もう一度、誰かを愛せたら

ミヒロ

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「樹はりんご飴、もう食べ終わったね」

俊也が俺の顔を軽く覗き込んできた。

「次、なに食べる?」

俊也の瞳を見つめていたら...また突拍子もないことが浮かんでしまった。

浴衣が凄く良く似合っていて、夏美が言うようにカッコいい、そして色っぽくて。

「...俺以外でね」

俊也が見透かしたように笑う。

「なに?なんの話し?」

俊也の斜め前に立ってる豊が尋ねてきた。

豊の正面でポールに寄りかかっている涼太はりんご飴を齧ったまま固まっている。

「...樹からなにか聞いた?涼太」

「えっ、ううん、なんにも」

「樹の家からどうも涼太が変なんだよな。
やたら視線感じるから目を合わせようとすると慌てて逸らすし、かと思ったら、気づかないフリしてたらやたら見てるし、盗み見みたいなさ」

俊也が苦笑した。

「...嘘がつけなくなったっぽいな、涼太」

涼太が狼狽え、俊也は肩を震わせ笑ってる。

「なになに、なんの話し?俺だけなんもわかんねー」

「俺が樹に抱かれた話しだよ」

はあ!?と豊が素っ頓狂な声を上げた。

「マジで!?樹が俊也を!?」

「うわ、俊也から聞けると思わなかった!」

豊も涼太も興味津々と言った様子、だが。

「豊も涼太に抱かれたらわかる話しだろ」

俊也はそう笑いながら言い、

「あー、頑張ってみる?俺」

涼太が話しに乗っかると豊は俄然、首を横に振った。

「いやいや、涼太にとか考えらんねーし。すげーな、俊也」

「拒む理由もないし。でも無事に婚約も解消出来たしさ。母さん、樹に会えるの楽しみにしてるよ、かなり」

うわ...そう、なんだ...。

嬉しい...。

「樹としか考えらんないし、子供なんて」

そう俊也が言った途端、めちゃくちゃ照れた。

「すげ。もう子供とか考えてんの?」

「想像したこともないや、豊の子供とか。さすが俊也」

「なにが」

俊也はまた苦笑い。

隣の俺は多分、顔が真っ赤だ。

「可愛いんだろうな、樹の子供。樹のお母さんも妹さんも樹によく似てたし。涼太じゃないけど。樹の家庭を見てたら、ホント、樹と温かい家庭が築けそう」

俺だけではなく、涼太も豊も何故か照れてる。

「俊也、かなりストレートだよね、こっちが恥ずかしくなる」

「そこがいいんじゃ?わかりやすいしさ」

涼太と豊はそう言い、俺も隣の柔らかい俊也の笑顔を見上げて。

「せっかくの夏祭りだし、色々食べよ。初めての二人の夏祭りの記念にさ」

「...うん」

俺は小さく頷き、手を繋いで立ち上がる。

「じゃ、俺たちも行くか」

「うん。りんご飴がまだあるけど、わたあめ食べたい、あ、たこ焼きと焼きもろこしと焼きそばもいいな。あ、いか焼きも食べたい」

「お前、どんだけ食うんだよ、涼太」

豊がツッコミ、涼太を除く全員で大爆笑した。
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