28 / 91
布石
しおりを挟む
まさか狭いコミュニティの中とは言え、デファクトスタンダードをひっくり返す動きをすることになるとは思わなかった。これだけで十分だろうか。2、3年生は既にポケベル端末を持っている人が多いと思われるので、乗り換えコストがあるためすぐには効果が出ないはず。
やはり狙い目はまだポケベルもPHSも買っていない層だ。クラスへは十分な影響を与えられただろうが、他のクラスへも打てる手はないだろうか。って、そこまでやる必要はあるのだろうか。俺の周りだけ置き換わった場合、多少は他のクラスにも影響するだろうが、もしかしたらまだポケベルが優勢になってやはりポケベルが周りに増えるかもしれない。
そうなると、やはり動きにくくなることもあるか。打てる手は打っておこう。と言っても、7組のマサキと9組のカオリぐらいしか俺には伝手がない。2人はあまりインフルエンサーというタイプでもないが、相談を受けたりしている中で影響力は増しているだろう。
クラスでこれみよがしに宣伝をしたのと、マサキとカオリにも話したので、あとは結果を待つだけだ。
夏休み中の部活動は月水を定例として続けるが、参加は任意とした。PHSが普及してればこうやって学校に来る日を予め決めなくてもよかったんだがな。
ギリギリ夏休みに入る前に手を打てた。これで誰とも連絡を取れなくて暇な思いをすることはないだろう。最悪、家の電話番号を聞いておくという手はあるんだが、やりたくない。色々考えたが、毎日誰かと遊ぶ約束をすることは難しいだろうから、色んな部活に顔を出させてもらおうと思っている。
この時期に体験させてくれってやつはいないと思うが、だからといって受け入れないってこともないはず。躊躇してその機会を失うほうがもったいない。今しかできないんだから。ついでに相談部としてやることないか見ておけばいいなと思っている。
そして迎えた終業式の日。早くもタクミとアズサとリナはPHSを買ってきたらしい。
「おー。タクミももう買ったんやな。価格はポケベルとそんな変わらんかったやろ?」
「せやな。そんな変わらんかったからこっちのほうが便利やと思うわ。」
「そやろ。番号教えて。」
よし、初のPHS番号ゲットだ。赤外線通信とかもまだないので手打ちだ。そこにアズサとリナも入ってきた。
「2人とも、私の番号も登録しといて。」
「ウチのもね。」
2人のPHS番号を教えてもらう。
「じゃあワンコールするわな。」
「え、電話するの?」
初めて触るからわからないか。
「ちゃう。番号があってりゃかかるやろ。そんで俺の番号が着歴にも表示されるからそこから登録すりゃいいからてっとり早いやろ。」
「なるほどな!確かに。」
スマホに変わって久しいからこういうタイプの携帯を使うのは久しぶりだ。赤外線もなければBluetoothもない。ボタンが小さくて操作しづらい。
「そうや、タクミ、サッカー部って体験入部みたいなんできる?」
「知らんけどできるんちゃうか?でも結構しんどいと思うぞ?」
「夏休み暇しそうやから部活の体験で渡り歩こうと思ってな。」
アズサが不満そうだ。
「相談部はどうすんの?」
「相談部はやるけど、月水だけやし、夏休みは長いからな。暇な時間を作りたくないんよ。」
土日に休めれば十分だ。仕事もなければ人間関係の悩みもない。こんな時期にやりたいことをやらないなんて、考えられない。バイトに時間を使うのも馬鹿らしいから、とにかく時間を有効に使いたい。
「たまには一緒に遊ぼうね。」
「あぁ、いいぞ。タクミもな。」
「お、おぅ。部活がない日ならな。呼んでくれ。」
リナにも釘を差されていたし2人で遊ぶのは避けておきたい。始業式が平穏に終わり、と思いきや、期末テストの結果が返ってきて悲喜こもごもといった様相だ。俺は今回は4位。順位は一つ下がったが十分だ。
これから夏休みに入るというので終業式が終わったあとはみんな浮ついた感じだ。いいなぁ、この高揚感。楽しい夏休みにしないとな!
