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第一章
第13話 【秘密の訓練場・1】
しおりを挟むアレンさんを紹介され、俺の指導者となって訓練が始まって一週間が経った。
ルクリア商会での生活にも慣れ、寮で暮らしている俺は商会の人達とも大分仲良くなれた。
「アルフ君、今日も頑張っているわね」
「おはようございます。エリスさん!」
アルフレッドと名前が長い俺は、エルドさんから「アルフ」と愛称を付けてもらった。
その名前は直ぐに商会内に広まり、今では俺は皆から愛称で呼ばれている。
「今日も剣術の指導よろしくお願いします」
商会で過ごすうちに、俺の一日のスケジュールは徐々に決まっていった。
午前中は基本的に、剣術の訓練とトレーニングの時間となっている。
エリスさんが時間がある時は、【剣術】の指導役として来てもらい剣を教えてもらい、それ以外は一人で訓練をしている。
「アルフ君の【剣術】スキルは、レベルいくつまで上がったのかしら?」
「えっと、昨日レベル3になりました」
「順調に上がっているわね。普通だったら、レベル3になるまで数ヵ月かかるのにアルフ君のスキルは本当に凄いわね」
エリスさんはそう言いながら、準備運動を終えると早速今日の訓練が始まった。
訓練は試合形式で戦って、見直すべき点等を出すというやり方だ。
その為、俺はもう何回もエリスさんと戦っているが、未だにエリスさんに勝てていない。
エリスさん、剣より魔法の方が得意と言ってたけど、魔法の実力はどれ程なんだろうと負ける度に考える。
「おばちゃん、ご飯のおかわりいいですか?」
「ええ、いいわよ。沢山、食べて午後の訓練も頑張るのよ」
午前中の訓練が終わり、食堂に昼食を食べに移動してきた俺は、最初に受け取ったご飯をペロリと食べておかわりをした。
ここに来た当初は、謹慎生活のせいで胃が小さくなっていてほぼ食べられなかった。
しかし、訓練を初めて毎日動きまくっていたら徐々に食欲が回復して、今では昔よりも沢山食べられるようになった。
「アルフ。こっちに居たか」
「師匠。おはようございます!」
二回目のおかわりをして食べていると、食堂にアレンさんがやってきた。
この一週間で俺とアレンさんはかなり打ち解け、最初はただの教える人間と教わる人間の関係だったが。
アレンさんから正式に俺は弟子として迎え入れて貰い、アレンさんに沢山の事を教わっている。
「昨日で目標だった【水属性魔法】のスキルレベルが超えただろ? 約束通り、俺の秘密の訓練場に今日は行こうと思ってな」
「本当ですかっ!?」
秘密の訓練場、それは師匠の話で偶に出てくる場所で師匠がまだ冒険者として成り上がり始めた頃に見つけた場所。
話では、訓練する所として最適で人も寄ってこない為、集中する事が出来ると聞いている。
「一応、泊まり込みの予定だが。アルフは問題ないか? エルドさんには許可を貰って来てるけど」
「エルドさんに許可を貰ってるのでしたら、大丈夫です。俺も師匠がよく使ってる訓練場に興味がありましたし、それに新しい魔法も教えてくれるんですよね?」
「ああ、ここだとやっぱり派手な魔法とかは無理だからな、あそこだったら人が近くにいない分、色んな事を教えられるぞ」
その後、俺は食堂のおばちちゃんにご飯が美味しかった事を伝えて、部屋に戻った。
そして部屋に戻ってきた俺は、数日間分の衣服を師匠から事前に貰っていた【異空間収納バッグ】に入れた。
このバッグは見た目は肩掛けのバッグだが、【空間魔法】が付与されていてこのバッグの中には沢山物を入れる事が出来る。
これは魔道具の一つで、これに似た魔道具は他にも沢山あって価格はそれぞれ違う。
「師匠。用意が終わりました」
「早かったな。それじゃ、取り合えず許可取りはもう終わってるが、エルドさんに挨拶をしてから行くか」
「はい!」
それから俺と師匠は、エルドさんの仕事部屋へと向かい修行で数日間、外に出掛ける事を伝えた。
「アレン、アルフの事を頼むぞ? アルフは凄いスキルを持っているが、レベルはそこまで高くないんだからアレンの基準で戦ったりするんじゃないぞ?」
「分かっています。心配しなくても、ちゃんと修行をして強くして戻ってきます」
そうエルドさんの言葉に師匠は言葉を返した後、少しだけエルドさんと喋ってから俺と師匠は部屋を出た。
それから商会の外に出ると、師匠が用意していた馬車があった。
「御者は居ないんですか?」
「俺の秘密の訓練場だからな、俺が運転するからアルフは後ろに乗ってて良いぞ」
師匠にそう言われた俺は、「わかりました。よろしくお願いします」と言って荷台に乗って、師匠も御者席に座って馬を動かし移動を始めた。
師匠の話では、師匠の秘密の訓練場までは王都から大体半日ほどの所にあるらしい。
それだけ移動時間があるなら、荷台で【水属性魔法】の訓練でもしようと思い。
いつも訓練で使ってる桶を取り出して、中に水を入れて訓練を始めた。
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