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第100話

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 族長の家に入ると、中で座って待って居た老人にドラゴさんが「族長、ドラグノフ様がお帰りになりました」と伝えると、ドラグノフの顔を見て急に立ち上がり泣きながらお辞儀をしだした。

「ド、ドラグノフ様……良かった。本当に良かった。最後にお会いでき、本当に私は運が良いでございます……」

「ど、どうした?! それに、お主の風貌老いてはいるが覚えておるぞドラクだな?」

「は、はい……」

 と言い、泣きながらお辞儀をしていた族長は、今度は土下座をするように頭を地面に擦りつけた。

「な、名前まで覚えて下さっていたなんて……私は、本当に運が、良い……」

 そこまで言うと、突然老人は言葉が止まり横に倒れ荒い息をしだした。周りで見ていた竜人の人達が「族長ッ!」と慌てて近寄り体を支え寝床まで運んだ。俺達は、その一部始終を見た後ドラゴさんから「すみません、族長は既に竜人族の寿命に差し掛かっていまして、もう後が無いのです」と言われた。
 その後、族長が落ち着くまで俺達は族長の家の客間で座って待って居た。

「なあ、ドラグノフ。一体、何年ここに居なかったんだ?」

「うむ、それがちょっと旅をしていたつもりで1回ここの近くを通った時にドラゴと会ったがまた直ぐに旅だったからな……ドラクと会ったのは、多分200年位ぶり位かな」

「……竜人って、結構長生きなんだな」

「うむ、我たち竜族と人間族で一番近しき者達だからなエルフ族には負けるが長寿であるぞ」

 ドラグノフからそう言われた後、アーリンから「さっきのお爺ちゃん。妖精に教えて貰ったけど、今日明日位の体力しか残ってないみたい」と言われ、一緒に残っていたドラコさんが「そうですか……」と落ち込んだような顔をした。

「……最後にドラグノフ様にお会いでき父は先代の、私の祖父より良い死に方が出来るのかもしれません」

「そうですか、ってドラグノフ。お前、先代の時ってもしかして旅に?」

「う、うむ……そんな長旅になるとは思っていなかったから、一度帰ってきたらドラクの父であった族長が弔われていて、既にドラクが族長となっておったな」

「全く、何やってんだよ……」

 ドラグノフは、「わ、我もそんなに長く旅していたとは思って居なかったのだ。一緒に旅していたのがエルフだったし、時間の感覚が我も奴もおかしかったんだ」と言い訳をしだした。
 その後、30分位して介護をしていた竜人の人が「族長がお目覚めになりました。どうか、お会いになってください」とドラグノフに言ったので俺達は一緒に族長が寝てる部屋に向かった。

「す、すみませんドラグノフ様。老いのせいでこんな形で、お話しする事になってしまって……」

「よい、我はそんな事を気にする程の者ではない。しかし、ドラクよ主も頑張ったな竜人族の寿命を100年も引き延ばすなんて」

「ハハハ、ドラグノフ様がいつか戻ってくる日までと、思い粘っていましたらいつの間にか100年もたってましたよ……ですが、今日お会いでき安心して行けそうです」

「そうか……主も良く頑張ってくれた。我の中でお主は、最高の者だったと心に刻む程だ」

「有難き、お言葉です……」

 そう言った族長は、安心した顔で目を積り息がドンドン小さくなっていき、静かにこの世界から旅立った。ドラゴさんは、静かに族長の方を向き泣き直ぐに「弔いの準備をするぞ」と新たな族長として最初の仕事に取り掛かった。

 弔いの準備は直ぐにされ遺体である族長は、木の棺桶に入れられ代々、長の弔い場として使われていると言う丘の上広場の一角に深く掘られた穴の中に大事に中に運び入れられ、里の者達全員と俺達で弔いの言葉を言い土をかけ、最後に墓石を置いた。ドラグノフが今回は居ると言う事で、最後に族長の墓石に竜と竜人だけが使える竜魔法と聖属性の魔法で使用できる【聖なる息吹】を使った。

「ありがとうございますドラグノフ様。これで、父も安らかに行けたでしょう」

「うむ、我も最後にドラクに会えてよかったと思う。クリフも今回、里に来るように言ってくれて有難うな」

「いや、俺はただ欲しい物があったから来ただけだったから別に感謝される事はしてない、それよりドラゴさんこれからどうするんですか?」

「そうですね。一応、新たな長として立つと言う事で祭りを開きます。クリフ様方も良ければ、ご参加しませんか? 祭りには、我々の里の特産品を多く使った料理もお出ししますので」

 そう言われたら、断れなかった俺は「参加します」と伝え「それでは、祭りの日まで泊まっていただく場所を準備しますね」と言われ一度、族長の家に向かった。
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