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しおりを挟む翌日。
誠さんの運転する後部座席で隣に座る理一はご機嫌だ。
すっかり風邪も良くなり、お義母さんは理一の為にお手製のお子様ランチを作ってくれた。
ミニハンバーグ、ミニグラタン、ミニチキンライスには爪楊枝で作った可愛らしい旗。
シチューも付いていて。
お義母さんの手元を見、メモを取ったけれど、
「誠が得意なんだから誠にやらせたらいいのよ」
僕は苦笑したけどお義母さんはみんなを笑わせた。
チキンライスに刺さった旗の絵は理一に描かせていて、わかりづらいけど何故かうさぎさん。
手土産もたくさん頂いた。
「今度、御礼に伺わないとですね」
「大丈夫だよ。たまに理一と顔を出してくれたらそれが両親からしたら充分なお礼なんじゃないかな」
運転しながらの誠さんの優しい声と気持ちであたたかくなる。
「にしても。引越し、いつにします?俺も手伝うけど」
「えっ、あの話し、本当なんですか?」
「うん。先日、俺も陽平くんの自宅に行ったけど、きっと陽平くんも無理してるんだろうな、て感じたし。
部屋が余ってるのも確かなんで遠慮しないでください。理一がいたら俺も楽しいというか。俺もしばらくずっと会社と自宅の往来だったから」
しばらく誠さんの話しを遮らず聞いた後...不安を口にした。
「...でも、いずれは誠さんも彼女さんが出来たり、その、婚約や結婚だとかも、有り得ますよね、その...邪魔になると思います...僕」
唐突ながらゆっくり、誠さんはブレーキをかけ、運転席から振り向いた。
「簡単な気持ちで言っている訳じゃないですよ。俺も...どう伝えたらいいかわからないんですけど、なんていうか...」
誠さんが険しい顔で顎辺りを摩る。
「言葉にするのが本当、難しいんですけど。理一も勿論、陽平くんのことも放っておけないというか...なんなんですかね、俺も初めてで。こんな気持ち。
仮に陽平くんは妹の元旦那で義理の弟だとか、俺はあまりそこは気にしてない、て変なんですけど...」
その後の誠さんのセリフに顔が熱くなった。
「...なんていうか。恋、にも似てるような...て、すみません、なに言ってるんだろ、俺。途中、飲み物でも買いますか」
「は、はい...」
...僕も同じ、とは、言えなくて。
隣で安心したかのように眠る理一の寝顔を見守りつつ、熱く染まる頬で頷き、緩やかに車がスピードを上げた。
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