外れスキルと馬鹿にされた【経験値固定】は実はチートスキルだった件

霜月雹花

文字の大きさ
上 下
68 / 140
第一章

第68話 【迷宮探索・4】

しおりを挟む

「それにしても、まさかウィルとこうして迷宮で飯を食べる事になるなんて昔なら絶対にあり得なかったね」

「そうだね。僕としては、アルフの変わりようにかなり驚いてるよ。アルフにこんな料理の才能があったなんて」

「商会に拾われてから勉強したんだよ。どう美味しい?」

「うん。美味しいよ」

 あの後、ウィル達と一緒に食事を共にする事になった。
 俺の作った料理をウィルは本当に美味しそうに食べながらそう言い、俺はウィルから美味しいと言われて嬉しく感じた。

「そういや、アレンの弟子は剣も使ってるのか?」

 ウィルと話しながら食べていると、ダラムスさんは俺の装備を見てそんな事を聞かれた。

「はい。【剣術】のスキルも持ってるので剣を使いながら戦ってます」

「ほ~、魔法も使えて剣も使えるなんて中々いいスキル構成だな。アレンが教え込んだのか?」

「魔法は俺だが、【剣術】は俺じゃなくてエリスさんだ」

「お前の言うエリスって事は、ルクリア商会の副会長〝疾風の剣士〟の事か?」

 ダラムスさんはエリスさんの事を〝疾風の剣士〟と言うと、師匠は頷いた。

「えっ、エリスさんって二つ名持ちだったんですか?」

「まあな……だが、アルフ。この事は言わない方が良いぞ、エリスさんは俺以上に二つ名を嫌っていてな、その名を口にした瞬間命が無いと思えよ?」

「はっ、はい!」

 師匠の本気の忠告に対し、俺は怯えて直ぐに返事をした。

「ああ、それとダラムス。お前が二つ名を口にした事はエリスさんに伝えとくから、暫く商会には近づかない方が身のためだぞ」

「おい、何でそんな友達を危険な目に合わせようとするんだよ!」

「事実を伝えるだけだ。友達とか親しい関係じゃないだろ」

 師匠はそう言うと、ダラムスさんは師匠に「それは無いだろ~」と縋りついた。
 その後、夕食を食べ終えた俺は安全地帯の中に【土属性魔法】で個室の様な所を作り、その中に風呂桶を設置してお湯を入れた。

「師匠。どうしますか、先に入りますか?」

「いや、俺はダラムスとちょっと話す事があるから、アルフは先に入っていて良いぞ」

「分かりました。ウィルはどうする? 風呂入る?」

「迷宮の中でも風呂に入るって、会わない間にアルフおかしくなったね……まあ、でも汗とか気になるし入っても良いなら入るよ」

 ウィルはそう言うと、一緒に土の箱の中に入り魔法でお湯を作りシャワーを浴びて汗と汚れを落とし、湯舟に浸かった。

「まさか、迷宮の中でも風呂に入れるなんて思いもしなかったよ……アルフってこんなに風呂が好きだったの?」

 ウィルは湯舟に浸かり、気持ちよそうな顔をしながらそう言った。

「商会で暮らす様になってから好きになったね。その前までは、特に好きとか嫌いとかは無かったよ」

「そうなんだ。ってか、アルフ。身体鍛え過ぎじゃない? そんな筋肉質だったっけ?」

 ウィルは俺の身体が目に入り、そんな事を聞いて来た。

「努力の賜物だよ。こうみえて、時間があれば訓練をしてるからね」

「だとしても、商会で暮らし始めてそんなに経ってないよね……それでその身体って、かなり無茶してるんじゃないか?」

「無茶はしてないよ。体調管理をしっかりとしながら、訓練をしていたからだと思うよ」

 心配してくれたウィルにそう言った俺は、それからウィルと他愛もない会話をしながら風呂にゆっくりと入った。
 入浴後、俺とウィルの後に師匠が入り、ダラムスさんも汗を流したいという事で全員風呂に入った。

