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4月 鈴蘭
第5話
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はちゃめちゃに荷物を送っていた事を完全に忘れ、部屋に入った俺だが、こんな量確実に1人じゃ無理と早々に諦める。時間をかければ出来るんだろうけど、俺は1人で荷解きに1日以上かけるなんてヤダ!!!!
「お前なぁ…チェス盤持ってくるのは百歩譲っていいとして、なんで3個もあんだよ…」
「え~だって失くしたら困るじゃないですか~」
「お前これ失くすとか正気か?」
と言う事で呼んだのはついさっき別れた風紀委員長の諒先輩。頼れって言われたなら俺はどこまででも頼っちゃうもんね~限度はあるけど。
諒先輩は呆れた顔で俺の娯楽グッズ達を段ボールから取り出してはブツブツと何事かを呟いている。
かく言う俺も娯楽グッズその2を開封中。こっちはテレビゲームやPCなど電子系のものが入っている。う~ん、確実に開け方をミスった気がする!と思っていたらやはり先輩からお説教が飛んできた。
怒られながら作業してようやく三分の一片付いた位で休憩を挟む。時計を見ずに整理していたら、いつの間にか昼を過ぎていたようだ。
「あ~、やっといい感じに減ってきたな」
「先輩のおかげですね~!てかもう昼過ぎてんじゃん。諒先輩、飯食いに行きます?」
「そうだな、行くか。あー、でも俺と行くと目立つな。目立ちたくねえんだよな?」
「そですね、なるべく。変に因縁つけられてもキツいっす」
「だよなぁ~、んー、どうすっかな」
俺は極力目立ちなくない。先輩もそれは重々承知のようだ。多分先輩も俺と同じで、ずっと一緒に行動する事だけが友人関係という訳ではないと思っているのだろう。加えてこの学園の異常性も理解しているからこそ俺を守る為に友人という事は伏せておいてくれる筈だ。うんうん、やっぱ兄貴肌だな~
そんな事を頭の隅で考えつつも、昼飯についての思考に耽る。食材さえあれば作れるんすけどね、そう溢すとカッと目を見開きちょっと待ってろ!とだけ言って先輩はドタバタと部屋から出て行ってしまった。とりあえず言われた通り荷解きをしながら待っていると、ガチャリと扉が開く音がした。帰ってきたのかと玄関まで行ってみるとビニール袋を手にぶら下げた諒先輩が少し息を切らして靴を脱いでいる所だった。
「先輩風紀委員長なのに私用にカード使っていいんですか?」
「うるせーうるせー。コンビニで食材買ってきてやったんだから文句言うな。生姜焼き食いたかったから調べて買ってきた。足りねえもんあんならまた買いに行くから言え。お前の飯食ってみてぇ」
「なるほど、それでいきなり飛び出したんすね。お礼の意味も込めて作りますよ~、これ、いくらでした?」
「あ?カードで払ったしレシートも捨ててきたし知らね~。ま、いいだろ、後輩に奢るのも先輩の役目だ」
ビュンビュンに先輩風を吹かせる諒先輩に思わず口角が上がる。兄貴肌とは言えここまで可愛がって貰えるなんて思っていなかったから、これは素直に嬉しい。お礼の意味も込めて、腕によりをかけて調理しよう。
「んじゃ、ちょっと待っててください。さっきゲーム関係の箱開けたんでゲームしてても良いっすよ」
「あ?あー……いいや。お前の作ってるとこ見とく」
「見てても楽しくないと思いますけどね~っと、エプロンエプロン~」
調理グッズを入れてきた段ボールを開けて収納しながら必要なものを取り出す。いつも使っている黒のエプロンを身につけ、買ってきて貰った食材を取り出した。
「うわ、高い肉じゃん…コンビニってこんなん売ってないですよね」
「学園内にあるコンビニは金持ち坊ちゃん向けだからな。全部バカみたいに高ぇぞ」
「マジか…自炊より食堂使う方がいいすか?」
「特待生なら特典で食堂の料理は全部無料だぞ。コンビニは範囲外だけどな」
そう言えばそうだったかも…手際良く調味料をボウルの中で混ぜ合わせながら特待生特典について思い出す。
まずは学費全額負担。特待生でいる限り学費を払う必要が無い。
次に1人部屋が与えられる。これは学業に専念しろって事だね。レベルの高いから、しっかりと良い成績を納められるようにという配慮だ。
次に食堂の全メニュー無料。学費はもちろん、この学園は食堂のメニューも高額なものばかりなのでそこも全額負担してくれる。
これらが特待生特典だ。
ただ特待生の維持の為には学年5位以内をキープ、3年間で5位以下を3回取ってしまった場合は特待生としての資格が剥奪される。
もちろん特典も没収。2年時に一学期のテストで3回目の5位以下を取ってしまった場合は1週間以内に一年間の学費を納めないといけない為、基本的に特待生を剥奪された生徒は退学する事が多い。
