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第三章
第42話 とある元暗殺者の奴隷の日常:クロネ視点
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私の名前はクロネ。ただのクロネ。
元々は暗殺者をしていたが、運悪く依頼先の人物に掴まり奴隷にさせられた。
そして、今の私は大国ジルニア国の第二王子アキト・フォン・ジルニアの奴隷だ。
「クロネ~、これ頼むね~」
「ねえ、本当に夜中に呼び出して買い出しを頼むの止めてくれない?」
「まあ、いいじゃないか。クロネは俺の奴隷なんだから」
そう言われて私は、ほぼ二日に一回のペースでおつかいを頼まれる。
「もうちょっと違うのを頼みなさいよ……」
私はブツブツと文句を垂れつつ、主人である自室から抜け出し街へとやって来た。
主人が住む場所、それはこの国で最も警備が固い王城である。
まあ、私ともなれば侵入は造作もない事だが。一人危険な人物が居る。
それは、主人の祖父にしてジルニア国の最強の切り札。〝狂魔導士リオン〟である。
アレが出てくるとなれば話は別だ。私もアレが居ない間に事を済ませようと機会を日計らって侵入した。
まあ、結果として言えば私の油断で依頼先の人物に掴まり奴隷に落とされてしまった。
「あら、クロネちゃん。また、こんな時間におつかいなの?」
「そうなんですよ~、毎度ごめんなさ~い」
「良いのよ。昼間あんなに助けてもらってるからね。いつものでしょ? 持ってくるわ」
私が来たのは、この王都でも有名な酒場。
だが、私は飲みに来たのではない。
ここの看板娘でもあるリコちゃんと、昼間は薬草屋をやっているのでここに来れば夜でも主人からの無茶振りの品も買う事が出来る。
そして、昼間助けていると言うのは、リコちゃんの護衛である。
酒場でも人気者のリコちゃんは多くの男に狙われている。
だから、私はそんなリコちゃんの護衛を昼間はしており、こうして夜に買い物が出来る様に準備して貰っている。
「どうクロネちゃん一杯飲んでいく?」
「ん~、遠慮しておくね。帰ったらやりたい事も有るから、酔いたく無いのよ」
「そう? まあ、次来た時は飲んで行ってね。私のおごりだから」
「うん、その時はよろしくね」
そう言って目的の品を手に入れた私は酒場を後にして、主人が奴隷の為に買った家へと帰宅した。
今日買った品を倉庫に入れて、在庫の確認をした。
「あ~、この草が少なくなってるわね。ニア達に頼んでおかないと」
在庫確認は私の仕事の一つ。
あの意地悪主人から「雑用はクロネに全部任せる」と言われて、こんな面倒な仕事もやっている。
まあ、これはこれで意外と自分の為にもなっている。
これまで暗殺しかやってこなかった私に、あの意地悪主人は学を付けてくれた。
馬鹿のままじゃ使えないとか言われてたけど、馬鹿じゃない奴隷を買った方が楽だったはずなのにね。
「あ~、前の時にこれは難しいから無くなる前に言ってって言ったのに!」
そう憤慨している私だが、こんな事はしょっちゅうだ。
あの主人、私をいじめる事に関しては徹底していて、私が嫌がる事を一日に一度はしてくる。
今日は平和だと思っていたが、こんな最後の最後で来るとは思わなかった。
ああ、既におつかいは嫌な部類に入ってないのは見透かされている。
最初の頃は嫌そうな顔をしていたのに、最近はリコと会うのも楽しみにしている自分が居るからだろう。
「クロネさん、お茶を淹れましたから休憩なさいませんか?」
「ん~、そうね。そうさせてもらうわ、ありがとうエマ」
「いえ、私共よりも働いているクロネさんのサポートをするのも私達の仕事ですから、軽食も一緒にお持ちしましょうか?」
「ううん、お茶だけでいいわ。この時間に食べると太っちゃうし」
「……クロネさん、そんなにお痩せになっているのにそんな事を気になさるんですか?」
ジト目で私の体を見てくるエマに私は優しく言い返した。
「エマ、積み重ねって大事なのよ? ふと油断した隙に脂肪はドンドン付いて行くわ、私も一度失敗したことがあるのよ」
「そ、そうなんですか!? そんなにきれいなくびれを持っていたので……」
「努力の結晶よ。まあ、暗殺者だから動きが遅くなったら死ぬリスクも高くなるって判断して死ぬ気で痩せたわ」
昔の自分を思い出しながら、エマにそう言った。
あの頃の私は、仕事が上手く行かずに食に逃げて、ブクブクと太っていた。
そして、本当に死ぬかと思う依頼が有りそこから自分磨きを徹底した。
そのおかげで、B級暗殺者まで駆け上る事が出来たが、最後はまた油断して奴隷に落ちてしまった。
「お茶ありがとうね。エマも早く寝なさいよ」
「はい、おやすみなさいクロネさん」
「おやすみエマ」
その後、エマが自室に帰って行き一人になった私は、在庫確認を終わらせて自室に帰って来た。
自室に帰って来た私は、主人から貰った〝クロネ勉強ノート〟と表紙に掛かれているノートを取り出した。
「私の事を奴隷として使い潰したいのか、分からない主人よね。本当に……」
このノートは全て主人の手書きで、出来ている。
私に学が無いと知ると、最低限と言いつつこの世界の何倍もの知識を身に付けろと言われ、このノートを渡された。
「さてと、今日も勉強頑張ろうかしら……」
そう呟き、私はノートを開いて勉強を始めた。
陽が昇れば、また呼び出される出だろうし、その時間までが私の勉強時間だ。
寝るのは、いつも昼の陽が一番出ている時間。
その時間が一番、寝るのに最適な時間だ。
