【R18 完結】Valentine Night 〜バレンタインナイト〜忘れられない甘い夜〜

麻璃央

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Night View Lounge

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歩き慣れたはずの新宿の街並みも、タクシーの車窓から眺めると不思議といつもよりエキゾチックだ。




夜の灯りに照らされ、長い睫毛が頬に影を落とす先輩の横顔もアラビアンナイトに登場する王子のように見える。



スマホで隠し撮りしたい衝動を抑えつつ、心のシャッターを押し続ける私、、、




イセタン、マルイを通り過ぎ、アルタ前を通ってガードを抜けると西口の高層ビル街へと景色は一転する。いくつかのビルの合間を抜けタクシーはとあるビルのエントランスに停車した。




タクシーを降りるとエントランスにはドアマンが立っており笑顔で迎え入れてくれた。どうやらここはホテルらしい。




それにしても、、ミニマルで洗練されすぎた空間である。中央には現代アートの彫刻が飾られているが、それ以外フロントも見当たらず、この後いったいどうするの?とキョロキョロしてしまう。




すると先に歩いて行った先輩が、こっちこっちと手招きするので、慌ててそちらへ向かうとその先がエレベーターホールになっていた。




「めちゃ分かりにくいよね、ここ」



少しおどけたように先輩が言う。



「あの、、もう喋ってもいいんでしょうか?」



「あ、ごめんごめん、そうだったね。もう大丈夫。これからこの上にあるラウンジでゆっくり話そう。」




(ラウンジ、、、)



どこか気軽なファミレスにでも連れていかれてお茶でもしながらなのかなと思っていたけれど、こんな高級そうなホテルのラウンジだなんて、、、急にドキドキしてきた。




エレベーターに乗ると、先輩はわずか3つしかないボタンの真ん中「41」と記されたボタンを慣れた手つきで押す。




「よく来るんですか?」




「ここ?うん、前の職場で打ち合わせ場所としてここのラウンジを指定される事が多かったんだよね。因みに、女の子と来るのはキミが初めてだけど」




そう言うと先輩はイタズラっぽく笑った。




「ウソです!!」




「はははっっ!!」




否定しないところを見ると図星かもしれない。もしかして相当なプレイボーイ⁈



でもそれでもいい。愛される可能性が1%でもあるなら、、、そんな風に思いつつ、既に先輩の掌で転がされる心地よさに包まれていた。




エレベーターがラウンジのある41階で止まりドアが開く。その瞬間、先輩はそっと私の手を握った。




先輩にエスコートされながら向かった先に待っていたのは、、、夜空に浮かぶ空中庭園さながらのラウンジスペース。キラキラと瞬く東京の夜景が二人を包み込む。



テーブルにはランタンが灯り優しくフロアを照らしていた。まさに大人の空間。



「ね、綺麗でしょ」



素敵すぎる光景に少し緊張気味の私を気遣ってか、先輩が気軽なトーンで言ってくれたのだが、夜景のあまりの美しさに言葉もなくただ頷くことしかできなかった。



案内された窓際の席に着く頃には目が暗さに慣れ、眼下に広がる夜景が更に美しく輝いて見えた。新宿の夜がこんなに綺麗だったなんて、、、



「こんな素敵なところに、、、ありがとうございます、、、」



「気に入ってもらえてよかったよ」



先輩は嬉しそうに微笑み、その後メニューを開いて私に見せてくれた。



「飲み物どうする?せっかくのバレンタインだし、まずはシャンパンでもどう?」



「えっ、シャンパンですか?」



いろいろすっ飛ばして、このシチュエーション⁉︎はたから見たらまるで恋人同士みたいじゃないか⁉︎



そんな私の戸惑いを知ってか知らずか、



「ん、アルコールだめな人?」と見当違いの返答をしてくる。



「いや、そうじゃなくて、、、アルコール全然大丈夫ですけど、、、」




「そう?じゃ、まずはシャンパンと、、、あ、食事まだだよね?そしたら、、ピザとサンドイッチ頼んでシェアしよっか?」



「は、はい、それでお願いします」



さくさくと仕事をこなす先輩らしく早速手を挙げてウェイターを呼ぶ。



「んーと、飲み物は、、これ、、はいグラスで、、ルイナール、、2つ。それから、、このモッツァレラのピザと、ハーブチキンのサンドウィッチ。とりあえず以上で」




メニュー片手にテキパキとオーダーしていく先輩。ひたすらうっとりとしてしまう、、しかも、、いきなりこんな夜景の素敵なラウンジで先輩とシャンパンで乾杯なんて、、、想定外の連続⁉︎もしかして夢⁉︎




夜景を眺めるふりで横を向き、、こっそり頬をつねってみた。



痛い、夢じゃない。







つづく、、、
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