もう一度、誰かを愛せたら

ミヒロ

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なんて答えたらいいかわからないでいる。

「好きだよ」

って言った...?

豊の優しくて真っ直ぐな瞳から逸らせないまま...。

「....なーんてな、冗談だよ、冗談」

豊が視線を逸らし、

「花火、綺麗だな」

と会話を変えた。

その背中が霞んで見える。

「....冗談、でも。言うなよ。そういうこと....」

「....お前、泣いてる?」

「...俺と同じこと、すんなよ。俺、豊、騙して、好きって言って、なのに、俺....」

涙腺、崩壊しちゃったのかな。
勝手に涙が溢れてきて止まらない。

「俺のせいで、豊、失恋したのに、樹に....自分でも調子良すぎる、て思ってる....」

豊の大きな手のひらがよしよしするように頭を撫でてくれる。

カラオケでのあの時とおんなじだ....大きくて優しい手のひら。

「俺、俺、駄目なのに。幸せになっちゃ...いけないのに...っ」

「なんで?」

「みんなを傷つけたから、嘘ばかりついたから」

はあ、と豊がため息をついた。
やっぱりため息つきたくなるよね、俺なんか....。

「お前が、いや、俺もか。同罪だよ。確かに俺はお前に騙されたのかもだけど...幸せになってもいいか、二人に聞いてみる?」

俯いていた視線を上げると、豊の穏やかな笑顔があり、手首を掴まれた。

打ち上げ花火を見るために、樹と俊也は手持ち花火を一旦やめて、場所を移動し並んで立っていた。

「ほら、涼太」

ブレスレットの付いた手首を掴まれ、立ち上がらせられ、引き摺られるように二人のいる隣に立つことになった。

「あ、涼太。花火、綺麗だよ...て、泣いてる?」

「泣かせたのかよ、豊。最低だな」

樹と俊也の言葉に泣きそうになり、また笑いそうにもなった。

豊が悪者になっちゃってる...違うのに。

「あのさ。俺も幸せになってもいいのかな....駄目なら....」

豊には言わせなかった。

樹と俊也は同時にきょとん、となり、そして笑った。

「なにそれ?意味がわからねー」

「俺も。俺たちが決める事じゃないし」

嬉しかった。
樹と俊也の背後に見える打ち上げ花火が本当に綺麗に見えた。
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