上 下
105 / 192

第105話

しおりを挟む

 次の日、昨日の疲れが治っているかアーリンに聞くと「大分良くなったけど、今日のお祭りは余り騒がない様にするわ」と言って溜息をついていた。ドラグノフも昨日のアーリンを見ていたので「今日留守番しておくか?」と聞くと「それは、嫌」とアーリンが断固拒否したので効くかどうか分からないが聖魔法をアーリンへと掛けてリビングに向かった。
 リビングで家族と一緒に朝食を食べた後、「俺、竜の里の方のお祭りに行ってくるから昼食と夕飯は要らないよ」と言いリビングを出てドラグノフとアーリンに俺に触れて貰いレドルの杖を使い、竜の里の転移先である倉庫へ転移した。倉庫から出ると、遠くの方から賑わっている声が聞こえて来た。

「ちょっと、来るのが遅かったかな? もう、始まってるみたいだ急いで行こう」

「うむ、分かった。アーリンは走れるか?」

「う~ん、ちょっと無理かもドラグノフ頼める?」

「そうか、アーリン。乗るがよい」

 ドラグノフがアーリンの前で屈んで背中に乗せているのを見ていた俺は「いつも、こんな風に仲が良ければいいのにな」と思いながらおんぶされたアーリンを確認して早歩きで祭りが行われている方へ向かった。
 祭りが行われていた場所は、前回散策に来た時に来た事が有る広場で色んな出店が並んでいたりした。その中を歩いていると、族長の家で俺達の朝食を持って来てくれたりしてくれた人が居て「ドラゴ様があちらで待って居ます。着いて来て下さい」と言われたのでドラゴさんが居る場所へ案内して貰った。

「良かった。無事に来れたのですね。始まりの時に来られていませんでしたので王都の方で何かあったのかと思いました」

「すみません、始まる時間がこんなに早いとは思っていなくて普通に朝食を食べていました」

「あっ、そう言えば始まる時間行ってませんでしたね……すみません、こちらの不手際で、ですがまだ祭りは始まったばかりなので楽しんで行ってください」

「はい、もう何軒かの出店で色々と買わせてもらってます」

「うむ、我もこのドラゴンの首振り人形とやらクリフに買って貰ったで結構気に入ったぞ」

 ドラグノフは先程俺に頼んで買わされたドラゴンの形をした首振り人形をアイテムボックスから取り出しドラゴさんに見せた。

「良かった。それはこの里の人形の中で一番人気のある物なんです。ドラグノフ様に気に入ってもらって職人たちも喜ぶでしょう。……所でアーリン様。何処か具合でも悪いのですか?」

「いや、ちょっと昨日久しぶりに仕事したら疲れちゃってね。今日まで疲労が引き延ばされちゃってるのよ」

「大丈夫でしょうか? 疲労でしたら里にあります温泉に入ってみてはどうですか? 効能として疲労回復等がありますので丁度いいと思いますよ」

 ドラゴさんがそう言うと「あっ、そう言えば温泉があったわね。クリフ君、私ちょっと入って来てもいいかしら?」と目をキラキラとして言ってきたので「そうだな、どうせならここから別行動するか」と言ってアーリンとドラグノフにお小遣いを渡し、「後で広場に集合」と言って別々に行動する事にした。
 ドラグノフは貰ったお金を大事にアイテムボックスへと入れて、直ぐに出店の方へと飛んでいきアーリンは、ドラゴさんの従者の人に温泉まで案内して貰って行った。

「さてと、一人になったし俺も出店でも見て回ろうかな、それじゃまた後でドラゴさん」

「はい、楽しんできてください」

 とドラゴさんに見送られながら俺は出店がある方へと歩いて行った。出店には色々とあり、特に俺は食事専門を責めて行った。途中で美味しい物を見つけた時は、作り方を少し聞き後で食べる分として多く買い足したりして行った。
 そして、十分祭りを見て回ったところで視界の橋でドラグノフが両手に串肉を持って美味しそうに食べていたので近づいて行った。

「ドラグノフどうだ? 楽しんでるか?」

「うむ、我自分の里の祭り初めてだったがこんなに楽しいとはこれまで来なかったのが損であったと思っていたところだ」

「そうか、まあ今回はドラゴさんの就任祝い的な感じだったが別の祭りがあった時はまた来ようぜ」

「うむ、それには我も賛成だ」

 そう言いながら串肉をガッと食べてしまい残った串をアイテムボックスの中にゴミ箱の様に入れて追加で購入していたドラグノフを見て俺は本当に楽しんでるなと思いつつドラグノフのを見ていたら食いたくなり、自分の分の串肉を購入した。
しおりを挟む
感想 192

あなたにおすすめの小説

公爵家三男に転生しましたが・・・

キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが… 色々と本当に色々とありまして・・・ 転生しました。 前世は女性でしたが異世界では男! 記憶持ち葛藤をご覧下さい。 作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま
ファンタジー
 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

全能で楽しく公爵家!!

山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。 未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう! 転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。 スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。 ※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。 ※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。

【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~

川原源明
ファンタジー
 秋津直人、85歳。  50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。  嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。  彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。  白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。  胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。  そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。  まずは最強の称号を得よう!  地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編 ※医療現場の恋物語 馴れ初め編

転生先ではゆっくりと生きたい

ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。 事故で死んだ明彦が出会ったのは…… 転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた 小説家になろうでも連載中です。 なろうの方が話数が多いです。 https://ncode.syosetu.com/n8964gh/

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

処理中です...