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しおりを挟む「ありがとうございましたー」
背後からの爽やかイケメン店員の挨拶に、思わず、心の中で、こちらこそありがとうございましたー、と応え、愛しのバイブと必要不可欠なローションの入った紙袋を胸に抱き...
「ああ....楽しみ」
めっちゃウキウキ、わくわく。
自然と蕩けそうな笑みが零れる。
「ああ、君、いいバイブは見つかった?」
ドキッとして振り向くと、先程のスーツ姿の紳士が同じく紙袋を小脇に笑顔を浮かべていた。
「あ、はい。アドバイスありがとうございました、助かりました」
「いや、別に構わないよ。バイブ初めてだって言っていたもんね、お役に立てて良かったよ」
「はい....」
は、と我に返る。
「あ、えっと、か、彼女へのプ、プレゼントで」
「へえ、彼女への?」
「は、はい....」
「ローションまで?女性は濡れる筈なのにね?何故?」
何故....言葉に詰まる。
女性といたした事がないので詳しくわからないけど、確かに女性は濡れるとは聞く。
「さ、さあ、なんででしょうね、あはは」
ヤバい、さっさと車に乗り込んで、帰宅して使お!
「安心して、お仲間だから。ほら」
男性の声に振り返ると、紳士は紙袋からゲイビらしきDVDと俺も知ってる、というか、購入しているゲイ雑誌を紙袋から覗かせて見せた。
「お尻が寂しいのかな?」
う、と再び、言葉に詰まる....。
「良かったら一緒にこのDVDを観ない?新作らしいんだ。君は勝手にそのバイブを使ったらいいし」
ごく、と喉を鳴らした。
この凛々しい紳士とゲイビ鑑賞....
いいのか、俺。
経験人数、元彼が1人な俺....。
こんな出会い....ラッキーなのか?
「大丈夫、怖がることはしないよ」
優しい笑みにきゅんとした俺は、言われるがまま、紳士の車の後を追い、車を走らせた。
着いた先は、分譲だろう、と思わせる、高層マンション。
暫し立ち尽くしていると、先に着いていた紳士が俺の肩を抱いた。
「さ、お互いにスッキリしよう」
「....はい!」
エントランスを抜け、二人でエレベーターに乗り込む。
だだっ広いエレベーターの中で、紳士に手を引かれ、抱き締められた。唖然として顔を上げると唇を奪われる。
舌遣い、上手すぎる...!
舌の絡ませ具合、しきりに音を立てる辺りだとか、絶妙すぎて、気持ちよさと興奮とで足元が崩れそう....
俺しか経験のなかった洋介とのテクの差はうんでんの差、なんだろうな....。
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