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1巻
1-2
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◇ ◇ ◇
「アキト、何をしてるんだい?」
俺の部屋に入ってきて話しかけてきたこのイケメンは、長兄のエリク兄さんだ。
父親に似て、綺麗な金髪に蒼眼。
俺とは七つ離れた十二歳である。
兄は俺の事が大好きで、俺と過ごす時間の少なさにいつも文句を言っている。
俺も俺でエリク兄さんと一緒に過ごしたいので、エリク兄さんが学園から帰ってくるとすぐに会いに行っていた。
俺はエリク兄さんの質問に答える。
「勉強です。いずれお父様やお兄様のお手伝いをしたいので!」
「ッ! ア、アキト……本当にアキトは良い子だよ。絶対、僕が守ってあげるからね」
エリク兄さんは大げさに膝から崩れ落ち、ポロリと涙を流した。
この兄、歳が離れているというのもあってか、俺に対して過保護なところがある。以前俺が廊下で転んだ時は、その日一日中抱っこさせられ、歩かせてももらえなかったし。
俺が大人になって結婚とかしたら、いったいどうなるんだろう。今から不安で仕方がない。
俺はエリク兄さんに尋ねる。
「ところで、この時間は学園じゃないんですか?」
「あぁ、今日はテストだったから。早く終わったんだ」
「テストですか? それはお疲れ様です」
「あぁ、アキトに労いの言葉をかけられたら、テストの疲れが吹っ飛んだよ」
エリク兄さんが天に召されそうな表情をしていると、再び部屋の扉が開いた。
現れたのは、長女のアミリス姉さんだ。
アミリス姉さんは青髪に蒼眼で、母さんにそっくりな容姿をしている。俺とは五歳離れた十歳で、今年から学園に通い始めていた。
姉さんもエリク兄さん同様、テストがあって早く帰宅したのだろう。
ちなみに俺の容姿はというと、父親と同じ金髪で、顔は母親に似ていると言われている。ガチャで引いた通り〝美形〟だ。
「エリク兄さん、やっぱりアキトの所にいたんですね。お父様がお呼びでしたよ」
「父様が? 分かったよ。ありがとう、アミリス」
エリク兄さんはアミリス姉さんに礼を告げると、「アキト、勉強頑張って」と言って部屋を出ていった。
それから、俺は部屋に残ったアミリス姉さんと一緒に勉強をするのだった。
その日の晩、家族みんなで夕食を取っていると、その席で父さんから思いもよらない提案をされた。
「アキト、学園に通ってみたいとは思わないか?」
「学園? でも、十歳にならないと入れないんじゃないんですか?」
「本来はそうだが、学園には〝特別試験入学〟という制度があるんだ。多少難しい試験を受ける事になるが、合格すれば学園に通えるようになるんだよ」
へぇ、そうなのか。俺はまだ小さいので王城で大人しくしているしかないと諦めていたけど……学園に行けるなんて楽しそうだ。
黙って聞いていた母さんが止めに入る。
「ねえ、やっぱりやめましょうよ」
「エレミア。アキトの勉強への熱心さは知っているだろう? 家庭教師を雇ってアキトに勉強させる事もできるが、頭の良いアキトは、十歳の入園前に学園で学ぶ事を全て覚えてしまう可能性もあるぞ?」
父さんの俺に対する期待が凄いな。それでも母さんは心配らしい。
「でも、アキトはまだ五歳よ? それに魔法が使えないと、学園にはそもそも入れないでしょ?」
すると、父は首を横に振り、俺の方を向いた。
「……アキトは、魔法を使えるよな」
「「「ええ⁉」」」
母さんと兄さんと姉さんが驚いて声を上げる。
実は以前、隠れて魔法の練習をしているところを、父さんには見られてしまったのだ。
その時、父さんはさっきの母さん達と同じように驚いていたが――すぐに「そうか、魔法スキルを持ってたんだな」と嬉しそうに言い、それから「でも魔法は危ないから父さんと特訓をしようね」となって、父さんと秘密の特訓をしていたのだけど。
「そういうわけで、アキトには生まれ持っての魔法の才能がある。だから、試験を受ける価値があるんだ」
「……」
父さんにそう言われ、母さんは凄く悩んでいたが、数分経って「分かったわ」と言った。
母さんが真剣な表情で尋ねてくる。
「アキト、あなたは良いの? 試験はもの凄く難しいって聞くわよ?」
「はい! 今の自分がどれ程なのかも知りたいので、受けるだけ受けたいんです。それに、落ちたとしても五年待てば学園には通えますし、気楽に挑もうと思います」
