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ダブルデート、夕飯のその後
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本屋は涼太や豊も一緒に行った。
俊也は本当に嬉しそうで楽しそうで色んな書籍を手に取る。
「....ヤバいな。本屋ごと買いたい気分。ううん、ここに住みたいくらい」
少し興奮気味な俊也が、可愛くて微笑ましくて、思わずはにかんでしまう。
涼太はなんだか豊が読んで良かった本や漫画や雑誌とかを教えられていて、ふーん、とか、そうなんだ、とか豊の手の中で開かれている書籍を覗き込んだり。
そうして、涼太は豊に勧められた感のエッセイを一冊、購入した。
お金は豊が支払っていたけど。
「樹は?いいの?」
俊也がそう尋ねて来たけど俺は購入はしなかった。
遠慮とかじゃなく、俺は俊也の本当に嬉しそうな笑顔や嬉々とした眼差しや姿を見ただけで充分というか。
俊也は数冊、難しそうな物理や語学、天文学や音楽に関した書籍やスコアや小説だとかを購入していた。
色んなジャンルを読むんだな、と少し驚いて、でも素直に凄いな、とも思った。
そうして4人で
「夕飯、何にする?」
と会話しながら夕暮れの街並みを歩く。
俺は俊也と手を繋いで前方を歩く2人を微笑ましく感じながら。
豊の隣には涼太、俊也の隣は俺。
前方を歩く2人は手こそ繋いではいないけど、涼太が笑ってる。
涼太はとても爽快な笑顔、豊もそれに応えるかのような笑顔を向ける。
涼太がトイレで席を立った際に豊が話してくれた。
涼太が心配で豊は涼太の自宅に行ったらしいけれど。
普段、あまり見かける事のなかった涼太の父親がいたこと。
豊は涼太がお風呂でいない間、父親と2人きりで話しをしたことを。
「....少々、お尋ねしたいことがあるんですが」
2人きりで涼太の父親の書籍で切り出し、
「涼太に虐待やレイプ、いつからでしょうか?万が一、証拠があるのなら、僕はそれを見たくはありませんが、宜しければ削除して頂けないでしょうか」
真顔で冷静に、豊は涼太の父親の冷ややかな眼差しを見上げ、そう言ったらしい。
だけど、
「....なんの事を言っているのかわからないな。あの子の妄想か作り話だろう、きっと」
涼太の父親はそう言って声も出さずに笑ったのらしい。
豊は涼太に手を上げてしまったらしいけれど、殴る相手を間違えた、と痛感したらしい。
涼太ではなく、涼太を狂わせ、傷つけ苦しませたこの父親を殴るべきだったと。
母親がリビングに居ることから豊は涼太の父親を殴りそうになる拳を握りしめ、冷たい見下すかのような微笑を睨み上げる事しか出来なかった、と....。
さすがにいつまでもこのままではいけない、だけど、母親に知られたくない涼太の気持ちを踏みにじる事は出来ない、したくない、と豊は困惑した表情だった。
俊也は、黙って豊の話しを聞き、
「....大丈夫だ。必ず。だから豊は涼太に優しくしていてあげて欲しい。昨日も話したように涼太が笑えること、楽しめること、嬉しいかな、て思うことを一緒に探して、さ」
俊也は優しく豊に微笑んだ。
豊の緊張や困惑を汲み取り、解すかのように。
穏やかに微笑みながら優しく豊に言い聞かせるみたいに。
「....うん。いつもありがとうな、俊也....」
豊が眉を下げながらも少し安堵したように微かに笑う。
....頼もしいな、て思った。
俺の俊也。俺の大好きな俊也。
....尚更、俺は隣に座る俊也が好きだと体中で感じた。
4人での食事もとても楽しかった。
でも、この後...を想像したら、想像すら出来ない。ただ...本当に俊也と...セックスするのか、て思うと緊張や不安、期待、色んな感情が湧く....。
現実味が増すと、唐突に。
レストランで食事を終え、涼太と豊、2人と別れ、俊也と2人きり。
2人は豊の家に戻り早朝には寮に戻るんらしい。
「....じゃ、行こうか」
俺を見下ろす優しく穏やかな眼差し。
「....う、うん....」
俊也が手を握り、以前は殆どはしゃいだだけのあのラブホテル。
VIPルームなんて行った事ないけど....
