前世ポイントッ! ~転生して楽しく異世界生活~

霜月雹花

文字の大きさ
上 下
111 / 192

第111話

しおりを挟む

 婆ちゃんから課題を出され一週間が経った。教えて貰った次の日から午前はルーシェ達とダンジョンでの探索をしたり、直ぐに帰って来れそうな外に依頼を受けに行ったりした。午後は、今後に生かせれそうな勉強と婆ちゃんから教わった技を練習した。
 流石に練習一日目は自分で指を切るという事すら出来なくてドラグノフに指示を出し指先を斬り飛ばしてもらってその後は一人で再生させると協力してやっていった。アーリンには俺が再生できなかった時の為に補助に付いて貰って3人で毎日練習を重ねた。

「さてクリフ、今日はテストの日よ。ちゃんと練習して来た?」

「バッチリ練習してきたよ。でも、流石に婆ちゃんみたいにユニークスキルまで発現は出来なかったけどね」

「リグルにでも聞いたの? まあ、私のユニークスキルを物にしたいのなら最低でも100年自分の体を痛め続けないといけないわよ」

「分かってる。まあ、取る気は今の所無いかな」

 そう言うと「そう。それじゃ、早速テストを始めるわよ」と言われ準備に入った。

「どうするクリフ? 私が切って上げようか?」

「いや、流石に婆ちゃんにそんな事はさせれないよ。ドラグノフ頼める?」

「うむ、良いぞいつもと同じで指で良いんだな?」

「ええ、指先で良いわよ。感覚さえ掴めば手足再生位出来るようになってるわ」

 そして早速、俺はドラグノフの前に小指を差し出した。ドラグノフは腰に提げてた片手剣を抜くと一瞬にして俺の小指を斬り飛ばした。一瞬の痛みが体中に走った瞬間、魔力を練り上げ自分の小指を再生させる事に成功した。
 その一瞬の間は時間で表わすとすれば一秒にも満たない時間差でやり遂げた。

「凄いわ、まさか一週間でここまで仕上げてくるなんて思っても無かったわ」

「ドラグノフとアーリンにも手伝ってもらったからね。それに婆ちゃんのやり方を見てたから痛みにさえ耐えたら後は行けたよ」

「うふふ、やっぱり私達の孫ね」

 そう言いながら頭を撫でて来た婆ちゃんは嬉しそうに笑っていた。その後、婆ちゃんから合格と言われた後「次に教えるのはクリフがもうちょっと大人になってから教えるわ」と言われたのでこれから先はこの技を磨いて行こうと言う話になった。
 テストが終わった後、今日は学校が休みで家に居た姉さん達と遊んでいると誰かが家を訪ねて来た。玄関に見に行くと家に来たのは、久しぶりに会う兄さん達だった。

「クリフ、元気にしてた?」

「クリフ、久しぶりだな元気にしてたか?」

「うん元気にしてたよ。レリック兄さん、クラリス兄さん」

 2人をリビングまで連れて行くと待って居た姉さん達は兄さん達が来ることを知っていたのかそのままリビングで話をしていた。訳が分からなかった俺は最年長のレリック兄さんに聞いた。

「あっ、もしかしてクリフ聞かされてなかった?」

「ごめんね。クリフ君、驚かせようと思ってて黙ってたの」

 姉さんが言うには、いつもアーサー王子と一緒に居て家も別々でクリフと会えない兄さん達に姉さん達が「休みに入ったら、アーサー王子の護衛少し外してもらってお泊り会しよう」と提案したらしく一カ月前くらいから準備されていたらしい、アーサー王子も「偶には弟に会って来い」と逆に行かされるような感じで送り出されてきたらしい

「そうだったんだ。でもサプライズは嬉しいけど、もし僕が依頼に行ってたらどうしてたの?」

「う~ん、その時はその時で考えようかなって」

 「えへへ」と笑っている姉さん達を見て「まあ、アリス達が居なくなって冒険者活動をほぼ休止してるから良かったよ」と言った。

「そうだ。クリフ、冒険者になったお祝いまだしてなかっただろ? これ僕とクラリスからだよ」

 兄さん達はそう言いながら1つの宝石、に見える魔石が付いてるネックレスを俺に渡された。

「これは?」

「そこに付けられてる宝石、クリフなら分かると思うけど魔石で【中級】の魔石で効果は【魔力貯蔵】で自分の魔力を先に保管しておける魔具だよ」

 それを聞いて俺は驚いた。普段の魔石下級であれだけの値段でギルドに売れてるのに中級のしかも【魔力貯蔵】と魔法職だったら欲しくなる一品を弟の祝いでプレゼントって……

「あ、ありがとう。でも、高かったんじゃないのコレ?」

「大丈夫さ、これでも数年前からアーサー殿下の護衛をしてるからお金は結構溜まってるんだよ」

「俺もだ。それに弟に何もしてやれない兄貴達の思いも込められてるから黙って受け取ってくれよクリフ」

「う、うん。ありがとうレリック兄さん、クラリス兄さん」

 そう言いながら早速、魔力を込めるときつくならない程度で溜めようとしたが満タンにはならなかった。流石、中級の魔石だなと思い満タンになるまで数日かかるかもしれなさそうだった。

しおりを挟む
感想 192

あなたにおすすめの小説

公爵家三男に転生しましたが・・・

キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが… 色々と本当に色々とありまして・・・ 転生しました。 前世は女性でしたが異世界では男! 記憶持ち葛藤をご覧下さい。 作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

幼女と執事が異世界で

天界
ファンタジー
宝くじを握り締めオレは死んだ。 当選金額は約3億。だがオレが死んだのは神の過失だった! 謝罪と称して3億分の贈り物を貰って転生したら異世界!? おまけで貰った執事と共に異世界を満喫することを決めるオレ。 オレの人生はまだ始まったばかりだ!

転生先ではゆっくりと生きたい

ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。 事故で死んだ明彦が出会ったのは…… 転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた 小説家になろうでも連載中です。 なろうの方が話数が多いです。 https://ncode.syosetu.com/n8964gh/

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

愚かな者たちは国を滅ぼす【完結】

春の小径
ファンタジー
婚約破棄から始まる国の崩壊 『知らなかったから許される』なんて思わないでください。 それ自体、罪ですよ。 ⭐︎他社でも公開します

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜

青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ 孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。 そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。 これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。 小説家になろう様からの転載です!

婚約破棄された上に国外追放された聖女はチート級冒険者として生きていきます~私を追放した王国が大変なことになっている?へぇ、そうですか~

夏芽空
ファンタジー
無茶な仕事量を押し付けられる日々に、聖女マリアはすっかり嫌気が指していた。 「聖女なんてやってられないわよ!」 勢いで聖女の杖を叩きつけるが、跳ね返ってきた杖の先端がマリアの顎にクリーンヒット。 そのまま意識を失う。 意識を失ったマリアは、暗闇の中で前世の記憶を思い出した。 そのことがきっかけで、マリアは強い相手との戦いを望むようになる。 そしてさらには、チート級の力を手に入れる。 目を覚ましたマリアは、婚約者である第一王子から婚約破棄&国外追放を命じられた。 その言葉に、マリアは大歓喜。 (国外追放されれば、聖女という辛いだけの役目から解放されるわ!) そんな訳で、大はしゃぎで国を出ていくのだった。 外の世界で冒険者という存在を知ったマリアは、『強い相手と戦いたい』という前世の自分の願いを叶えるべく自らも冒険者となり、チート級の力を使って、順調にのし上がっていく。 一方、マリアを追放した王国は、その軽率な行いのせいで異常事態が発生していた……。

処理中です...