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豊side
しおりを挟む樹との通話が終わり、弟の彰人と遊んでやってる涼太を眺めた。
彰人、めちゃくちゃ懐いてる。
涼太もめちゃくちゃ楽しそうに軽快な笑顔で....。
「樹から電話あったよ」
「えっ、嘘。俺も話したかったー!」
あれ、涼太の笑顔が...なんか変わった、気する。
考えてみたら、俺、子供ん頃、涼太に嫌われてる感じがしてたんだよな...。
小2で引っ越してきて、樹と近所だったから仲良くなって。
でも二人で遊んでたり話してたりすると必ずと言っていい程、涼太が割り込んできた。
結局、涼太は樹、連れてって二人で遊ぼうとしてたな...。
「樹くん、行こっ」
てにこにこしながら、樹の手を引いたりして、二人は俺にバイバイ!て手を振って....。
当時の涼太にとって、樹は今の俊也と樹みたいに、宝物みたいに、そんな風に思ってたのかな...。
俺に取り上げられる感じ。
だから、俺と体重ねてても、なんとなく睨まれているような...そんな感じがした。
涼太にしかわからない感情だろうけど...。
....コテージで涼太はうなされていたんだよな...。
父さん、やめて、て...。
涼太は気づいてるのかどうか、尋ねてもいいのかわからない。
そんな夢、父親に虐待やレイプされ続けてた涼太に聞けない...。
「....なあ、涼太」
「んー?」
彰人も遊び疲れ、自室に戻ったから俺の部屋で二人きり。
俺はベッドに座り、床で彰人と遊んでやってたおもちゃ片付けてる涼太を眺めた。
久しぶりに両親と涼太は会ったけど、昔から何故か、涼太は俺ん家ではかなり大人しく、人見知りになる。
そんな涼太をうちの両親に交際を始めたことを話したけど、認めてもらえた。
....だけど、本当は俺は涼太をよく知らない。
だから、涼太の父親からの虐待やレイプに気づいてやれなかったんだ...。
そう言われてみれば、体重ねてても、涼太は何処を見てんのかよくわからなかったな。
なんか怒りみたいな、そんな目してた、何処か遠いなにかを睨むみたいな...少し鋭い目つきを...。
俺に父親を重ねてた、んだろうか....。
今更、気づくなんて、な。
....涼太の部屋で初めてのセックス、タンスの中のコンドームの箱は既に開いてた。
新品の未開封ではなかった....。
「....お前、てさ。低血圧だよな。寝起き悪いっつーか」
涼太が、え?て顔で手を止め、俺を振り向いた。
「....うん、多分。寝つき悪いし、起きても、なんか寝た感じしなくて。起きてもなんか眠いんだよね。寝足りない、ていうか。そうかもだけど」
....涼太は不思議そうに笑った。
俺は...お前、父親の夢、見てうなされてる。
不眠症なんじゃないの...、なんて、軽々しく口にしていいのかわからなくて。
息が詰まりそうになりながら、不思議そうに首を傾げる涼太を見つめた...。
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