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8月 樒
第93話*
しおりを挟む規則正しいリズムで刻まれる美しい吐息に耳を澄ませながら、なるべく音を立てないように体を起こす。ベッドの軋む音と衣擦れの音が酷く煩わしく感じ、無意識に眉間に皺が寄る。しかしそれも、彼の可憐な吐息により一瞬にしてかき消された。
胸元まで上がっている薄手のコンファーターを彼の膝辺りまで下ろして、ゆっくりと白いシャツに手をかけた。晒される陶器のような肌はしっとりと吸い付くいやらしいもので、思わず固唾を飲み込む。
体重が乗らないよう膝立ちの状態で彼に跨って、上体を倒し彼の顔に自身の顔を近づける。艶のある形のいい唇に自身の唇を数度軽く押し付け、最後にペロリと唇を舐めてから体を起こした。そのままサイドテーブルに置いていたスマホを手に取り、片手で素早く操作し無音カメラを起動する。迷う事なく何枚も写真を撮ってから、カメラロールを確認した。
画面の中に収まっている彼の魅力は、やはり本物を前にすると敵わない。数ヶ月前の自分なら満足していただろうが、本物を味わえばもう戻れはしない。
肉眼に焼き付けた絶景を思い出す。自分へと向けられる綺麗な笑顔、暑さによって上気した頬、首筋を伝う汗に、濡れた白から透ける薄桃色の蕾、うつ伏せになった時に水着が捲れちらりと覗いた尻たぶ。さらには、先程一緒に入浴した時にちらりと見えた、泡に塗れる可愛らしい性器。
思い出すだけで反応してしまったソレを、下着の中から慎重に取り出す。ここ最近で1番興奮しているのを自覚すると、あまりにも自分が愚かしくて苦笑を漏らしてしまった。
あどけない寝顔を見せる彼の顔を見ながら、一心不乱に己のソレを握り扱く。ようやく会えたんだ、このくらい許されるはず、なんて誰にするわけでもない言い訳を連ねながらも、にちゅにちゅといやらしい音を立てるソレを、彼の薄桃色の乳首へと擦り付けた。
透明な汁を出している先端で今はまだ柔らかい蕾へと押しつけるたび、腹の底から醜い興奮が迫り上がる。1度上下させていた手を止めてから、くにくにと蕾を捏ねたり、潰したりと弄ぶ。収まらない興奮から、腰が緩やかに動き始めた。柔らかかった乳首はいつの間にか硬くなっており、眠っているはずの彼も、うっすらとだが声を漏らしていた。
テラテラと光薄桃色の可愛らしい乳首から、一度ソレを離し、もう片方の乳首へと押し付ける。均等の取れた可愛らしい乳首が、片方だけ大きくなってしまったら可哀想だ。きっとソレも可愛いけれど。
同じ要領で何度か乳首を犯していると、高まってきた射精感。それを留める事なく、そのまま胸に白濁を吐き出した。勢いよく飛び出た白濁の色は濃く、量も多い。それほどまで興奮していた自分にまた苦笑しながら、片手でスマホを構えた。ソレを握っていた方の手は胸の飾りをカリカリと爪の先で弄ったり、白濁を塗りつけたりと手持ち無沙汰に弄ぶ。その度に可愛い声を漏らすのが途轍もなく可愛くて嬉しくて愛しくて、ついつい動画も撮ってしまった。
存分に堪能した為、ティッシュケースへと手を伸ばし体に付着した自分の精子を拭っていく。飾りへ塗り込んだ精子までも取らないといけないのは非常に残念だ、なんて思いながらティッシュで包みこんで、人差し指と親指で摘むように拭う。
「んっ、は、♡あっ、あふっ…♡」
先程よりも大きめな甘い声が彼から聞こえた。起きてしまったのかとヒヤリとしながら顔を覗いてみれば、頬を上気させてはいるものの瞳はしっかりと閉じられている。その事に若干の安堵と落胆を覚えつつも、また指を弄ぶようないやらしい手つきで動かし始めた。
そんな事をやっているうちに、自身のソレはまたも首をもたげ、いきり勃ち始める。このまま胸でするのも良いが、と考えながら視線を彼の顔へと向ける。ふっくらとした血色のいい唇が、誘っているようにうっすらと開かれた。
心臓の音がうるさいほどに高鳴る。どうしても、先程口付けたそこへ、この、赤黒く勃ったグロテスクな男根を押し付けたい。そんな欲に全身が駆り立てられる。
悩んだのは一瞬だった。バレなければセーフ、と言っていたのは、目の前で寝こけている彼なのだから、この行為だって問題ない、問題ないのだ。そう自分へと言い聞かせて、ゆっくりとされど僅かに緊張しながら、手始めに頬へと押し付けた。
