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最終話 幸せの形

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「圭?、、」
「ん?どうした?」
「あ、ううん!いま撮ってくれてる人が幼馴染の後輩で久しぶりに会って」

雑誌でみていた圭歌とはまた違い五年ぶりにみた圭歌は大人でさらにクールになっていた
そのあとの理佐が作ったであろう動画にはずっと圭歌がいて懐かしかった

「ほんとに、、圭ばっかだな、、」

「素敵なムービーでしたね!それではお色直しに向かわれます」

「美雨ちゃん綺麗よ~」
「美雨~!!」
「ありがとう~」

すると美雨の目に圭歌の姿がはいった
居ても立っても居られず、会場を出た瞬間圭歌を追いかけた

「圭!!!」

圭歌は足を止めた

「・・・お久しぶりです。ちょっとこの後仕事があって、もう抜けないとで」
「圭、、こっち向いて」

五年ぶりの再開に美雨は涙が止まらなかった

「ちょ、ちょっとまって。まだ披露宴途中なんだから、メイクが落ちちゃうよ」
「・・なんで、なんでいなくなったの?」
「それはいいから」
「よくないよ!!・・・よくない。
 ・・・・ずっと、ずっと、会いたかった。圭に会いたかった」
「美雨、」
「突然別れようって言われて急にそばからいなくなって連絡もつかなくなって。
 何度も現実を見ようとした。でもずっと圭を超える人が出てこない」

「美雨ー、お色直しいくよ?」

「ん、旦那さんだよ?」
「あ、うん、先に行ってて!私あとから行くから」

『わかった』とだけいい旦那さんは控室に戻っていった

「ほら、行って?」
「行かない。圭が話してくれるまで行かない」
「ごめん、こっちも仕事があるんだ」

そう言い掴まれていた手を離し、もう一度歩き始める
すると、勢いよくからだに振動が伝わった

「!?!」
「・・・行かないで、」

五年ぶりの温もり
圭歌の背中にだけ雨が降っていた

「(うちはずっと美雨を泣かせて、、なにやってんだろう。
  今日で区切りつけるんならこれじゃだめだよ)」

「・・・もう五年が経ったね。」

再び美雨の手を解き、向き合った

「・・・会いたかったよ、美雨」

その言葉を口にしただけで涙がボロボロ落ちてきた

「いまの世の中じゃ美雨を幸せにできない、そう感じた。どんなことを言っても美雨は別れないっていいそうだったから、嘘ばっかりついて美雨から離れる決心をした。
 いま美雨が結婚して幸せになってくれて、あの時の決断は間違ってなかったって」
「・・・間違ってるよ。この五年間、圭のことを忘れたことなんてなかった。
 ずっとずっと会いたくて、声が聴きたくて、触れたくて、、
 ・・あの時私といるのが疲れたって、負担だって、それは全部嫌われるための嘘だったの?」
「うん、そうだよ」
「・・・よかった、、」

美雨は小さな声でそう答えた

「え?」
「圭がそんなこというはずないって思ってたから。でも連絡できなくなって確認もできなくて。
 ・・最後まで美雨のことばっか考えて自分は後回しにして、やっぱり圭を超す人なんていないよ」

「圭?今日まではギリギリセーフだよね?」
「ん??」

「今から話すのは独り言だから。
 ・・・・圭が、好き。ずっとずっとずっと。大好き。
 忘れたくても忘れられなかった。圭の優しさが嬉しかった。いつもかっこよくて美雨のことを見てくれて、助けてくれて、笑顔がかわいくて、、」

話しながら涙が止まらない美雨

「美雨の、王子様だった、、ずっとそばにいてほしかった。
 美雨の人生、最初から最後まで一番大切で大好きなのは、、圭だよ。
 今日話を聞けてよかった。やっぱり圭だったって」

美雨の言葉を聞き圭歌も話し始めた

「今から話すのは独り言です。
 美雨、、美雨、呼んだらいつも笑顔で振り向いてくれる、その顔が大好きだった。
 離れる決断をしたのは自分自身。だけど、一度も忘れたことはなかった。
 どうか幸せで過ごしていて、そう願ってた。
 この五年間美雨を想わなかった日なんてない。
 ・・・今日区切りをつけるためにきたのに、美雨のウエディングドレス、一緒に選びたかった。
 誰よりも先に綺麗だって言いたかった。やっぱり美雨を離したくなかった、そう思ってしまった。
 五年間も悲しい思いをさせてごめん」