やはり狙い目はまだポケベルもPHSも買っていない層だ。クラスへは十分な影響を与えられただろうが、他のクラスへも打てる手はないだろうか。って、そこまでやる必要はあるのだろうか。俺の周りだけ置き換わった場合、多少は他のクラスにも影響するだろうが、もしかしたらまだポケベルが優勢になってやはりポケベルが周りに増えるかもしれない。
そうなると、やはり動きにくくなることもあるか。打てる手は打っておこう。と言っても、7組のマサキと9組のカオリぐらいしか俺には伝手がない。2人はあまりインフルエンサーというタイプでもないが、相談を受けたりしている中で影響力は増しているだろう。
クラスでこれみよがしに宣伝をしたのと、マサキとカオリにも話したので、あとは結果を待つだけだ。
夏休み中の部活動は月水を定例として続けるが、参加は任意とした。PHSが普及してればこうやって学校に来る日を予め決めなくてもよかったんだがな。
ギリギリ夏休みに入る前に手を打てた。これで誰とも連絡を取れなくて暇な思いをすることはないだろう。最悪、家の電話番号を聞いておくという手はあるんだが、やりたくない。色々考えたが、毎日誰かと遊ぶ約束をすることは難しいだろうから、色んな部活に顔を出させてもらおうと思っている。
この時期に体験させてくれってやつはいないと思うが、だからといって受け入れないってこともないはず。躊躇してその機会を失うほうがもったいない。今しかできないんだから。ついでに相談部としてやることないか見ておけばいいなと思っている。
そして迎えた終業式の日。早くもタクミとアズサとリナはPHSを買ってきたらしい。
「おー。タクミももう買ったんやな。価格はポケベルとそんな変わらんかったやろ?」
「せやな。そんな変わらんかったからこっちのほうが便利やと思うわ。」
「そやろ。番号教えて。」
よし、初のPHS番号ゲットだ。赤外線通信とかもまだないので手打ちだ。そこにアズサとリナも入ってきた。
「2人とも、私の番号も登録しといて。」
「ウチのもね。」
2人のPHS番号を教えてもらう。
「じゃあワンコールするわな。」
「え、電話するの?」
初めて触るからわからないか。
「ちゃう。番号があってりゃかかるやろ。そんで俺の番号が着歴にも表示されるからそこから登録すりゃいいからてっとり早いやろ。」
「なるほどな!確かに。」
スマホに変わって久しいからこういうタイプの携帯を使うのは久しぶりだ。赤外線もなければBluetoothもない。ボタンが小さくて操作しづらい。
「そうや、タクミ、サッカー部って体験入部みたいなんできる?」
「知らんけどできるんちゃうか?でも結構しんどいと思うぞ?」
「夏休み暇しそうやから部活の体験で渡り歩こうと思ってな。」
アズサが不満そうだ。
「相談部はどうすんの?」
「相談部はやるけど、月水だけやし、夏休みは長いからな。暇な時間を作りたくないんよ。」
土日に休めれば十分だ。仕事もなければ人間関係の悩みもない。こんな時期にやりたいことをやらないなんて、考えられない。バイトに時間を使うのも馬鹿らしいから、とにかく時間を有効に使いたい。
「たまには一緒に遊ぼうね。」
「あぁ、いいぞ。タクミもな。」
「お、おぅ。部活がない日ならな。呼んでくれ。」
リナにも釘を差されていたし2人で遊ぶのは避けておきたい。始業式が平穏に終わり、と思いきや、期末テストの結果が返ってきて悲喜こもごもといった様相だ。俺は今回は4位。順位は一つ下がったが十分だ。
これから夏休みに入るというので終業式が終わったあとはみんな浮ついた感じだ。いいなぁ、この高揚感。楽しい夏休みにしないとな!
1
お気に入りに追加
206
あなたにおすすめの小説
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
思い出を売った女
志波 連
ライト文芸
結婚して三年、あれほど愛していると言っていた夫の浮気を知った裕子。
それでもいつかは戻って来ることを信じて耐えることを決意するも、浮気相手からの執拗な嫌がらせに心が折れてしまい、離婚届を置いて姿を消した。
浮気を後悔した孝志は裕子を探すが、痕跡さえ見つけられない。
浮気相手が妊娠し、子供のために再婚したが上手くいくはずもなかった。
全てに疲弊した孝志は故郷に戻る。
ある日、子供を連れて出掛けた海辺の公園でかつての妻に再会する。
あの頃のように明るい笑顔を浮かべる裕子に、孝志は二度目の一目惚れをした。
R15は保険です
他サイトでも公開しています
表紙は写真ACより引用しました
九龍城砦奇譚
菰野るり
ライト文芸
舞台は返還前の香港九龍城。
極彩色の洗濯物なびかせながら
飛行機が啓徳空港へ降りてゆく。
何でも屋のジョニーに育てられたアンディは10才。国籍も名字もない。
少年と少女の出逢いと青春を
西洋と東洋の入り混じる香港を舞台に
雑多な異国の風俗や景色
時代の波と絡めながら描く
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる