上 下
18 / 35

第18話 わからない

しおりを挟む
文化祭以降、圭歌と美雨は話せなくなっていた

「・・ぉーぃ、ぉーぃ!おーい!美雨!聞いてる?!」
「あ、ごめん。ちょっとボーってしてた笑」
「・・・圭歌ちゃんとまだ話せてないの?」
「うん。部活では話したりするけど、部活の話だけで、、、話はできてないかな」
「そっか、、」
「嫌われちゃったかな笑」
「そんなことあるかい!圭歌ちゃんはいつも美雨のことを想ってるし、美雨のために全力じゃん」

理佐の言葉を聞き少し涙を浮かべる美雨

「ちょ、ちょっと!!大丈夫??」美雨の顔を覗き込む
「・・・ごめん。あはは笑 大丈夫大丈夫!」
「美雨、、、無理しないで」
「うん大丈夫。・・・圭に、、会いたいな。」そういい微笑む美雨
「もう、美雨が素直になってるよ~泣 会いたいねぇ、そうだよね。
 明日部活休みでしょ?圭歌ちゃんの家に行って話してきたら?まとまってなくても美雨の素直な感情を伝えたらいいよ。」
「そうだね、、圭に言ってみる」

~次の日~

【ピンポーン】

「はーい、こんにちは」
「ごめんね急に」
「いえいえ、どうぞあがってください」
「おじゃまします」

「(相変わらず綺麗な部屋だなぁ)」
「すいません、お茶しかなくて」
「ううん、ありがとう!」
部屋に無言な時間が流れる

「圭、私言葉で伝えるのが下手で」
「うん」
「私なりの伝え方になるんだけど、聞いてくれる?」
「はい」

ゆっくり圭歌の近くへ行き、美雨はぎゅっと抱きしめた
そして、涙が溢れてきた

「美雨さん、、」
「ん、、ぐすっ、、あいたかった、、圭に会いたかった。
 寂しかった、ごめんなさい。嫌いにならないで、、」
「嫌いになんてなりません。寂しい思いをさせてごめん。少し距離を置きたかっただけなんです。
 自分自身と向き合いたくて」

圭歌も美雨を抱きしめるとそのまま続けた

「文化祭のとき男性と話してるとこをみて嫉妬してイライラしたのは事実。だけど、それだけが距離置いた理由じゃなくて、自分に自信がなくなった」
「やっぱり世間はまだ同性愛に理解がないし、しようともしてくれない。美雨さんはうちと出会わなければ今頃男性と付き合ってたかもしれない。堂々とデートして周りなんか気にせずに。そんな環境なのに、うちは幸せに出来るのかって」
「それでずっと話してくれなかったの?」
「そうです。うちが好きだって伝えなければ昔のまま仲のいい先輩後輩でいれた」

すると突然圭歌のくちびるに美雨はキスをした

「私の最初で最後の好きな人は、圭だよ。そんな悲しいこと言わないで?」
「美雨さん、、ごめん」
「謝らないで。いつも私のことを一番に考えてくれてありがとう。でもたまには弱音はいていいし頼ってほしい。ずっとかっこよくなくていいんだよ、年上のお姉さんなんだから」

周りばかり気にしていた美雨は圭歌と過ごすことによって成長していた
美雨自身の幸せに気づけたから

「圭?」
「ん?」
「美雨はずっとずーっと圭が好きだからね。もう圭以外考えられないから。
 だから、、だから、離さないで」
「美雨?」
「ん?」
「美雨が大好きで大好きで抑えられません。だからこんな奴だけどこれからも隣にいてください」
「はい、よろこんで」

久しぶりに二人で笑いあった

「あ、でもメイド服はもう禁止!」
「ごめんって~ほんとに!あれは若干仕方なかったから」
「いやーわかってるよ?文化祭ごときで嫉妬して。けど!さぁ。
 あれは可愛すぎだよ?そりゃあお客さん好きになるよ」
「そんなあれはノリだよ~絶対」
「もう、禁止ね。うちだけにして?かわいくなるの」
「自らメイド服なんて着ないよ!笑
 美雨がかわいいって思われたいのは圭だけだよ//」
「ほんとに、他の人の前でその照れた顔やめて//」

