前世ポイントッ! ~転生して楽しく異世界生活~

霜月雹花

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第61話

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 ダンジョン【ローアン】の入口に着いた俺達一行は、普段は並ぶらしいが今日は人が少なく俺達以外居なかったのでダンジョンの入口にて門番さんにギルドカードを提示して中に入れて貰う手続きをして貰っていた。

「はい、これで今後はギルドカードを提示するだけで入れるようにしたよ」

「ありがとうございます」

「うん。君達の噂は、よく聞くけどダンジョンでも油断したら命を落とす可能性もあるから、十分注意して探索するんだよ。それじゃ、行ってらっしゃい」

 門番さんはそう言い、ダンジョン入口のゲートを開けてくれ俺達は中に入った。ダンジョンの中に入り数分後、既に魔物とも戦闘し全20層あるこのダンジョンの2層目に来ていた。出てくる魔物は、ゴブリンやスライムが主流の様で単体もしくは5.6匹集まっている感じだった。
 今回のダンジョン探索では、今後の事も考えきちんとした役割を与えてやっている。前衛にアリスとミケ、後衛に俺とこの間の森での依頼の時と同じなのだが、今回俺の仕事は、魔法での支援だけにしている。魔物の索敵は、森での狩りでの経験もあるミケが行い。見つけた魔物をいち早く戦闘するのをアリスにと役割を分けた。

「アリスちゃん、魔物の反応1です」

「分かった。ミケちゃん」

「んじゃ、強化魔法掛けるぞアリス」

 こんな風にミケが見つけた魔物に数が少なければアリスが突撃し、その時俺の強化魔法で支援をする。そして、数が多ければアリスとミケが突撃し、俺は強化魔法での支援+魔物が魔法を使ってくる奴だった時の為に攻撃魔法の準備という感じで探索をやりつつ、今後の動きの特訓をしながら進めて行った。
 そして、3層に階段を下りた時、今までより辺りが明るくなった感じがしていた。その時、俺は前に取ったスキルの1つ【体内時計】で今の時間を見るとお昼近くになっていた。

「アリス、ミケ。そろそろ昼飯にしようか」

「うん、分かった。でも、ダンジョンの中だけど何処で食べるの?」

「そうだな……」

「あっ、クリフ君、アリスちゃん。向こうに魔物の反応が無い場所があります。もしかしたら、ダンジョンの休憩ポイントかも知れません」

「そうか、ならそこで飯にするか」

 ミケが見つけた休憩ポイントまで俺達は移動した。先に休憩ポイントを使っている人達も数名いたが邪魔にならないように隅の壁際に俺達は寄り腰を下ろした。

「さてと、飯にするとは言ったが、どうするか……」

「どうするって?」

「普通に食べないんですか?」

「いや、食べるけどさ、こんなダンジョンの中で一から飯を作ってたら周りの人に迷惑になるかなと思ってさ」

「あっ、そうだね。でも、どうするの?」

 飯が作れないと聞かされたアリスとミケは絶望したような顔をし、俺の方を見た。そんなアリス達に俺は「大丈夫、こんな時の為にちゃんと買っておいたから」と言ってアイテムボックスの中から屋台で買っていた串肉を取り出した。俺のアイテムボックスは、入れた時に時間が止まる様になっているので時間が経った串肉もアツアツで美味しそうに湯気を出していた。

「クリフ君、最高ッ!」

「はい、ミケの分もちゃんとあるから皆で食べようか」

 そう言って、アイテムボックスから十数本串肉と飲み物を取り出し皆で昼食にした。その時、周りに居る冒険者の人達がこちらを見ていたが邪魔はしてないよな? と思いつつアリス達に全部食べられる前に自分の分を食べアリス達が食べ終わるのを待った。
 アリス達が食べ終わり、片付けをしっかりして俺達は休憩ポイントから移動し探索を再開した。再開して直ぐに、ダンジョンの一部の壁が光っているとミケが知らせたので俺達はその光っている壁の所へ向かった。

「これは、【採掘ポイント】だね。さっき買っておいたピッケルで掘ってみるか」

「うん、魔物は私とアリスちゃんに任せて」

 俺はアイテムボックスからダンジョンに来る前に買い物をしていた時に買っておいたピッケルを取り出し採掘ポイントである壁を叩き採掘を始めた。
 数十発叩くと【採掘ポイント】の壁からポロっと数個何かが落ち壁の光っている所は消えた。

「……ただの、石ころみたいだ」

「え~、あんなに光ってたのに?!」

「壁に嵌っている時は、ダンジョンの魔力を繋いでて宝石に見えてたみたいだな、まあ残念だけど初めての採掘した物だしちゃんと持って行こう」

 そう言って、ピッケルと採掘して出た石ころをアイテムボックスの中に入れ俺達は、探索を再開し奥へと進んで行った。
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