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しおりを挟む翌日。
光と晶は互いにバイトは休み、な筈だった。
夕方、店長から晶に、欠勤のバイトが出たから代わりに出勤して欲しいとの連絡があった。
「行くなよ」
支度する晶を光は咎めた。
「どうしたの?昨日から変だよ、光。今日、土曜だし、1人足りないと店も大変なんじゃない?」
「....それはそうだけど....」
クッションを抱き、口篭る光に晶は寄り添った。
「終わったらすぐ帰ってくるから。あ、帰り、なんか買ってくるよ、アイスとか」
「....別にいいよ」
玄関先まで、光は晶を見送った。
バイト先まで変わらず、晶は電車に乗った。
「晶、助かったよ」
「いえ、こういう時はお互い様ですから」
晶は荷物をロッカーに入れ、制服に着替え、フロアに向かう。
土曜日ともあり、しばらくは忙しなくオーダーを取り、ドリンクや料理を運ぶため、フロアを走り回った。
自分目当ての女性客には疎い晶は気づかなかったが、落ち着いてきた頃、ふと、見覚えのある姿に目を奪われた。
かつての彼氏、和典の姿だった。
自分にまるで気づいていないかのようにオーダーする和典に不信感を抱いた。
「光は?」
和典からの問いに晶は和典を見下ろし、丸い目を向けた。
「....どうして光が働いてることを....」
「そりゃ、昨日、バイト終わって、飲み行って、家にも寄ったからな」
晶の視界が暗くなった。
光はバイト先の誰かと飲みに行く、と連絡してきたのだ。
「休みか?光」
晶は答えないまま、カウンターへ踵を返した。
昨夜、帰宅するなり、バイトを辞めよう、と言ってきた。
....なんの為?
2人は昨夜、秘かに飲みに行っていた。
(....和典となにがあった...?)
トレイを握りしめ、渋い顔つきで唇を噛み締めた。
晶の悪い癖が出始めようとしていた。
(光の嘘つき....!)
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