との事。スポーツ特待もあるが、そちらより俺が取っている成績優秀者特待制度の方が上のようで、特典はそこそこだ。とはいえ学費の半分負担だったりと、そこそことはいえ良い待遇だろう。
「お前なぁ…チェス盤持ってくるのは百歩譲っていいとして、なんで3個もあんだよ…」
「え~だって失くしたら困るじゃないですか~」
「お前これ失くすとか正気か?」
と言う事で呼んだのはついさっき別れた風紀委員長の諒先輩。頼れって言われたなら俺はどこまででも頼っちゃうもんね~限度はあるけど。
諒先輩は呆れた顔で俺の娯楽グッズ達を段ボールから取り出してはブツブツと何事かを呟いている。
かく言う俺も娯楽グッズその2を開封中。こっちはテレビゲームやPCなど電子系のものが入っている。う~ん、確実に開け方をミスった気がする!と思っていたらやはり先輩からお説教が飛んできた。
怒られながら作業してようやく三分の一片付いた位で休憩を挟む。時計を見ずに整理していたら、いつの間にか昼を過ぎていたようだ。
「あ~、やっといい感じに減ってきたな」
「先輩のおかげですね~!てかもう昼過ぎてんじゃん。諒先輩、飯食いに行きます?」
「そうだな、行くか。あー、でも俺と行くと目立つな。目立ちたくねえんだよな?」
「そですね、なるべく。変に因縁つけられてもキツいっす」
「だよなぁ~、んー、どうすっかな」
俺は極力目立ちなくない。先輩もそれは重々承知のようだ。多分先輩も俺と同じで、ずっと一緒に行動する事だけが友人関係という訳ではないと思っているのだろう。加えてこの学園の異常性も理解しているからこそ俺を守る為に友人という事は伏せておいてくれる筈だ。うんうん、やっぱ兄貴肌だな~
そんな事を頭の隅で考えつつも、昼飯についての思考に耽る。食材さえあれば作れるんすけどね、そう溢すとカッと目を見開きちょっと待ってろ!とだけ言って先輩はドタバタと部屋から出て行ってしまった。とりあえず言われた通り荷解きをしながら待っていると、ガチャリと扉が開く音がした。帰ってきたのかと玄関まで行ってみるとビニール袋を手にぶら下げた諒先輩が少し息を切らして靴を脱いでいる所だった。
「先輩風紀委員長なのに私用にカード使っていいんですか?」
「うるせーうるせー。コンビニで食材買ってきてやったんだから文句言うな。生姜焼き食いたかったから調べて買ってきた。足りねえもんあんならまた買いに行くから言え。お前の飯食ってみてぇ」
「なるほど、それでいきなり飛び出したんすね。お礼の意味も込めて作りますよ~、これ、いくらでした?」
「あ?カードで払ったしレシートも捨ててきたし知らね~。ま、いいだろ、後輩に奢るのも先輩の役目だ」
ビュンビュンに先輩風を吹かせる諒先輩に思わず口角が上がる。兄貴肌とは言えここまで可愛がって貰えるなんて思っていなかったから、これは素直に嬉しい。お礼の意味も込めて、腕によりをかけて調理しよう。
「んじゃ、ちょっと待っててください。さっきゲーム関係の箱開けたんでゲームしてても良いっすよ」
「あ?あー……いいや。お前の作ってるとこ見とく」
「見てても楽しくないと思いますけどね~っと、エプロンエプロン~」
調理グッズを入れてきた段ボールを開けて収納しながら必要なものを取り出す。いつも使っている黒のエプロンを身につけ、買ってきて貰った食材を取り出した。
「うわ、高い肉じゃん…コンビニってこんなん売ってないですよね」
「学園内にあるコンビニは金持ち坊ちゃん向けだからな。全部バカみたいに高ぇぞ」
「マジか…自炊より食堂使う方がいいすか?」
「特待生なら特典で食堂の料理は全部無料だぞ。コンビニは範囲外だけどな」
そう言えばそうだったかも…手際良く調味料をボウルの中で混ぜ合わせながら特待生特典について思い出す。
まずは学費全額負担。特待生でいる限り学費を払う必要が無い。
次に1人部屋が与えられる。これは学業に専念しろって事だね。レベルの高いから、しっかりと良い成績を納められるようにという配慮だ。
次に食堂の全メニュー無料。学費はもちろん、この学園は食堂のメニューも高額なものばかりなのでそこも全額負担してくれる。
これらが特待生特典だ。
ただ特待生の維持の為には学年5位以内をキープ、3年間で5位以下を3回取ってしまった場合は特待生としての資格が剥奪される。
もちろん特典も没収。2年時に一学期のテストで3回目の5位以下を取ってしまった場合は1週間以内に一年間の学費を納めないといけない為、基本的に特待生を剥奪された生徒は退学する事が多い。
との事。スポーツ特待もあるが、そちらより俺が取っている成績優秀者特待制度の方が上のようで、特典はそこそこだ。とはいえ学費の半分負担だったりと、そこそことはいえ良い待遇だろう。
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