俺がそう答えると、母さん、父さん、エリク兄さん、アミリス姉さんがそれぞれ口にする。
「はぁ~、アキトは本当に頑張り屋さんね……よし、母さんも応援しちゃうぞ」
「勿論、私も応援するよ」
「僕も応援するよ。アキト、頑張れ」
「お姉ちゃんも応援してます。一緒に試験勉強しましょう」
結局、家族全員から応援される事になるのだった。
「期待にこたえられるように頑張ります」
その日は食後すぐに風呂に入って、自室に戻った。
入学試験までは一週間ある。
この一週間は、朝から夕方まで座学の勉強。夕方から夕食までの短い時間帯を、魔法の訓練に割こうと決め、寝床に就くのだった。
◇ ◇ ◇
初日の朝。
「とりあえず、魔法の訓練が始まるまで、自分のステータスでも確認しておこう」
メイドが来る前に着替えを済ませた俺は、ソファーに座ってステータスを確認する。
名 前 :アキト・フォン・ジルニア
年 齢 :5
種 族 :クォーターエルフ
身 分 :王族
性 別 :男
属 性 :全
レベル :1
筋 力 :37
魔 力 :1079
敏 捷 :32
運 :78
スキル :【鑑定:MAX】【剣術:2】【身体能力強化:2】
【気配察知:MAX】【全属性魔法:2】【魔法強化:2】
【無詠唱:MAX】【念力:MAX】【魔力探知:MAX】
【付与術:3】【偽装:MAX】 【信仰心:3】
固有能力:【超成長】【魔導の才】【武道の才】【全言語】【図書館EX】【技能取得率上昇】
称 号 :努力者 勉強家
加 護 :フィーリアの加護
いつ見てもレベルは変わらないな。
レベルが1のままなのは、未だ家から一歩も出た事がなく経験値を稼いでいないから。その一方で、魔法の訓練はしてきたので魔法の能力値は上がっている。
「魔法に集中した結果だな」
そのおかげで、魔法系のスキルレベルが軒並みMAXになっている。
ただし、【全属性魔法】は1しか上がっていない。
この能力は、【全属性魔法】という一つのスキルの中に各属性の魔法スキルが入っているようなものなので、転生ガチャで引き当てた【超成長】をもってしてもあまり上がらなかった。
まあ、まだ転生して五年だし、気長に育てていくかな。俺は第二王子で、スローライフが送れる立場なのだから。
「アキト、もう起きておったのか?」
俺に話しかけてきた人物。
俺の父方の祖父、エルフ族のリオン爺ちゃんだ。
でも見た目は、俺の父さんと変わらないくらい若い。エルフ特有の長い耳に緑の髪色をしていて、目の色は父さんと同じく蒼眼だ。
「どうしたの、爺ちゃん? 最近、見かけなかったけど、何処かに行ってたの?」
「うむ、ちょっと〝トカゲ狩り〟に行ってたんじゃよ。久しぶりに奴らの肉が食いたくなってのう」
ははは。またか、この爺さんは……
爺ちゃんは閉鎖的なエルフ族の里出身で、その里では森から出ないのが決まりだった。それにもかかわらず「森の中で暮らすとか腐ってしまうわ」と里を飛び出し、世界中を旅したという変わり者である。
ジルニア王国が戦争続きだった時代。爺ちゃんは、押され気味のジルニア王国側に「面白そう」という思いから就いたという。
それで連戦連勝となり、たった一年で戦乱を終結させてしまった。
ジルニア王国に多大な貢献をした事で、爺ちゃんは王族に迎え入れられ、〝最強魔導士リオン様〟として国中から崇められている。
俺は、トカゲを狩ってきたと言った爺ちゃんに忠告する。
「トカゲって竜の事だよね。あまり狩りすぎたら、生態系が崩れるから程々にね」
「うむ、分かっておる。ちゃんとトカゲに〝何体倒していいか?〟と聞いて、その数だけしか食べておらぬ。ちょいと余ったもんだから、ついさっき料理長に渡してきた。今晩はトカゲ肉が食えるぞ」
はぁ~、これでも昔は王様をやっていたはずなのにな。
まあ、政治のほとんどを婆ちゃんや大臣に任せて、自由奔放にしていたらしいけど。
「それで、アキトは何をしてるんじゃ?」
「父さんから学園に入学しないかって急に言われてさ。そのための準備をしてたんだよ」
「ほう! そういえば、学園は実力があれば何歳からでも入れたのう。うむ、儂に何か手伝える事はないかの?」
爺ちゃんが⁉
「爺ちゃんが⁉」
「こら、思ってる事をそのまま言ってるぞ?」
おっと、爺ちゃんって勘が鋭いから、思ってる事がバレちゃうんだよな。
まあ、今のは俺が口に出していたわけだけど。
「それでどうなんじゃ? 魔法なら儂が教えてやるぞ?」
