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成果
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勉強会がなくなって困る運動部にもちかけ、運動部が持ち回りで勉強会の企画をするようにした。さらには、先生を巻き込み、教え手の不足を解消した。テスト前は全ての部活で部活動がストップするため、顧問の先生も浮いているし、運動部の生徒も浮いている。運動部の中にも頭のいい奴はいるし、何なら上級生に聞くという手も使える。場所の提供も毎回テスト前に教室を2つ借りるということで話をつけた。これで、相談部としてはもはや手を放していても、勝手に勉強会の企画が立ち上がり、運営される体制ができた。
構想だけ話して、アズサとマサキに動いてもらったので、俺は何もしていない。こんな立ち回りだったら目立たず大丈夫だろう。
10月に入り、やや気温は下がったもののそれでも30度に近い日が続く。そんな中、今日は体育祭がある。俺が出るのは、仮装競争、ムカデ競争、借り物競争だ。
まずは仮装競争。トラックを半周し、そこに落ちている中身の見えない袋を一つ拾い、その中に入っている服に着替えてからさらに一周するというもので、その一周の間は見世物になるということだ。
明らかにでかい袋は被り物だろう。暑いし走りにくいから大きいのはパスしたいところだ。参加者は紅組白組合わせて40人。4レースに分けて行われる。1レース10人だ。俺は1レース目。上級生が後のほうで走る。
「位置について、よーい…ドン!」
10人が一斉に走り出す。初戦色物競争。あまり速いやつはいないので、3番手につけて半周を走り、ふくらみの少ない袋をチョイスする。さて、中身は…うさ耳とセーラー服だ。誰の趣味なんだよ…
着替えは体操服の上から着れるものだけにしているのでその場で着替えることになる。これはなかなか恥ずかしい。着替えを終えて全速力で駆け抜ける。
「うさ耳セーラー服を着た、紅組1年八代くんが今、1着でゴール!」
比較的着替えるのが楽な衣装だったため、1位になってしまった。なんかめっちゃ撮られてる。すぐさま衣装を脱ぐ。さすがに40人分の衣装は大変なため、衣装は使い回しなのだ。そういう意味でも第1レースで助かった。
他にはうさぎ、パンダ、ライオンなどの着ぐるみ系とウェディングドレス風のフリフリにティアラ、王子様風とかなんか色々あった。ドレスよりはよかったが、ハズレの部類だった。着ぐるみのが隠れるから恥ずかしくはない。
競技を終えて席に戻るとうさ耳セーラーと弄られるが、軽く受け流しておく。俺はもう目立つことはしないのだ。次の出番はムカデだな。ムカデまでは午前中で、借り物は午後だ。時間になり、ムカデ競争の集合場所へ向かう。
「いやぁ、良かったよ。セーラーバニー。」
そう言って来たのはミナだ。ムカデ競争で同じチームだからそりゃ会うよな。
「もう十分弄られたわ。」
ミナは俺に寄ってきて、小声でささやく。
「二人きりのときならああいうの、着てやってもいいぞ。」
この人もめげないというか、強いな。どこまで本気かはわからないけど。
「そりゃ楽しそうやね。そのときがあればぜひ。」
軽く乗っておく。何で言っておきながらミナが赤くなるんだ。そこにユキが現れた。
「そろそろ準備する。」
しれっと会話をぶったぎってくれる。さて、ムカデ競争、適当に練習してたけどどうなるかな。
俺はこの中では運動がまだできそうという理由で先頭、俺の後ろはミナで、そのあとに8人がズラッと並び、長い板についた縄に足を入れる。一番前は前がかりになりがちなので、こけないようにするのが大変なのだ。息を揃えて足を動かすための掛け声は後ろの人が出す。前の人が言っても聞こえにくいからな。
「位置について、よーい...ドン!」
紅白2チームずつ、計4チームによるレースがスタートした。
右、左、右、左、後ろから聞こえる掛け声に合わせて足を動かす。難所はポールをターンするところだ。いつもバランスが崩れてしまっていた。やはり今回もバランスを崩すが、なんとか踏みとどまる。
やっぱりこういうのはちゃんと前向きに参加すると楽しいものだ。過去にはあまり積極的に参加する気持ちになれなかったので、損をしていたということだ。やはり過去の自分には戻りきれないのかもしれないが、表に出さないようにすればいいだろう。
