。
「ったく、何でギリギリになって準備してるんだよ。時間あったろ!」
「他の事に気を取られてて忘れてたんだよ。それで、ドルグ達に頼んでたお菓子取ってきてくれた?」
ドルグは犬人族の奴隷で、【調理】スキルを持つ転生者だ。うちでは調理全般を任せている。
「ほらよ。それと、飲み物もどうせ言われると思って取ってきたぞ」
「流石、レオンだ」
手伝ってくれているレオンを褒めつつ、俺はバタバタと準備を進めた。
ちなみに勉強は特別な部屋で行う。父さんに大人数で勉強ができる部屋が欲しいと言ったら、使ってない部屋を改造してくれたのだ。
何とか昼前に全ての準備を終え、アリス達を迎える事ができた。勉強部屋へとみんなを案内し、早速勉強会を始める。
「アキト君、ここってどうすればいいの?」
「ああ、そこはね……」
勉強会を始めて少し経った。
当初、俺が皆の前に立って教えようと思っていたのだが、それだと個別に対応できないので、各々で勉強してもらいつつ質問を受ける形にした。
ルークとリクは、積極的に聞いてくれる。
しかし、一番心配なアミリス姉さんは質問せずに、自分の力でどうにかしようとしていた。何度か言葉をかけているのだが、すぐにそうなってしまう。
「一旦休憩にしよう。頭を使ったし、お菓子を準備してるから好きなように食べて」
俺はそう言って、ドルグ達に作ってもらったお菓子を出した。
みんながお菓子とジュースを飲んで休憩してるのを見て、俺はアミリス姉さんに声をかける。
「アミリス姉さん、俺って頼りない?」
「えっ?」
「だって、今日は俺が勉強を教えるために姉さんも呼んだじゃん? だけど、アミリス姉さんは何も聞いてこないから、俺が頼りないのかなって」
「そ、そんな事ないよ! ただ、お姉ちゃんが聞くのが苦手なだけだよ」
アミリス姉さんは、少し落ち込んだ風にそう言った。
「でも、アミリス姉さん。次、分からない問題が出たら手を挙げて。そしたら、俺がその問題を一から全部教えるから」
「えっ。そしたらアキトちゃんの負担が増えるよ?」
「良いよ良いよ。今日はそのつもりで勉強会を開いたんだから」
「でも……」
でもでも、と言い続ける姉さん。
俺は姉さんの手を強く握った。
「良いから、俺に任せてよ。アミリス姉さんも勉強できるようになりたいでしょ?」
「……うん」
休憩が終わり、再び勉強会を再開する。
すぐに姉さんが手を挙げたので、俺は問題の解説をしてあげた。その後も頻繁に手を挙げるので、俺は一層忙しくなったんだけど、姉さんがちゃんと勉強できたようで良かった。
そんな感じで勉強会は終わり、皆が部屋を出ていった。
残ったエリク兄さんが声をかけてくる。
「アキトは本当に頭良いね。僕が王様になるよりも、アキトが王様になった方が良いんじゃないかな?」
「俺としては、兄さんのサポートのが良いかな? そっちの方が、悪い貴族とか裏で片づけられそうだし。俺は表に出る人間じゃないと思うな」
「あ~。言われてみれば、そっちの方がアキトに似合ってそうだね。僕が表に出て、裏でアキトが動く。うん、凄く良いね」
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