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第166話
しおりを挟む翌日、ルーさんはドラグノフに負けた悔しさからなのか朝から居なくなっていた。ドラグノフみたいに修行に行ったのかな? と思っていると最後に会ったという祖母ちゃんから「ルーちゃん夜になったら帰ってくるって言ってたわよ」と教えられた。
「ふふふ、負けてしまったが勝った気分だ」
「それは良かったな、ドラグノフ」
そう言って俺は着替えて家を出て、商業区に向かった。待ち合わせ場所として決めていた広場に既に皆揃っていたので、お店へと向かい。クランハウスに必要な物を探し始めた。まずは、ルーネやガルドさん達のベッドと仮眠部屋のベッドを購入する班、食器や調理器具を買う班、食材や日用品を買う班にそれぞれ分かれて買い物を済ませて買った物を順に俺が回収して行きクランハウスに向かった。
クランハウスに着いた後、ルーネ達とガルドさんの部屋に家具を置き台所に調理器具等をしまってからリビングに集まった。
「取りあえず、これでクランハウスに寝泊まり出来る様になったから宿の次の更新日が来たら、契約を切ってこっちに移って下さい」
「おう、分かった。早く、活動を始めてクリフが使ったお金を返せるように頑張るよ」
ガルドさんがそう言うと、ルーネ達も「私達も頑張るッ!」と意気込むんでいた。それから、このクランハウスなのだ下見の段階では気が付かなかったが実家と同じく地下室がありそちらも中々の広さがあった。
屋内鍛錬所として使えそうな位、広い部屋もあって本当に良い買い物だと思う。
「さてと、クランハウスは無事に活動拠点として使えるようにはなったから次はダンジョンに向けて準備だな」
「そうだね。でも、準備って言っても何をしたらいいのかな? 大抵の事は、クリフ君の魔法で出来たりするから用意したら良いのがイマイチ分からないんだよね」
アリスがそう言うと、他の皆もそう言ったので必要な物を書きだして行った。
まず、必要な物として〝食料・衣服〟は用意しないといけないだろう。何人も泊まり込みで行くとしたら人数も人数なので食料も大量に必要になってくるだろう。それに同じ服は何日も続けて着るのは嫌だろうし、変えの服は用意しておかないといけない。
「食料は、俺の方で準備出来るけど替えの服とかは自分達で買って用意して貰わないと、特に女子組の服は良く分からないから」
「うん、分かった。それじゃ、取りあえず1週間分くらいの服があれば良いかな?」
「ああ、その位は有れば大丈夫だ。それにダンジョン内で洗濯も出来るから最低3着あれば大丈夫だ」
そう言うと、ガルドさんから「ダンジョン内で洗濯って、本当に色々と出来る奴だ」と呆れたように言われた。
「あっ、それと今のクランとして鍛冶師が居ない現状だから替えの武器は用意しておいてね。万が一の時の事を考えてメイン武器と合わせて3つくらい用意しておいて」
そう言うと、皆は「はい」と返事をした。
そこ後も話し合いは続き、それぞれに自分達で用意して貰う物と俺が用意する物を伝えて解散した。解散した後、家に帰宅する前に里に向かい米やら調味料を補充しに行き、ついでに温泉に入ってから帰ると温泉の匂いに気が付いたドラグノフから「一人で行くとは、ずるいぞ」と言われたので再度、里に行きドラグノフと話しを聞いていたアーリン、偶々廊下を通っていて話が聞こえた爺ちゃんを里に連れて行き二度目の温泉に入って帰宅した。
「なあ、クリフ。我が居ない間に何か面白い事でもあったか?」
「特に? まあ、強いて言えばクランを設立してクランハウスが出来たくらいだね」
「クラン? クリフがリーダーなのか?」
「まあね。そう言えば、ドラグノフはまだ一度もクランハウスに行った事無いか、明日付いてくるか?」
そう聞くと、ドラグノフは「うむ、クリフの遊び場を知っておかないといけないからな」と言ったので明日はドラグノフとアーリンを連れてクランハウスに行くかと決めて、ベッドに入り眠った。
翌日、クランハウスに向かおうとした所でルーさんに止められ「ドラグノフ。今度は、コテンパンに負かしてあげるわ」と言って飛び立って行った。ルーさんを見届けた俺達、ドラグノフはポロッと「我、負けたんだが……」と言ったが、ルーさんには聞こえておらずただただルーさんの姿を見届ける事しか出来なかった。
それから、クランハウスに着き中に入るととアーリンが「それじゃ、地下室に扉開いてくるわ」と言って地下室に行ってしまったので、皆が来るまでドラグノフとゴレ助と一緒にトランプで遊ぶことにした。
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