84 / 107
第二章
第84話 【騒動のその後・3】
しおりを挟む
それから俺が部屋に入って30分程経った頃、部屋の外からレオルドが入って来た。
「その様子だと、楽しく話が出来たみたいだね」
「レオルド、ありがとう。こんな良い時間を作ってくれて」
「ありがとうございます。レオルド様」
「ふふっ、良いよ。今日は父上とエルドさんが話す日だったから、アルフ達に話す時間を作ってあげようって思いついただけだからね」
レオルドはそう言いながら、俺達の向かい側のソファーに座った。
「クラリスちゃん、アルフのステータスを見た? 凄い事になってたでしょ?」
「はい。レオルド様から、兄さんは凄く強くなっているとは聞いていましたが。まさか、あれ程とは思いませんでした。レオルド様も兄さんのステータスは御覧になった事はあるのですか?」
「うん。国が動く前にアルフと話す時間があって、その時に見せて貰ったよ。元々、スキルが一つとは思えなかったよ」
その言葉にクラリスも同じ意見なのか、頷いて「私もそう思いました」と言った。
それから、レオルドも加わり三人で話をしていると、エルドさん達の話し合いが終わったと報告された。
その報告を聞いた俺達は部屋から出て、エルドさん達が話し合っていた会議室へと行き。
今日の用事も終わったので、帰宅する事になった。
「……えっ、何でクラリスが一緒に馬車に乗ってるの?」
あの後、陛下とレオルドに見送られながら馬車に乗り込んだ俺は、隣に嬉しそうに乗っているクラリスを見てそう言った。
「んっ? クラリスはアルフに何も話してないのか?」
「あっ、他の事で頭がいっぱいでお伝えするの忘れてました。兄さん、これからは私もルクリア商会の一員なんだよ」
「……えっ?」
クラリスの言葉に俺は、一瞬何を言われたのか分からずエルドさんの顔を見つめた。
「本当の事だ。今回の事件によって、ノルゼニア家は事実上の取り潰しとなって、アルフの妹は平民になってしまった。クラリスのステータスをアルフも見たなら、家名が取られてる事に気付かなかったか?」
「そう言えば、無かったですし、身分も〝平民〟となってました……」
「それでクラリスをどうするのか国と話し合って、アルフと一緒が一番良いだろうと決まってルクリア商会の一員に迎え入れる事になったんだ。まあ、儂としても優秀な魔法使いが増えるという事は嬉しな事だからな」
「陛下は最後まで、兄さんと私を国に渡して欲しいと言っていたらしいですよ」
隣に座ってるクラリスは、ニコニコと笑みを浮かべながらそう言った。
「王としても優秀なクラリスとアルフを易々と手放すのは嫌みたいでな、中々話し合いは平行線のままだったんだ。最後は、クラリスとアルフを一緒に住まわせてやるのが良いと言って、諦めさせたんだ」
「そんな話し合いが行われていたんですね……全く知りませんでした」
「アルフには内緒にしておいたからな」
エルドさんは、悪戯が成功した子供の様な表情をした。
その後、商会へと帰宅して、クラリスの使う部屋に案内された。
「俺の隣ですか……」
「近い方が良いと思ってな、元々ここは空き部屋になる予定だったからな、少し時期を早めてクラリスの為に部屋を用意したんだ」
「だからここ数日、この部屋に住んでた方を見なかったんですね」
「うむ。あやつは隣街での仕事になってな、そっちで家を持つ事にして寮を出たんだ」
エルドさんから事情を聞いた後、これからは兄妹の時間を過ごせばよいと言われて、エルドさんは去って行った。
「……えっと、取り合えずクラリス。これからよろしくね」
「はい! よろしくお願いします。兄さん」
クラリスは満面の笑みを浮かべて、そう俺に言った。
その後、クラリスに寮の説明をして、共有部分の施設を説明して回った。
「あら、アリスちゃんじゃない女の子を連れてるね? その子は誰なんだい」
一通り商会を終え、丁度昼食の時間となったので食堂に来ると、食堂のおばちゃんからそんな事を聞かれた。
「妹のクラリスです。クラリス、この方達は食堂のおばちゃん達だよ」
「あら? その子が前に言ってた妹さんね。よろしくね~」
「クラリスです。よろしくお願いします」
クラリスと食堂のおばちゃん達は、互いにそう挨拶をしてから料理を受け取り、席に座って食事を始めた。
「そう言えば、クラリスは商会で何をするの? 俺は一応、冒険者兼護衛的な事をしてるけど」
「今はまだ特に決まってないけど、商会の受付になるかも? 貴族として礼儀作法を習ってるから、それを活かして受付を担当してもらえると助かるって言われたんだ」
「受付か、確かにクラリスは俺と喋る時以外は凄く礼儀正しいからね」
普段は今みたいにどこにでもいる感じだが、礼儀正しいお嬢様を演じる事が出来る。
それから食事を終えた後、クラリスは俺の剣術が見たいと言ったのでクラリスを連れて広場へと向かった。
「その様子だと、楽しく話が出来たみたいだね」
「レオルド、ありがとう。こんな良い時間を作ってくれて」
「ありがとうございます。レオルド様」
「ふふっ、良いよ。今日は父上とエルドさんが話す日だったから、アルフ達に話す時間を作ってあげようって思いついただけだからね」
レオルドはそう言いながら、俺達の向かい側のソファーに座った。
「クラリスちゃん、アルフのステータスを見た? 凄い事になってたでしょ?」
