上 下
68 / 192

第68話

しおりを挟む

 アリス達と一緒にダンジョン【ローアン】に着いた俺達は、門番の兵士さんに「数日間、泊まり込みで行ってきますね」と言うと「死なないように気を付けるんだよ」と言いながら、ダンジョンの門を開けてくれた。
 俺達は開いた門を通り、ダンジョンへと入って行った。

「後方、魔物の気配なし。ミケ、前方はどうだ?」

「はい、右手通路から複数の魔物の気配がします。この感じだと、ゴブリンだと思います」

「ゴブリンだ複数体……多分、リーダーが率いているゴブリンパーティーかも知れないな、アリス準備は出来てるか?」

「大丈夫だよ。いつでも行けるよ」

 アリスの返事に「オーケー」と俺はいい、強化魔法をアリスに掛けるとタイミングよく通路からゴブリン達が現れた。既に相手の気配を分かっていた俺達のが先に動いた事で一瞬でゴブリンパーティーは壊滅した。
 アリスがリーダーの頭を切り飛ばし、ミケがその後ろに居た普通のゴブリンを倒し、俺が魔法で少し離れた位置に居たゴブリンメイジを倒した。アリスもミケも本当は、ゴブリンパーティー何て1人で相手どれるのだが、先々の事を考えた俺達はこうやって連携を練習をしながら地下へ地下へと潜って行った。

「よし、次の10層のボスを倒したら今日は終わりにしよう。11層の休憩ポイントは前回来た時に調べてるから、ミケ案内できるか?」

「はい、ちゃんと覚えてます」

 今日の終わりを決めた俺達は、ボス部屋の扉を開けて中に入った。ボスは、今まで通りハイゴブリンという少しゴブリンより一回り大きな奴と普通のゴブリンが10体だった。何回も来ている俺達にとって楽勝な相手だったし、昼休憩は取ったものの明日の事を考えて早めに休みを取らないとなと思った俺達は、連携の練習は忘れず、それでいて早くボス戦を終わらせ11層に降りた。
 11層に着いた俺達は、ミケの案内で休憩ポイントへと来ていた。11層の休憩ポイントは広く水場もあって「本当にダンジョンの中か?」と言うほど安全でかつ綺麗な場所だ。

「アリス、ミケ。夕食にしようか」

「はい、ご飯の準備ありがとうございます。クリフ君」

「いつも、ありがとう。クリフ君」

「いいって、俺も料理は最近好きになったし、今後の事を考えると飯担当位決めておかないとな」

 アイテムボックスから取り出した、今朝作った料理をアリス達が見ると「キュルルル――」と言う腹の虫が2人同時鳴らしたので「早く、食べるとするか」と言って皿を出し3等分にして分け食べ始めた。
 ご飯を食べている間、周りに数少ないが居る冒険者さん達からの視線を感じたが別に敵意を持った視線ではなかっので余り気にせず料理を食べ、寝床であるテントを2つ建てた俺達は、「先にアリス達が寝てくれ、3時間後に起こすから」と言って決めていた3時間交代で寝る事にした。
 交代と言っても、俺1人とアリスとミケ2人で分けたのだが、誰も文句は言わなかったからこの交代制にした。

 アリス達が眠って1時間後、前方から1つの人影がこちらに近づいてきた。魔物では無いと分かっているのだが、冒険者同士でも危険な事があると教えられていたので片手剣を準備し、剣を人影に向けると目の前に歩いてきた人影が慌てて手を上にあげ「き、危害は加えないよ!」と言ったので剣を下ろすと焚いていた焚火の光がその人影を照らした。

「それで、貴方は誰ですか?」

「えっと、つい最近王都に来た。Cランク冒険者のイデルだよ。君達の話をよくギルドで聞いてたから、どんな子達なのか気になって話しかけたんだよ」

 イデルと名乗った青年に俺は、「すみません。初めてダンジョンで泊まるので警戒しすぎました」と謝罪をした。

「いや、いいよ。冒険者は常に危険と隣り合わせだからね。警戒してる方がいいんだよ。それと、少し話をしたいからそっちに行っても良いかな?」

「あっ、はい。どうぞ」

 イデルさんはそう言って、俺の隣に座った。イデルさんは、身長が180㎝位で金髪エルフかと思うような美形なのだが「僕は、普通の人間だよ」と教えて貰った。
 そして、その後イデルさんと話をした後、「そろそろ、僕も戻って寝るね」と言って仲間がいる方へと戻って行った。

「何だったんだろうな、それにしてもギルドで俺達って結構噂されていたのか、あれだけ大量に素材を持ち込んだりしていたから少しはと、思っていたが王都の外から来た人でも直ぐに耳にするほど噂されてるとは……」

 自分達の話題性に少し驚いた俺は、ちょっとだけ自分達の行動を押さえようかと考えつつ、交代の時間まで爺ちゃんから貰った本を読み始めた。
しおりを挟む
感想 192

あなたにおすすめの小説

公爵家三男に転生しましたが・・・

キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが… 色々と本当に色々とありまして・・・ 転生しました。 前世は女性でしたが異世界では男! 記憶持ち葛藤をご覧下さい。 作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~

川原源明
ファンタジー
 秋津直人、85歳。  50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。  嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。  彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。  白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。  胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。  そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。  まずは最強の称号を得よう!  地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編 ※医療現場の恋物語 馴れ初め編

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま
ファンタジー
 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~

ピエール
ファンタジー
おばあちゃん。 異世界転生しちゃいました。 そういえば、孫が「転生するとチートが貰えるんだよ!」と言ってたけど チート無いみたいだけど? おばあちゃんよく分かんないわぁ。 頭は老人 体は子供 乙女ゲームの世界に紛れ込んだ おばあちゃん。 当然、おばあちゃんはここが乙女ゲームの世界だなんて知りません。 訳が分からないながら、一生懸命歩んで行きます。 おばあちゃん奮闘記です。 果たして、おばあちゃんは断罪イベントを回避できるか? [第1章おばあちゃん編]は文章が拙い為読みづらいかもしれません。 第二章 学園編 始まりました。 いよいよゲームスタートです! [1章]はおばあちゃんの語りと生い立ちが多く、あまり話に動きがありません。 話が動き出す[2章]から読んでも意味が分かると思います。 おばあちゃんの転生後の生活に興味が出てきたら一章を読んでみて下さい。(伏線がありますので) 初投稿です 不慣れですが宜しくお願いします。 最初の頃、不慣れで長文が書けませんでした。 申し訳ございません。 少しづつ修正して纏めていこうと思います。

初期スキルが便利すぎて異世界生活が楽しすぎる!

霜月雹花
ファンタジー
 神の悪戯により死んでしまった主人公は、別の神の手により3つの便利なスキルを貰い異世界に転生する事になった。転生し、普通の人生を歩む筈が、又しても神の悪戯によってトラブルが起こり目が覚めると異世界で10歳の〝家無し名無し〟の状態になっていた。転生を勧めてくれた神からの手紙に代償として、希少な力を受け取った。  神によって人生を狂わされた主人公は、異世界で便利なスキルを使って生きて行くそんな物語。 書籍8巻11月24日発売します。 漫画版2巻まで発売中。

転生先ではゆっくりと生きたい

ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。 事故で死んだ明彦が出会ったのは…… 転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた 小説家になろうでも連載中です。 なろうの方が話数が多いです。 https://ncode.syosetu.com/n8964gh/

処理中です...