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しおりを挟む一週間後、近くの居酒屋で、類の送別会が行われた。
店長だった類の代わりに正社員が店長となった。
光にとってはしばらくはダイニングバーのバイトが切なかった。
いつも一緒に働いた類がいないことは光には大きなダメージだった。
それに、類はゲイであることを自分にだけ、教えてくれ、晶とのことも良く相談に乗ってくれていた。
光の無理した笑顔に晶も気づいてはいたが、どうすればいいのかわからないまま。
ただ、部屋で一緒にいるときは光の笑顔を引き出そうと晶なりに努力した。
「じゃ、行ってくるね」
晶は非番、光はバイトの日。
なかなか元気を取り戻せない光を晶は見送った。
バイト先では、職業病なのか、癖になっているのか、笑顔は耐えない。
「注文いい?」
テーブルから声がし、
「はい、ただいま!」
と、光は振り返るや否や固まった。
晶の元彼でもあり、自分の浮気相手でもあった、和典だった。
和典のお陰で晶と出くわし、友情から恋に目覚めたきっかけでもあり、晶の通うバーのマスターは、
『浮気男がまさかのキューピットだったとはねえ』
晶が自分を紹介してくれた際に微笑ましい笑顔で包まれた。
光は息を整え、和典の座るテーブルに向かった。
至って冷静な対応で和典のオーダーを取った。
「まさか、こんなところで会うとはな、光」
一時期は恋焦がれた男、今はただただ、忌まわしく、興味すら湧かない。
「ご注文は以上でよろしかったでしょうか」
「随分、他人行儀だな、光。晶もいるときに来た方が良かったか?」
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