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第126話
しおりを挟む魔法の練習を始めて数時間が経った。今回の練習でも一番やっていた筈の闇属性のスキルはレベルは上がらなかった。
「こいつ本当にレベル上がるのが遅いな、爺ちゃんに貰った本にも属性のスキルの中で一番上げにくい魔法って書かれてたけど土魔法といい本当に上がらないな……」
爺ちゃんに貰った本の中に書かれていた。〝上がりにくい属性スキル〟の所でトップが闇、次に土と書かれていた。その次に書かれていたのが無で闇以外の2つはただ単純に使い手が余り居ないと書かれていたけど
「はぁ~、無属性のスキルも頑張ってるんだが中々8にならないな……まあ、ここまで殆どポイント任せだったしな」
それを言うなら、聖属性のスキルなんてポイントだけでMAXにしたようなもんだけど、これ以上無駄に使ったら後々困りそうだし、欲しいスキルを見つけた時に取れなかったら嫌だしな……
「まあ、取りあえず練習を続けるか……」
その後、俺は陽が暮れるまで無属性と闇属性のスキル練習を徹底して行った。
☆★☆
クリフが庭で魔法の練習をしている時、王都冒険者ギルド・ギルド長室に1人の男が資料を目にして考え事をしていた。
「……遂にクリフ君もCランクか、クリムさんやリサラさんより少し遅かったがやはりあの二人の息子だな」
ギルド長、ノーマンはクリムとリサラの事が書かれている冒険者記録書とクリフの冒険者記録書を見比べて言った。
「クリフ君、剣も魔法も出来る子だから直ぐにBランクに上がりそうだな……資料で分かっている中で【武神様】と【魔導神様】の加護を持ってるのは分かってるから、クリム様達以上の冒険者になりそうだね」
ノーマンは少し嬉しそうに記録書を閉じ、ファイルにしまい大金をつぎ込んで覚えたアイテムボックスに入れた。
「私も若かったら、クリフ君と冒険しに行って見たかったな……」
ノーマンはそう呟き、新たな資料を手に取り仕事に戻った。
この後直ぐにギルドの受付にクリム、リグルの2名から【クリフの2つ名】への推薦状が届き、その後直ぐにシルバー・シキットも推薦状をギルドで書き提出した。これにより、クリフの【2つ名】が付く未来は決定づけられた。
☆★☆
外が暗くなったので家に戻ると外に出掛けていたのか執事のヴァリスさんが門から戻ってくるのが見えた。
「あれ? ヴァリスさん何処か行ってたの?」
「はい、クリム様からお届け物を頼まれたのでそれの帰りです。クリフ様」
「……届け物? も、もしかしてそれって〝推薦状〟?」
「すみません、封筒だったので中身が何かは分かりませんが〝ギルド〟への届け物でした」
ヴァリスさんにそれを聞いた瞬間、俺は直ぐに家に戻り爺ちゃんと父さんを探し回った。爺ちゃん達はリビングで母さん達と楽しく話をしていて直ぐに見つける事が出来た。
「爺ちゃん! 父さんッ!」
「なんじゃ、クリフ遅かったのう」
「おかえり、クリフ。裏庭で頑張っていたみたいだけど、どうだい調子は?」
俺は「調子は? じゃないよ」と爺ちゃん達の袖を掴み廊下に出した。
「何でギルドに推薦状送ったの?!」
「仲間を増やす為」
「面白そうじゃったから」
「この……」
爺ちゃん達は悪びれもせずそう言った。そして爺ちゃんに「ほれ、夕飯がもう時期出来るようじゃし戻ろう」と言われ爺ちゃん達と一緒にリビングに戻った。
「どうしたの、クリフちゃん? 慌てて、父さん達を連れて行って」
「母さん……」
俺を心配して、戻って来た俺の前に来た母さんは心配した顔で俺の前に屈みそう言った。
「母さん、僕ね今日冒険者のランクがCランクに上がったの」
「あら? それは、おめでとう。でも嬉しそうじゃないわね?」
「うん、ほらCランクになると【2つ名】が付くって今日父さん達に聞いて僕【2つ名】何て要らないって言ったのに父さん達が僕に意地悪で推薦状をギルドに出したの……」
俺はガチで落ち込みながら母さんに言った。母さんは俺の事を優しく抱きしめて「そう、分かったわ」と言って頭を撫でて母さんは立ち上がり父さん達の襟首を持った。
「さて、可愛いクリフちゃんを大人が揶揄って面白かった?」
「ちょ、ちょっと待つんじゃリサラ!」
「ク、クリフ?! これは、卑怯だよ?」
「卑怯って何? クリフちゃんは傷ついているのよ? やっぱり、あの程度じゃ貴方達は駄目だったのね。母さん、一緒にこの2人の説教手伝って」
「良いわよ。アリエス、エレミア、クリフちゃんの事頼んだわよ」
婆ちゃんに言われたアリエス姉さん達は「はい!」と言って俺をソファーの所へ連れて言ってくれて両隣から「大丈夫だった?」と優しく介抱してくれた。
そして、母さん達に連れて行かれた父さん達の悲鳴が聞こえてきた。
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