「はい。レオルド様から、兄さんは凄く強くなっているとは聞いていましたが。まさか、あれ程とは思いませんでした。レオルド様も兄さんのステータスは御覧になった事はあるのですか?」
「うん。国が動く前にアルフと話す時間があって、その時に見せて貰ったよ。元々、スキルが一つとは思えなかったよ」
その言葉にクラリスも同じ意見なのか、頷いて「私もそう思いました」と言った。
それから、レオルドも加わり三人で話をしていると、エルドさん達の話し合いが終わったと報告された。
その報告を聞いた俺達は部屋から出て、エルドさん達が話し合っていた会議室へと行き。
今日の用事も終わったので、帰宅する事になった。
「……えっ、何でクラリスが一緒に馬車に乗ってるの?」
あの後、陛下とレオルドに見送られながら馬車に乗り込んだ俺は、隣に嬉しそうに乗っているクラリスを見てそう言った。
「んっ? クラリスはアルフに何も話してないのか?」
「あっ、他の事で頭がいっぱいでお伝えするの忘れてました。兄さん、これからは私もルクリア商会の一員なんだよ」
「……えっ?」
クラリスの言葉に俺は、一瞬何を言われたのか分からずエルドさんの顔を見つめた。
「本当の事だ。今回の事件によって、ノルゼニア家は事実上の取り潰しとなって、アルフの妹は平民になってしまった。クラリスのステータスをアルフも見たなら、家名が取られてる事に気付かなかったか?」
「そう言えば、無かったですし、身分も〝平民〟となってました……」
「それでクラリスをどうするのか国と話し合って、アルフと一緒が一番良いだろうと決まってルクリア商会の一員に迎え入れる事になったんだ。まあ、儂としても優秀な魔法使いが増えるという事は嬉しな事だからな」
「陛下は最後まで、兄さんと私を国に渡して欲しいと言っていたらしいですよ」
隣に座ってるクラリスは、ニコニコと笑みを浮かべながらそう言った。
「王としても優秀なクラリスとアルフを易々と手放すのは嫌みたいでな、中々話し合いは平行線のままだったんだ。最後は、クラリスとアルフを一緒に住まわせてやるのが良いと言って、諦めさせたんだ」
「そんな話し合いが行われていたんですね……全く知りませんでした」
「アルフには内緒にしておいたからな」
エルドさんは、悪戯が成功した子供の様な表情をした。
その後、商会へと帰宅して、クラリスの使う部屋に案内された。
「俺の隣ですか……」
「近い方が良いと思ってな、元々ここは空き部屋になる予定だったからな、少し時期を早めてクラリスの為に部屋を用意したんだ」
「だからここ数日、この部屋に住んでた方を見なかったんですね」
「うむ。あやつは隣街での仕事になってな、そっちで家を持つ事にして寮を出たんだ」
エルドさんから事情を聞いた後、これからは兄妹の時間を過ごせばよいと言われて、エルドさんは去って行った。
「……えっと、取り合えずクラリス。これからよろしくね」
「はい! よろしくお願いします。兄さん」
クラリスは満面の笑みを浮かべて、そう俺に言った。
その後、クラリスに寮の説明をして、共有部分の施設を説明して回った。
「あら、アリスちゃんじゃない女の子を連れてるね? その子は誰なんだい」
一通り商会を終え、丁度昼食の時間となったので食堂に来ると、食堂のおばちゃんからそんな事を聞かれた。
「妹のクラリスです。クラリス、この方達は食堂のおばちゃん達だよ」
「あら? その子が前に言ってた妹さんね。よろしくね~」
「クラリスです。よろしくお願いします」
クラリスと食堂のおばちゃん達は、互いにそう挨拶をしてから料理を受け取り、席に座って食事を始めた。
「そう言えば、クラリスは商会で何をするの? 俺は一応、冒険者兼護衛的な事をしてるけど」
「今はまだ特に決まってないけど、商会の受付になるかも? 貴族として礼儀作法を習ってるから、それを活かして受付を担当してもらえると助かるって言われたんだ」
「受付か、確かにクラリスは俺と喋る時以外は凄く礼儀正しいからね」
普段は今みたいにどこにでもいる感じだが、礼儀正しいお嬢様を演じる事が出来る。
それから食事を終えた後、クラリスは俺の剣術が見たいと言ったのでクラリスを連れて広場へと向かった。
629
お気に入りに追加
2,200
あなたにおすすめの小説
家族に無能と追放された冒険者、実は街に出たら【万能チート】すぎた、理由は家族がチート集団だったから
ハーーナ殿下
ファンタジー
冒険者を夢見る少年ハリトは、幼い時から『無能』と言われながら厳しい家族に鍛えられてきた。無能な自分は、このままではダメになってしまう。一人前の冒険者なるために、思い切って家出。辺境の都市国家に向かう。
だが少年は自覚していなかった。家族は【天才魔道具士】の父、【聖女】の母、【剣聖】の姉、【大魔導士】の兄、【元勇者】の祖父、【元魔王】の祖母で、自分が彼らの万能の才能を受け継いでいたことを。
これは自分が無能だと勘違いしていた少年が、滅亡寸前の小国を冒険者として助け、今までの努力が実り、市民や冒険者仲間、騎士、大商人や貴族、王女たちに認められ、大活躍していく逆転劇である。
なんだって? 俺を追放したSS級パーティーが落ちぶれたと思ったら、拾ってくれたパーティーが超有名になったって?