「う~ん。父さんにも魔法教えてもらう事になってるからなあ。じゃあさ、父さんから教えてもらえない攻撃魔法、教えてくれる?」
「うむ、良いぞ! 数千もの敵を吹き飛ばせる魔法を教えてやろう!」
いや。そんな強力な魔法を教えてもらっても、使う場面ないでしょ……でもまあ、でも爺ちゃんに教えてもらうのは楽しそうだな。
父さんは、どちらかというと補助系統の魔法の扱いが上手いけど、攻撃魔法はあまり得意ではないんだよな。その分、剣術や体術が得意で、色んな技を見せてくれるけどね。
俺は爺ちゃんに言う。
「それじゃ早速行こっか? 爺ちゃん」
「うむ、この時間なら訓練所も空いておるじゃろうしな」
爺ちゃんは俺に魔法を教えられるのが嬉しいみたいだった。
俺を抱えた爺ちゃんがやって来たのは、城の敷地内にある兵士達が使う訓練所だ。
そういえば午前中は座学の予定だったけど、仕方ないか。
爺ちゃんがニコニコしながら尋ねてくる。
「まずは、アキトの実力を知りたいのう。今、使える魔法を見せてくれぬか?」
「うん、分かった。それじゃ、見せるね」
火、水、風の基本属性。
土、氷、雷の変化属性。
光、闇、無の無系統属性。
更にどの属性にも入らない、時空間属性の魔法を爺ちゃんに見せた。
「アキト……全属性の持ち主じゃったのか⁉」
「うん、そうだよ。でも、父さん以外はこの事を知らないから、あまり言いふらさないでよ?」
ちょっと自慢げに言ってみたものの、よく考えたら爺ちゃんも全属性使えるんだよな。
「何じゃ何じゃ、アキト! 全属性持ってるんなら、早く言ってほしかったぞ! でもおかしいな。アキトが小さい頃、【鑑定】を使った事があるんだが、何も属性持ってなかったと出たはずなんじゃが……」
「あ~ごめん、爺ちゃん。俺、【偽装】を持ってるから【鑑定】を弾いたんだと思う。レベルはMAXだから、MAX以下の人が【鑑定】しても弾いちゃうんだ」
フィーリア様に忠告もされていたので、もしもの時に備えて、生まれてから一ヵ月間で【偽装】のレベル上げをしたのである。
そういえば、父さんも爺ちゃんと同じように驚いていたな。
「そうじゃったのか⁉ た、確かに儂の【鑑定】はMAXじゃないし、弾かれてもおかしくないのう。しかし、魔法が使えると分かったら違うぞ! アキト、儂の全てを教えてやる!」
爺ちゃん、めっちゃやる気出してるよ。
魔法の訓練以外にも、俺は試験勉強しないといけないから程々にしてほしいんだけど……
そう心配しながら俺は、爺ちゃんとの魔法の訓練を始めたのだった。
第3話 魔法の才能
「……ああ、本当に爺ちゃんの魔法は凄いな」
爺ちゃんと訓練を始めて二日目。
俺は爺ちゃんの魔法に、完全に魅了されていた。
ちなみに、座学と魔法の訓練の日程を見直し、一週間分改めて決め直した。前半四日間は魔法の訓練、後半三日間は勉強に集中する事にしたのである。
そんなわけで今日は、爺ちゃんと一緒に修業場所の山へやって来ていた。
「……こんな感じじゃな。分かったか、アキト?」
「こんな感じじゃって……ただただ凄まじい魔法を見せつけられて、やり方もコツも教えられてないんだけど?」
山に連れてこられて一時間。
この山よりも大きな火の玉、津波レベルの水の壁、そんな魔法を見せつけて、笑顔で「分かったか?」とか言ってる爺ちゃんは、多分教えるのが下手だと思う。
ともかく今見せてもらった魔法は、どれも俺が想像していたよりも大分凄かった。
「ねえ、爺ちゃん。一つ聞いてもいいかな?」
「んっ? 何じゃ質問か? 良いぞ」
「爺ちゃんってさ……人に魔法を教えた事ってある?」
ああ、爺ちゃん。さっきまで目をキラキラとさせていたのに、一瞬にして落ち込んでるよ。
これは、教えた経験ないって事だな。
「すまぬのう。これまで儂、誰かに魔法を教えた事がないんじゃよ。アリウスは婆さんっ子で儂が魔法教えるのを嫌がったし、エリクやアミリスは儂が教えるより教師に教わった方が良いって婆さんに止められてのう……」
「そうだったんだね。じゃあ爺ちゃん、魔法を使う時どんな事を考えているとか、具体的に教えてくれる?」
「うむ、そうじゃな……」
教え方は知らないが、魔法使いとしては一流の爺ちゃん。
適当に魔法を使っているはずがないと思って詳しく聞いてみると――やっぱり色んな事を考えていた。
「……成程、俺が思っていた通りだよ。イメージ力も魔法威力に関係してるけど、それ以上にその属性の事を知らないといけないんだね」
