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第139話
しおりを挟む馬車を下りて、パーティー会場である建物に家族みんなで移動した。
建物の中に入ると既に生徒や生徒の親御さんが沢山人がいっぱいいた。父さん達は、教師の人達に挨拶に行ってくると言ったので俺と姉さん達でパーティーを回ることにした。
「あっ、クリフ、アリエス、エレミア。こっちだよ」
「レリック兄さん!」
会場の中を歩いていると、正面の奥から兄さんが俺達の事を見つけてくれた。俺達は、兄さん達と一緒に壁際に移動し一息ついた。
「いや~、人が多くてクリフ達見つけれるか心配だったけど、見つけれてよかったよ」
「うん……て、あれ? クラリス兄さんは、来てないの?」
「……あっ、クリフ達を見つけてたからクラリスの事忘れてた」
兄さんは「どうしよ……」と言っていると、アリエス姉さんが「あれ、クラリス君じゃない?」と指を指した方にクラリス兄さんはが歩いていた。見つけたクラリス兄さんの所に俺が行き、兄さん達の所に連れて行った。
「俺、あんまり人が多い所苦手だ……」
「そう言うなよ。今後、殿下の付き人になる以上人とは関わって行くんだから」
「そうだけどよ……はあ、っとそう言えばクリフ。Cランクになったんだってな、城の兵士も驚いてたぜ半年もせずCランクに上がる何て? って」
クラリス兄さんは「頑張ってるんだな」と言って、俺の頭撫でた。その後、兄弟でパーティーに出されている料理を皿に取り分け壁際に戻って来ようとすると、兄さん達は女子に姉さん達は男子に囲まれて俺とはぐれてしまった。
「うん、兄と姉が人気者って再確認させられるな……」
俺の所には誰一人来なかったので、一人で壁際で食べていると1人の男子が近づいてきた。俺はその男子の顔をよく見ると、兄さん達の護衛の対象である殿下だった。
「やあ、こうして話すのは初めてでね。クリフ君の事は、お爺様からも君の兄達からも良く聞いているよ」
「あっ、えっと、始めましてクリフです」
俺は食べていた物を急いで飲み込み、殿下に挨拶を返した。殿下は、俺の返答にクスッと笑い「いいよ。今日は、国の王子じゃなくて君のお兄さんの友達として会いに来たから」と言った。
「クリフ君、凄いね。冒険者になって少ししか経って無いのに、Cランクに上がってその昇格した時の依頼が〝毒竜の討伐〟だったんでしょ? 僕、一度も竜を見た事無いからどんなんだったか教えてくれる?」
「あっ、えっと~」
殿下は、グイグイと詰め寄り目をキラキラとして聞いてきた。俺は、どう言えば良いか迷ってるとレリック兄さんが戻って来て「殿下、クリフが困ってるからその辺にしてくれますか?」と止めてくれた。
「困ってるって、レリック達が僕を外に出してくれないから、外がどんなんか聞いてただけだよ」
「……クリフ。ごめんね。ちょっとだけ話を聞かせてあげて」
レリック兄さんに頼まれた俺は、これまでの冒険の話を殿下にした。殿下は、目をキラキラとしてその全てを聞き「クリフ君、竜を従魔にしてるんだ」と羨ましそうに言った。
「えっと、何でしたら今度城に連れて来ましょうか?」
「えっ、本当かい?! レリック、良いよね?」
「……クリフ。その竜は、クリフに懐いてるのかい?」
「懐いているって言うか、普通に人化出来るから一緒に家の中で暮らしてるよ」
そう言うと、殿下は「人化が出来る竜?!」と驚きレリック兄さんは「……後で、父さんに聞いて良いか聞こう」と言った。兄さんの言葉に「それじゃ、直ぐにクリムさんを見つけてこよう」と殿下は走り出し兄さんは殿下を追って、また1人になった。
(兄さんも大変だな~、昔の殿下の印象とは少し変わってたけど良い人ってのは分かるな)
そんな事を思いながら、残っていた料理を食べていると姉さん達とクラリス兄さんが疲れた様子で戻って来た。
「クリフ君、見捨てないでよ~」
「そうだよ。私達が知らない男の子に話しかけられて何も思わないの?」
「え、えっと……ほら、友達かな? って思ってさ邪魔しちゃ悪いかな~と」
言い訳の様に言った俺の言葉にムスッとした姉さん達に「ご、ごめんね」と謝りながらアイテムボックスからクッキーを取り出し姉さん達に渡すと、チラッとクッキーを見ると手に取り美味しそうに食べ始めて笑顔に戻った。
(ふぅ、クッキー最強だな)
在庫を絶対に切らさない様にクッキーは見て行こうと心に誓った。
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