もう一度、誰かを愛せたら

ミヒロ

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静と動

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俊也に話しかけても、何処か心ここに在らず、て感じ。

食堂でもそうだったけど、二人きりの俊也の部屋でも...。

「俊也?どうかした?」

食事後、並んで座り、予習、復習の為に勉強していたけど、俊也は頬杖をついてひたすらボーッとして、片手でペン回ししていたから。

俊也がは、とした顔に変わり、俺に笑顔を向けた。

「悪い悪い、樹」

「何かあった?...俺にだけは隠し事して欲しくない」

はっきり言い放った。

「ん....」

伏し目がちになった俊也が薄く口を開いた。

「...お前と、その...ファーストキス済ませてて良かったな、て」

ぱちくり、瞬きを繰り返す。

「....なにそれ?誰かとしたの?俊也」

「んー...」

ふつふつと煮え切らない俊也に怒りが込み上げる。

「....和斗」

微かな声で聞き取れず、え?と小首を傾げた。

「....遥斗の兄貴の和斗....」

「えっ、か、和斗くん、てアルファだよね!?」

「あ、ん、なんか色々あって...怒んなよ。俺も好きでやってねー。事故だ、事故....でも」

じ、と俯いたままの俊也を見つめる。

「樹とするキスはこう...なんか。気持ちがほっこりする、ていうか...あったかいのに、あいつの唇は氷みたいに冷たかったな」

「....嫌だったの?」

ようやく俊也が顔を上げた。

「当たり前だろ!あいつ、俺を舐めやがって....でも、ああいう奴が成功するんだろうな、きっと....」

吐息をついた俊也を抱き締めた。

「成功とか俊也は望んではないでしょ」

俺を見下ろす優しい瞳。

「...樹には負けるな」

「負ける、てなに」

「俺の強くて愛しいオメガだってこと」

俊也が俺の頭を抱き、顔を寄せた。

思わず、俺も微笑み、なんだか軽くじゃれ合った後、大好きな俊也の優しい口付けに瞼を閉じた。
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