爺ちゃんが話してくれた事をまとめると、そんな感じだった。
つまり、属性の知識が必要なのだ。
「うむ。例えばな、一つ一つの属性には相性の良い属性、悪い属性が存在しておるからのう。複合魔法を使う際には気を付けないといかん。火と水、加減を間違えれば相殺して蒸発してしまうが、上手くコントロールすれば温水に変わる」
爺ちゃんはそう話しながら、複数の属性と組み合わせる〝複合魔法〟を使った。
爺ちゃんの手の上には温水があるが、これは簡単そうで難しい。頭の中で温かい水をしっかりイメージしないと生み出せないのだ。
爺ちゃんは一瞬で作り上げてしまったけど。
「凄いね。爺ちゃん、複合魔法が使えるんだ」
「最初の頃はイメージ力も乏しくなかなか難しかった。じゃが、経験を重ねたおかげで、今では簡単に扱う事ができる。他のスキルも一緒じゃが、容易に極める事はできんし、覚えたところで訓練を怠ればすぐ忘れてしまう。日々の積み重ねが大事じゃよ」
「はい!」
勢いよく返事をする俺に、爺ちゃんは嬉しそうに笑い、俺の頭を軽く撫でた。
爺ちゃん、これまで息子にも孫にも教えられなかったから、俺に教えられるのが嬉しいんだろうな。
爺ちゃんが笑みを浮かべつつ言う。
「まず基礎の基礎として、魔法のイメージ力が必要じゃ。アキトはその辺は大分いい感じじゃ」
「そうなの?」
爺ちゃんの褒め言葉が疑わしく感じ、俺は聞き返した。
だって、爺ちゃんの魔法を見せつけられた後なんだ。そんな事を言われても、孫可愛さに褒めたのでは? と信じられない。
「アキト、お主今、儂が〝孫可愛さに褒めた〟と思ったじゃろ? 一つ言うとじゃな。アキトの今の魔法の力でも、試験に合格する事はできるんじゃ」
えっ? 爺ちゃん。流石にそれはないでしょ。
だって学園って前世で言う進学校みたいな所だと聞いている。確かに色々と訓練はしてきたけど、それで入学は……
そんな事を考えていると、爺ちゃんはボッと手にハンドボール程の火の玉を作り、数メートル先に投げた。
「今見せた魔法で、学園に入学はできるんじゃ」
「えっ?」
「学園は〝勉強する場の提供〟というのを方針としておって、入学金もそこそこに抑えておるんじゃ。また、貴族・平民といった身分に関係なく、色んな者達が勉強できるように、入学レベルは低く設定されておるんじゃよ」
「そうなんだ」
試験は難しいとも聞いていたのに、そういうわけじゃないんだね。
「じゃが、だからと言って勉強しない者がずっといる事はできんのじゃ。誰かれ構わず学園に置いておく事はできんからのう。学ぶ意志がある者だけが学園に残れる。じゃから、入学レベルで満足しておったらいかんのじゃ」
爺ちゃんはそう言うと、もう一度手に魔力を集めた。そして、先程の火の玉の数十倍の大きさの火の玉を作り上げ、同じように飛ばした。
魔法が当たった地面は抉れ、炎が派手に燃え広がる。
「このレベルが、今回の特訓の合格ラインじゃ!」
笑顔で言う爺ちゃんに対して、俺は内心でこう思った。
――俺、そのレベル、既に扱えます。
笑顔でこちらを見ている爺ちゃんに、申し訳ないと感じながらも俺は魔力を練る。そうして合格ラインと言われた威力の魔法を放った俺は、爺ちゃんの方を向く。
爺ちゃんは呆然としていた。
「へっ?」
「爺ちゃん、そのくらいの魔法はもう使えるんだ。参考までに言うと、俺の魔力値は1000超えてるよ」
「……せ、1000じゃと⁉」
やっぱり驚くか。
まあ、前にこの世界の人々の魔力値を調べた事があるんだけど、1000は冒険者でC・Dランクの強さだった。
数値に関して更に詳しく言うと、こんな感じだ。
0 ~ 100 :子供レベル
100 ~ 500 :一般人レベル
500 ~ 1000 :新人冒険者、新兵レベル
1000 ~ 5000 :中級冒険者、兵士レベル
5000 ~ 10000 :上級冒険者、団長レベル
10000 ~ :化け物レベル
俺の魔力レベルは、右から四番目。中級冒険者レベルに値する。
ちなみに、この数値は目安みたいなものだから、「1000以上ある。これで中級冒険者だ!」というわけではない。
なお、10000以上の者はこの世界に数人程しかいない。いても、竜王だったり獣王だったり、他大陸の別種族の王とかである。
まあ、この国にもその10000超えの化け物がいるんだけどね。
その人物は、目の前で俺のステータスを見ている〝狂魔導士リオン〟こと、リオン・フォン・ジルニアだ。ちなみに爺ちゃんには、〝最強魔導士〟とか〝狂魔導士〟とか物騒な二つ名がたくさんある。
