前世ポイントッ! ~転生して楽しく異世界生活~

霜月雹花

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第137話

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 家族で竜の里へ温泉に入りに行った次の日、アリス達との集合場所のギルド前に行き王都の外の依頼で良いのが無いか探していると、丁度良さそうな依頼を見つけた。

「アリス、ミケ。これどうかな? 【黒狼の討伐】ってやつで、ウルフ種の進化個体の討伐依頼だけど」

 俺の持ってきた依頼を2人に見せると「良いよ」と2人が返事をしたので、レインさんの受付に行き依頼書を渡し依頼を受けた。
 その後、王都の外に移動した俺達は、黒狼が目撃されたと言う王都の近くの森へ【強化魔法】を使い移動を開始した。最近のゴーレム作成でゴーレム事態に強化魔法も使っていた事でレベルも上がり強化できる数値が上がり前より移動する速さが上がっていた。
 その事にアリス達も気が付き、楽しそうに走っていた。

「ねぇ、クリフ君。ミケちゃんに聞いたけど、ドラゴンを従魔にしたの?」

「うん、ちょっとした縁があってね。今日は連れて来てないけど、今度従魔と従者を合わせるよ」

「ホントにッ?! やった~僕、ドラゴン一度会って見たかったんだ~」

 アリスは、喜びながらそう言っているとミケから「黒狼を見つけたよ」と報告があったので走るのを止め、ミケが見つけた方へ歩いて向かった。
 視線の先に1体の普通のウルフの何倍も大きい黒いウルフが居た。本当にコレCランクの依頼なのか? と一瞬思ったが、ここまで来たら退けないしいざと成ればドラグノフ達を呼ぶ事も出来るから万全の準備をして挑もうと小声でアリス達に伝えた。

 まずは【強化魔法】を力と敏捷に掛け、【鬼人化】を使った。すると、アリスも「私も使うね」と言って【鬼人化】の詠唱を始めた。俺は驚き、いつ手に入れたのか聞くと今回の里帰りの時に神様に加護を貰ったとアリスは笑顔で言った。
 するとミケも「私も里帰り中に神様に加護貰ったよ」と言うと、無詠唱で魔法を使った。

「ふ、2人共強くなって戻って来たんだね……」

「クリフ君に言われてもな~」

「そうですね。クリフ君、私達より更に強くなってましたし」

 どうやら、2人は俺が毒竜を討伐したりガルドさんを倒した事をルーシェに聞いていた様でジト目で反論されてしまった。

「は、話はここまでにして黒狼が移動する前に行くか」

「「は~い」」

 俺の言葉に少し笑いながら2人が返事をし、俺達は黒狼の場所まで移動した。

「ミケ頼む」

「はい!」

「ガゥッ!」

 俺とアリスが左右から先行し、ミケに後方から魔法で黒狼の注意をひいて貰った。黒狼は、俺達ではなくミケに目を向け威嚇し完全に俺とアリスが視界から外れた。

「アリス、今だ!」

 そう言って、俺とアリスは黒狼の左右両方から飛び出し黒狼の前足を斬り飛ばそうとした。しかし、黒狼はミケに視線を向けていたのに一瞬で俺達を発見し、後方へジャンプし避けた。
 避けた黒狼にミケが再度、魔法で攻撃をし魔法の陰に隠れ俺とアリスが正面から黒狼へ攻撃をした。
 黒狼が魔法を避ける為に左へ移動したのを確認した俺は、足に力を入れ一瞬で黒狼の正面に立ち剣で顔を突き刺した。

「ガァルァッ!!」

 黒狼は顔を傷付けられたことで怒り、風魔法を使い俺に攻撃してきた。俺は、それを土の壁で防ぎ、壁の上を【空歩】で飛び黒狼の背中に剣を突き刺した。それでも逃げようとした所でアリスに首を斬られ黒狼は倒れた。

「ふぅ~、結構いい相手だったな」

「結構いい相手って……クリフ君、僕の最大の速さでやっとなのを軽々と倒さないで欲しいな」

「そうですよ。私の魔法も全然効いてませんでしたよ」

 黒狼の死体を回収していると2人からそう言われた俺は「ご、ごめん」と謝り、詫びの対価としてお菓子を2人に渡した。渡したのは、いつも母さんを止める為に使っているハチミツ入りクッキーとホットケーキ(ハチミツかけ)を渡した。

「うわ~、美味しい~クリフ君。調理のスキルレベル上がったの?」

「そうだね。2人が居ない間に暇だったから」

「これは、今度ダンジョンで止まる時の料理が楽しみだね~ミケちゃん」

「だね。アリスちゃん」

 アリスとミケは、ニコニコと笑顔で俺に向けてそう言った来たので「が、頑張ります」と言って、食材の調達をしておこうと心のメモ帳に刻んだ。
 その後、休憩も終わり王都に帰ってきた俺達は依頼の報告をして報酬を貰い、ギルドから出た。

「あっ、そう言えば明日と明後日は休みにしてくれないか?」

「ん? 明後日は、パーティーに行くって聞いてたけど明日は何で?」

「ちょっと、最近ゴーレムを作るのにはまっててゴーレムを強化するのに魔石の勉強が必要で、明日は魔石の勉強しに行ってくるんだ」

「クリフ君って何でも、手を出すね。分かった。それじゃ、明日はミケちゃんと一緒にダンジョンに行ってくるよ」

「クリフ君が居ない2人での探索って初めてだね。楽しみ~」

「ありがとう2人共、もしゴーレムが普通に作れるようになったら2人にも見せるよ」

 そう言って俺達は別れた後、家に帰って来た。いつもの様に地下室でトランプでゲームをしていたドラグノフの中に交ざり、夕方まで一緒に遊び夕飯を食べた後、風呂に入り今日は早めに寝ることにした。

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