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しおりを挟む「ね、ねえ、俊也」
「うん?」
氷の入ったアイスコーヒーのグラスがカラカラと音を立てる。
「その、今度さ、一緒に走らない?最近、走ってないなあ、て思って」
「走る?走るって?」
同じく、アイスコーヒーのグラスを片手に豊が尋ねてきた。
「あ、うん。俊也ね、たまに寮にある中庭、走ってる、て以前、聞いて。俺も走ってみたんだけど、凄く楽しいというか、スッキリした気分になるんだ」
「あー、なるほど。中庭、なかなか広いもんな。涼太も走る?」
途端、クッキーを片手に、えー!?と涼太が素っ頓狂な声を上げた。
「やなんだけど、走るとか。汗かきそうだし、疲れそう」
「や、夜は涼しいし、気分転換にいんじゃね?」
途端、涼太は、そっかな、と視線を落として肩を竦め、クッキーを小さく一口齧った。
そうこうしているうちに、どうやら、コンシェルジュが手配してくれた、コテージに着いたみたい。
俊也はカードで支払い、リムジンを降りた後は運転手となにか立ち話をし、ビニール袋をいくつか渡されていた。
「さ、行こ」
草原にある木造で出来た、大きなコテージは隣からはかなり離れていて、まるで隠れ場みたいで、本当に穴場なのかもしれない。
受付は既にコンシェルジュが済ませていたらしく、すぐにみんなでコテージに入った。
洋風でとても広く、二階建てだった。
確かにキッチンもあるし、大きなソファとテレビもあった。
「すっげー、普通に住めそう」
「なん部屋あるんだろ?」
豊、涼太が興味津々だ。
俺の目に飛び込んだのは大きなテレビ。
もしかしたら、昨夜の俊也のお父さんの病院で起きたニュースがまだ、流れてるかもわからない。
絶対に付けないようにしないと。
俊也に見せないようにしなきゃ。
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