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第111話
しおりを挟む婆ちゃんから課題を出され一週間が経った。教えて貰った次の日から午前はルーシェ達とダンジョンでの探索をしたり、直ぐに帰って来れそうな外に依頼を受けに行ったりした。午後は、今後に生かせれそうな勉強と婆ちゃんから教わった技を練習した。
流石に練習一日目は自分で指を切るという事すら出来なくてドラグノフに指示を出し指先を斬り飛ばしてもらってその後は一人で再生させると協力してやっていった。アーリンには俺が再生できなかった時の為に補助に付いて貰って3人で毎日練習を重ねた。
「さてクリフ、今日はテストの日よ。ちゃんと練習して来た?」
「バッチリ練習してきたよ。でも、流石に婆ちゃんみたいにユニークスキルまで発現は出来なかったけどね」
「リグルにでも聞いたの? まあ、私のユニークスキルを物にしたいのなら最低でも100年自分の体を痛め続けないといけないわよ」
「分かってる。まあ、取る気は今の所無いかな」
そう言うと「そう。それじゃ、早速テストを始めるわよ」と言われ準備に入った。
「どうするクリフ? 私が切って上げようか?」
「いや、流石に婆ちゃんにそんな事はさせれないよ。ドラグノフ頼める?」
「うむ、良いぞいつもと同じで指で良いんだな?」
「ええ、指先で良いわよ。感覚さえ掴めば手足再生位出来るようになってるわ」
そして早速、俺はドラグノフの前に小指を差し出した。ドラグノフは腰に提げてた片手剣を抜くと一瞬にして俺の小指を斬り飛ばした。一瞬の痛みが体中に走った瞬間、魔力を練り上げ自分の小指を再生させる事に成功した。
その一瞬の間は時間で表わすとすれば一秒にも満たない時間差でやり遂げた。
「凄いわ、まさか一週間でここまで仕上げてくるなんて思っても無かったわ」
「ドラグノフとアーリンにも手伝ってもらったからね。それに婆ちゃんのやり方を見てたから痛みにさえ耐えたら後は行けたよ」
「うふふ、やっぱり私達の孫ね」
そう言いながら頭を撫でて来た婆ちゃんは嬉しそうに笑っていた。その後、婆ちゃんから合格と言われた後「次に教えるのはクリフがもうちょっと大人になってから教えるわ」と言われたのでこれから先はこの技を磨いて行こうと言う話になった。
テストが終わった後、今日は学校が休みで家に居た姉さん達と遊んでいると誰かが家を訪ねて来た。玄関に見に行くと家に来たのは、久しぶりに会う兄さん達だった。
「クリフ、元気にしてた?」
「クリフ、久しぶりだな元気にしてたか?」
「うん元気にしてたよ。レリック兄さん、クラリス兄さん」
2人をリビングまで連れて行くと待って居た姉さん達は兄さん達が来ることを知っていたのかそのままリビングで話をしていた。訳が分からなかった俺は最年長のレリック兄さんに聞いた。
「あっ、もしかしてクリフ聞かされてなかった?」
「ごめんね。クリフ君、驚かせようと思ってて黙ってたの」
姉さんが言うには、いつもアーサー王子と一緒に居て家も別々でクリフと会えない兄さん達に姉さん達が「休みに入ったら、アーサー王子の護衛少し外してもらってお泊り会しよう」と提案したらしく一カ月前くらいから準備されていたらしい、アーサー王子も「偶には弟に会って来い」と逆に行かされるような感じで送り出されてきたらしい
「そうだったんだ。でもサプライズは嬉しいけど、もし僕が依頼に行ってたらどうしてたの?」
「う~ん、その時はその時で考えようかなって」
「えへへ」と笑っている姉さん達を見て「まあ、アリス達が居なくなって冒険者活動をほぼ休止してるから良かったよ」と言った。
「そうだ。クリフ、冒険者になったお祝いまだしてなかっただろ? これ僕とクラリスからだよ」
兄さん達はそう言いながら1つの宝石、に見える魔石が付いてるネックレスを俺に渡された。
「これは?」
「そこに付けられてる宝石、クリフなら分かると思うけど魔石で【中級】の魔石で効果は【魔力貯蔵】で自分の魔力を先に保管しておける魔具だよ」
それを聞いて俺は驚いた。普段の魔石下級であれだけの値段でギルドに売れてるのに中級のしかも【魔力貯蔵】と魔法職だったら欲しくなる一品を弟の祝いでプレゼントって……
「あ、ありがとう。でも、高かったんじゃないのコレ?」
「大丈夫さ、これでも数年前からアーサー殿下の護衛をしてるからお金は結構溜まってるんだよ」
「俺もだ。それに弟に何もしてやれない兄貴達の思いも込められてるから黙って受け取ってくれよクリフ」
「う、うん。ありがとうレリック兄さん、クラリス兄さん」
そう言いながら早速、魔力を込めるときつくならない程度で溜めようとしたが満タンにはならなかった。流石、中級の魔石だなと思い満タンになるまで数日かかるかもしれなさそうだった。
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