「アキト、何をしてるんだい?」
俺の部屋に入ってきて話しかけてきたこのイケメンは、長兄のエリク兄さんだ。
父親に似て、綺麗な金髪に蒼眼。
俺とは七つ離れた十二歳である。
兄は俺の事が大好きで、俺と過ごす時間の少なさにいつも文句を言っている。
俺も俺でエリク兄さんと一緒に過ごしたいので、エリク兄さんが学園から帰ってくるとすぐに会いに行っていた。
俺はエリク兄さんの質問に答える。
「勉強です。いずれお父様やお兄様のお手伝いをしたいので!」
「ッ! ア、アキト……本当にアキトは良い子だよ。絶対、僕が守ってあげるからね」
エリク兄さんは大げさに膝から崩れ落ち、ポロリと涙を流した。
この兄、歳が離れているというのもあってか、俺に対して過保護なところがある。以前俺が廊下で転んだ時は、その日一日中抱っこさせられ、歩かせてももらえなかったし。
俺が大人になって結婚とかしたら、いったいどうなるんだろう。今から不安で仕方がない。
俺はエリク兄さんに尋ねる。
「ところで、この時間は学園じゃないんですか?」
「あぁ、今日はテストだったから。早く終わったんだ」
「テストですか? それはお疲れ様です」
「あぁ、アキトに労いの言葉をかけられたら、テストの疲れが吹っ飛んだよ」
エリク兄さんが天に召されそうな表情をしていると、再び部屋の扉が開いた。
現れたのは、長女のアミリス姉さんだ。
アミリス姉さんは青髪に蒼眼で、母さんにそっくりな容姿をしている。俺とは五歳離れた十歳で、今年から学園に通い始めていた。
姉さんもエリク兄さん同様、テストがあって早く帰宅したのだろう。
ちなみに俺の容姿はというと、父親と同じ金髪で、顔は母親に似ていると言われている。ガチャで引いた通り〝美形〟だ。
「エリク兄さん、やっぱりアキトの所にいたんですね。お父様がお呼びでしたよ」
「父様が? 分かったよ。ありがとう、アミリス」
エリク兄さんはアミリス姉さんに礼を告げると、「アキト、勉強頑張って」と言って部屋を出ていった。
それから、俺は部屋に残ったアミリス姉さんと一緒に勉強をするのだった。
その日の晩、家族みんなで夕食を取っていると、その席で父さんから思いもよらない提案をされた。
「アキト、学園に通ってみたいとは思わないか?」
「学園? でも、十歳にならないと入れないんじゃないんですか?」
「本来はそうだが、学園には〝特別試験入学〟という制度があるんだ。多少難しい試験を受ける事になるが、合格すれば学園に通えるようになるんだよ」
へぇ、そうなのか。俺はまだ小さいので王城で大人しくしているしかないと諦めていたけど……学園に行けるなんて楽しそうだ。
黙って聞いていた母さんが止めに入る。
「ねえ、やっぱりやめましょうよ」
「エレミア。アキトの勉強への熱心さは知っているだろう? 家庭教師を雇ってアキトに勉強させる事もできるが、頭の良いアキトは、十歳の入園前に学園で学ぶ事を全て覚えてしまう可能性もあるぞ?」
父さんの俺に対する期待が凄いな。それでも母さんは心配らしい。
「でも、アキトはまだ五歳よ? それに魔法が使えないと、学園にはそもそも入れないでしょ?」
すると、父は首を横に振り、俺の方を向いた。
「……アキトは、魔法を使えるよな」
「「「ええ⁉」」」
母さんと兄さんと姉さんが驚いて声を上げる。
実は以前、隠れて魔法の練習をしているところを、父さんには見られてしまったのだ。
その時、父さんはさっきの母さん達と同じように驚いていたが――すぐに「そうか、魔法スキルを持ってたんだな」と嬉しそうに言い、それから「でも魔法は危ないから父さんと特訓をしようね」となって、父さんと秘密の特訓をしていたのだけど。
「そういうわけで、アキトには生まれ持っての魔法の才能がある。だから、試験を受ける価値があるんだ」
「……」
父さんにそう言われ、母さんは凄く悩んでいたが、数分経って「分かったわ」と言った。
母さんが真剣な表情で尋ねてくる。
「アキト、あなたは良いの? 試験はもの凄く難しいって聞くわよ?」
「はい! 今の自分がどれ程なのかも知りたいので、受けるだけ受けたいんです。それに、落ちたとしても五年待てば学園には通えますし、気楽に挑もうと思います」
俺がそう答えると、母さん、父さん、エリク兄さん、アミリス姉さんがそれぞれ口にする。
「はぁ~、アキトは本当に頑張り屋さんね……よし、母さんも応援しちゃうぞ」
「勿論、私も応援するよ」
「僕も応援するよ。アキト、頑張れ」
「お姉ちゃんも応援してます。一緒に試験勉強しましょう」
結局、家族全員から応援される事になるのだった。
「期待にこたえられるように頑張ります」
その日は食後すぐに風呂に入って、自室に戻った。
入学試験までは一週間ある。
この一週間は、朝から夕方まで座学の勉強。夕方から夕食までの短い時間帯を、魔法の訓練に割こうと決め、寝床に就くのだった。
◇ ◇ ◇
初日の朝。
「とりあえず、魔法の訓練が始まるまで、自分のステータスでも確認しておこう」
メイドが来る前に着替えを済ませた俺は、ソファーに座ってステータスを確認する。
名 前 :アキト・フォン・ジルニア
年 齢 :5
種 族 :クォーターエルフ
身 分 :王族
性 別 :男
属 性 :全
レベル :1
筋 力 :37
魔 力 :1079
敏 捷 :32
運 :78
スキル :【鑑定:MAX】【剣術:2】【身体能力強化:2】
【気配察知:MAX】【全属性魔法:2】【魔法強化:2】
【無詠唱:MAX】【念力:MAX】【魔力探知:MAX】
【付与術:3】【偽装:MAX】 【信仰心:3】
固有能力:【超成長】【魔導の才】【武道の才】【全言語】【図書館EX】【技能取得率上昇】
称 号 :努力者 勉強家
加 護 :フィーリアの加護
いつ見てもレベルは変わらないな。
レベルが1のままなのは、未だ家から一歩も出た事がなく経験値を稼いでいないから。その一方で、魔法の訓練はしてきたので魔法の能力値は上がっている。
「魔法に集中した結果だな」
そのおかげで、魔法系のスキルレベルが軒並みMAXになっている。
ただし、【全属性魔法】は1しか上がっていない。
この能力は、【全属性魔法】という一つのスキルの中に各属性の魔法スキルが入っているようなものなので、転生ガチャで引き当てた【超成長】をもってしてもあまり上がらなかった。
まあ、まだ転生して五年だし、気長に育てていくかな。俺は第二王子で、スローライフが送れる立場なのだから。
「アキト、もう起きておったのか?」
俺に話しかけてきた人物。
俺の父方の祖父、エルフ族のリオン爺ちゃんだ。
でも見た目は、俺の父さんと変わらないくらい若い。エルフ特有の長い耳に緑の髪色をしていて、目の色は父さんと同じく蒼眼だ。
「どうしたの、爺ちゃん? 最近、見かけなかったけど、何処かに行ってたの?」
「うむ、ちょっと〝トカゲ狩り〟に行ってたんじゃよ。久しぶりに奴らの肉が食いたくなってのう」
ははは。またか、この爺さんは……
爺ちゃんは閉鎖的なエルフ族の里出身で、その里では森から出ないのが決まりだった。それにもかかわらず「森の中で暮らすとか腐ってしまうわ」と里を飛び出し、世界中を旅したという変わり者である。
ジルニア王国が戦争続きだった時代。爺ちゃんは、押され気味のジルニア王国側に「面白そう」という思いから就いたという。
それで連戦連勝となり、たった一年で戦乱を終結させてしまった。
ジルニア王国に多大な貢献をした事で、爺ちゃんは王族に迎え入れられ、〝最強魔導士リオン様〟として国中から崇められている。
俺は、トカゲを狩ってきたと言った爺ちゃんに忠告する。
「トカゲって竜の事だよね。あまり狩りすぎたら、生態系が崩れるから程々にね」
「うむ、分かっておる。ちゃんとトカゲに〝何体倒していいか?〟と聞いて、その数だけしか食べておらぬ。ちょいと余ったもんだから、ついさっき料理長に渡してきた。今晩はトカゲ肉が食えるぞ」
はぁ~、これでも昔は王様をやっていたはずなのにな。
まあ、政治のほとんどを婆ちゃんや大臣に任せて、自由奔放にしていたらしいけど。
「それで、アキトは何をしてるんじゃ?」
「父さんから学園に入学しないかって急に言われてさ。そのための準備をしてたんだよ」
「ほう! そういえば、学園は実力があれば何歳からでも入れたのう。うむ、儂に何か手伝える事はないかの?」
爺ちゃんが⁉
「爺ちゃんが⁉」
「こら、思ってる事をそのまま言ってるぞ?」
おっと、爺ちゃんって勘が鋭いから、思ってる事がバレちゃうんだよな。
まあ、今のは俺が口に出していたわけだけど。
「それでどうなんじゃ? 魔法なら儂が教えてやるぞ?」
「う~ん。父さんにも魔法教えてもらう事になってるからなあ。じゃあさ、父さんから教えてもらえない攻撃魔法、教えてくれる?」
「うむ、良いぞ! 数千もの敵を吹き飛ばせる魔法を教えてやろう!」
いや。そんな強力な魔法を教えてもらっても、使う場面ないでしょ……でもまあ、でも爺ちゃんに教えてもらうのは楽しそうだな。
父さんは、どちらかというと補助系統の魔法の扱いが上手いけど、攻撃魔法はあまり得意ではないんだよな。その分、剣術や体術が得意で、色んな技を見せてくれるけどね。
俺は爺ちゃんに言う。
「それじゃ早速行こっか? 爺ちゃん」
「うむ、この時間なら訓練所も空いておるじゃろうしな」
爺ちゃんは俺に魔法を教えられるのが嬉しいみたいだった。
俺を抱えた爺ちゃんがやって来たのは、城の敷地内にある兵士達が使う訓練所だ。
そういえば午前中は座学の予定だったけど、仕方ないか。
爺ちゃんがニコニコしながら尋ねてくる。
「まずは、アキトの実力を知りたいのう。今、使える魔法を見せてくれぬか?」
「うん、分かった。それじゃ、見せるね」
火、水、風の基本属性。
土、氷、雷の変化属性。
光、闇、無の無系統属性。
更にどの属性にも入らない、時空間属性の魔法を爺ちゃんに見せた。
「アキト……全属性の持ち主じゃったのか⁉」
「うん、そうだよ。でも、父さん以外はこの事を知らないから、あまり言いふらさないでよ?」
ちょっと自慢げに言ってみたものの、よく考えたら爺ちゃんも全属性使えるんだよな。
「何じゃ何じゃ、アキト! 全属性持ってるんなら、早く言ってほしかったぞ! でもおかしいな。アキトが小さい頃、【鑑定】を使った事があるんだが、何も属性持ってなかったと出たはずなんじゃが……」
「あ~ごめん、爺ちゃん。俺、【偽装】を持ってるから【鑑定】を弾いたんだと思う。レベルはMAXだから、MAX以下の人が【鑑定】しても弾いちゃうんだ」
フィーリア様に忠告もされていたので、もしもの時に備えて、生まれてから一ヵ月間で【偽装】のレベル上げをしたのである。
そういえば、父さんも爺ちゃんと同じように驚いていたな。
「そうじゃったのか⁉ た、確かに儂の【鑑定】はMAXじゃないし、弾かれてもおかしくないのう。しかし、魔法が使えると分かったら違うぞ! アキト、儂の全てを教えてやる!」
爺ちゃん、めっちゃやる気出してるよ。
魔法の訓練以外にも、俺は試験勉強しないといけないから程々にしてほしいんだけど……
そう心配しながら俺は、爺ちゃんとの魔法の訓練を始めたのだった。
第3話 魔法の才能
「……ああ、本当に爺ちゃんの魔法は凄いな」
爺ちゃんと訓練を始めて二日目。
俺は爺ちゃんの魔法に、完全に魅了されていた。
ちなみに、座学と魔法の訓練の日程を見直し、一週間分改めて決め直した。前半四日間は魔法の訓練、後半三日間は勉強に集中する事にしたのである。
そんなわけで今日は、爺ちゃんと一緒に修業場所の山へやって来ていた。
「……こんな感じじゃな。分かったか、アキト?」
「こんな感じじゃって……ただただ凄まじい魔法を見せつけられて、やり方もコツも教えられてないんだけど?」
山に連れてこられて一時間。
この山よりも大きな火の玉、津波レベルの水の壁、そんな魔法を見せつけて、笑顔で「分かったか?」とか言ってる爺ちゃんは、多分教えるのが下手だと思う。
ともかく今見せてもらった魔法は、どれも俺が想像していたよりも大分凄かった。
「ねえ、爺ちゃん。一つ聞いてもいいかな?」
「んっ? 何じゃ質問か? 良いぞ」
「爺ちゃんってさ……人に魔法を教えた事ってある?」
ああ、爺ちゃん。さっきまで目をキラキラとさせていたのに、一瞬にして落ち込んでるよ。
これは、教えた経験ないって事だな。
「すまぬのう。これまで儂、誰かに魔法を教えた事がないんじゃよ。アリウスは婆さんっ子で儂が魔法教えるのを嫌がったし、エリクやアミリスは儂が教えるより教師に教わった方が良いって婆さんに止められてのう……」
「そうだったんだね。じゃあ爺ちゃん、魔法を使う時どんな事を考えているとか、具体的に教えてくれる?」
「うむ、そうじゃな……」
教え方は知らないが、魔法使いとしては一流の爺ちゃん。
適当に魔法を使っているはずがないと思って詳しく聞いてみると――やっぱり色んな事を考えていた。
「……成程、俺が思っていた通りだよ。イメージ力も魔法威力に関係してるけど、それ以上にその属性の事を知らないといけないんだね」
爺ちゃんが話してくれた事をまとめると、そんな感じだった。
つまり、属性の知識が必要なのだ。