こんな感じなのかな、て思わせる、広くて豪華で清潔感のある、夜景も見える最上階。
あの夜は違ったのに、そわそわ、してしまう....のに。
....俊也はそうでも、ない。
なんだろう、覚悟を決めたみたいな、そんな少し真剣さを感じた。
「お風呂は別々がいいでしょ、樹」
俊也は俺を気遣い、そう微笑んでくれる、のに...。
なんだろう、違和感がある。
....どうして、俊也は緊張してないのかな、なんて。
緊張を隠して、平静を装ってるのかな、....わからないけど。
「....うん」
確かに俊也と一緒にお風呂は恥ずかしいのは恥ずかしい俺は先に備え付けられたお風呂場へ向かった。
俊也は本当に嬉しそうで楽しそうで色んな書籍を手に取る。
「....ヤバいな。本屋ごと買いたい気分。ううん、ここに住みたいくらい」
少し興奮気味な俊也が、可愛くて微笑ましくて、思わずはにかんでしまう。
涼太はなんだか豊が読んで良かった本や漫画や雑誌とかを教えられていて、ふーん、とか、そうなんだ、とか豊の手の中で開かれている書籍を覗き込んだり。
そうして、涼太は豊に勧められた感のエッセイを一冊、購入した。
お金は豊が支払っていたけど。
「樹は?いいの?」
俊也がそう尋ねて来たけど俺は購入はしなかった。
遠慮とかじゃなく、俺は俊也の本当に嬉しそうな笑顔や嬉々とした眼差しや姿を見ただけで充分というか。
俊也は数冊、難しそうな物理や語学、天文学や音楽に関した書籍やスコアや小説だとかを購入していた。
色んなジャンルを読むんだな、と少し驚いて、でも素直に凄いな、とも思った。
そうして4人で
「夕飯、何にする?」
と会話しながら夕暮れの街並みを歩く。
俺は俊也と手を繋いで前方を歩く2人を微笑ましく感じながら。
豊の隣には涼太、俊也の隣は俺。
前方を歩く2人は手こそ繋いではいないけど、涼太が笑ってる。
涼太はとても爽快な笑顔、豊もそれに応えるかのような笑顔を向ける。
涼太がトイレで席を立った際に豊が話してくれた。
涼太が心配で豊は涼太の自宅に行ったらしいけれど。
普段、あまり見かける事のなかった涼太の父親がいたこと。
豊は涼太がお風呂でいない間、父親と2人きりで話しをしたことを。
「....少々、お尋ねしたいことがあるんですが」
2人きりで涼太の父親の書籍で切り出し、
「涼太に虐待やレイプ、いつからでしょうか?万が一、証拠があるのなら、僕はそれを見たくはありませんが、宜しければ削除して頂けないでしょうか」
真顔で冷静に、豊は涼太の父親の冷ややかな眼差しを見上げ、そう言ったらしい。
だけど、
「....なんの事を言っているのかわからないな。あの子の妄想か作り話だろう、きっと」
涼太の父親はそう言って声も出さずに笑ったのらしい。
豊は涼太に手を上げてしまったらしいけれど、殴る相手を間違えた、と痛感したらしい。
涼太ではなく、涼太を狂わせ、傷つけ苦しませたこの父親を殴るべきだったと。
母親がリビングに居ることから豊は涼太の父親を殴りそうになる拳を握りしめ、冷たい見下すかのような微笑を睨み上げる事しか出来なかった、と....。
さすがにいつまでもこのままではいけない、だけど、母親に知られたくない涼太の気持ちを踏みにじる事は出来ない、したくない、と豊は困惑した表情だった。
俊也は、黙って豊の話しを聞き、
「....大丈夫だ。必ず。だから豊は涼太に優しくしていてあげて欲しい。昨日も話したように涼太が笑えること、楽しめること、嬉しいかな、て思うことを一緒に探して、さ」
俊也は優しく豊に微笑んだ。
豊の緊張や困惑を汲み取り、解すかのように。
穏やかに微笑みながら優しく豊に言い聞かせるみたいに。
「....うん。いつもありがとうな、俊也....」
豊が眉を下げながらも少し安堵したように微かに笑う。
....頼もしいな、て思った。
俺の俊也。俺の大好きな俊也。
....尚更、俺は隣に座る俊也が好きだと体中で感じた。
4人での食事もとても楽しかった。
でも、この後...を想像したら、想像すら出来ない。ただ...本当に俊也と...セックスするのか、て思うと緊張や不安、期待、色んな感情が湧く....。
現実味が増すと、唐突に。
レストランで食事を終え、涼太と豊、2人と別れ、俊也と2人きり。
2人は豊の家に戻り早朝には寮に戻るんらしい。
「....じゃ、行こうか」
俺を見下ろす優しく穏やかな眼差し。
「....う、うん....」
俊也が手を握り、以前は殆どはしゃいだだけのあのラブホテル。
VIPルームなんて行った事ないけど....
こんな感じなのかな、て思わせる、広くて豪華で清潔感のある、夜景も見える最上階。
あの夜は違ったのに、そわそわ、してしまう....のに。
....俊也はそうでも、ない。
なんだろう、覚悟を決めたみたいな、そんな少し真剣さを感じた。
「お風呂は別々がいいでしょ、樹」
俊也は俺を気遣い、そう微笑んでくれる、のに...。
なんだろう、違和感がある。
....どうして、俊也は緊張してないのかな、なんて。
緊張を隠して、平静を装ってるのかな、....わからないけど。
「....うん」
確かに俊也と一緒にお風呂は恥ずかしいのは恥ずかしい俺は先に備え付けられたお風呂場へ向かった。
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