「っ、ははっ…」
グロテスクなソレは、美しく幼げな彼には似つかわしくないはずなのに、それなのに、悍ましい程に興奮する。その興奮のせいで、幼げな表情である筈なのに、頬に押しつけられている男根に頬擦りをしているかのように見えてしまうのだ。
ずくりと重く、熱くなっていく腰。背中から這い上がってきたどうしようもなく穢らわしい欲望に、思わず笑声が漏れ出た。
透明な汁を出している先端を彼の唇に押し付ける。柔らかくて暖かい唇がふるふると震え、まるで食むようにソレに触れた。はっはっ、と獣のように短い息を吐きながら、覚えたての自慰に夢中になる子供のように手を上下へと動かす。
「っ、…」
昇ってきた射精感にぐっと眉を顰めながら、ティッシュケースへと片手を伸ばす。けれどここで一瞬、ある光景が過ぎってしまった。
粘り気のある白濁が、その美しい顔一面にかかっている光景だ。ガツンと殴られたかのような衝撃とともに、理性という枷が外れる。ゾクリと肌が粟立つ感覚に抗う事なく、思い描いた光景を作り出した。
短い呼吸を繰り返しながら、べっとりと白が付着した可愛らしい彼の頬を撫でる。彼が、天使のように美しい彼が、自分の吐き出した欲で汚れている。この手で、確かにこの手で汚したのだ。そう考えれば考えるほど、興奮は止まらない。
また熱を持ち始めた性器と思考を無視して、動画と写真にこの光景を残し、ティッシュケースで顔を拭う。これ以上は、歯止めが効かなくなりかねない。無体を働いてしまえば、それこそ一生会えなくなってしまうだろうから。
「、ん…ぅ…?ん~…ある?」
ある程度拭い終えた所で、美しいアメジストが僕を映し出した。瞬間、熱を持った脳が勢いよく回転する。
「…?ある、…?これ…?」
「…っ、起こしてごめんね、イヨ…これは………そう、ちょっと、溜まってて………。その、…こんな事、頼むのは悪いと分かっているんだけれど…イヨの手で、握って、くれないかな…?僕も、イヨと同じで…自慰が上手く出来ないんだ…」
混乱した脳みそは空回りをし、脳内を白く焼いていく。思いついた言葉を必死に並べ立てて、あろう事か自身の性器を触ってほしいなどと言う下卑た願いを述べ、終いには彼が秘密にしているであろう事まで口走ってしまった。
きっと、イヨは軽蔑なんてしない。僕のそんな所も笑って受け止めてくれるだろう。けれど確実に、彼の思い描く『王子様』からはかけ離れてしまう。それは絶対に嫌だ。イヨが望むような、完璧な姿でいたいから。
「…ある、も…なの?そっか…そっかぁ…んふ、ふ…いいよぉ…ん、と、…このくらい?」
「っ、いい、の…?」
「ぅん、あるなら、いいよぉ…」
そんな願望が一瞬揺らぐ。眠たそうにゆっくりと瞬きをするイヨは、夢と現実の境を彷徨っている状態で、恐らく頭は回っていないのだろう。だからこそ、イヨの言葉が嘘偽りのない言葉だと分かり、どうしようもなく胸が熱い。
僕なら、僕ならいい。
その言葉を何度も反芻しながら、性器を握るイヨの両手を上から包み混むようにして自身の右手を重ねた。そのまま固定するように緩く力を込めれば、意図が伝わったのかその状態のまま固まる。そんな可愛らしい様子を眺めながらゆっくりと腰を前後させ、わざと音を立てるようにすれば、イヨの視線はあからさまに僕の性器に注目しはじめた。時折こちらの表情を伺っては、僕と目が合うとたちまち視線を下に落とすのがとても可愛らしい。
「はっ、!……ふ、…ぐ…ッ」
頬を赤く染めて見つめるだけだったイヨが、不意に手を前後へと動かす。驚きに声を出すと、嬉しそうに笑って、またゆっくりと動かし始めた。幼げな表情が、淫靡な雰囲気を纏っている。そのチグハグさによって腰にじくじくとした熱が一気に集まった。さらに膨張した性器に驚いたのか、とろんと垂れていた瞳が僅かに見開かれる。ソレが可愛くて可愛くて、思わず枕元に放置していたスマホを構えてしまった。
「ぇ?あ、…ある、?とるの…?」
「…ごめ、…っ可愛くて、ついッ…ふ、…っ」
「……………ん、えと……はぃ…」
困惑した様子で問いかけてきたイヨに咄嗟に正直に答えれば、迷った末片手をそっと性器から外し、目元の上へと移動させて、ぬるついた掌が見える形で顔を隠し始めた。は、と声が漏れて、ついつい腰の動きを止めてしまう。無意識に僕を煽っているイヨを、目を細めながら見つめて、先程よりも膨張してしまった性器を緩く握られているイヨの掌へ擦り付ける。
