外れスキルと馬鹿にされた【経験値固定】は実はチートスキルだった件

霜月雹花

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第二章

第71話 【動き出す者達・1】

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 迷宮探索を終え王都に戻って来てから二日後、俺はとある病院へと来ている。

「リアナさん、ご出産おめでとうございます」

「態々、来てくれたのね。アルフ君、ありがとう」

 病院に来た理由、それは出産を終えたリアナさんへお祝いの言葉を言いに来た。
 師匠にはいつもお世話になっている。
 そんな師匠の子供が生まれたのに、お祝いの言葉も掛けないなんて弟子失格だと思い。
 学園の授業終わりアリスとの訓練はお休みにして、師匠と一緒に病院に来た。

「男の子ですか?」

「ええ、男の子よ。名前はルディスよ」

「ルディス君ですか、良い名前ですね」

 そう俺は言いながら、赤ん坊の前で手を振り、そんな手の動きを見たルディス君は笑ってくれた。

「ルディスはリアナに似てくれてよかったよ。俺見たいに目つきが鋭かったら、色々と苦労するからな……この目つきのせいで何度難癖付けられたことか」

「確かに師匠は目つきが鋭いですが、凛々しくてカッコいいと思いますよ?」

「あら、アルフ君も分かっているわね。私もアレン君の目は私も好きなのよ」

 俺とリアナさんはそう言って師匠の目を褒めると、師匠は顔を赤く染め直ぐに顔を隠したが俺とリアナさんはバッチリと見ていた。

「ふふっ、アレン君が照れるなんて珍しいわ~」

「師匠もそんな顔出来るんですね~」

「う、煩いな……弟子が師匠を揶揄うんじゃない」

「ごめんなさ~い」

 師匠から怒られた俺は笑いながら謝罪をし、リアナさんも楽しそうに笑っていた。
 それから俺と師匠は、病院を出て行き商会へと戻って来た。

「そうだ。アルフ、これからの事についてエルドさんと話していたんだが、もしかしたら一度アルフを王城に連れて行く事になるみたいだ」

「えっ、王城にですか?」

「王城の方から手紙が来たらしくてな、ずっと断っていたみたいなんだが何度も来て煩いらしい」

「そうなんですね。まあ、でも王族には知り合いもいますし、変な事はされないとは思いますけど……一応、警戒はしておいた方が良いって事ですかね?」

 そう聞くと、師匠は頷き俺も覚悟を決めておいた方が良いなと考えた。
 それから数日後、学園から帰宅後にエルドさんの部屋に呼び出しをされた。

「明日、王城に行く事になった」

「断り切れなかったんですね」

 疲れた表情をしながら言ったエルドさんに対し、俺はそう言うとエルドさんは溜息を吐きながら頷いた。

「あまりにも煩いからな……一度会わせて、さっさと帰る予定だ」

「王族に対してその対応って大丈夫なんですか?」

「今の王とは幼少期からの仲だからな、それにあやつも儂の性格を知っているからな」

 それから明日の日程を聞き、午前中に王城へ行く事になった。

「師匠。ちなみに予定は大丈夫なんですか?」

「まあ、迷宮に行こうと思っていたくらいだから、訓練の日程的には別に大丈夫だ。それに王家との話し合いの方が大事だからな、多分色々と聞かれると思うから今のうちに覚悟しておいた方が良いぞ」

「えっ、色々ってどうしてですか?」

 師匠の言葉に首を傾げた俺に、師匠は情報を教えてくれた。

「国は、アルフの元家であるノルゼニア家を調べ始めたんだ。これまでもノルゼニア家には不信感を抱いていたらしく、アルフの謹慎生活や家からの追放を見て、重い腰を上げて探り始めたみたいだ」

「儂もノルゼニア家の事を調べるから協力をして欲しいと言われて、流石にそれを言われて断るのはアルフにとっても悪いと思ってな」

「……王族がノルゼニア家の事を調べ始めたって、悪事についても王家は知ってるんですかね?」

「知っておる。儂等が調べた事に関しては、既に一通り報告しておるからな」

 その後、明日は早くに出るからと訓練は休みとなり、俺は自室で暇を潰す事になった。

「国にもあの悪事がバレてるって事は、最悪あの家は取り潰しだろうな……」

 ノルゼニア家は嫌いだし、別にどうなっても構わないと思っている。
 しかし、クラリスの事だけが心配だ。

「このまま家が取り潰しになったら、エルドさんにクラリスの事を助けて貰えるように話してみるか」

 それから俺は、このままだと悪い事ばかり考えそうだからと勉強をする事にした。
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