リコちゃんもその時間だけは、私の為にお店の中で作業をしてくれている。
本当にいい子だ。
元々は暗殺者をしていたが、運悪く依頼先の人物に掴まり奴隷にさせられた。
そして、今の私は大国ジルニア国の第二王子アキト・フォン・ジルニアの奴隷だ。
「クロネ~、これ頼むね~」
「ねえ、本当に夜中に呼び出して買い出しを頼むの止めてくれない?」
「まあ、いいじゃないか。クロネは俺の奴隷なんだから」
そう言われて私は、ほぼ二日に一回のペースでおつかいを頼まれる。
「もうちょっと違うのを頼みなさいよ……」
私はブツブツと文句を垂れつつ、主人である自室から抜け出し街へとやって来た。
主人が住む場所、それはこの国で最も警備が固い王城である。
まあ、私ともなれば侵入は造作もない事だが。一人危険な人物が居る。
それは、主人の祖父にしてジルニア国の最強の切り札。〝狂魔導士リオン〟である。
アレが出てくるとなれば話は別だ。私もアレが居ない間に事を済ませようと機会を日計らって侵入した。
まあ、結果として言えば私の油断で依頼先の人物に掴まり奴隷に落とされてしまった。
「あら、クロネちゃん。また、こんな時間におつかいなの?」
「そうなんですよ~、毎度ごめんなさ~い」
「良いのよ。昼間あんなに助けてもらってるからね。いつものでしょ? 持ってくるわ」
私が来たのは、この王都でも有名な酒場。
だが、私は飲みに来たのではない。
ここの看板娘でもあるリコちゃんと、昼間は薬草屋をやっているのでここに来れば夜でも主人からの無茶振りの品も買う事が出来る。
そして、昼間助けていると言うのは、リコちゃんの護衛である。
酒場でも人気者のリコちゃんは多くの男に狙われている。
だから、私はそんなリコちゃんの護衛を昼間はしており、こうして夜に買い物が出来る様に準備して貰っている。
「どうクロネちゃん一杯飲んでいく?」
「ん~、遠慮しておくね。帰ったらやりたい事も有るから、酔いたく無いのよ」
「そう? まあ、次来た時は飲んで行ってね。私のおごりだから」
「うん、その時はよろしくね」
そう言って目的の品を手に入れた私は酒場を後にして、主人が奴隷の為に買った家へと帰宅した。
今日買った品を倉庫に入れて、在庫の確認をした。
「あ~、この草が少なくなってるわね。ニア達に頼んでおかないと」
在庫確認は私の仕事の一つ。
あの意地悪主人から「雑用はクロネに全部任せる」と言われて、こんな面倒な仕事もやっている。
まあ、これはこれで意外と自分の為にもなっている。
これまで暗殺しかやってこなかった私に、あの意地悪主人は学を付けてくれた。
馬鹿のままじゃ使えないとか言われてたけど、馬鹿じゃない奴隷を買った方が楽だったはずなのにね。
「あ~、前の時にこれは難しいから無くなる前に言ってって言ったのに!」
そう憤慨している私だが、こんな事はしょっちゅうだ。
あの主人、私をいじめる事に関しては徹底していて、私が嫌がる事を一日に一度はしてくる。
今日は平和だと思っていたが、こんな最後の最後で来るとは思わなかった。
ああ、既におつかいは嫌な部類に入ってないのは見透かされている。
最初の頃は嫌そうな顔をしていたのに、最近はリコと会うのも楽しみにしている自分が居るからだろう。
「クロネさん、お茶を淹れましたから休憩なさいませんか?」
「ん~、そうね。そうさせてもらうわ、ありがとうエマ」
「いえ、私共よりも働いているクロネさんのサポートをするのも私達の仕事ですから、軽食も一緒にお持ちしましょうか?」
「ううん、お茶だけでいいわ。この時間に食べると太っちゃうし」
「……クロネさん、そんなにお痩せになっているのにそんな事を気になさるんですか?」
ジト目で私の体を見てくるエマに私は優しく言い返した。
「エマ、積み重ねって大事なのよ? ふと油断した隙に脂肪はドンドン付いて行くわ、私も一度失敗したことがあるのよ」
「そ、そうなんですか!? そんなにきれいなくびれを持っていたので……」
「努力の結晶よ。まあ、暗殺者だから動きが遅くなったら死ぬリスクも高くなるって判断して死ぬ気で痩せたわ」
昔の自分を思い出しながら、エマにそう言った。
あの頃の私は、仕事が上手く行かずに食に逃げて、ブクブクと太っていた。
そして、本当に死ぬかと思う依頼が有りそこから自分磨きを徹底した。
そのおかげで、B級暗殺者まで駆け上る事が出来たが、最後はまた油断して奴隷に落ちてしまった。
「お茶ありがとうね。エマも早く寝なさいよ」
「はい、おやすみなさいクロネさん」
「おやすみエマ」
その後、エマが自室に帰って行き一人になった私は、在庫確認を終わらせて自室に帰って来た。
自室に帰って来た私は、主人から貰った〝クロネ勉強ノート〟と表紙に掛かれているノートを取り出した。
「私の事を奴隷として使い潰したいのか、分からない主人よね。本当に……」
このノートは全て主人の手書きで、出来ている。
私に学が無いと知ると、最低限と言いつつこの世界の何倍もの知識を身に付けろと言われ、このノートを渡された。
「さてと、今日も勉強頑張ろうかしら……」
そう呟き、私はノートを開いて勉強を始めた。
陽が昇れば、また呼び出される出だろうし、その時間までが私の勉強時間だ。
寝るのは、いつも昼の陽が一番出ている時間。
その時間が一番、寝るのに最適な時間だ。
リコちゃんもその時間だけは、私の為にお店の中で作業をしてくれている。
本当にいい子だ。
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