僕のカウパーを塗り込むように、馴染ませるように、覚えさせるように、わざとねっとりと。その動きによりしっかりと目元を隠していた手が僅かにズレ、大きく見開かれた紫の瞳が隙間から現れる。イヨの目線は僕の性器へと注がれており、興奮は止まらない。
「は、…っイヨ…あんまり煽らないで…?はぁっ…そんないやらしいこと、っどこで覚えたんだい?…ねぇ、ほら、わかるかな?イヨがとってもえっちな事をしたから、僕のちんぽ、こんなに大きくなっちゃったんだよ?ふふ…っはぁ…その顔もかわいいね、イヨ…ちゃんと、ッ僕のちんぽの大きさと、硬さと、できれば、味も……しっかり覚えてほしいな?はぁっ……大丈夫、あんなえっちなことも出来たんだから、ふ、っ…、これも、ちゃんとできるよ」
理性を繋ぎ止めるのに必死で、脳内に浮かんだ言葉をそのまま吐いてしまう。イヨの表情をしっかりとカメラに収めるのも忘れず、手と腰の動きを再開させる。一気に上り詰めてきた射精感に、ぐ、と喉を鳴らしながら、性器の先端をイヨの唇へと優しく押しつけた。
「ん、っ…!?」
鼻にかかった声を出しながら、イヨはキュッ唇を引き結ぶ。その仕草に少し落胆していたのも束の間、暖かく柔らかい感触が先端を刺激した。それは丁度鈴口の辺りをくすぐり、思わず射精してしまいそうになったが、腹に思い切り力を入れて耐える。咄嗟に動きを止めた僕に驚いたのか、イヨは少し不安げな表情をしながらこちらを見上げていた。その表情にうっとりしつつ、持っていたスマホを一度置き、イヨの柔らかい頬や頭を優しく撫でる。
「大丈夫、痛くなかったよ。ただ、イヨにかけちゃう所だったから……もう一度、してくれないかな?」
微笑みながらそう言えば、数度瞬きを繰り返してからぺろり、とテラテラとした赤い舌で僕の先端を一度舐めた。それが了承であることは一目瞭然で、その愛らしさを動画に収めようと、またスマホを手に取った。録画は未だ続いていて、暗かった画面が一度真っ白になると、すぐにイヨの赤い舌を綺麗に映し出す。飴を舐めるようにちろちろと舌を動かしている筈なのに、透明な汁のせいだろうか、どこかねっとりとした動作に見えてしまう。官能的な仕草に目を細めながら手の動きを再開させた。
「はっ、ぅ……イヨ、でる…ッ、はぁっ…から……離すよ…っ」
「あ、…だ、だめ…あじ、っおぼえる…から…」
射精してしまうから、と声をかけたのにも関わらず口を離さないイヨは、恥ずかしがりながらも必死に言葉を紡いだ。健気にも僕の精子の味を覚えようとしてくれている事に腹の底から歓喜する。
こんなにも必死に僕の味を覚えようとしてくれるイヨを裏切るわけにはいかない。根本から絞るように男根を扱き上げ、突き抜けるような快感に思わず息を詰めながら、僕は嬉々としてイヨの顔に白濁を撒き散らした。
「ん、っ、んぅ…」
「っはぁ…はぁ………ほら、イヨ…ちゃんと噛むんだよ。口の中でくちゅくちゅして、音も出して。そう、いい子だね。たくさん舌に絡めて、僕の味を覚えてね」
口の中に入った僕の精子を、イヨは指示通りいやらしい水音を発しながらくちゅくちゅと咀嚼する。その姿にまた興奮してしまったようで、3度射精したにも関わらず僕の性器はすでに硬く勃ち上がり始めていた。
「飲み込んだ?それじゃあ、口を開けて、舌を出して?」
「ん、ぇ…ろお?」
「…はぁ…とってもかわいい…こんなに可愛い舌で僕の精液を受け止めてくれたんだね?…ふふ、ぬちゃぬちゃしてるね?いい子だね、とってもいい子だ。はぁ…かわいい…かわいいよ、イヨ…」
口を開け舌を出しているイヨの姿は、いやらしくも下品ではなく、どこか清楚な雰囲気すら感じてしまう。その純白さに眩暈がするほど興奮し、僕はついつい舌に指を這わせてしまった。わざと水音を立てて、ねっとりとした赤い舌を人差し指と薬指で弄ぶ。頬を赤くし恥ずかしがっているものの、イヨはマゾっ気があるからか、喜んでいるようだった。
たまらなく愛おしいイヨに、劣情を抑えきれない。流石に4度目は自身で処理をしようと思っていたが、仕方がないだろう?
好きな子の淫らな姿を見せられて耐えられる程、僕は大人ではないのだから。
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