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序章
プロローグ
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日の当たる窓際に置かれた、真っ白なベッドに腰掛け、その少年は窓の外の景色を眺める。黒色と思えたその髪は、日の光の元では紫色に彩られどことなく神秘的な印象を与えている。髪の色と同じ瞳を携えた彼は憂いを滲ませた顔で、ふっくらとした薄紅色の唇から溜息をこぼした。
その仕草には彼のまだ幼さの残る外見とは不釣り合いな甘い色気が溢れ出ている。
「調子はどうだ」
音もなく部屋に入り少年へと声をかけたのは、銀色の髪を持った男だった。人形のような美貌を持つ彼はベッドのそばにある椅子を引き寄せ、無駄の無い美しい所作で腰を下ろす。
「少し傷が痛むけど、もう平気。心配してくれてありがとう」
陶器のような白い肌をほんのりと赤く染めて、照れ臭そうに笑みを浮かべる少年は、先程の憂いを帯びた色気は消え去り、年相応と呼べるあどけない笑顔だ。
銀髪の男は、エメラルドグリーンの瞳で少年をじっくりと見つめて、ピクリとも動かなかった表情筋を緩める。口の端を少し持ち上げるだけ、と言う笑顔とも言えないような表情を貼り付けた彼は少年にまた語りかけた。
「希望通り公立高校への進学をと考えていたが…こんなことがあっては通いにくいだろうな。さて、どうする?」
「う~………分かったよ、ニィさんが最初言ってたように私立の、なんだっけ桜ヶ峰学園?だっけ。そこにいくよ」
「そうか。アレも喜ぶだろう。あぁ、後で見舞いに来ると言っていたから、覚悟しておけ」
少年は、男の言葉に笑みを引き攣らせた後小さく溜息をついた。
ニィさんと呼ばれたその人はその様子を鼻で笑い、そっと少年の髪に触れる。壊物を扱うかのように優しく繊細な手つきで、紫の髪を弄ぶ。少年もそれが嬉しいのか、目を細め口角を上げている。
「失礼いたします。お見舞いの品をお持ちいたしました」
不意にノックが鳴り、入ってきたのは左目を黒の眼帯で覆い隠した、端正な顔立ちの男だった。濡羽色の髪にオニキスの様な瞳、加えてスーツまでもが黒いその人物はさながら武士のようだが、その手に待っている見舞いの品であろうフルーツと可愛らしい花束はその出立ちには不釣り合いだ。
見舞いの品としてカゴに入れられたフルーツを備え付けのテーブルにそっと置き、花束を抱え直した彼は、置かれていた花瓶に花を生ける
「八剣もお見舞いありがとう」
「いえ、そもそもの原因は主人の為の剣として、盾として生まれた私が、貴方様を守れなかった事にあります。不甲斐ない私に、どうか罰を」
「学校内での犯行だし無理もないよ。俺の護衛ではあるけど、学校内には入れないしさ。でも罰が欲しいなら、そうだな…持ってきてくれたリンゴ剥いて欲しいな!それで手を打つよ」
八剣と呼ばれた男は少年の言葉に困った様な笑みを浮かべながら、果物ナイフとリンゴを手に取り部屋の奥にあるシンクへと向かった。
暫くして戻ってきた彼はリンゴの乗った皿をベッドにつけられたテーブルへと置く。少年は盛り付けられたリンゴを嬉しそうな顔で見つめてからピックを刺し一口頬張る。
「提出書類を書いておけ。アレがここに来たらそのまま提出してやれば良い。学校の方には話は通してある。受験も別室受験と伝えておけ」
「ん、わかった~。でも俺、あの人が運営してる学校の事何も知らないんだけど、ニィさんと八剣は知ってる?」
少年の問いかけに2人の男は顔を見合わせる。するとすぐに2人は少年へと向き直り、どこか含みのある笑みを浮かべた。
「あぁ、それはな」
その仕草には彼のまだ幼さの残る外見とは不釣り合いな甘い色気が溢れ出ている。
「調子はどうだ」
音もなく部屋に入り少年へと声をかけたのは、銀色の髪を持った男だった。人形のような美貌を持つ彼はベッドのそばにある椅子を引き寄せ、無駄の無い美しい所作で腰を下ろす。
「少し傷が痛むけど、もう平気。心配してくれてありがとう」
陶器のような白い肌をほんのりと赤く染めて、照れ臭そうに笑みを浮かべる少年は、先程の憂いを帯びた色気は消え去り、年相応と呼べるあどけない笑顔だ。
銀髪の男は、エメラルドグリーンの瞳で少年をじっくりと見つめて、ピクリとも動かなかった表情筋を緩める。口の端を少し持ち上げるだけ、と言う笑顔とも言えないような表情を貼り付けた彼は少年にまた語りかけた。
「希望通り公立高校への進学をと考えていたが…こんなことがあっては通いにくいだろうな。さて、どうする?」
「う~………分かったよ、ニィさんが最初言ってたように私立の、なんだっけ桜ヶ峰学園?だっけ。そこにいくよ」
「そうか。アレも喜ぶだろう。あぁ、後で見舞いに来ると言っていたから、覚悟しておけ」
少年は、男の言葉に笑みを引き攣らせた後小さく溜息をついた。
ニィさんと呼ばれたその人はその様子を鼻で笑い、そっと少年の髪に触れる。壊物を扱うかのように優しく繊細な手つきで、紫の髪を弄ぶ。少年もそれが嬉しいのか、目を細め口角を上げている。
「失礼いたします。お見舞いの品をお持ちいたしました」
不意にノックが鳴り、入ってきたのは左目を黒の眼帯で覆い隠した、端正な顔立ちの男だった。濡羽色の髪にオニキスの様な瞳、加えてスーツまでもが黒いその人物はさながら武士のようだが、その手に待っている見舞いの品であろうフルーツと可愛らしい花束はその出立ちには不釣り合いだ。
見舞いの品としてカゴに入れられたフルーツを備え付けのテーブルにそっと置き、花束を抱え直した彼は、置かれていた花瓶に花を生ける
「八剣もお見舞いありがとう」
「いえ、そもそもの原因は主人の為の剣として、盾として生まれた私が、貴方様を守れなかった事にあります。不甲斐ない私に、どうか罰を」
「学校内での犯行だし無理もないよ。俺の護衛ではあるけど、学校内には入れないしさ。でも罰が欲しいなら、そうだな…持ってきてくれたリンゴ剥いて欲しいな!それで手を打つよ」
八剣と呼ばれた男は少年の言葉に困った様な笑みを浮かべながら、果物ナイフとリンゴを手に取り部屋の奥にあるシンクへと向かった。
暫くして戻ってきた彼はリンゴの乗った皿をベッドにつけられたテーブルへと置く。少年は盛り付けられたリンゴを嬉しそうな顔で見つめてからピックを刺し一口頬張る。
「提出書類を書いておけ。アレがここに来たらそのまま提出してやれば良い。学校の方には話は通してある。受験も別室受験と伝えておけ」
「ん、わかった~。でも俺、あの人が運営してる学校の事何も知らないんだけど、ニィさんと八剣は知ってる?」
少年の問いかけに2人の男は顔を見合わせる。するとすぐに2人は少年へと向き直り、どこか含みのある笑みを浮かべた。
「あぁ、それはな」
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