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正月気分の抜けきらない1月。だらけないようにしていたとはいえ、休み明けというのは気分的に上がりづらいものだ。入学式の時のフレッシュな気持ちはどこへいったのか、環境に慣れてしまっている。毎日働かない生活にも。
自転車に乗り、通学路を走る。晴れているが風が冷たく、手袋をしていても手が冷たくなってしまう。多くの学校がこの日が始業式となるため、学校に近づくにつれて様々な学校の生徒が歩いている中を進み、自転車を漕ぐこと15分でいつもの学校へ着く。
駐輪場に自転車を置き、本校舎の廊下を歩いて、教室へと向かう。出かける前は少し億劫な気持ちもあったが、いざ学校についてみると、まだ学校に通えることを嬉しく思える。もうすぐ高校生活の3分の1が終わってしまう。気を引き締めて時間を無駄にしないようにしなければと思う。本当にあっという間だな。
教室に荷物を置いたらすぐに始業式のため、講堂へと移動する。タクミとヨウスケが既に教室にいたので、軽く挨拶をし、一緒に行動へと向かった。
講堂に入ると久しぶりに顔を合わす生徒たちがわいわいと談笑をしている。こんな空気を感じられることも大切にしていきたいものだ。
舞台中央の講演台横に司会進行役が立つと生徒のざわめきが収まっていく。小学生ぐらいなら、「はい、静かになるのに15秒かかりました。」とか言うところだが、高校の、しかも進学校でそんなことはない。
校長のありがたい講和、各学年主任教諭からの注意事項等、退屈な時間が続く。意味を見出そうにも、注意事項などは守れないものを基準に作られているため、ちゃんとやるものにとっては当たり前のことで、退屈な話にしか思えない。
その後、生徒会からのお知らせとして、生徒会長の松並が登壇する。
「皆さん、あけましておめでとうございます。年末に担任の先生から案内をしていただいたと思いますが、我々生徒会は3年生の卒業を前に代替わりをする必要があり、2週間後を締め切りに立候補を募り、1月末には次期役員を決定することになります。詳しいスケジュール、応募要項等はまた担任の先生に配布いただくプリントを参照してください。皆さんの積極的な応募をお待ちしています。」
年末のホームルームで確かに担任が言っていたが、応募はあるだろうか。俺はあえて生徒会に入らなくても部活を通して関与もしてきたため、同じ立ち位置でいいかなと考えている。役員が誰になるかによって、俺たちに相談が来るかどうかはわからないが、それはそれで仕方ない。
教室に戻ってのホームルームでは生徒会役員選挙についてのプリント配布と応募方法の説明があった。クラスから一人出すとかそういう類のものではないため、立候補者はプリントに記入の上、別途担任に提出する必要がある。例年、選挙になるのは会長のみで、それ以外はほぼ信任で終わるという話だ。一番じゃなきゃ意味がない、というところもあるのだろう。
俺の過去の記憶でも生徒会長以外は記憶にないし、もっと言うと自分と同じ学年で生徒会長をやった奴しか記憶していない。過去と同じならラグビー部のキャプテンになる奴が生徒会長をやるはずだが、それは3年になってからのはずなので、今年の生徒会長はわからない。それぐらい、一生徒で積極的に学校に関わってこなければ記憶に残らないものではないだろうか。
「ケイタ、生徒会やるんか?」
そう聞いてくるのはコウキだ。コウキはクラスの委員長をしているので、生徒会に興味を持っていてもおかしくない。
「いや、俺はパス。コウキはやりたいんか?」
「そうやなぁ…正直ちょっと迷ってるわ。部活もあるし、あんま時間取られんのも嫌やしな。」
コウキはバスケ部に入っている。とはいえ、現生徒会長もラグビー部をやっているからできないことはない。やるやらないは本人の意思次第なので俺からこの時点では何とも言えない。
その後、クラス内での席替えや係決めを行い、3学期初日は解散となる。時刻は12時。なんだかんだで昼時である。俺は午後から陸上部の部活があるため、そのまま残って弁当を食べてから部活に行くつもりだ。その前に相談部での軽いミーティングを入れているため、部室となっている家庭科室に向かう。
「よし、みんな揃ったな。今日からまたよろしくな。一応、年始やから言っとくけど、4月になったら1年生を勧誘して人数を増やす。そんで今のメンバーにはチームリーダーになって1年を率いてもらうからそのつもりでやっていこうな。」
「ええ!!僕らそれぞれってこと?」
真っ先に反応したマサキ。洒落じゃないぞ。
「そう。まぁ最初は少人数でって考え方でやってたんやけど、同じ環境でやっててもなかなか成長はないからな。自信がなければ別にやらなくてもいい。最後は自分次第で決めていいぞ。」
