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第52話
しおりを挟むケートさんからミケの装備をガルフさんが用意できると言われた俺達はケートさんと、共に工房へと向かった。
「ガルフさ~ん、買い出しから戻りましたよ~」
「おう、戻ったか、ってこの間の坊主達じゃねえか? それに1人増えてるみてぇだが?」
「あっ、その事なんですが~」
工房に着き、店の中に入った俺達を工房の裏から顔を出したガルフさんがミケの方を見て「誰だ?」という感じで見ていると、ケートさんがガルフさんに近づき耳打ちで何か伝えていた。
「マジか?」
「いや、ガルフさんも分かるでしょ?」
「いや、そうだが……」
とこんな風な会話をケートさんとガルフさんがしているのを見せられ、数分経った後ケートさんが「ミケちゃんの装備、ガルフさんが用意してくれるって」と伝えてくれアリスとミケは喜んでいた。
「それで嬢ちゃんは、何の武器を使うんだ?」
「えっと、私そんな力が高い方じゃないので出来れば細剣か短剣が良いです」
「なるほどな、確かに猫族は獣人の中でも力が高い種族じゃないしな……ちょっと、待ってろ」
ミケとガルフさんの話し合い? が終わるとガルフさんは裏の工房へと入って行った。その間、ケートさんから「店の中の物見てていいよ」と言われ、アリスとミケは店内の武器や防具を見て時間を潰していた。その時、俺はケートさんに「ミケって、ケートさん達の知り合いの娘なんですか?」と聞くと、「何の事かな?」と首を傾げられ結局教えて貰えなかった。
ガルフさんが工房の方に行き一時間程経った頃、工房からガルフさんが戻って来た。右手には、細い剣を持っていた。
「出来たぜ」
そう言いながら、ガルフさんはミケにその剣を渡した。ミケは、受け取る時、両手で受け取り「か、軽い?!」と驚いていた。
「どうだ? これなら、猫族の嬢ちゃんでも使いやすいだろ?」
「は、はい! とても、軽くて使いやすそうです。ありがとうございます!」
ミケは、ガルフさんに凄く嬉しそうに礼を言った。そして、その後に「代金は、いくらになるんですか?」と聞くと、ガルフさんは「あ~、そうだな……まあ、銀貨1枚でいいぞ」と適当に今考えたような風にそう言った。
「ぎ、銀貨1枚ですか?! そ、そんなに安くて良いんですか?!」
「ああ、いいよ。俺の店だ。俺の基準で値段は決めてるからな」
「ありがとうございます!」
ミケは、自分のバッグか小袋を出しその中に入っている銀貨を1枚出し、ガルフさんに渡した。そして、その後「坊主は、買う気になったか?」と聞かれた俺は、「まだ、こいつで良いですよ」と返した。
「それでは、ガルフさんケートさん。ありがとうございました。これで、討伐系のクエストに行けます」
「「ありがとうございました」」
「頑張って来てね~」
「頑張って来いよ」
俺達3人がお礼を言いながら店を出ると、ガルフさんとケートさんから「頑張れ」と言われながら見送りをして貰った。その後、俺達は商業区のいつもの通りに戻って来て、そのままギルドへと向かった。
「おかえりなさいです。クリフ様、アリス様、ミケ様。武器は、どうでしたか?」
「はい、用意できたので討伐系を受けようと思います。Eランクの討伐系って何がありますか?」
「そうですね。今日の分の常設以外の物は、既に無くなっていますので常設の中からですと。【ゴブリン5体討伐=銅貨3】【ウルフ3体討伐=銅貨2】【スライム5体=銅貨2】です。それぞれ討伐の証として、ゴブリンは【右耳】、ウルフは【尻尾】、スライムは【核】となっております」
ゴブリン、ウルフ、スライム。全部、異世界系の小説なら絶対に出て来そうなメジャーな魔物だな、この中なら何が良いかアリス達に聞くと。2人共「ゴブリン」と答えた。
何でか聞くと、まあ、これもまた異世界物ではメジャーな〖ゴブリンは、人間の女性を誘拐し犯し、孕ませる〗から女性にとっては絶滅させたい魔物の種族だそうだ。
「それでは、俺達はゴブリンの討伐に行ってきますね」
「はい、ゴブリンは森の中か、森の少し離れた草原に出現します。どうか、無理をなさらずにお気をつけて」
「「「はい」」」
レインさんの言葉に俺達3人は返事をし、ギルドから出て行った。そして、数分後王都から移動して来た俺達は今、森の入口へと来ていた。
「一応、確認として前衛はミケとアリス。俺が後ろを担当する。もし、魔物を見つけたらすぐに報告する」
「うん、分かったよ。ミケちゃん、一緒に前衛頑張ろう」
「はい、私も精一杯頑張ります!」
今回の森での戦闘は、剣を使うアリスとミケの2人を前衛に置き、魔法主体で戦う俺は後衛で常時魔物の索敵する感じになった。
「よし、それじゃ行くか」
「お~」
「はい」
こうして、俺達は初めての【魔物狩り】へと向けて森の中へと進んで行った。
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