外れスキルと馬鹿にされた【経験値固定】は実はチートスキルだった件

霜月雹花

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第一章

第68話 【迷宮探索・4】

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「それにしても、まさかウィルとこうして迷宮で飯を食べる事になるなんて昔なら絶対にあり得なかったね」

「そうだね。僕としては、アルフの変わりようにかなり驚いてるよ。アルフにこんな料理の才能があったなんて」

「商会に拾われてから勉強したんだよ。どう美味しい?」

「うん。美味しいよ」

 あの後、ウィル達と一緒に食事を共にする事になった。
 俺の作った料理をウィルは本当に美味しそうに食べながらそう言い、俺はウィルから美味しいと言われて嬉しく感じた。

「そういや、アレンの弟子は剣も使ってるのか?」

 ウィルと話しながら食べていると、ダラムスさんは俺の装備を見てそんな事を聞かれた。

「はい。【剣術】のスキルも持ってるので剣を使いながら戦ってます」

「ほ~、魔法も使えて剣も使えるなんて中々いいスキル構成だな。アレンが教え込んだのか?」

「魔法は俺だが、【剣術】は俺じゃなくてエリスさんだ」

「お前の言うエリスって事は、ルクリア商会の副会長〝疾風の剣士〟の事か?」

 ダラムスさんはエリスさんの事を〝疾風の剣士〟と言うと、師匠は頷いた。

「えっ、エリスさんって二つ名持ちだったんですか?」

「まあな……だが、アルフ。この事は言わない方が良いぞ、エリスさんは俺以上に二つ名を嫌っていてな、その名を口にした瞬間命が無いと思えよ?」

「はっ、はい!」

 師匠の本気の忠告に対し、俺は怯えて直ぐに返事をした。

「ああ、それとダラムス。お前が二つ名を口にした事はエリスさんに伝えとくから、暫く商会には近づかない方が身のためだぞ」

「おい、何でそんな友達を危険な目に合わせようとするんだよ!」

「事実を伝えるだけだ。友達とか親しい関係じゃないだろ」

 師匠はそう言うと、ダラムスさんは師匠に「それは無いだろ~」と縋りついた。
 その後、夕食を食べ終えた俺は安全地帯の中に【土属性魔法】で個室の様な所を作り、その中に風呂桶を設置してお湯を入れた。

「師匠。どうしますか、先に入りますか?」

「いや、俺はダラムスとちょっと話す事があるから、アルフは先に入っていて良いぞ」

「分かりました。ウィルはどうする? 風呂入る?」

「迷宮の中でも風呂に入るって、会わない間にアルフおかしくなったね……まあ、でも汗とか気になるし入っても良いなら入るよ」

 ウィルはそう言うと、一緒に土の箱の中に入り魔法でお湯を作りシャワーを浴びて汗と汚れを落とし、湯舟に浸かった。

「まさか、迷宮の中でも風呂に入れるなんて思いもしなかったよ……アルフってこんなに風呂が好きだったの?」

 ウィルは湯舟に浸かり、気持ちよそうな顔をしながらそう言った。

「商会で暮らす様になってから好きになったね。その前までは、特に好きとか嫌いとかは無かったよ」

「そうなんだ。ってか、アルフ。身体鍛え過ぎじゃない? そんな筋肉質だったっけ?」

 ウィルは俺の身体が目に入り、そんな事を聞いて来た。

「努力の賜物だよ。こうみえて、時間があれば訓練をしてるからね」

「だとしても、商会で暮らし始めてそんなに経ってないよね……それでその身体って、かなり無茶してるんじゃないか?」

「無茶はしてないよ。体調管理をしっかりとしながら、訓練をしていたからだと思うよ」

 心配してくれたウィルにそう言った俺は、それからウィルと他愛もない会話をしながら風呂にゆっくりと入った。
 入浴後、俺とウィルの後に師匠が入り、ダラムスさんも汗を流したいという事で全員風呂に入った。

「師匠。安全地帯って見張りとかはしなくても大丈夫なんですか?」

「冒険者が襲ってくる可能性は無くは無いが、それ以外は基本的に安全な場所だ。今回の場合この迷宮はほぼ人が来ないが、念の為に危険察知の魔道具を置いて寝るつもりだ」

 師匠はそう言いながら、魔道具を取り出しその魔道具に全員の魔力を登録して設置した。
 この魔道具は、登録してない魔力の持ち主が近くに来た際に作動する魔道具だと教えられた。

「まあ、ただの警報装置だが無いよりかマシだからな。それより、明日も早いんだからもうアルフは寝ていいぞ」

「はい。分かりました。ウィル、ダラムスさんおやすみ」

 別のテントで寝るウィル達にそう言って、テントの中に入って眠りについた。
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