なかなかこう言われて自信がないですとも言いづらいだろうが、スパルタでいいのだ。やってみなきゃわからないし、今のうちの失敗なんていくらでも経験すればいい。
自転車に乗り、通学路を走る。晴れているが風が冷たく、手袋をしていても手が冷たくなってしまう。多くの学校がこの日が始業式となるため、学校に近づくにつれて様々な学校の生徒が歩いている中を進み、自転車を漕ぐこと15分でいつもの学校へ着く。
駐輪場に自転車を置き、本校舎の廊下を歩いて、教室へと向かう。出かける前は少し億劫な気持ちもあったが、いざ学校についてみると、まだ学校に通えることを嬉しく思える。もうすぐ高校生活の3分の1が終わってしまう。気を引き締めて時間を無駄にしないようにしなければと思う。本当にあっという間だな。
教室に荷物を置いたらすぐに始業式のため、講堂へと移動する。タクミとヨウスケが既に教室にいたので、軽く挨拶をし、一緒に行動へと向かった。
講堂に入ると久しぶりに顔を合わす生徒たちがわいわいと談笑をしている。こんな空気を感じられることも大切にしていきたいものだ。
舞台中央の講演台横に司会進行役が立つと生徒のざわめきが収まっていく。小学生ぐらいなら、「はい、静かになるのに15秒かかりました。」とか言うところだが、高校の、しかも進学校でそんなことはない。
校長のありがたい講和、各学年主任教諭からの注意事項等、退屈な時間が続く。意味を見出そうにも、注意事項などは守れないものを基準に作られているため、ちゃんとやるものにとっては当たり前のことで、退屈な話にしか思えない。
その後、生徒会からのお知らせとして、生徒会長の松並が登壇する。
「皆さん、あけましておめでとうございます。年末に担任の先生から案内をしていただいたと思いますが、我々生徒会は3年生の卒業を前に代替わりをする必要があり、2週間後を締め切りに立候補を募り、1月末には次期役員を決定することになります。詳しいスケジュール、応募要項等はまた担任の先生に配布いただくプリントを参照してください。皆さんの積極的な応募をお待ちしています。」
年末のホームルームで確かに担任が言っていたが、応募はあるだろうか。俺はあえて生徒会に入らなくても部活を通して関与もしてきたため、同じ立ち位置でいいかなと考えている。役員が誰になるかによって、俺たちに相談が来るかどうかはわからないが、それはそれで仕方ない。
教室に戻ってのホームルームでは生徒会役員選挙についてのプリント配布と応募方法の説明があった。クラスから一人出すとかそういう類のものではないため、立候補者はプリントに記入の上、別途担任に提出する必要がある。例年、選挙になるのは会長のみで、それ以外はほぼ信任で終わるという話だ。一番じゃなきゃ意味がない、というところもあるのだろう。
俺の過去の記憶でも生徒会長以外は記憶にないし、もっと言うと自分と同じ学年で生徒会長をやった奴しか記憶していない。過去と同じならラグビー部のキャプテンになる奴が生徒会長をやるはずだが、それは3年になってからのはずなので、今年の生徒会長はわからない。それぐらい、一生徒で積極的に学校に関わってこなければ記憶に残らないものではないだろうか。
「ケイタ、生徒会やるんか?」
そう聞いてくるのはコウキだ。コウキはクラスの委員長をしているので、生徒会に興味を持っていてもおかしくない。
「いや、俺はパス。コウキはやりたいんか?」
「そうやなぁ…正直ちょっと迷ってるわ。部活もあるし、あんま時間取られんのも嫌やしな。」
コウキはバスケ部に入っている。とはいえ、現生徒会長もラグビー部をやっているからできないことはない。やるやらないは本人の意思次第なので俺からこの時点では何とも言えない。
その後、クラス内での席替えや係決めを行い、3学期初日は解散となる。時刻は12時。なんだかんだで昼時である。俺は午後から陸上部の部活があるため、そのまま残って弁当を食べてから部活に行くつもりだ。その前に相談部での軽いミーティングを入れているため、部室となっている家庭科室に向かう。
「よし、みんな揃ったな。今日からまたよろしくな。一応、年始やから言っとくけど、4月になったら1年生を勧誘して人数を増やす。そんで今のメンバーにはチームリーダーになって1年を率いてもらうからそのつもりでやっていこうな。」
「ええ!!僕らそれぞれってこと?」
真っ先に反応したマサキ。洒落じゃないぞ。
「そう。まぁ最初は少人数でって考え方でやってたんやけど、同じ環境でやっててもなかなか成長はないからな。自信がなければ別にやらなくてもいい。最後は自分次第で決めていいぞ。」
なかなかこう言われて自信がないですとも言いづらいだろうが、スパルタでいいのだ。やってみなきゃわからないし、今のうちの失敗なんていくらでも経験すればいい。
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