「うむ。例えばな、一つ一つの属性には相性の良い属性、悪い属性が存在しておるからのう。複合魔法を使う際には気を付けないといかん。火と水、加減を間違えれば相殺して蒸発してしまうが、上手くコントロールすれば温水に変わる」
爺ちゃんはそう話しながら、複数の属性と組み合わせる〝複合魔法〟を使った。
爺ちゃんの手の上には温水があるが、これは簡単そうで難しい。頭の中で温かい水をしっかりイメージしないと生み出せないのだ。
爺ちゃんは一瞬で作り上げてしまったけど。
「凄いね。爺ちゃん、複合魔法が使えるんだ」
「最初の頃はイメージ力も乏しくなかなか難しかった。じゃが、経験を重ねたおかげで、今では簡単に扱う事ができる。他のスキルも一緒じゃが、容易に極める事はできんし、覚えたところで訓練を怠ればすぐ忘れてしまう。日々の積み重ねが大事じゃよ」
「はい!」
勢いよく返事をする俺に、爺ちゃんは嬉しそうに笑い、俺の頭を軽く撫でた。
爺ちゃん、これまで息子にも孫にも教えられなかったから、俺に教えられるのが嬉しいんだろうな。
爺ちゃんが笑みを浮かべつつ言う。
「まず基礎の基礎として、魔法のイメージ力が必要じゃ。アキトはその辺は大分いい感じじゃ」
「そうなの?」
爺ちゃんの褒め言葉が疑わしく感じ、俺は聞き返した。
だって、爺ちゃんの魔法を見せつけられた後なんだ。そんな事を言われても、孫可愛さに褒めたのでは? と信じられない。
「アキト、お主今、儂が〝孫可愛さに褒めた〟と思ったじゃろ? 一つ言うとじゃな。アキトの今の魔法の力でも、試験に合格する事はできるんじゃ」
えっ? 爺ちゃん。流石にそれはないでしょ。
だって学園って前世で言う進学校みたいな所だと聞いている。確かに色々と訓練はしてきたけど、それで入学は……
そんな事を考えていると、爺ちゃんはボッと手にハンドボール程の火の玉を作り、数メートル先に投げた。
「今見せた魔法で、学園に入学はできるんじゃ」
「えっ?」
「学園は〝勉強する場の提供〟というのを方針としておって、入学金もそこそこに抑えておるんじゃ。また、貴族・平民といった身分に関係なく、色んな者達が勉強できるように、入学レベルは低く設定されておるんじゃよ」
「そうなんだ」
試験は難しいとも聞いていたのに、そういうわけじゃないんだね。
「じゃが、だからと言って勉強しない者がずっといる事はできんのじゃ。誰かれ構わず学園に置いておく事はできんからのう。学ぶ意志がある者だけが学園に残れる。じゃから、入学レベルで満足しておったらいかんのじゃ」
爺ちゃんはそう言うと、もう一度手に魔力を集めた。そして、先程の火の玉の数十倍の大きさの火の玉を作り上げ、同じように飛ばした。
魔法が当たった地面は抉れ、炎が派手に燃え広がる。
「このレベルが、今回の特訓の合格ラインじゃ!」
笑顔で言う爺ちゃんに対して、俺は内心でこう思った。
――俺、そのレベル、既に扱えます。
笑顔でこちらを見ている爺ちゃんに、申し訳ないと感じながらも俺は魔力を練る。そうして合格ラインと言われた威力の魔法を放った俺は、爺ちゃんの方を向く。
爺ちゃんは呆然としていた。
「へっ?」
「爺ちゃん、そのくらいの魔法はもう使えるんだ。参考までに言うと、俺の魔力値は1000超えてるよ」
「……せ、1000じゃと⁉」
やっぱり驚くか。
まあ、前にこの世界の人々の魔力値を調べた事があるんだけど、1000は冒険者でC・Dランクの強さだった。
数値に関して更に詳しく言うと、こんな感じだ。
0 ~ 100 :子供レベル
100 ~ 500 :一般人レベル
500 ~ 1000 :新人冒険者、新兵レベル
1000 ~ 5000 :中級冒険者、兵士レベル
5000 ~ 10000 :上級冒険者、団長レベル
10000 ~ :化け物レベル
俺の魔力レベルは、右から四番目。中級冒険者レベルに値する。
ちなみに、この数値は目安みたいなものだから、「1000以上ある。これで中級冒険者だ!」というわけではない。
なお、10000以上の者はこの世界に数人程しかいない。いても、竜王だったり獣王だったり、他大陸の別種族の王とかである。
まあ、この国にもその10000超えの化け物がいるんだけどね。
その人物は、目の前で俺のステータスを見ている〝狂魔導士リオン〟こと、リオン・フォン・ジルニアだ。ちなみに爺ちゃんには、〝最強魔導士〟とか〝狂魔導士〟とか物騒な二つ名がたくさんある。
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