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松並から富永に関するアップデート情報はすぐに聞けた。要点はこんな感じだ。
・立候補する気は今のところない
・面倒くさいイメージ
・部活に専念したい
・面白さがわからない
生徒会長に関する意見としてはデメリットしかでてこない一方、今のところ立候補する気はないということで、メリットがないわけではないと考えているのかもしれない。これならば、メリットがデメリットを上回ることで立候補の目はある。
「松並さんは生徒会長をやることのメリットってどう考えていますか?」
「そうだな。生徒会メンバーでやり遂げたときの達成感と、イベントによっては学校全体で成し遂げた達成感というのは大きかったな。先生との距離も近くなるし、顔が広くなった分、生徒の友達が増えたというのもあるな。」
学園祭とか大変だっただろうから実感がこもっている感じがする。また、人脈が増えるというのは十分なメリットだ。卒業後も繋がれる可能性は一般的な目立たない生徒とは段違いになるだろう。
「なるほど。学園祭の一体感はすごかったですもんね。ちなみに、生徒会長になる前にメリットだと感じていたことってありますか?」
「就職の時に有利になるかなとは考えていた。この学校で生徒会長ってのは結構箔がつくんじゃないか?」
確かに、有名進学校で生徒会長というのはインパクトはある。こういう人材を好む業界はあるだろう。もう少し言うと人前で話す、その内容を考えることは社会人になって初めて経験する人も多い中で、早めに経験できるということもメリットになる。
これでメリットがデメリットを上回るとみるかどうかは人によるだろう。雑事が多くて時間が取られるというのもまた真であるし、面倒くさいというのも、興味がわかなければ面白さがわからないというのも理解できる。
そして、やれる資質があるか否かというのも重要だ。やはりこういった仕事には向かないものも存在する。現在で言うとマネジメントができなくてもスペシャリティを磨くことで部下無しでも活躍ができる時代なので、いい悪いという話ではない。
資質の面で言うと、実際に話したことはないが、ラグビー部の部長をしているというところから問題ないだろう。ということでやはりメリットを説く必要があるように思う。
「やはり今はネガティブに捉えられているところがネックですね。それとなく良さを伝えられますかね?」
「そうだな…俺ももう部活を引退しているから定期的な接点はないんだよな。あ、昼飯ぐらいならたまに行ってるぞ。」
「じゃあ、食堂で食べる日を教えてもらえば、前みたいに俺がそれとなく合流して、松並さんに話を振りますよ。俺からならそんな話を振ってもそんなにおかしくないでしょう。あ、松並さんの隣が空いてて、近くに富永さんいる状態を作ってくださいね。」
「注文が多いな。まぁ、それでやってみるか。じゃあ明日か明後日にでもセットする。決まったらピッチに連絡する。」
できないと言わないあたりが松並、伊達に生徒会長をやっていないよな。なんとかするんだろう。
ということで、翌日、早速場がセッティングできたということで、昼休みの食堂にやってきた。辺りを見渡すが、まだ松並の姿は見えない。
「ケイタ。一人かい?」
俺は後ろから掛けられた声に振り返る。
「あぁ、ミナさん。いや、今日はちょっと予定ありで。」
「今年になってから遊んでもらってないんだけど?」
ミナは少しすねたように言う。その間に松並と富永含むラグビー部の面々が入ってきたのを横目で捉える。
「また行きましょうね。ちょうど今、待っている人が来たみたいなんで後で連絡します。」
俺はミナにそれだけ伝え、松並の方へ向かう。既に彼らは席を確保していて、俺の依頼通りの並びで座っている。松並が端っこで、向かいに富永が座る並びだ。そこがふさがってしまってはやり直しになってしまうので、俺は松並と目配せをして、たまたま見つけた風に近寄っていく。
「松並さん、隣いいですか。」
「おぅ。八代。もちろん空いているから大丈夫だぞ。」
さて、猿芝居の開始だ。
・立候補する気は今のところない
・面倒くさいイメージ
・部活に専念したい
・面白さがわからない
生徒会長に関する意見としてはデメリットしかでてこない一方、今のところ立候補する気はないということで、メリットがないわけではないと考えているのかもしれない。これならば、メリットがデメリットを上回ることで立候補の目はある。
「松並さんは生徒会長をやることのメリットってどう考えていますか?」
「そうだな。生徒会メンバーでやり遂げたときの達成感と、イベントによっては学校全体で成し遂げた達成感というのは大きかったな。先生との距離も近くなるし、顔が広くなった分、生徒の友達が増えたというのもあるな。」
学園祭とか大変だっただろうから実感がこもっている感じがする。また、人脈が増えるというのは十分なメリットだ。卒業後も繋がれる可能性は一般的な目立たない生徒とは段違いになるだろう。
「なるほど。学園祭の一体感はすごかったですもんね。ちなみに、生徒会長になる前にメリットだと感じていたことってありますか?」
「就職の時に有利になるかなとは考えていた。この学校で生徒会長ってのは結構箔がつくんじゃないか?」
確かに、有名進学校で生徒会長というのはインパクトはある。こういう人材を好む業界はあるだろう。もう少し言うと人前で話す、その内容を考えることは社会人になって初めて経験する人も多い中で、早めに経験できるということもメリットになる。
これでメリットがデメリットを上回るとみるかどうかは人によるだろう。雑事が多くて時間が取られるというのもまた真であるし、面倒くさいというのも、興味がわかなければ面白さがわからないというのも理解できる。
そして、やれる資質があるか否かというのも重要だ。やはりこういった仕事には向かないものも存在する。現在で言うとマネジメントができなくてもスペシャリティを磨くことで部下無しでも活躍ができる時代なので、いい悪いという話ではない。
資質の面で言うと、実際に話したことはないが、ラグビー部の部長をしているというところから問題ないだろう。ということでやはりメリットを説く必要があるように思う。
「やはり今はネガティブに捉えられているところがネックですね。それとなく良さを伝えられますかね?」
「そうだな…俺ももう部活を引退しているから定期的な接点はないんだよな。あ、昼飯ぐらいならたまに行ってるぞ。」
「じゃあ、食堂で食べる日を教えてもらえば、前みたいに俺がそれとなく合流して、松並さんに話を振りますよ。俺からならそんな話を振ってもそんなにおかしくないでしょう。あ、松並さんの隣が空いてて、近くに富永さんいる状態を作ってくださいね。」
「注文が多いな。まぁ、それでやってみるか。じゃあ明日か明後日にでもセットする。決まったらピッチに連絡する。」
できないと言わないあたりが松並、伊達に生徒会長をやっていないよな。なんとかするんだろう。
ということで、翌日、早速場がセッティングできたということで、昼休みの食堂にやってきた。辺りを見渡すが、まだ松並の姿は見えない。
「ケイタ。一人かい?」
俺は後ろから掛けられた声に振り返る。
「あぁ、ミナさん。いや、今日はちょっと予定ありで。」
「今年になってから遊んでもらってないんだけど?」
ミナは少しすねたように言う。その間に松並と富永含むラグビー部の面々が入ってきたのを横目で捉える。
「また行きましょうね。ちょうど今、待っている人が来たみたいなんで後で連絡します。」
俺はミナにそれだけ伝え、松並の方へ向かう。既に彼らは席を確保していて、俺の依頼通りの並びで座っている。松並が端っこで、向かいに富永が座る並びだ。そこがふさがってしまってはやり直しになってしまうので、俺は松並と目配せをして、たまたま見つけた風に近寄っていく。
「松並さん、隣いいですか。」
「おぅ。八代。もちろん空いているから大丈夫だぞ。」
さて、猿芝居の開始だ。
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