上 下
25 / 192

第25話

しおりを挟む

 カオスの空間となっていたこの場は、執事さんがなんとか収拾をつけてくれ、話し合いに持ち込んでくれた。

「ふぅ~、レグルスよ。はよう、話を始めろ」

「儂が、後らしたわけじゃないだろ……まあ、何だ。今回、呼んだのは【悪魔】の件だ」

「何か、分かったのか?」

「ああ、思っていた通り【悪魔】は、帝国の者がやったようじゃ」

 レグルス前国王は、そのまま調べ上げた今回の事件の内容を俺達へと話をした。

「成程のう、して、どうする? 帝国潰すか?」

「リグル、落ち着け確かに今回お主には色々と迷惑を掛けたのは分かっておるが、相手も大国だ正面から戦うには、こちらには準備が足りておらん」

「……何じゃ、レグルス帝国を潰すのに反対はしないのか?」

「まあ、何だ。他の国にも戦争を仕掛けてる奴等だ。聖国や商業国も、そろそろ帝国を攻めると話し合いをしてた所なんだよ」

「何じゃ、堅物の聖国が動くのか! それは良いのう。して、仕掛けるのは、いつなんじゃ?」

 レグルス前国王様が言った味方? の国の名前を言うと、爺ちゃんは驚き楽しそうにそう言った。レグルス前国王様は、「戦闘狂は、怖いな……」と言った。

「それで、そのもし戦争が始まったらリグル様のお力を借りたいと思っているのですが」

「手を貸すも何も、儂をのけ者にしたら儂が一人で攻めるわい」

「それは、頼もしいです。それで、今回取られていた砦にはクールベルト家の兵士では危険なので王国の第2兵士団を送りました」

「そうか、確かに一度取られた場所じゃからな、それは助かるわい。しかし、これを儂の口から言うのもちょっと気が引けるのじゃが……」

 困り顔で顎髭を触りながら、爺ちゃんはレグルス前国王へと向かって言った。

「今回、確かに帝国の者がやったことだが、クールベルト家にお咎めとして何か無いのか?」

「……ああ、その事なんだが【悪魔】に関しては、儂らは何もできなかった。しかし、その【悪魔】を退治したのはクールベルト家の者だ。お咎めは、無しにすると決めた。【悪魔】に関しては、話をするうえで大臣と宰相には、話をしたが奴等もこの意見には同意見だった」

「そうか、それは良かった。良かったのうクリム、息子の手柄で家には何もないらしいぞ」

「そうですね。ありがとう、クリフ」

 レグルス前国王様の言葉を聞き、爺ちゃんと父さんは俺の頭を撫でた。アーサー殿下から「本当に、クリフ君が【悪魔】を退治してくれなかったら、王都は大変な事になってたよ。ありがとう」と言った。

「それで、帝国とやるのはいつ頃なんじゃ?」

「準備期間も色々と込めて、約1カ月後くらいだと思う。聖国からの増援と商業国からは物資が届くから、それを待つ期間が必要になる」

「成程のう。なら、その間帝国から敵兵が来たらどうするのじゃ?」

「そこなんだよな、帝国は既に戦争の準備は出来てると思うから、あり得るんだよな」

 待つ期間、もし帝国が攻めて来たらどうするか、爺ちゃんとレグルス前国王様が悩んでいると、部屋の扉をノックする音が聞こえ執事さんが扉を開けると、そこには1人のエルフが居た。

「お困りの様ですね。ショーラン王国の前国王様と現国王様と次期国王様、それと私に仕事を押し付けた戦闘狂の父上」

「リヒト! 何で、お主が王国に居るんじゃ?!」

「リサラから、聞いたのですよ。大事な息子と夫が大変な目になってるとね。可愛い妹が困っている時、助けてあげるのが兄という者ですからね。ああ、大丈夫です里はきちんと私の結界を使い、里に害を与える者は入れないようにしてますから安心してください」

