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第177話

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 翌日、目が覚めた俺は朝食を食べた後、姉さん達と一緒にクランハウスへと向かった。2年間で更に大人っぽくなった姉さん達だが根っこの部分は変わらず〝弟大好きな姉〟であり、クランハウスに向かう道のりもずっと両サイドの手を握って仲良く向かっていた。

「いつも両サイドに花を持って羨ましいんなクリフ」

「まあね。こんな綺麗な女性と歩けるようにガルドさんも頑張ってね」

 クランハウスに着くと庭で運動をしていたガルドさんから揶揄われた俺は、その様に返事を返すと「ははは、それは言うなよ悲しくなる」と言って先に建物の中に入って行った。

「クリフ君おはよ~」

「クリフ君おはようございます」

 建物の中に入ると、先に来ていたアリスとミケから挨拶をされ俺は挨拶を返してリビングの中に入った。リビングには、先に入っていたガルドさんとルーネ、ルーシェ、アンネが居て「おはよう」と挨拶をされた。
 挨拶が済んだ俺達は全員椅子に座り、話し合いを始めた。

「取りあえず、数か月分の食料は買い込む事が出来たけどガルドさん達の方はどう?」

「ああ、こっちも獣人国へまでの最短距離は聞いて来たぜ」

「大工さんに頼んで大きな魔物が引ける荷台も作成が終わったって言ってたよ」

 俺の質問に対して、ガルドさんアリスが返答し、俺達の旅の準備が完全に終わった事が分かった。

「後は、いつ王都を発つかだな……ロックさんもガルフさんからの修業は終わりましたか?」

「勿論です。ガルフ師匠からもお前は立派な鍛冶師だクリフ達の装備を負かせたぞって言われてきました」

「そうですか、間に合ってよかったです。それじゃ、やる事は全て終わってるみたいだし、3日後王都を出て行こうと思うが皆は良いか?」

 俺が皆に対してそう聞くと、皆は了承したので俺達の旅の出発日は3日後と決まった。それから、俺達はそれぞれお世話になった人達に挨拶周りをして、旅に出る事を伝えると、応援してくれる人や悲しんでくれる人、そして落ち込んでいる人も居た。

「うぅ、クリフ君。本当に行っちゃうの?」

「母さん泣かないでよ。ちゃんと約束を守って成人まで王都にいたでしょ?」

「そうだけど……うぅ」

 夕食後、旅の出発日を伝えると父さん達は「頑張って来るんだぞ」と応援してくれたが母さんだけ泣き出して、俺にしがみ付いて来た。

「ほら、クリフ君。王都でも冒険者活動は出来るし旅は止めようよ? ねっ?」

「……母さん、これ以上。止めるんなら、家出して一生口も聞かないよ?」

 俺がそう言うと、母さんはバッと俺の顔を見ると「く、クリフ君?」と驚いた口調で言ったので、俺は母さんの顔を見て「どうする?」と真剣な顔で聞いた。

「うぅ、分かったわ……でも、ちゃんと帰って来てよ」

「分かってるよ。一生出て行くわけでは無いし、王都の住み心地は俺もよく知ってるからね」

 その後、母さんがやっと了承してくれたので父さん達から改めて応援の言葉を貰いその日は皆で一緒に寝た。それから数日が過ぎ、出発日となった。

「それじゃ、父さん、母さん、爺ちゃん、婆ちゃん。行ってくるね」

「「行ってきます」」

 俺と姉さん達が家を出る際に父さん達に「行ってきます」と言うと、父さん達は俺達の事をそれぞれ抱きしめて「頑張って来るんだぞ」と見送ってくれた。
 その後、クランハウスで皆と合流し、王都の外に出た俺達は俺が使役した魔物【白狼】を呼び出し、大工に作ってもらった専用の荷台に乗り込み、魔物達に荷台を引っ張る様に指示を出して俺達の旅が始まった。

「わぁ~、もう王都があんな所に」

「やっぱり、この子達の速さ凄いね。普通の馬の何倍も速いよ」

 アリスとミケが【白狼】達の速さに興奮していると、当の本人達である狼達が嬉しそうに尻尾を振って「わふッ」と吠えた。それから、休憩を挟まず日が暮れる時間まで移動した俺達は、野営の準備を始めた。
 今回の旅は、俺達の経験値を増やすと言う名目もあるので出来るだけこうして野営をし、色んな事を覚える事にした。

「テントは張り終わったが、何か手伝う事はあるか?」

「あっ、それでしたら狼達にこの肉をやって来てもらえますか? あいつら、今日は凄く頑張ってくれたので」

 テントを張り終えたガルドさんに今日頑張って走ってくれた狼達に少し高価な肉を与えてもらう様に言った。ガルドさんは「分かった」と言って肉を持って狼の所へ行くと、伏せやお手などの指示を出して命令通りにした狼達に肉を与えた。
 その後、夕食を食べた後、交代制で見張りをする事になり一番手が俺だったので狼達と一緒見張りをする事にした。
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