いつもの二人に戻れたそんな一日だった
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

僕とメロス

廃墟文藝部
ライト文芸
「昔、僕の友達に、メロスにそっくりの男がいた。本名は、あえて語らないでおこう。この平成の世に生まれた彼は、時代にそぐわない理想論と正義を語り、その言葉に負けない行動力と志を持ち合わせていた。そこからついたあだ名がメロス。しかしその名は、単なるあだ名ではなく、まさしく彼そのものを表す名前であった」 二年前にこの世を去った僕の親友メロス。 死んだはずの彼から手紙が届いたところから物語は始まる。 手紙の差出人をつきとめるために、僕は、二年前……メロスと共にやっていた映像団体の仲間たちと再会する。料理人の麻子。写真家の悠香。作曲家の樹。そして画家で、当時メロスと交際していた少女、絆。 奇数章で現在、偶数章で過去の話が並行して描かれる全九章の長編小説。 さて、どうしてメロスは死んだのか?

ずぶ濡れで帰ったら彼氏が浮気してました

宵闇 月
恋愛
突然の雨にずぶ濡れになって帰ったら彼氏が知らない女の子とお風呂に入ってました。 ーーそれではお幸せに。 以前書いていたお話です。 投稿するか悩んでそのままにしていたお話ですが、折角書いたのでやはり投稿しようかと… 十話完結で既に書き終えてます。

愛されていないのですね、ではさようなら。

杉本凪咲
恋愛
夫から告げられた冷徹な言葉。 「お前へ愛は存在しない。さっさと消えろ」 私はその言葉を受け入れると夫の元を去り……

三度目の結婚

hana
恋愛
「お前とは離婚させてもらう」そう言ったのは夫のレイモンド。彼は使用人のサラのことが好きなようで、彼女を選ぶらしい。離婚に承諾をした私は彼の家を去り実家に帰るが……

愛する人が妊娠させたのは、私の親友だった。

杉本凪咲
恋愛
愛する人が妊娠させたのは、私の親友だった。 驚き悲しみに暮れる……そう演技をした私はこっそりと微笑を浮かべる。

2番目の1番【完】

綾崎オトイ
恋愛
結婚して3年目。 騎士である彼は王女様の護衛騎士で、王女様のことを何よりも誰よりも大事にしていて支えていてお護りしている。 それこそが彼の誇りで彼の幸せで、だから、私は彼の1番にはなれない。 王女様には私は勝てない。 結婚3年目の夫に祝われない誕生日に起こった事件で限界がきてしまった彼女と、彼女の存在と献身が当たり前になってしまっていたバカ真面目で忠誠心の厚い騎士の不器用な想いの話。 ※ざまぁ要素は皆無です。旦那様最低、と思われる方いるかもですがそのまま結ばれますので苦手な方はお戻りいただけると嬉しいです 自己満全開の作品で個人の趣味を詰め込んで殴り書きしているため、地雷多めです。苦手な方はそっとお戻りください。 批判・中傷等、作者の執筆意欲削られそうなものは遠慮なく削除させていただきます…

形だけの妻ですので

hana
恋愛
結婚半年で夫のワルツは堂々と不倫をした。 相手は伯爵令嬢のアリアナ。 栗色の長い髪が印象的な、しかし狡猾そうな女性だった。 形だけの妻である私は黙認を強制されるが……

家に帰ると夫が不倫していたので、両家の家族を呼んで大復讐をしたいと思います。

春木ハル
恋愛
私は夫と共働きで生活している人間なのですが、出張から帰ると夫が不倫の痕跡を残したまま寝ていました。 それに腹が立った私は法律で定められている罰なんかじゃ物足りず、自分自身でも復讐をすることにしました。その結果、思っていた通りの修羅場に…。その時のお話を聞いてください。 にちゃんねる風創作小説をお楽しみください。

処理中です...