二人はこれは独り言といい想いを伝えあったが、そんな泣きじゃくる二人を見守っている人がいた

「・・・圭歌ちゃん」
「?!?すみません、お母さん。もう帰りますので、本日はおめでとうございます!」
「まって、こっちに来て」

二人は圭歌のお母さんについていきある部屋に入った

「お色直しのドレス、少し直しが必要になったみたい。
 少しだけど、圭歌ちゃん。ここで美雨と一緒にいてくれない?」
「お母さん、、」
「・・大きくなったね。圭歌ちゃん。来てくれてありがとう、、」

【ガチャ】

「うちらに時間をくれたみたいだね、お母さん」

圭歌と美雨の会話を聞いていたのであろう
美雨のお母さんは少し泣いていた

「美雨、、おいで?」

泣きながらも少し微笑み、そう声をかけた

「、、うん!」

美雨もそれに返すように勢いよく抱きついた
しばらくお互いの五年間を埋めるように、ただひたすら抱きしめあった

「圭の匂い、懐かしい、、」
「香水はあんまりつけないから、高校の時から変わってないもん」

少しの間、ほんとうに少しの時間、他愛もない会話をし笑いあった

「圭のこの指輪、かわいいね!」
「ん?これ?」

「美雨、来世ってあると思う?記憶って残ってると思う?」
「来世?、、んーどうなんだろう、でもその人にとってとんでもなく大切な出来事とか大切な物は忘れないというか、引き継がれていくかもね。
 わからないけど!!笑」
「じゃあ、その少しの希望にかけてみようかな」
「・・・どういうこと?」
「この指輪、美雨のなんだ。プロポーズして渡す予定だった。
 だから、これを美雨に渡してもいい?もちろん、付けなくていいから。
 もし、来世があるのなら、美雨を見つけてプロポーズする。その時が来るまで持ってて」

「うぅ、、ぐすっ、、圭、、、」

いろんな感情が溢れ、また更に泣いてしまった美雨

「大好きだよ。持ってる。その時が来るまで持ってる。
 絶対に忘れない、来世でも圭に惚れると思う。・・・プロポーズ待ってるね」
「うん、、ありがとう。わがまま聞いてくれてありがとう。
 これ、ネックレスにできるようになってるから」
「わかった」

【チッチッチッチッ】

時計の音が響く
約束の時間が迫ってきた

「そろそろだね、花嫁さんをお返ししないと」
「ふふふっそうだね、戻らないとね」

「ありがとう。ずっとずっとありがとう」
「美雨のほうが。ありがとう。嘘をついてまで美雨の幸せを願ってくれて、ありがとう」

「美雨、、愛してる。笑顔で幸せでいて、約束」
「圭との約束だから絶対守るね」
「うん、絶対ね」
「・・・・圭、、、あいしてる、、」

最後に唇を交わした
これで会うのは最後、さよならのキス
暖かい笑顔で涙を流しながら、その時を終えた

幸せとは人それぞれだ
相手に対しての幸せも自分自身の幸せも、みんながみんな同じなわけない
たくさんの幸せがあるのだ

ただひたすら美雨の幸せを願った圭歌
圭歌と一緒に幸せを感じることが幸せだった美雨

どれだけ想いあっても上手くいかないことだってある
でもそれは、悪いことではないと思う
そのあとにどうするか、しっかり考え行動に移すこと

来世では過ごしやすい世界にするために、圭歌は引き続きモデルや講演を通して同性愛や様々な考えを広めていく活動に精を出した
美雨は、得意な料理を極め料理本を出した
離れていても圭歌に料理の作り方を教えれるように

相手を想う方法は人それぞれでいい
誰かのために精一杯生きれることは本当に素晴らしいこと
どうか少しでも生きやすく、誰もが幸せでいられる、そんな世の中になることを願っている


~2XXX年~

「うわぁ~~やばい遅刻する!!
 どうしよう!!今日会議何時からだっけ?」

遅刻しそうな人がひとり

「も~遅いなぁ~~
 次の電車に乗らないと先方とのお食事会間に合わないのに」

遅刻しそうな人を待っている人がひとり

【バンッ!!!】

「いった、、、なに?」
「うわ、、ごめんなさい。急いで角曲がってしまって、、気づきませんでした」
「遅刻しそうなのね?笑
 早くいってください!」
「いやいや、だって怪我してないですか?えっと、、、
 あっタクシー!すみません、泉病院までお願いします!」
「えっ大丈夫ですよ?!そんな!」
「怪我してるから、行かないとダメです。
 落ち着いたら連絡してください、これ名刺です!じゃ!」
「・・・・なんだろう、、あの子。
 全然大丈夫なのに、、笑
 ふふふっ、ありがとうございます。
 んーっと」

貰った名刺に目を向けた

「圭奈さんっていうのね!
 ありがとうございます」

二人が身に着けていたネックレスと指輪
同じようにキラキラと輝いていた

FIN

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