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第一章
第43話 【学園へ・3】
しおりを挟む試験を受けた翌日、今日一日何をしようか朝食を食べながら考えていた。
師匠から「休め」と言われて、どう過ごすか昨日の夜から考えているが……。
全く、良い案が思いつかない。
「アルフ君、今日はいつもよりゆっくり食べてたけど、何か悩みでもあるのかい?」
「実は師匠から今日は休めって言われてて、そのどう過ごそうか悩んでいたんです」
悩んでいた俺を食堂のおばちゃん達に心配に思って声を掛けられたので、俺は何で悩んでいるのか話した。
「成程ね。アルフ君、商会に来てから毎日頑張ってたから、アレンさんが休むように言ったのね。私達もずっとアルフ君が頑張ってて、いつか倒れないか心配していたのよね」
一人のおばちゃんがそう言うと周りのおばちゃん達も同意し、師匠の判断は正しいと頷きながら言っていた。
俺はそんなおばちゃん達に、どう休みの日を過ごせばいいか聞いてみた。
「う~ん、私達の場合は外に買い物に出掛けるのが多いかしらね。アルフ君は何か欲しい物とかあるかしら?」
「……特に無いですね。元々、物欲がそんなに無い方なので」
「じゃあ、買い物はそんなにおすすめ出来ないわね。それに買い物って結構歩くから結局、体を動かす事になるからアレンさんから怒られちゃいそうだしね」
「じゅあ、やっぱり寮の中で過ごせる休み方が一番よね?」
おばちゃん達は皆で、俺の休みの日の過ごし方について色々と提案してくれた。
勉強では無く趣味の本を読んだり、広場でのんびり過ごしたり、一日寝て過ごすという提案もあった。
そんな話をしていると、食堂にエリスさんがやって来た。
「アルフ君、ここに居たのね」
「俺を探していたんですか?」
「ええ、アレン君からアルフ君は今日は休みにしてるって聞いて、ちょっとアルフ君に頼みたい事があって来たのよ。もしかして、何かもう予定とか決めていたのかしら?」
「いえ、それを決める為に話し合いをおばちゃん達と話していたんで、まだ特に予定は決まってないので大丈夫ですよ」
そう言った後、俺はおばちゃん達に一緒に考えてくれたお礼を言って、エリスさんと一緒に食堂を出た。
それから俺は、エリスさんと一緒に商会の建物へと移動してある部屋に通された。
「えっと、エリスさん? 俺は何をしたらいいんですか?」
「今回、アルフ君に来て貰ったのはアルフ君の学力を測りたくて来てもらったわ。お姉ちゃんからアルフ君はどれ程の知識を持っているのか、ある程度調べておいて欲しいって連絡が来たのよ」
「エリスさんのお姉さんという事は、学園長ですか」
そうして俺はエリスさんから、問題の束と回答用の紙を受け取った。
分からない所は飛ばしてでも良いから、問題の束を全部解いてほしいと言われた。
「……多いですね」
「ごめんね。もうちょっと減らす予定だったんだけど、学力を測るにはこの位はどうしても必要だったの、大丈夫かしら?」
「前回みたいに直ぐには終われないですが、時間を掛ければ出来ると思いますので大丈夫ですよ」
心配してくれたエリスさんに俺はそう言って、早速問題を解き始めた。
学力を測る為というだけあって、前回エリスさんが用意して問題や学園で受けた試験よりも難しい問題がいくつかあった。
中には俺の持ってる知識以外のもあって、分からない問題は飛ばして問題を解き続けた。
その結果、解けた問題は9割程となり、エリスさんは直ぐに採点を始めた。
「……凄いわね。勉強時間も無かったのに9割解いて、その殆どが合っていたわ」
「えっ、本当ですか? 良かったです。ちょっと、忘れていた部分もあって勘で解いたところもあったんですが」
採点を終わったエリスさんは、驚いた顔をしてどれくらい解けていたか教えてくれて、俺はちゃんと解けていた様で安心した。
「勉強時間が無くてこれって事は、ちゃんと勉強していればもっと解けていたかも知れないよね?」
「多分、そうですね」
「家の教育方針が良かったのか、アルフ君自体が記憶力が良かったのか分からないけど、どっちにしても凄いわね」
その後、エリスさんは俺の学力を測り終えたから、エルドさんにも報告しておくと言ってその部屋を出て別れた。
「さて、また暇になってしまったな」
エリスさんのおかげで時間を潰せたが、まだ今日は時間が残っている。
訓練が出来ないと、俺は今日も暇な人間になってしまうのかと感じつつ、やる事が無いから部屋に戻る事にした。
「う~ん……さっきの問題で解けない所とかあったし、勉強でもするか?」
正直、そこまでやるべき事じゃないが、他にする事が無い俺は暇潰しの為に勉強をする事にした。
師匠から禁止されてるのは、基本的に魔法を使う事と体を使う事だから、頭を使う事は禁止されていない。
その後、俺は商会から頂いた勉強道具を使い、一日勉強をする事にした。
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