前世ポイントッ! ~転生して楽しく異世界生活~

霜月雹花

文字の大きさ
上 下
73 / 192

第73話

しおりを挟む
 ボスを倒した俺達は、その後ボス部屋ある死骸をアイテムボックスに入れ、またボスが出現する前に部屋を出て行った。ボス部屋から出た俺達は、そのまま急ぎ足で19層へと戻り休憩ポイントを目指した。
 休憩ポイントに着いた俺達は、「ふ~」とため息をつきその場に座った。

「まあ、今回で良い教訓を得たな」

「うん、そうだね。僕達は、まだまだ弱いって事が分かったよ」

「私がクリフ君やアリスちゃんの危険を直ぐに察知しないといけないのに疎かにしてしまいました」

 俺達はその後、反省会をして上層に向けて歩き出した。
 帰る時は、行く時より一層緊張感を持つようにして油断をしない様に心掛けながら階段を上っていった。昼食は、食べやすいサンドウィッチを食べながら移動した。
 上を目指して歩き第14層の休憩ポイントに着いた頃、俺の体内時計で時間を見ると夜に近かったので「今日は、ここで休もう」とアリス達に言ってテントを建てて貰う事にした。

「さてと、油断して見直さないといけない所があったが、一応は制覇記念として準備していた物を出すか」

 そう俺は、準備しながら独り言を言い、料理の準備をテキパキと終わらせた後、ある2つの物を最後に取り出し、アリス達を待った。
 アリス達がテントを建て終わり戻って来た。いつもの様にアイテムボックスから手拭きを用意して手を綺麗に拭き「いただきます」と言って食べ始めた。

「アリス、ミケ。一応、今日はダンジョン制覇記念としていつもより豪華な食事だよ」

 と言って、夕食として出した物の横に置いていた蓋で中が見えなかった皿の蓋を2つ取った。
 1つ目の皿には、【ハチミツ入りクッキー】で2つ目の皿には【手羽先】を入れてある。

「「わ~!」」

 アリスとミケは、今までの食事より美味しそうな物が出て来て目をキラキラとして俺が開けた皿を見ていた。

「それじゃ、食べようか」

「「うんッ!」」

 そう言った瞬間、アリスは手羽先を2つ両手に掴み食べ始めミケはクッキー1枚皿から取りリスの様にチビチビと食べ始めた。

「美味しい~、クリフ君。このお肉、美味しいよー」

「クリフ君。このクッキー、凄く甘いです!」

 2人は、味の感想を言うと又さらに食べる速さをUPしてドンドン食べて行った。と言うか、ミケはあの食べ方でどうやってそんな早く食べているのか全く分からなかった。

「ま、まあ、俺も食べるか」

 2人に全部食べられる前に俺は、手羽先と夕食として準備してあるスープを注いで食べ始めた。

「お腹一杯~、美味しかった~」

「私、あんなに美味しいお菓子食べたの初めてです~」

 そう言って二人は、腹いっぱい食べて眠くなったのかそのままテントの方へと向かって言った。
 まあ、あのまま直ぐに眠るだろうなと思った俺は、いつも様に使った食器を洗いアイテムボックスに片付けてテントの前に新しく椅子とテーブルを用意し、アイテムボックスから読み終わった無い本を出して読み始めた。

 ダンジョン制覇して二日が経った。14層で泊まった俺達は、その後一気に7層まで戻って来て、またそこで一夜を過ごした後、連携を意識しながらダンジョンの入口に向けて進んで行った。そして、丁度昼頃俺達は、ダンジョン【ローアン】の入口に戻って来た。

「おや? クリフ君達、無事に戻ってこれたんだね」

「あっ、兵士さん。はい、無事に制覇してきましたよ」

 俺がそう言うと、兵士さんは「へぇ~、たった数日でローアンを制覇したんだ。凄いじゃないか」と俺達を褒めてくれた。

「それじゃ、俺達はギルドに報告に行ってきますね」

「ああ、お疲れ様。ダンジョンでの数日は気を張りつめた生活だったろうから、しっかりと休養を取るんだよ」

 兵士さんから、そう言われた俺達は、「は~い」と言ってギルドへと向かった。

☆★☆

 クリフ達がダンジョンから戻って来た時、ダンジョン【ローアン】の警備をしていた一般兵、ズデンは顔には出さなかったがもの凄く驚いていた。

(たった、数日であんな子供が制覇したって、凄すぎるだろう。それに、入る前とは全く顔つきも雰囲気も変わっていた)

 入る時は、無邪気な子供の顔をしていたクリフ達が出てくる時は、皆が【冒険者】の顔付きへと変わっていた。

「ハハハ、全く流石はって言えば、そうなるんだろうけどな……」

 爆炎の魔女ことリサラさんと深紅の戦士ことクリムさんの息子、狂戦士アルティマさんの娘、旋風のシルバーさんの娘……

「そんな子供たちが一緒のパーティーを組んでるって、運命って凄いな……」

 兵士のその言葉は、その場にいた小鳥以外誰も聞いて居らず、兵士はその後自分の仕事へと戻った。
しおりを挟む
感想 192

あなたにおすすめの小説

公爵家三男に転生しましたが・・・

キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが… 色々と本当に色々とありまして・・・ 転生しました。 前世は女性でしたが異世界では男! 記憶持ち葛藤をご覧下さい。 作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜

青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ 孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。 そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。 これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。 小説家になろう様からの転載です!

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

処理中です...