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第115話
しおりを挟むクラリス兄さんも使う武器は片手剣で良いと言ったので木の剣をクラリス兄さんに渡すと「ちょっと、待っててくれ」と言われ待って居ると渡した剣を持って色んな角度で振りだした。
「よし、良い感じだ。待たせてすまんなクリフ」
「いや良いよ。それじゃ、さっきレリック兄さんの時にやってた様に銀貨が落ちたら試合開始の合図で良い?」
「分かった。それで、良いぞ」
クラリス兄さんの了承を貰った俺はアイテムボックスから銀貨を取り出し空中に弾き飛ばした。そして、銀貨が落ちる瞬間を見つめ落ちた瞬間俺とクラリス兄さんは同時に動いた。剣と剣がぶつかり合うとレリック兄さんの時とは違って剣が重く感じた。そして、続いての2撃目を俺は後ろにバックステップで避け兄さんの剣が空振ってる所へ近づき横からの攻撃を放った。
「ッ、やるなクリフ」
「兄さんも、昔より剣上手くなってるね」
「当り前だろ、こっちは護衛と訓練一緒にしてんだからなッ」
俺の横からの一撃は容易に兄さんの剣に止められ、今度は兄さんの番になった。兄さんは剣を受け止めていたのを流すように逸らし、そのまま俺の手首を狙って柄で殴って来た。柄の攻撃が俺の持ってる剣に当たり強い衝撃で落としそうになったが、何とか持ちこたえ兄さんの次なる攻撃に備えた。
「やっぱ、クリフ強かったんだな……昔から素質だけは、魔法も剣も持ってたからいつかはやり合ってみたいと思っていたがこんなに早く来るとは思わなかったぞ」
「これでも日夜、冒険者としてダンジョンで魔物と戦ってるからね。それなりには戦えるよ」
そう言って、兄さんとの開いた距離を一瞬にして縮め下から剣を持ち上げる様に振るった。それに対し兄さんは上から剣を振りかざしてきて俺と兄さんの剣はぶつかり合った。
結果、俺と兄さんの使っていた木の剣が両方とも自分達の力に耐えきれず折れてしまった。
「最後の攻撃、良かったぞ木の剣じゃなくて真剣だったらやられたな」
「兄さんも剣の腕凄く上達しててビックリしたよ」
お互い地面に座りながら言い合うとタオルを持って来てくれた父さんから「二人共良かったぞ、お互いの実力出せたか?」と聞かれ兄さんは「俺は、自分の剣の腕をもうちょっと見つめ直すよ。クリフ、まだ全力で来てくれてなかったしね」と言いながら立ち上がった。
「全力だったよ? ただ、魔法を兄さんも使ってなかったから僕も使ってなかっただけだよ」
「8歳の弟との試合で魔法は使えるかよ。兄貴の気持ち考えっての、まあクリフが成人したらお互い全力でやろうな」
「うん、その時は兄さんも魔法使ってちゃんと全力で戦おうね」
俺達は経ち上がりながら約束し「ああ、それまで訓練して待ってるよ」と兄さんは言いながら父さんから受け取ったタオルで汗を拭いていた。父さんから「クリフ、前の時より剣の腕上がっていたな?」と聞かれ、「私とも勝負、しないか?」と言われたが流石にもう2人と試合して疲れたので「また、後日」と言ってタオルで汗を拭いていると母さんから呼ばれたので移動した。
「クリフ強くなってたわね」
「これでもDランクの冒険者だからね。それなりには戦えるよ母さん」
「そうね。冒険者だものね……そう言えば、クリフって剣をいつも持ってるけど魔法とかはどうなの?」
「最近もちゃんと練習してるよ。爺ちゃんから教わったやり方もちゃんと今でも続けてるし最近だと婆ちゃんからも回復魔法の使い方習ってるから魔法はちゃんと使ってるよ」
「そっか、クリフは母さんとは違って回復魔法のセンスもあったものね。どう? 母さんの教え方は?」
母さんから聞かれた俺はどう言えば良いのか分からなかった。正直に「指を切って再生させる」をやらされたと言ったら失神しそうだなと思った俺は「うん、凄く勉強になったよ」と笑顔で言って切り抜けることにした。そしてその後、兄さん達が帰るお昼まで皆で一緒にトランプで遊んだ。
兄さん達の迎えの馬車が着き別れる時「今度、暇があったら城に来ても良いんだよ。殿下もクリフと会うのは楽しみにしてるから」と別れる時にレリック兄さんから言われ、馬車に乗って行ってしまった兄さんに手を振った俺は「行く機会は早々ないけど、会った時は会いに行こうかな」と思いつつ家に姉さん達と戻ると母さんが「アリエス、エレミア。ドレスの準備をしないと」と思い出したかのように慌てて姉さん達に言った。
「ドレス? パーティーでもあるの?」
「あっ、そう言えばもう直ぐで学園でパーティーがあったわ」
「そう言えば……忘れてたわ」
「母さんもよ。さっき、クリムから言われて思い出したのよ。急いで準備して、いつもの服屋さんに行くわよ」
母さんから言われた姉さん達は「はーい」と言って自分達の部屋に行ってしまった。姉さん達が服屋に行くと言う事はこの後、久しぶりに一人になったので何しようか迷っていると爺ちゃんから「クリフ、この前温泉に言った……」と竜の里の温泉の事を聞かれ「行きたい」と言われたので了承し父さんに「里に行ってくる」と言って、爺ちゃんと一緒に竜の里へ転移した。
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