「師匠。安全地帯って見張りとかはしなくても大丈夫なんですか?」

「冒険者が襲ってくる可能性は無くは無いが、それ以外は基本的に安全な場所だ。今回の場合この迷宮はほぼ人が来ないが、念の為に危険察知の魔道具を置いて寝るつもりだ」

 師匠はそう言いながら、魔道具を取り出しその魔道具に全員の魔力を登録して設置した。
 この魔道具は、登録してない魔力の持ち主が近くに来た際に作動する魔道具だと教えられた。

「まあ、ただの警報装置だが無いよりかマシだからな。それより、明日も早いんだからもうアルフは寝ていいぞ」

「はい。分かりました。ウィル、ダラムスさんおやすみ」

 別のテントで寝るウィル達にそう言って、テントの中に入って眠りについた。
しおりを挟む
感想 32

あなたにおすすめの小説

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

なんだって? 俺を追放したSS級パーティーが落ちぶれたと思ったら、拾ってくれたパーティーが超有名になったって?

名無し
ファンタジー
「ラウル、追放だ。今すぐ出ていけ!」 「えっ? ちょっと待ってくれ。理由を教えてくれないか?」 「それは貴様が無能だからだ!」 「そ、そんな。俺が無能だなんて。こんなに頑張ってるのに」 「黙れ、とっととここから消えるがいい!」  それは突然の出来事だった。  SSパーティーから総スカンに遭い、追放されてしまった治癒使いのラウル。  そんな彼だったが、とあるパーティーに拾われ、そこで認められることになる。 「治癒魔法でモンスターの群れを殲滅だと!?」 「え、嘘!? こんなものまで回復できるの!?」 「この男を追放したパーティー、いくらなんでも見る目がなさすぎだろう!」  ラウルの神がかった治癒力に驚愕するパーティーの面々。  その凄さに気が付かないのは本人のみなのであった。 「えっ? 俺の治癒魔法が凄いって? おいおい、冗談だろ。こんなの普段から当たり前にやってることなのに……」

家族に無能と追放された冒険者、実は街に出たら【万能チート】すぎた、理由は家族がチート集団だったから

ハーーナ殿下
ファンタジー
 冒険者を夢見る少年ハリトは、幼い時から『無能』と言われながら厳しい家族に鍛えられてきた。無能な自分は、このままではダメになってしまう。一人前の冒険者なるために、思い切って家出。辺境の都市国家に向かう。  だが少年は自覚していなかった。家族は【天才魔道具士】の父、【聖女】の母、【剣聖】の姉、【大魔導士】の兄、【元勇者】の祖父、【元魔王】の祖母で、自分が彼らの万能の才能を受け継いでいたことを。  これは自分が無能だと勘違いしていた少年が、滅亡寸前の小国を冒険者として助け、今までの努力が実り、市民や冒険者仲間、騎士、大商人や貴族、王女たちに認められ、大活躍していく逆転劇である。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

いずれ殺される悪役モブに転生した俺、死ぬのが嫌で努力したら規格外の強さを手に入れたので、下克上してラスボスを葬ってやります!

果 一
ファンタジー
二人の勇者を主人公に、ブルガス王国のアリクレース公国の大戦を描いた超大作ノベルゲーム『国家大戦・クライシス』。ブラック企業に勤務する久我哲也は、日々の疲労が溜まっている中、そのゲームをやり込んだことにより過労死してしまう。 次に目が覚めたとき、彼はゲーム世界のカイム=ローウェンという名の少年に生まれ変わっていた。ところが、彼が生まれ変わったのは、勇者でもラスボスでもなく、本編に名前すら登場しない悪役サイドのモブキャラだった! しかも、本編で配下達はラスボスに利用されたあげく、見限られて殺されるという運命で……? 「ちくしょう! 死んでたまるか!」 カイムは、殺されないために努力することを決める。 そんな努力の甲斐あってか、カイムは規格外の魔力と実力を手にすることとなり、さらには原作知識で次々と殺される運命だった者達を助け出して、一大勢力の頭へと駆け上る! これは、死ぬ運命だった悪役モブが、最凶へと成り上がる物語だ。    本作は小説家になろう、カクヨムでも公開しています 他サイトでのタイトルは、『いずれ殺される悪役モブに転生した俺、死ぬのが嫌で努力したら規格外の強さを手に入れたので、下克上してラスボスを葬ってやります!~チート魔法で無双してたら、一大勢力を築き上げてしまったんだが~』となります

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

処理中です...