 突然現れたエルフの男性は、話の内容からすると母さんの兄、俺からしたら伯父さんとなる人だろう。

「ショーラン国王、エルフの里の者の中で強い者達を半分連れて参りました。1つの小隊を貸していただけるのであれば帝国からの攻撃は私達が何とかして見せます」

「リヒト様がですか?! それは、有難いお言葉です。分かりました。第3兵隊をお貸ししますので、どうかよろしくお願いします」

 と現国王様が伯父さんに嬉しそうに、そう言った。

「分かりました。それでは、直ぐにでも出発します。それと、父上、戦争が終わりましたらゆっくり話し合いをしましょうね。色々と積もる話もありますから」

「ああ、分かった。いってらっしゃいなのじゃ……」

 伯父さんは、爺ちゃんを睨むように言いながら部屋から出て行った。俺は、爺ちゃんに「何をしたの? 凄く怒ってるみたいだったけど」と小声で聞いた。

「ああ、ちょっとな儂が里から出る時、次の長を決めないと出ていけなかったから、リヒトに睡眠薬を飲ませ、奴が眠っている間に儀式をやって婆さんと里から出て来たんじゃ」

 爺ちゃんが言った言葉に、俺は「それは、怒るでしょ」と言った。その後、話し合いを終わらせた後、俺達は乗って来た馬車に乗り屋敷へと帰った。
 屋敷に着くと、俺は待って居た姉さん達と一緒にお昼を食べ、直ぐに外に連れて行かれ鬼ごっこをして遊んだ。そして、その夜、1人で部屋で眠っていると部屋の扉が開き誰かが入って来た。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

公爵家三男に転生しましたが・・・

キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが… 色々と本当に色々とありまして・・・ 転生しました。 前世は女性でしたが異世界では男! 記憶持ち葛藤をご覧下さい。 作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。 そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。 【カクヨムにも投稿してます】

異世界転生した時に心を失くした私は貧民生まれです

ぐるぐる
ファンタジー
前世日本人の私は剣と魔法の世界に転生した。 転生した時に感情を欠落したのか、生まれた時から心が全く動かない。 前世の記憶を頼りに善悪等を判断。 貧民街の狭くて汚くて臭い家……家とはいえないほったて小屋に、生まれた時から住んでいる。 2人の兄と、私と、弟と母。 母親はいつも心ここにあらず、父親は所在不明。 ある日母親が死んで父親のへそくりを発見したことで、兄弟4人引っ越しを決意する。 前世の記憶と知識、魔法を駆使して少しずつでも確実にお金を貯めていく。

【旧版】パーティーメンバーは『チワワ』です☆ミ

こげ丸
ファンタジー
=================== ◆重要なお知らせ◆ 本作はこげ丸の処女作なのですが、本作の主人公たちをベースに、全く新しい作品を連載開始しております。 設定は一部被っておりますが全く別の作品となりますので、ご注意下さい。 また、もし混同されてご迷惑をおかけするようなら、本作を取り下げる場合がございますので、何卒ご了承お願い致します。 =================== ※第三章までで一旦作品としては完結となります。 【旧題:異世界おさんぽ放浪記 ~パーティーメンバーはチワワです~】 一人と一匹の友情と、笑いあり、涙あり、もう一回笑いあり、ちょこっと恋あり の異世界冒険譚です☆ 過酷な異世界ではありますが、一人と一匹は逞しく楽しく過ごしているようですよ♪ そんなユウト(主人公)とパズ(チワワ)と一緒に『異世界レムリアス』を楽しんでみませんか?(*'▽') 今、一人と一匹のちょっと変わった冒険の旅が始まる! ※王道バトルファンタジーものです ※全体的に「ほのぼの」としているので楽しく読んで頂けるかと思っています ※でも、時々シリアスモードになりますのでご了承を… === こげ丸 ===

孤児による孤児のための孤児院経営!!! 異世界に転生したけど能力がわかりませんでした

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はフィル 異世界に転生できたんだけど何も能力がないと思っていて7歳まで路上で暮らしてた なぜか両親の記憶がなくて何とか生きてきたけど、とうとう能力についてわかることになった 孤児として暮らしていたため孤児の苦しみがわかったので孤児院を作ることから始めます さあ、チートの時間だ

転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜

家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。 そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?! しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...? ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...? 不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。 拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。 小説家になろう様でも公開しております。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

転生先ではゆっくりと生きたい

ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。 事故で死んだ明彦が出会ったのは…… 転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた 小説家になろうでも連載中です。 なろうの方が話数が多いです。 https://ncode.syosetu.com/n8964gh/

処理中です...