もう一度、誰かを愛せたら

ミヒロ

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帰路

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翌日の日曜日にはコテージを後にした。

涼太は随分、眠たそうで瞼を擦ってる。

「ほら、我慢せずに寝ろ」

涼太の頭を抑え、豊が肩に置くけど、涼太は、

「眠たくなんかないし!」

歯向かうものの、

「黙って寝てろ」

すぐにまた頭を抑えられ、涼太は豊の肩に頭を埋め、おとなしくなったかと思ったら、暫くすると、小さな寝息が聞こえだした。

「....涼太って、昔から朝、弱いよね。低血圧なのかな」

「....どうだかな」

俺と俊也は初めて昨夜、軽い言い争いをした。

1つのベッドで小さなキスを何度か繰り返し、抱き締められて眠る。

「おやすみ、樹」

俊也はそう言ってくれても、俺は布団の中から天井を見上げたまま。

「....これじゃ、蛇の生殺し」

心地いい俊也の体温に包まれ、不意に隣を見ると、間近に俊也の顔がある。

閉じた瞼は睫毛が長くって、通った鼻筋、もしかしたら俺より色白かも。
少し厚めな唇は桜色で...。

「....俺より色っぽい....」

そっと、顔を近づけ、唇を寄せると、俊也の瞼が開いた。

「....寝るぞ、樹」

「...寝たくない」

「...もう夜中だぞ?遊び足りないのか?」

「そうじゃなくって!」

思わず、起き上がると、横になったままの俊也が驚き眼で俺を見上げた。

「キスだけじゃ嫌だ!」

....言っちゃった。

「....寝るぞ、樹」

「なんで駄目なの?」

「....経験ないし」

「....え?」

「....俺、童貞だし、樹に痛い思いとかさせたくないし」

「じゃ、なに!?俺以外の誰かと練習でもするの!?」

「いや、そんなわけ....」

「だったら!」

俊也に抱きついた。

「俊也の初めてを俺が貰うから、俺の初めて、俊也が貰ってよ」

そうして、俊也の唇を奪った。

が、即座に俊也に肩を捕まれ、

「....寝るぞ」

そのまま、仰向けに寝かされた。

「そんなに焦ってやる事じゃないだろ。...それに抑制剤は用意したけど、避妊具までは用意してないから。妊娠でもしたらお前、学校にも行けなくなるし、お前の親を泣かせたくない」

冷静沈着な俊也の話しに、単純な俺は納得させられた。
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