結局転ばずにゴールはできたが2着だった。それでもみんなで練習をして、その結果だと思うと嬉しいもんだ。ミナとは必要以上に近づきすぎないようにユキが監視の目を光らせているが、ハイタッチして称え合う。もちろんほかのメンバー全員とだぞ。
さて、残りは借り物競争だ。
構想だけ話して、アズサとマサキに動いてもらったので、俺は何もしていない。こんな立ち回りだったら目立たず大丈夫だろう。
10月に入り、やや気温は下がったもののそれでも30度に近い日が続く。そんな中、今日は体育祭がある。俺が出るのは、仮装競争、ムカデ競争、借り物競争だ。
まずは仮装競争。トラックを半周し、そこに落ちている中身の見えない袋を一つ拾い、その中に入っている服に着替えてからさらに一周するというもので、その一周の間は見世物になるということだ。
明らかにでかい袋は被り物だろう。暑いし走りにくいから大きいのはパスしたいところだ。参加者は紅組白組合わせて40人。4レースに分けて行われる。1レース10人だ。俺は1レース目。上級生が後のほうで走る。
「位置について、よーい…ドン!」
10人が一斉に走り出す。初戦色物競争。あまり速いやつはいないので、3番手につけて半周を走り、ふくらみの少ない袋をチョイスする。さて、中身は…うさ耳とセーラー服だ。誰の趣味なんだよ…
着替えは体操服の上から着れるものだけにしているのでその場で着替えることになる。これはなかなか恥ずかしい。着替えを終えて全速力で駆け抜ける。
「うさ耳セーラー服を着た、紅組1年八代くんが今、1着でゴール!」
比較的着替えるのが楽な衣装だったため、1位になってしまった。なんかめっちゃ撮られてる。すぐさま衣装を脱ぐ。さすがに40人分の衣装は大変なため、衣装は使い回しなのだ。そういう意味でも第1レースで助かった。
他にはうさぎ、パンダ、ライオンなどの着ぐるみ系とウェディングドレス風のフリフリにティアラ、王子様風とかなんか色々あった。ドレスよりはよかったが、ハズレの部類だった。着ぐるみのが隠れるから恥ずかしくはない。
競技を終えて席に戻るとうさ耳セーラーと弄られるが、軽く受け流しておく。俺はもう目立つことはしないのだ。次の出番はムカデだな。ムカデまでは午前中で、借り物は午後だ。時間になり、ムカデ競争の集合場所へ向かう。
「いやぁ、良かったよ。セーラーバニー。」
そう言って来たのはミナだ。ムカデ競争で同じチームだからそりゃ会うよな。
「もう十分弄られたわ。」
ミナは俺に寄ってきて、小声でささやく。
「二人きりのときならああいうの、着てやってもいいぞ。」
この人もめげないというか、強いな。どこまで本気かはわからないけど。
「そりゃ楽しそうやね。そのときがあればぜひ。」
軽く乗っておく。何で言っておきながらミナが赤くなるんだ。そこにユキが現れた。
「そろそろ準備する。」
しれっと会話をぶったぎってくれる。さて、ムカデ競争、適当に練習してたけどどうなるかな。
俺はこの中では運動がまだできそうという理由で先頭、俺の後ろはミナで、そのあとに8人がズラッと並び、長い板についた縄に足を入れる。一番前は前がかりになりがちなので、こけないようにするのが大変なのだ。息を揃えて足を動かすための掛け声は後ろの人が出す。前の人が言っても聞こえにくいからな。
「位置について、よーい...ドン!」
紅白2チームずつ、計4チームによるレースがスタートした。
右、左、右、左、後ろから聞こえる掛け声に合わせて足を動かす。難所はポールをターンするところだ。いつもバランスが崩れてしまっていた。やはり今回もバランスを崩すが、なんとか踏みとどまる。
やっぱりこういうのはちゃんと前向きに参加すると楽しいものだ。過去にはあまり積極的に参加する気持ちになれなかったので、損をしていたということだ。やはり過去の自分には戻りきれないのかもしれないが、表に出さないようにすればいいだろう。
結局転ばずにゴールはできたが2着だった。それでもみんなで練習をして、その結果だと思うと嬉しいもんだ。ミナとは必要以上に近づきすぎないようにユキが監視の目を光らせているが、ハイタッチして称え合う。もちろんほかのメンバー全員とだぞ。
さて、残りは借り物競争だ。
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