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しおりを挟む「....今更だけど、小一の時の約束。忘れててごめんね、涼太」
不意に隣に立つ小さな樹が困惑した顔で謝った。
「や、その事はもう....」
「涼太はさ、今、好きな人とか....いないの?」
尋ねられて、心臓が飛び出すんじゃないかと思った。
「涼太が前に言った。後悔先に立たずだよ、て...涼太がいてくれて、俺は俊也と知り合えた。幸せだよ、でも欲張りになる。もっと幸せになりたいし、幸せにしたい。俊也を。涼太はそういう人いないの?」
後悔先に立たず、か。
....図らずも、俊也の抱え込んでいた過去を思い出した。
片思いしていた、女の子が自殺した、あの事件。
そして、あの速報...。
人って永遠なんかじゃないんだ、て俊也が一番に知っていて。そして、気づかせてくれた。
何故か隣に立つ豊を見上げてしまう。
泣いたばかりの多分、変な顔を見られてる...ダサい俺。
「お、俺は....」
は、恥ずかしい。
体の関係もあった、てのに。
それを思い出したら、また恥ずかしくて、顔を覆いたくなる。
「....顔隠して尻隠さず、だな」
「....うるさいよ」
顔を覆っていた手を外し、すうっと息を吸い込み、
「....俺、凄く変で。なんで今更、て思うのに、豊といると調子狂う....」
あー、思わず、ぶすくれる俺。可愛くないな。
樹みたいにいつもにこにこ出来たらいいのに。
「....俺も。あんなに嫌いだった筈なのに、なんか可愛いなあ、て思う...変なんだよな。いつもブレスレット付けてくれてて嬉しいな、て思ったり。...さっきの冗談は本当。好きだよ、涼太」
....豊の笑顔が眩しい。
でも。
「....い、樹や俊也がいるところで言わないでよ、は、恥ずかしい!」
途端、みんなが爆笑した。
「すっげ、茹でダコみたいに顔真っ赤。照れてるのか怒ってるのか、わかんねー」
「もう!照れてるんだよ、俊也」
「ふ、二人もちょっと黙ってー!」
俺は思わず、その場で蹲り再び顔を覆うと、またみんなに爆笑された。
「で?眠り姫。返事は?」
「....よ、よろしくお願いします....」
変わらずしゃがみ込んだまま、消え入るような声がやっと出た。
「俺さ、友達、ていた事ないんだけど。こんな感じかな?」
不意に俊也が微かに笑った声で言った。
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