名無し
ファンタジー
「ラウル、追放だ。今すぐ出ていけ!」
「えっ? ちょっと待ってくれ。理由を教えてくれないか?」
「それは貴様が無能だからだ!」
「そ、そんな。俺が無能だなんて。こんなに頑張ってるのに」
「黙れ、とっととここから消えるがいい!」
それは突然の出来事だった。
SSパーティーから総スカンに遭い、追放されてしまった治癒使いのラウル。
そんな彼だったが、とあるパーティーに拾われ、そこで認められることになる。
「治癒魔法でモンスターの群れを殲滅だと!?」
「え、嘘!? こんなものまで回復できるの!?」
「この男を追放したパーティー、いくらなんでも見る目がなさすぎだろう!」
ラウルの神がかった治癒力に驚愕するパーティーの面々。
その凄さに気が付かないのは本人のみなのであった。
「えっ? 俺の治癒魔法が凄いって? おいおい、冗談だろ。こんなの普段から当たり前にやってることなのに……」
ハズレスキル【分解】が超絶当たりだった件~仲間たちから捨てられたけど、拾ったゴミスキルを優良スキルに作り変えて何でも解決する~
名無し
ファンタジー
お前の代わりなんざいくらでもいる。パーティーリーダーからそう宣告され、あっさり捨てられた主人公フォード。彼のスキル【分解】は、所有物を瞬時にバラバラにして持ち運びやすくする程度の効果だと思われていたが、なんとスキルにも適用されるもので、【分解】したスキルなら幾らでも所有できるというチートスキルであった。捨てられているゴミスキルを【分解】することで有用なスキルに作り変えていくうち、彼はなんでも解決屋を開くことを思いつき、底辺冒険者から成り上がっていく。
5歳で前世の記憶が混入してきた --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--
ばふぉりん
ファンタジー
「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は
「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」
この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。
剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。
そんな中、この五歳児が得たスキルは
□□□□
もはや文字ですら無かった
~~~~~~~~~~~~~~~~~
本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。
本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。
外れスキル【削除&復元】が実は最強でした~色んなものを消して相手に押し付けたり自分のものにしたりする能力を得た少年の成り上がり~
名無し
ファンタジー
突如パーティーから追放されてしまった主人公のカイン。彼のスキルは【削除&復元】といって、荷物係しかできない無能だと思われていたのだ。独りぼっちとなったカインは、ギルドで仲間を募るも意地悪な男にバカにされてしまうが、それがきっかけで頭痛や相手のスキルさえも削除できる力があると知る。カインは一流冒険者として名を馳せるという夢をかなえるべく、色んなものを削除、復元して自分ものにしていき、またたく間に最強の冒険者へと駆け上がっていくのだった……。
家族に辺境追放された貴族少年、実は天職が《チート魔道具師》で内政無双をしていたら、有能な家臣領民が続々と移住してきて本家を超える国力に急成長
ハーーナ殿下
ファンタジー
貴族五男ライルは魔道具作りが好きな少年だったが、無理解な義理の家族に「攻撃魔法もろくに使えない無能者め!」と辺境に追放されてしまう。ライルは自分の力不足を嘆きつつ、魔物だらけの辺境の開拓に一人で着手する。
しかし家族の誰も知らなかった。実はライルが世界で一人だけの《チート魔道具師》の才能を持ち、規格外な魔道具で今まで領地を密かに繁栄させていたことを。彼の有能さを知る家臣領民は、ライルの領地に移住開始。人の良いライルは「やれやれ、仕方がないですね」と言いながらも内政無双で受け入れ、口コミで領民はどんどん増えて栄えていく。
これは魔道具作りが好きな少年が、亡国の王女やエルフ族長の娘、親を失った子どもたち、多くの困っている人を受け入れ助け、規格外の魔道具で大活躍。一方で追放した無能な本家は衰退していく物語である。
断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す
名無し
ファンタジー
パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる